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もしも 光子と優子が総理大臣と副総理大臣だったら?

夕飯後のリビング。

光子と優子は、ちゃぶ台の上に散らばった参考書やノートを片付けながら、ふと同時に顔を見合わせた。


「ねぇ優子」

「なに、光子?」


光子が腕を組んでニヤリと笑う。

「やっぱりさ、美香お姉ちゃんのお腹の赤ちゃんに、今のうちから“光子お姉ちゃん”“優子お姉ちゃん”って胎教で教えとった方がよくない?」


優子もすぐにのっかる。

「そやね! 生まれてきて“おばちゃん”とか呼ばれたら、もう一発で老け込むやん!」


「そうそう! “お姉ちゃん”て刷り込んどかんと!」


二人は顔を寄せ合って、お腹の赤ちゃんに語りかけるかのように声をそろえた。

「赤ちゃん〜、うちらは“光子お姉ちゃん”と“優子お姉ちゃん”やけんね〜! ぜーったい忘れたらいかんよ〜!」


美鈴は苦笑しながらも、どこか楽しげに二人を見守っていた。

優馬は新聞をめくりながら、肩を震わせて笑いをこらえている。


しばらく“胎教ごっこ”を続けたあと、光子は勢いよく立ち上がった。

「よーし! 胎教ミッション完了! じゃ、次は受験勉強ミッションや!」


優子も同じく立ち上がり、拳を突き上げる。

「各自の部屋に散って、集中タイム突入〜!」


「ほら、夜更かしせんごとね」

美鈴の声が背中に飛んできたが、双子は「はーい!」と返事を残して二階へ駆け上がっていった。


光子は自室に入ると、机にドサッと問題集を広げ、気合の入った声をあげる。

「さぁ、光子! 今日の数学は絶対に制覇するっちゃ!」


一方の優子も、隣の部屋で鉢巻をきゅっと締めながら叫んでいた。

「国語よ、覚悟せぇ! 優子が全部読解してやるけんね!」


家の中に、二人の気合の声が響き渡る。

その声は、勉強の宣言なのか、ギャグの一環なのか、聞いている家族には判別できなかった。





夜の博多南の家。

二階の部屋の灯りが、それぞれに温かな色を放っていた。


光子は机の上に整然と並んだ数学・理科の問題集を一問ずつ解きながら、余白に小さなメモを書き込んでいた。解き方の工夫や、授業で先生が言った“ちょっとした裏話”まで丁寧に残している。


優子の部屋では、国語と社会のテキストが開かれ、鉛筆が止まることなく動いていた。文学作品の登場人物の心情を分析しながら、同時に時事ニュースに絡めて“現代的な視点”をノートにまとめている。


二人にとって、受験勉強は“必死に追いかけるもの”ではなく“復習して知識を磨き直す時間”だった。すでに模試の結果はほとんど満点。だが、その成果を自慢することはない。むしろ普段の会話の中に自然に知識を溶け込ませて、ギャグや日常のツッコミと同じくらい当たり前のように扱っていた。


そして何より欠かさないのがニュースチェックだ。

朝と夕方のニュース番組は必ず確認し、スポーツ情報は細かく仕入れていた。NPBもMLBも投打の成績を把握し、サッカーでは欧州リーグの順位表まで頭に入っている。バスケ、バドミントン、テニス、卓球――日本選手が世界でどう戦っているか、どんな新記録が出たのかを逃さない。


さらに経済情報や国際情勢にも目を通す。為替や株価の動き、海外での政治的な緊張、環境問題――。


「光子と優子に聞けば、大体の流れは分かる」

それが家族や友人の共通認識になっていた。


机に向かう双子の表情は、ギャグで人を笑わせているときとまったく違っていた。真剣で、集中力に満ち、将来に向けて静かに歩を進めている――その姿こそが、二人の本当の強さを物語っていた。






