第七話「止まらない、止められない。」
残酷な描写が含まれています。
苦手な方はすぐに引き返してください。
家には誰もいなかった。
ふと気がつくと誰かの部屋にいた。懐かしい香りがする。僕はその懐かしい香りに癒されて少し頭が冷えた感じがした。そしてとてつもない恐怖とさびしさに襲われて、胸が苦しくなった。
「先輩……」
ぼそりとつぶやいた先輩はここにはいなかった。
僕はなんのためにこんな風になっているんだろう。
僕はふらっとその家をでた。
すべての始まりは――
あの下嶋だった。
あのメールさえなければよかったんだよ。
否。
「お前が周りの奴らに広めたのが悪かったんだよ!!!!!!」
僕は怯えている下嶋を見下ろして叫ぶ。
彼女はひぃひぃ言いながら校舎の壁にもたれかかっている。
月が登る。
僕の影が壁と下嶋に落ちる。
「さて、どうしたものか……」
下嶋を呼び出すことは簡単だった。
電話でひょひょいと何かを喋ったらひょひょいとやってきてくれた。
やはり殺すのはこの学校がお似合いだと思った。
だけど殺し方はどうするべきか。
やはり苦しめるべきか……。
「あ、あのっ……う、ウチが悪かったよ!」
「るせえ死ねかすが!!!!!!!!」
カチャカチャパチーン!
キーボードを叩く音が夜空に響く。
「ぐひっ!?」
突然奴が苦しみだした。
「げ……っ! ゲホッ……、エホッ……!」
両手を地面に着いて咳をする。そして彼女は『何か』を吐いた。
「ははははははは!!! どうだい、気分は!」
「ゲホッ……! うえっ……!」
奴は満足そうに内蔵を吐き続けている。
うははは、これは思っていたより楽しいや。
「つっぎはなににしよーかなー」
カチャカチャパチーン!
「うはははははは!!!」
「ぐえがういいいいっしいいいいいいいいい!!!」
奴は悶え苦しみ、辺りを転がった。
全神経のデータを書き換えて痛みに変換している。
「アガガッガガガガッガッッガッガッガガガ」
声も次第に出なくなっている。
「っと、やべ」
僕はふっと冷静になってモニターを見るとCPUメーターが100%になっていることに気づく。やはり全神経はきつかったか。
「さて。次は――」
カチャカチャパチーン!
一旦先程までの奴をすべて取消した。
彼女は息も絶え絶えに、口から内蔵(これは腸なのか?)をぶら下げている。
カシャ。
僕は付属のカメラで撮ってみた。これはいい。すぐさま写真サイトにうpした。あとで運営にハッキングかけて消せないようにしておこう。みんなのコメントが楽しみだ。
「さて――」
カチャカチャパチーン!
次はやってみたかったことだ。
「ふぐっ!?」
下嶋はいきなり喉をかきむしり始める。
「はっはっは! 傑作だよ!」
そしてガリガリガリとここまで聞こえる音の大きさでかきむしる。月明かりで首から垂れる血がギロリと嫌に光っていた。
「あははははははは!!! やべえええ、やべえよ!!!」
僕は最高の気分だった。
「じゃ、最後に……」
とどめと行くか。
もう奴にはこれだけやった。もうだんだん面倒になってきた。
カチャカチャ……
手が震えて上手くキーボードが打てない。
目の前で悲鳴をあげながらもコンピュータで制御されていて死ねない下嶋。
その時――
「やめてよ」
僕はその言葉を待っていた。
その人の言葉を――




