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受験必笑法

スタジアムの緑の芝生は眩しく、午後の陽光が観客席を温かく包む。光子、優子、そしてさおりは、試合前の緊張感を感じつつも、タブレット越しにニュージーランドとカナダの仲間たちとつながっていた。


「Okay, everyone! Today we’re gonna cheer for Avispa Fukuoka and… do some funny sketches too!」

「よーし、みんな!今日はアビスパ福岡応援するっちゃけど…ちょっとお笑いコントもやるばい!」と光子。


さおりは少しドキドキしながらも、光子と優子の隣に立つ。「I’m nervous… but let’s try our best!」

「緊張するけど…頑張ろうね!」


「Don’t worry, Satori. We’re with you!」

「心配せんでよか。うちらが一緒やけん!」と優子が励ます。


試合が始まる前、観客席に座るファイブピーチ★のメンバーとはなまるツインズのひなたとさくらも、笑顔で二人を見守っていた。タブレットの画面には、ニュージーランドのライアン、カナダのソフィー、そしてオリバーも映り、画面越しに手を振る。


「Hi guys! Ready for some fun?」

「みんな〜!楽しむ準備できとる?」とさおりが声を出すと、光子と優子が微笑む。


「Let’s start with the funny cheer sketch!」

「まずは応援コントからやろう!」と光子。


三人は芝生の前に立ち、スタジアムの観客に向かって元気いっぱいに声を出す。


「Avispa Fukuoka, go go go!」

「アビスパ福岡、行け行け行けー!」


その声に合わせて、三人は小道具の応援旗を振り、時折コミカルに転んだり、手を大きく振ったりして観客を笑わせる。光子が旗を振りすぎて転びそうになると、さおりと優子がすかさず手を差し伸べる。


「Whoa! Watch out, Mitsuko!」

「わぁ、光子気をつけんしゃい!」


「Thanks, Satori!」

「ありがとう、さおり!」


その様子をタブレット越しに見ていたライアンが声を上げる。


「Haha, you three are hilarious!」

「はは、三人とも面白すぎる!」


ソフィーも笑顔でうなずく。「Yeah! You’re amazing!」

「うん!最高やね!」


光子が小声でさおりにささやく。「See? Everyone loves your courage. You’re shining!」

「ほら?みんな、あんたの勇気を見とるけん。輝いとるよ!」


優子も手を握りながら、「This is just the beginning, Satori. We’ll cheer together, laugh together, and share everything!」

「これが始まりっちゃけん。うちら一緒に応援して、一緒に笑って、いろんなこと分かち合おう!」


三人はその後、以前学校帰りに見た猫の三角関係を題材にしたギャグコントも披露する。雄猫二匹が雌猫のために巨大マグロと脂の乗ったカツオを持ち出す場面では、観客も大笑い。光子と優子、そしてさおりは、芝生の上でコミカルに身振り手振りを加え、観客席に向かって大げさに表情を作る。


「And the female cat says… ‘How am I supposed to eat all this?!’」

「で、雌猫が言うとよ…『これ、どうやって食べろっちゅうねん!』」


「Hahaha! Amazing!」

「ははは!最高や!」とライアンとソフィーも画面越しに笑い転げる。


応援コントと猫コントの後、三人は観客席に向かって一礼する。タブレットの向こうのニュージーランドとカナダの仲間たちも手を振りながら大拍手。


「We did it!」

「やったね!」とさおりが息を弾ませる。


光子がにっこり笑って、「See? You were amazing, Satori! Your courage inspired everyone today.」

「ほら?さおりすごかったやん!あんたの勇気、みんなに伝わったっちゃ!」


優子も加える。「Yeah, and next time, we’ll make even funnier sketches!」

「うん、次はもっと面白いコント考えようね!」


こうして、スタジアムでの応援コントと国際交流コントは大成功。光子、優子、さおりの三人は、笑いと友情に包まれたひとときを過ごした。画面越しでも、画面のこちらでも、距離を越えた絆が確かに育まれていた。