時計の針が、ちょうど二十一時を指した。

「おっ、ニュースの時間やん」

光子は鉛筆を置き、机の端に置かれた小さなテレビのリモコンを手に取った。カチリと押すと、画面にキャスターの落ち着いた声が流れ込む。


隣の部屋でも、同じタイミングで優子がテレビをつけていた。二人の部屋に置かれた小型テレビは、まるで“情報の窓”のように、今この瞬間の世界を映し出していた。


スポーツニュースに切り替わると、光子の目が輝いた。

「おぉ、今日の大谷さん、ホームラン打っとるやん!二打席連続とか、やっぱ怪物やね」


優子の部屋からも声が飛んでくる。

「しかも打率も上がっとるし、OPSがエグいっちゃね。これ、来季の契約、どうなるっちゃろねぇ」


壁越しに会話が重なり、二人の笑い声が響く。


次はサッカーの話題。

「プレミアリーグ、マンCが首位キープやん」光子がつぶやけば、

「でもリヴァプールも勝ち点差わずかやけん、まだまだ分からんよ」優子が返す。


スポーツだけではない。経済のニュースになると、光子がメモをとる。

「日経平均、今日は300円上がっとる。アメリカの雇用統計がええ影響出したんやろうね」


優子は国際情勢のニュースに反応する。

「ウクライナ情勢、まだ緊迫しとるね。NATOの対応も気になるっちゃ」


勉強机のノートには、数式や歴史年表と一緒に、こうしたニュースのメモが自然に書き足されていく。双子にとっては、“世界の今”を知ることもまた大事な勉強の一部だった。


真剣にニュースを見ながらも、時折ツッコミを入れるのを忘れない。

「このキャスターさん、今日ちょっと髪型キマっとらん?」

「わかる〜。でも内容はしっかりしとるけん許す!」


画面の光に照らされながら、二人は机に向かい直した。

ギャグも全力、勉強も全力。そしてニュースを通じて社会を知ることも、彼女たちの“日課”になっていた。






ニュース番組が国際情勢のコーナーに移ったときだった。

画面には、ヨーロッパでの緊張が高まる地域の映像が流れていた。


「もしうちらが政治家やったら、どうするっちゃろね?」

光子がテレビの光を見つめながら、ふと口にする。


優子がにやりと笑う。

「よし、今日のシミュレーションはこれやね。光子、外務大臣! あたし、防衛大臣!」


「え、いきなり!? まぁよかよ。外務大臣・光子、ここに就任!」

光子はペンをマイク代わりに持ち、咳払いひとつ。


「わたくし外務大臣は、まず平和的解決を最優先する所存でございます。各国の首脳と会談を行い、冷静な話し合いを…」


すると優子が即座に割り込む。

「待てぃ! 防衛大臣としては、もしもの時の備えが必要やけん。自衛隊の準備は怠らん! でも基本は守りに徹するっちゃ。攻めんけん安心してよか!」


光子は腕を組み、少し偉そうにうなずく。

「なるほど、防衛大臣の言うことも一理ある。外交は花、でも防衛は実。花と実が揃って、はじめて国は成り立つと!」


優子は大笑い。

「なにその名言!? ニュース番組にテロップ流れるレベルやん!」


二人でけらけら笑った後、光子がまた真面目な顔を作る。

「でもさ、実際こういうニュース見ると、わたしたちが大人になったときも、ちゃんと考えないかん問題やね」


優子もうなずいた。

「せやね。外交も防衛も、結局は“人を守るため”やけんね。…でもまぁ、うちらやったら、最初の会談でギャグかますやろうけど」


光子が両手を広げて宣言する。

「平和のために! うにゃだらぱ〜!」


優子も即座に続けた。

「うにゃ〜あじゃぱー! 世界が笑顔でひとつになる!」


二人の声が重なった瞬間、画面のキャスターが「国際情勢は依然として厳しい状況です」と真顔で言うもんだから、双子は同時に吹き出してしまった。






――ワシントンD.C.の会議場。各国代表が長机に並び、国旗が立ち並ぶ。重苦しい空気の中で、発言の順番が日本に回ってきた。


光子は外務大臣として、すっと立ち上がる。

「えー、わたし日本の外務大臣、小倉光子です。まず、この場を設けてくれたことに感謝します。…イスラエルとパレスチナの対立は、長年にわたり流血と憎悪を生み続けています。日本としては、双方に“未来を育てる世代の笑顔を守る”という視点で歩み寄っていただきたい。そのために、停戦協議の場をアジア、例えば東京や福岡で設けることを提案します」


会場がざわめく。アメリカ代表が少し身を乗り出す。


続いて優子が立ち上がった。防衛大臣としての視点だ。

「小倉優子、防衛大臣です。軍事的緊張が続くかぎり、憎しみの連鎖は止まらんとです。けん、まずは双方の子どもや一般市民を守る“人道的安全回廊”をつくるべきって考えとります。そこに国際的な監視団を置いて、安心して暮らせる区域を保証する。それが第一歩です」


イスラエル代表が眉をひそめるが、パレスチナ側は「安全回廊」という言葉に敏感に反応し、通訳を通して「それなら我々も検討に値する」と返す。


光子は頷きながら続ける。

「わたしたちは中学三年生で、まだ子どもの立場です。でも、だからこそ“子どもが戦争で泣く世の中”を絶対に許したくない。日本は、軍事ではなく人道と調停の力で役割を果たしたいと思っています」


