新たなる刺客は……
「出美亜丹のやつ、たかだか地縛霊ごときに負けたらしーぜ」
オープンテラスでコーヒーを味わいながら、萬捫は給仕をみやる。彼は上下黒のスーツ姿で、髪の毛をオールバックになでつけている。
「あらあら、またそんなことをおっしゃられて……。今日こそは騙されませんよ」
トレーを両手で抱えて、辺流負壊寤唹瘻は微笑んだ。
彼女はメイド服に身をつつみ、ロングヘアーを後ろにまとめて束ねている。
「うむ、出美亜丹が負けたか。それはまたうまい話だな。敵討ちをしてやれば、あいつにご馳走を要求できる」
ナイフや食器は使わずに、素手で食事をする部僂是武舞。鉄板で高温に熱せられたステーキを、平気で口に運んでいる。
タンクトップにランニングパンツというラフなファッションであった。
「できねーよ」
「そうか、そいつはうまい話だな。辺流負壊寤唹瘻に頼めばいい」
「なんなりと、お申しつけください」
にっこりと服従する給仕の発言を聞いて、
「辺流負壊寤唹瘻の過保護はいつものことだ」
吐き捨てるようにいう萬捫。
「オレンジジュースをくれ! 果汁百パーセントのうまい飲み物を……」
「かしこまりました。ただいまから果樹園に行って、もぎたてをお絞りいたしますので少々お待ちくださいませ」
「ゆっくりでいいから、うまいものをつくれよ」
給仕が去るのを見届けてから、
「では、本題に戻ろうか、萬捫」
「理解が早くなったじゃねーか」
「当然だ。その地縛霊を倒せば、うまいものを食いにつれて行ってくれるんだろ? うまい話だ」
「そういうこと。うまく殺れよ」
「わかった。うまい話だ」
食いしん坊の部僂是武舞。
悪魔界序列第一位。
名目上最強の戦闘員が、動き出す。
・部僂是武舞……食いしん坊
・萬捫……欲張り詐欺師
・辺流負壊寤唹瘻……妖艶家政婦




