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夢は際限なく膨らむ

 前回までのあらすじ

全裸土下座で治療薬に感謝

 ……あれから何分経ったのだろうか? 

 オレは、土下座を続けていた。

 思えばこれ程素直な気持ちで、何かに頭を下げた事は無かった気がする。

 水は命の母という言葉もある。オレは今、水浸しのキッチンで全裸で体を丸めている。

 全裸で丸まる今の状態は、母親の胎内での記憶を思い出させているのかも知れない。



 少し、寒くなってきたな……

 ゾンビ化の恐怖から開放されて余裕が出ると、身体が冷え切っている事に気付く。

 幾ら室内とはいえ、梅雨に入ろうかというこの時期に、濡れた身体でフローリングに密着して居るのだから当然か。


「つまらない事で、イライラしていたんだなぁ。オレには余裕が無かったんだ。

 この試練だって、同郷の先輩が苦労して得たアイテムボックスを譲るついでに、少しからかわれただけの話じゃないか。

 こんな事で心を乱していたら異世界ではやっていけないぞ。反省しなくちゃいけないな……」


 苦笑しながら頭を上げると、目の前に立て看板が生えていた。


≪ドッキリ大成功! ゾンビの件は嘘でした! 死ぬ気なら何でも出来るよ!≫


 ふざけるな! そう言おうとして踏み止まった。

 確かにそうだ。嫌々飲み込んでいた朝と昼は30分近く掛かっていた。

 だが、夜は同じ量の作業をこなすのに10分も掛からなかった。

 それを教える為に国王の位にまで上り詰めた人が馬鹿のフリをしてまで応援してくれていたのか。

 そんな懐の広い人に死ねだなんて、オレはなんという愚か者だったんだ。


「ご指導ありがとうございました! 安らかにお眠りください!」


 オレは死した後も国の行く末を案じた優しい王様に心から頭を下げた。





 心の問題は解決したので、冷えた身体を温める為にシャワーでも浴びたい。

 が、全裸で水浸しのキッチンに立っているという残念な状況は変わりがない。

 水浸しの状態を放置してしまっては、床板が腐ってしまう。

 幸いにして優しくも偉大な勇者王、コンガラ様でいいか。

 そのコンガラ様がありがたい事にアイテムボックスの操作マニュアルを残していってくれました。

 それに従って手早く片付けたいと思います。コンガラ様は仏のようなお人だ。


 「収納! ゾンビ治療薬!」


 両手の平をパンと合わせて床に手を置き叫んだ。

 すると、廊下とリビングにも流れていた治療薬の川が奇麗に無くなった。

 手を合わせたり口に出す必要は無いが、とりあえず言ってみた。


 このアイテムボックスは相当な優れもので、アイテムの一部分を指定して出し入れする事も可能らしい。

 どういう事かというと、こういう事が出来る。


 「薬に混じった不純物よ、出ろ!」


 三角コーナーの中を指差しながらそう言うと、トトの抜け毛や埃が固まった物がポトリと落ちる。

 実に素晴らしい能力を手に入れてしまった。もう魚の骨や、カスの入った軟骨から揚げに悩まされる事は無いのだ。

 でも触らないと駄目だし、固まった骨が残ってたらあまりに怪し過ぎるから外食に使うのは無理か。

 とりあえずシャワー行こう。寒いし。




 ふう……シャワーを浴びて身体も温まったし、アイテムボックスの検証を再開しよう。

 手近な所で風呂の残り湯に手を触れずに、収納と念じてみる。

 何も起こらないな。やはり手で触れていないと駄目なのは間違いないようだ。


 今度は浴槽に手を入れて念じてみた。すると浴槽のお湯は無くなったが、壁や天井の水滴は残った。

 これが浴槽の中だけをイメージしたせいなのか、アイテムボックスの仕様なのかを確かめる必要がありそうだ。


 前者なら問題ないが、後者だと少し使い辛いかも知れない。前者だといいな。

 そんな事を考えながら、空になった浴槽の中央に立ち、両手でオージービーフのマークを作って気功砲と叫ぶ。

 オレの期待に反してお湯は重力に従ってしまい、ボチャボチャと大きな音を立てながら浴槽に溜まった。

 勢い良くお湯を飛ばすイメージで、指を伸ばしてマカンコウサッポウと叫んでみたが、やはり結果は変わらなかった。

 あくまで収納便利グッズだから仕方ないね。




 それから暫くの間、色々と試してみたが、アイテムボックスは結構アバウトなイメージでも物の出し入れが可能だ。

