メイドさんが巨大な件◆
前回までのあらすじ
言葉の壁が無くなった。やったね。
移動の準備をする前に朝食を取る事にした。
本日のメニューはドッグフードに納豆ふりかけ。犬用のふりかけは何故あんなに高いのか?
人間用のふりかけで10グラム300円なんて見た事ないわ。そんなの買わないけど。
食事の後、指輪の効果を確かめようとトトに話しかけた。残念。犬には効果が無い模様。
遊んで、ご飯、散歩、を連呼されても困るし、発情期がヤバそうだ。
神秘のヴェールに包んでおいた方が良いという判断だろう。多分正しい。
トトをテントに隔離してから、トイレとドッグフェンスを片付けた。
そろそろトトの散歩をしたいが、勇者の存在が周知されるまで勝手に動けないよね。
そんな事を考えていると、先程デューク殿、デュークさんについて城に行ったマーキスさんと、背の高いメイドさんが近付いて来た。
「勇者殿、お待たせして申し訳ありません。お部屋の用意が整いました。
こちらは今日から勇者殿の身辺警護を担当するメイドのリリーでございます。
彼女がお部屋まで御案内いたしますので、何か御用がありましたらお申し付け下さい」
「今日から勇者様のお世話させていただきます。リリーでございます。なんなりとお申し付け下さい」
ふおおおぉ!! 犬獣人ッ! 犬獣人でメイドさんじゃないですか!!
全身を覆うクリーム色の体毛に、茶色みがかった金髪が映える。
その髪を優しく包むモブキャップと、その下から伸びる垂れ耳は、思わず触りたくなる愛らしさだ。
犬特有の慈愛に満ちた黒い瞳と、2メートルを超える長身は圧倒的な包容力を感じさせる。
そして思わず握りたくなるマズルに、スカートから飛び出すボリュームたっぷりのフサフサ尻尾。
尻尾穴ってどうなってるのかな? 見せて貰えませんかね?
それら一騎当千の萌え要素が、横にいる緑の人との対比でより美しく見える。
理想郷は本当にあったんだ!
思わず、涙が溢れた。
「勇者殿どうなさいました?」
「勇者様?」
クッ! 泣いてる場合じゃない。涙を拭け、勇者が急に泣き出したらおかしいだろう。
頼もしい勇者様が、彼女を気に入った事実をアピールをしなければ。
「……失礼。貴方に会えた嬉しさのあまり涙腺が緩んでしまいました。
はじめまして美しいお嬢さん、私勇者の山田太郎と申します。この国は私が命に代えても守って見せます!
大船に載ったつもりでいて下さい!!非常に満足しています! ノーチェンジ! ノーチェンジです!!」
「おお! 流石は勇者殿。頼もしいお言葉ですね! ですが勇者殿が倒れては元も子もない。貴方の代わりは居ないのです。くれぐれもご自愛下さい」
「勇者様、命を懸けるなんて仰らないで下さい」
その時、慌てて走り寄って来たオーク兵がマーキスさんに何事かを耳打ちした。
「何?それは本当か。何という事だ。急いで行かなくては!
勇者殿、拙者、急用が出来ましたので、これにて失礼いたします!
リリー、後は頼んだぞ!」
言うが早いか、走り去ってしまった。デュークさんもそうだったが忙しない人達だ。
魔王が復活するから忙しいんだろうな。不細工はこの際、どうでもいい。
そんな事より今はメイドさんと話そう。普段のオレなら挙動不審になる所だが、幸い、会話の起点になる頼もしい相棒がいる。
待たせたなトトよ、散歩の時間だ。
「リリーさん、実は一緒に連れてきている犬を散歩させたいんですが、勝手に歩き回る訳にも行かず困っていたんです。案内をお願いできますか?」
「はい勇者様。ご案内させていただきます。私の事はリリーとお呼び下さい」
無茶を言わないで欲しい、ほぼ初対面の美しい女性を呼び捨てにする程の度胸はオレには無い。
もっとこう、段階を追って……もしかしてモテてるのか? イヤイヤ、勘違いするな。立場の違いだろう。
勇者がメイドに敬称をつけるのはおかしいとかそういう事だ。
敬意を持って接してくれる美しい女性という伝説上の生き物と遭遇して舞い上がってしまったようだ。
こういうのはアレだ。のぼせて告白すると旦那がいますとか、お許しくださいとか言われるのがオチな筈だ。
過剰な期待はするな。眺めて楽しむ事で満足しておくべきだ。それに、彼女はメイド戦闘に参加する事はないだろう。
つまり旅に出れば姿を見る機会が無くなるという事。それは駄目だ。
「……リリーさん、お願いがあります。これは貴女にしか頼めない事でオレの士気に関わる重要な問題です」
「私でお役に立てる事なら、なんなりとお申し付け下さい」
OKが出た。騙したようで心苦しいが仕方あるまい。これから始まる戦いの日々、俺の心に潤いを与えなければストレスで禿げてしまう。
なんでも良いならエロい事をお願いしたくなるのが人情だが、そうすると戦いどころではなくなる。
何より訓練すら始まらない内に、エロい奉仕を強要するなんてオレの良心が許さない。
「写真を撮らせて下さい。守るべき場所と人々の姿を目に見える形で持ち歩きたいのです」
「写真、ですか?」
首を傾げるリリーさんを見ながらカメラを取り出し、シャッターを切る。
「これが写真です」
撮った写真を見せる為にリリーさんの隣に立った。顔の高さに胸があるな。
そのままでは高さが合わないので、屈んで覗き込んでいる。凄く鼻触りたいです。
「今から訓練期間が終わるまでの間、私がこの道具でリリーさんや、その他の大勢の人々の何気ない日常の風景を記録します。自然な姿が見たいのでリリーさんは普段通りにして下さって結構です。我々の国では、何かを守る為に相手の命を奪うような事はほぼありません。虫を殺す事すら躊躇う人も多いのです。何を隠そう私もその1人です。そういった事情から、自らの手を血に汚してもこの人達の為に戦うのだ。という道しるべが欲しいのです。それは例えば仕事風景だったり、水浴び中のハプニングや、寝姿かもしれません。戦場で苦しい時、貴女がメイド服のまま後ろ手に縛られて口に猿ぐつわを咬まされているような危機的状況の写真をみれば、そんな事には絶対にさせない。という闘志が無限に湧いて来る事は疑いようもないでしょう。私は、人として当たり前の事すら忘れてしまう地獄の戦場に赴かなくてはなりません。守るべき人々が居るという日常の記憶は、きっと私の命綱になります。だからそんな写真を撮らせて下さい」
「えっ あ、はい。そんな事でよろしければ、お引き受けいたします」
「ありがとうございます! ありがとうございます! 必ずこの国を救います!!
さあ、部屋へ向かいましょうリリーさん。テントに来てください。相棒を紹介します」
この後テントに戻ってトトを紹介した。リリーさんにトトを抱いた写真が欲しいとねだってトトを渡した。
リリーさんは顔を滅茶苦茶に嘗められていた。その後もスカートに潜られたりして、大変に微笑ましかった。
最初から録画していて良かったです。あ、部屋はバス水道完備のロイヤルスイート的な落ち着かない部屋でした。
午後からは、能力測定と技能の説明があるそうだ。
取れる技能は全部取りたいな。この世界で鍛え上げられたととが日本に戻れば確実に大惨事になる。
調教師とかの技能が切実に欲しい。