優子も肩を並べて言う。

「もし戦争で未来を失った子が出るなら、それは政治の責任やと思うとです。わたしたちが防げる道を、ここで一緒に探しませんか」


――会場には一瞬、静寂が流れる。普段は激しい応酬が飛び交う場で、若い二人の真剣な言葉が、誰の心にも引っかかる。


アメリカ代表が深く頷き、マイクに手を伸ばした。

「…小倉外務大臣、そして防衛大臣。あなたたちの言葉は重い。若い視点が必要だと痛感しました。今夜の討議で、その方向性を議題に加えましょう」


光子と優子は互いに視線を交わし、ほんの少しだけ笑った。

――その笑みには、未来を信じる強さと、子どもらしい無邪気さが同居していた。





首相官邸・執務室。重厚な赤絨毯の上、机には重要書類が積まれ、壁には国旗と内閣旗が静かにたなびく。総理大臣に就任した光子と、副総理兼内閣官房長官の優子が向かい合う。


光子は深呼吸し、資料をめくりながら決意を口にする。

「うにゃだらぱ〜…いや、冗談はさておき、優子、副総理として一緒に、この国を守り、未来をつくる仕事をしよーね」


優子は笑みを浮かべながら返す。

「うにゃ〜あじゃぱー。総理、任せとって!国民のみんなが安心して暮らせる国を目指すばい」


最初の議題は、国内の教育政策と国際交流。光子が日本国内の少子化や教育格差について説明する。

「子どもたちが夢を追える環境をつくらな、国の未来はないっちゃ。せっかくの才能も埋もれてしまうけん、教育支援を優先せんといかんとです」


優子も補足する。

「それと、海外との交流も大事やね。ニュージーランドやカナダの子どもたちと繋がるプログラムを広げて、相互理解を深めるっちゃ」


秘書がメモを取りながら、書類を差し出す。光子は目を通し、眉をひそめる。

「次は経済政策やね。GDPも大事やけど、国民の暮らしが豊かにならんと意味がなかっちゃけん、生活支援や福祉にも力を入れんと」


優子もすぐに反応する。

「せやけん、単に数字を追うだけやなく、生活現場に寄り添う政策を考えるとです。医療や介護、子育て支援も含めて、バランスの取れた内閣にせんと」


記者会見の時間が迫ると、光子は副総理に向かって小声で囁く。

「優子、私たち、国民の前で、笑顔も忘れんごとせんと。真面目ばかりじゃ、みんな緊張するばい」


優子は笑ってうなずく。

「了解ばい、総理。ちょっと笑かして和ませつつ、でも内容はバシッと伝えるっちゃ」


そして会見場。報道陣がずらりと並び、カメラのフラッシュが光る。光子はマイクに向かって言う。

「皆さん、こんにちは。小倉光子、日本の総理大臣です。本日から、副総理の優子と共に、皆さんと一緒に未来をつくるための内閣を運営してまいります」


優子が続く。

「小倉優子です。副総理として、皆さんの声をしっかり聞き、国民一人ひとりの暮らしを守る政策を進めていきます」


記者席から質問が飛ぶ。経済、外交、防衛、教育…。双子ちゃんは互いに目配せをして、博多弁混じりで、でも的確に答えていく。

「せやけど、我々は若いけん、フレッシュな視点で挑戦するばい!」

「間違いなく、子どもたちの未来を第一に考えるっちゃけん!」


会見が終わると、執務室に戻り、光子が笑いながら言う。

「優子、なんか、思ったより緊張せんかったばいね」


優子もにっこり。

「そやね。総理と一緒やったけん、心強かったばい。さぁ、これからも国民のために、がんばるっちゃ!」


二人の背中に、日が差し込み、首相官邸の窓から東京の街が見渡せる。双子ちゃんの決意は、まだ幼さを残しながらも、しっかりと国の未来を見据えていた。





首相官邸・記者会見場。テレビカメラのフラッシュがパシャパシャ光り、記者たちが質問を構えて待ち受ける中、総理・光子、副総理・優子が壇上に登壇した。二人とも、頭には特製ギャグ鉢巻――光子は「うにゃだらぱ〜」、優子は「うにゃ〜あじゃぱー」を巻いている。


