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少年少女と不穏な影

悪魔界序列編――開幕です。

【こうなるのは、必然だったのかもしれない。顔を合わせれば喧嘩喧嘩。いつかはこうなって、別れのときがくるって、わかっていた。だからべつに辛くも切なくも寂しくもない……。なのに――】

【なぜだろう。この晴れ晴れしない気持ち。鬱屈した感情。もやもやした霞がかった感じは……。まるで――】

【未練を残しているかのように……】

【布団をかぶって、嫌なことはきれいさっぱり忘れようとしたのに……】

 舞子は布団を吹っ飛ばして、

「ふとんがふっとんだ」といってから、家を飛びだした。

 例の桜の木。

 根本のところまで来た。

 日は沈んでいるが、空はうっすらと明るく、そこにいる『トーイ』の姿が確認できた。

 段ボールとガムテープで、継ぎはぎにしてつくられたハウス。プリンの空容器にいれられた牛乳、かたわらには五百ミリリットルの紙パックが置いてある。とぐろを巻いて寝ている子犬。

 そして――同じようにして眠る、少年。

 子犬も少年も、段ボールハウスには入っていなかった。おそらく『トーイ』がわけもわからぬ段ボールハウスを拒絶したから、颱もそれに合わせたのだろう。

 なんにせよ、普通ではない、常軌を逸した行動である。

「…………」

 話しかけるにしても、なにを話せばいいのか皆目見当もつかなかった。ただみ守るか、それくらいしかやることなどなかろう。

「ぐるるる……」

 低く唸るような音がした。

 舞子は夕食にもほとんど手をつけず、自室に閉じこもっていたので、腹の音かもしれない。事実、彼女は空腹だった。

 しかし、そうではないと気づく。

『トーイ』が颱の身体周辺を徘徊し始め、彼をみると甘えるような高い声を、舞子をみると威嚇するような低い声を発していたのだ。

【なに、こいつ。頭にくる!】

 すぐさま回れ右をして、舞子は家に帰っていった。その後ろ姿を、ある女性にみられていたとも知らず……。

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