 スキタイ流ディナーで目当ての本が出てきた。家にある物の中で1番数が多いのが漫画やゲームなので、これは嬉しい。

 ただ、これから買う予定の、異世界で役立ちそうな本は目録を作る必要があるな。

 続きはセミナーで的な、役に立たない本を買う可能性もあるけど、無いよりマシだろう。

 何を持っていこうか悩んでいると、お腹が空きましたといった表情をしたトトが寄って来た。

 夜食べ過ぎると太るっていうけど、オヤツ位ならあげてもいいか。

 右手でロングホーンを作り、ウィーッと小声で叫びつつオレは立ち上がった。


 2本の指にリングささみを出し、見せびらかしながらトトのベッドに移動し、ささみを寝床にシュート。

 餌に食らい付いている内に素早くドアを閉める。フフフ、獲物が2つあれば、すぐには戻って来れまい。オレの勝ちだ。


 本を精査する程の時間も、専門書の良し悪しを判断出来る知識も無いので、適当に役立ちそうな本と、製品の現物を買おう。

 まず、勇者としての実力を付けて魔王退治を済ませる。

 その後に現地で奴隷を買い、良くある生産特化タイプを、パワーレベリングで量産する。

 しかる後に日本語を学ばせ、専門書と参考資料を渡して、事業を丸投げするという完璧な計画だ。

 魔王を倒せるレベルに成長した勇者(オレ)が成長をアシストすれば、容易に奴隷を成長させる事が出来る筈だ。

 そして勇者に買われたという事実を知った奴隷娘達は、感激して勇者様抱いてとか言い出すだろう。

 

 ……マズイな……知らない所でエロ方面はスライム並とか、なんか臭いとか噂されてたら凄い嫌だわ


 そうならない為には、異世界に行くまでの残り9日で異世界人を凌駕するエロ力を付けなくてはならぬ。

 オレ1人の力では到底敵うまい。

 だが、先人の知恵と、日本の技術力を合わせれば、野生の血を受け継ぐ獣人や、数百年を生きるエルフ相手でも勝利を掴めるだろう。


 そうだ。道具が使えるからこそ、人間はどんな動物よりも強くなれたのだ。

 自然界では最弱の人間がライオンに勝つ事も可能。もちろん草食獣狙うけどね。

 肉食系女子はマジ勘弁。


 そうと決まれば、あちらに持っていく武器と防具と参考資料を急いで選定しよう。

 痴女みたいな衣装は、コスプレ写真で見ても全然嬉しくないから除外する。

 最低でも制服、スク水、メイド服にボーダー下着とニーソは必要だ。

 しかし、まだ見ぬ奴隷ちゃんの為にサイズと数を用意していては金が幾らあっても追いつかない。


 とりあえず、絶対に外せない物は3サイズ分程度を用意して、急がない物は1着だけ買おう。

 それを叩き台によりクオリティの高い物を作らせた方が良い筈だ。

 洋裁関係の本と、体の小さな種族向けに子供服の型紙集、それに生地を揃えなくては!


 靴はどうしよう? 

 実際に履いてみないと合うかどうかさっぱり解らないが、メイド服に素足とか残念過ぎる。

 だが5ミリ刻みで高い靴を買っても無駄になりそうだ。今の時点では何処の誰が履くのか不明だ。

 これも幾つか見本を買って、現地で生産させるのが良いだろう。

 どうせ勇者になるのだから会社なんか辞めて、貯金も全て準備に使ってしまおう。




 気が付くと朝でした。

 今まで気付かなかったけと利用額に制限があるんだな

 後は実戦経験を積んで召喚を待つだけか。

 早く異世界へ行って、魔王を倒して平和な世界を作りたい。

 それで奴隷ハーレムを作りたい。犬獣人とか、猫獣人をモフりたい。

 もちろん、強くなって寿命が延びるパターンにも期待している。神様とかになっちゃったりしたいね。

 ペットより先に死ぬのも先に死なれるのも嫌だし。家に帰る度に飛び跳ねて顔を舐めてくるアホの子だけど、何度も愛犬と別れたくないからな。

 

 アレ?

 呼ばれた時点で強かったりするパターンだと、トトがジャレたつもりで王宮にいる偉い人に大怪我させたりするんじゃないか? 

 それに、予定日に魔法陣の上に居なければいけないとは聞いたけど、良く考えたら時間が解らないぞ?

 時間が解らないのは地味に辛いな。トイレとかで魔方陣の外に出たタイミングで召喚されて、真っ二つなんて事になったら嫌過ぎる。

 時間の感覚が違う可能性を考えて、召喚の前後3日は、魔法陣の上から動かない様にしよう。

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