光子がマイクに向かって口を開く。

「皆さん、こんにちは。小倉光子、日本の総理大臣です。今日から副総理の優子と共に、国民のために…いや、国民を笑わせるためにも全力を尽くすっちゃ!」


優子が続ける。

「せやけん、国の安全も大事やけど、笑いの安全も守るっちゃ。今日はギャグ満載で会見ばしよう思うけん、覚悟しとってね!」


記者たちは戸惑いながらもメモを取り、カメラが二人を追う。


記者A:「総理、今日は鉢巻をつけておられますが…?」

光子:「これ?うにゃだらぱ〜鉢巻やけん。これ巻くと、国民の笑顔も倍増するっちゃ。副総理もそうやろ?」

優子:「そや!うにゃ〜あじゃぱー鉢巻は、政策の前に国民の腹筋を鍛える効果があるっちゃけん」


記者B:「…腹筋?」

光子:「せやけど真面目な話、政策も抜かりなかとよ。教育も福祉も、経済も、もちろん国際外交も全部ギャグば織り交ぜつつ、しっかりやっとるっちゃ」


光子が深呼吸し、資料を広げるふりをして突然、鼻から「桜の花びら噴射鉢巻」を頭につけて勢いよくジャンプ。

「ほら、これで国民の心も春爛漫やん!」


会場から笑いが起こる。優子も負けじと「鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻」を披露し、軽くジャンプ。

「これで国民の目も覚めるっちゃ!」


記者C:「え、総理、副総理、それって本当に政策と関係あるんですか?」

優子:「もちろん関係あるっちゃ!笑顔の国は、犯罪も減るけん、安全保障にも直結するっちゃ」

光子:「その通り!笑いは国の安全の基本っちゃけん!」


記者たちは次第に爆笑し、メモもペンも止まってしまう。質問が飛ぶたび、双子ちゃんはギャグを交えて答える。


記者D:「総理、外交交渉で難しい問題があった場合はどうします?」

光子:「そんなときも、まずは『うにゃだらぱ〜』で場を和ませるっちゃ。笑いがあれば、話もまとまるっちゃけん」

優子:「副総理としては、『うにゃ〜あじゃぱー』で国際会議を始めるっちゃ。相手も笑って肩の力抜けるけん、交渉もスムーズやろ」


記者席から笑い声とカメラのシャッター音が止まらない。ある記者がつぶやく。

「…こんな会見、見たことない…」


光子と優子は互いに目配せし、決めポーズで締める。

光子:「さぁ、国民の皆さん、今日も笑顔で過ごすっちゃ!」

優子:「副総理も全力で、笑いと安心を届けるっちゃ!」


会見場は拍手と爆笑に包まれ、双子ちゃんのギャグ鉢巻は、日本中のニュースで取り上げられることとなった。





双子ちゃんの総理・副総理会見の録画を、美香とアキラのリビングで再生する。ソファに座った二人は、テレビに釘付けになった。


光子が「うにゃだらぱ〜」鉢巻を巻き、優子が「うにゃ〜あじゃぱー」を頭に巻いて、会見場でジャンプしながら国民へのメッセージを放つたびに、二人の笑いは止まらない。


美香が手を押さえながら、涙目で笑う。

「ちょ、ちょっと…あかん。もう、笑い死ぬ〜!」


アキラも同じく、肩を震わせながら声にならない笑いを漏らす。

「ま、まさか…こんなに破壊力あるとは…!」


光子と優子の鼻から桜の花びら噴射鉢巻、鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻のシーンが流れるたび、二人の笑い声はますます大きくなる。


美香が息を整えようとするも、次のシーンで優子が「副総理の心得!」とポーズを決めると、再び笑いの波が押し寄せる。

「もう、無理っちゃ!これ、なんでこんなに面白いと〜!」


アキラは画面を見ながら、涙を拭い、息を切らしつつも一言。

「うちの姪っ子たち…国の笑い担当としては天才やん…」


美香も同意して、肩を震わせながら笑う。

「光子、優子…あんたたちのギャグ、将来政治家に生かされるやん。いやいや、でも、今はただ笑い死ぬ〜!」


二人はソファに沈み込み、笑いと感動で満たされたまま、しばらくテレビの前で動けずにいた。






テレビでの爆笑会見を見終わったあと、光子はニヤリと笑いながら、美香の横でアキラを見上げた。


「ねぇ、にいちゃん、次の演奏会、ギャグ鉢巻巻いて出てみらん?」


優子も肩を揺らして笑う。

「そしたら、観客みんな笑い死ぬっちゃない?」


アキラは一瞬固まるが、困った顔で首をかしげる。

「え…おい、なんば言いよっとか…?演奏会やぞ、俺、クラシック演奏せんといかんとに…」


光子はさらにボケを重ねる。

「うにゃだらぱ〜鉢巻とか、鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻とかさぁ、全部巻いて、華麗にトランペット吹いたら絶対ウケるっちゃけど?」


美香は顔を覆いながら、半笑いで全力ツッコミ。

「おい、光子!何ば言いよっと!クラシック演奏会をお笑いライブにせんでよか!にいちゃん、巻かんでよかけん!」


優子も笑いをこらえながら、美香に同調する。

「お姉ちゃんの言う通りやん、にいちゃん巻かんでよか。でも、ちょっと見てみたい気もするけど〜」


アキラはため息をつきつつ、頭をかく。

「まったく…うちの姪っ子たちは、何でいつもこういう発想になると〜。俺は普通に演奏で勝負するけん…でも、ちょっと怖くもあるな…」


光子はくすくす笑いながら、美香の腕を軽くつつく。

「せやけど、お姉ちゃん、にいちゃんが笑い死ぬくらいウケたら、うちらも見てて楽しかろ?」


美香は目を細めて笑い、ため息をひとつ。

「…あんたたち、ほんとに笑いの天才やね。仕方なかね、でも演奏会は普通にやろうや、にいちゃんのためにも…」


こうして、光子と優子のボケと美香のツッコミは止まらず、リビングには笑い声が満ち、アキラは半ば呆れながらも、穏やかな笑みを浮かべていた。





光子はソファにちょこんと座りながら、美香のお腹に目をやる。

「お姉ちゃん、子供産まれたら、しばらく楽団はお休みするっちゃろ?」


美香はにこりと笑い、両手でお腹をさする。

「うん、そりゃあ、ちょっとは休むかもしれんけど、楽団には託児所もあるけんね。赤ちゃんとか、小さい子はそこに預けて、演奏も聴かせることができるっちゃけん、心配せんでよかよ」


優子も興味津々でのぞき込む。

「へぇ〜、そげん便利なところがあると?」


美香はうなずきながら、少し真面目な顔になる。

「せやけん、私も出産終わって、体力が回復したら、ちゃんと楽団に復帰するつもりやけん。うにゃだらぱ〜も、鼻からコーヒー牛乳噴射も封印せずにね…」


光子は目を輝かせて笑う。

「やった〜!そしたら、うちらもお姉ちゃんの演奏聞きながらギャグ特訓できるっちゃ!」


優子も手を叩いて大喜び。

「そうやんね〜、お姉ちゃんの赤ちゃんも、一緒に笑いながら育つっちゃろ〜!」


美香は二人を見て、微笑みながらつぶやく。

「…ほんと、あんたたち、笑いの天才やね。赤ちゃんもきっと、うちらの家族で毎日笑顔いっぱいやろうね」


リビングには柔らかい光と、家族の笑い声が満ちて、未来の楽しい日々を予感させる時間が流れた。





光子はわくわくした顔で、美香のお腹に手を添えながらつぶやいた。


「美香お姉ちゃんがお母さんになるんか〜。すごくかわいんやろうなぁ…」


優子もにこにこしながら、光子の隣でつぶやく。

「ほんとやね〜。美香お姉ちゃんに似とるんかなー。うちと同じ博多南家系の笑い好きやろうけん、きっと笑顔いっぱいの子になるっちゃろうね」


美香はお腹をさすりつつ、柔らかく微笑む。

「ふふ、あんたたちみたいに元気で笑いの絶えん子になってくれたら嬉しかね。お姉ちゃんもいっぱい笑わな、赤ちゃんも笑わんけんね」


光子と優子は目を輝かせて、そっとお腹に手を添える。

「赤ちゃん、こんにちは〜!うちらのギャグも聞こえとんしゃろね〜!」

「いっぱい笑って、楽しい子になってね〜!」


リビングには、赤ちゃんへの愛情と、家族の笑い声がふんわり溢れ、未来のあたたかい日常を感じさせるひとときとなった。





光子はお腹に手をそっと添えながら、ニコニコと笑い、優子も隣で同じように手を添える。


「赤ちゃん、産まれたら、うちらのギャグの弟子になってね〜!」

「うにゃだらぱ〜、うにゃ〜あじゃぱー、モレモレマン、覚えとくとよ〜!」


美香はお腹をさすりながら、くすくす笑う。

「ふふ、もうその頃にはお姉ちゃんたちのギャグが胎教になっとるね。笑い上手な子になるかもね〜」


優子は目を輝かせて言う。

「そしたら、赤ちゃんも笑いの伝統を継ぐんやね!うちたちのギャグ、ちゃんと伝授せんと!」


光子も力強くうなずく。

「そやね。赤ちゃん、笑いのエリートになるっちゃけん、楽しみにしとこうね!」


リビングには、家族の笑いと希望に満ちた空気がふんわりと漂い、未来の賑やかで楽しい日々を予感させる。







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