初夏の日差しが差し込む午後、光子、優子、さおりの三人は静まり返った図書館の一角に腰を下ろした。机の上には参考書やノート、筆記用具が整然と並べられ、窓の外には青々とした緑が広がる。


「よーし、今日から受験勉強、気合い入れるばい!」と光子が声を弾ませる。


優子も負けじと、「うん、さおりも一緒に頑張ろう!」


さおりは少し緊張した表情でノートを広げながら、「うん、でも…集中できるか心配やけど…」


光子はさおりの肩に軽く手を置き、「大丈夫やけん。うちら一緒やろ?」

優子もにっこり微笑んで、「そうやけん、焦らんでよかよ。」


三人はまず数学から取り組むことにした。光子が問題を読み上げる。


「さあ、問題ば言うけん、さおり、どう解く?」

「えっと…まずここをこうやって…」さおりは少し声を震わせながら解き方を説明する。


「うんうん、なるほど。光子も同じ方法でやってみよか。」

光子はノートに丁寧に数字を並べ、計算を進める。


優子は隣で静かに考えながら、「ここは式をこう変形した方が早かかも。」

さおりはそのアドバイスに目を輝かせ、「ほんとだ!それやったら簡単にできるね!」


時折、ページをめくる音や、鉛筆の走る音だけが図書館に響き、三人はそれぞれのペースで集中していた。


「ちょっと休憩せん?」と光子が提案する。

優子は頷き、「うん、休憩しよ。集中しすぎると疲れるけん。」

さおりも微笑んで、「ありがとう…二人がおると、頑張れる気がする。」


休憩時間、窓の外の風が優しくカーテンを揺らす。三人は冷たいお茶を飲みながら、小さな笑い声を交わす。光子がふと、「さおり、前に話してくれた自分の特性のこと、受験勉強でも役立つばいね。」


「うん…こうして集中する時間を決めるとか、休憩をはさむとか、自分に合った方法ば見つけるのが大事やね。」

優子も頷く。「そうやけん、うちらも無理せんように、助け合いながら進めよ。」


午後の光が少し傾きかけた頃、三人は再び机に向かい、国語、理科、社会の問題に取り組む。

光子は文章問題を読み上げ、さおりと優子は交互に答えを検討する。ときどき笑いが漏れるのも自然で、緊張感の中に心地よい和やかさがあった。


「やっぱり三人でやると、受験勉強も楽しかね。」と光子が小声で呟く。

「うん、私もそう思う。」優子が笑みを浮かべる。

さおりはノートを閉じながら、深呼吸して、「ありがとう…二人のおかげで、前向きになれる。」


図書館の静かな午後、三人の努力と友情はそっと重なり合い、それぞれの心に自信と安心感を育んでいった。





その土曜日の朝は、風が少し強かった。

空は青く晴れ渡っているのに、時折ビュワーッと突風が吹き抜け、ベランダの洗濯物を揺らしていた。


光子は二階の自分の部屋のベランダで、ハンガーにかけたシャツを干していた。

優子も隣の自分の部屋のベランダで、洗濯ばさみを器用に動かしながら、下着やブラウスを干していた。


「今日、風強かね〜。飛ばんごと気をつけんといかんばい。」光子が独り言のように呟いたその瞬間だった。


――ビュワァァァ!


強烈な風が吹き抜け、ハンガーにかかっていた二人のブラが、ひらひらと舞い上がった。


「あっ!?」

「ちょ、待ってーー!」


光子と優子の悲鳴が、同時に重なった。

二枚のブラは、風にあおられ、ふわりふわりと飛んでいく。そして見事に、隣家の庭先にストンと落ちた。


その庭には――ちょうど、お隣に住む博多南中の中学2年生、やんちゃ盛りの男の子・健太がいたのだ。

水鉄砲で遊んでいた健太は、目の前に舞い降りてきた「予想外の飛来物」に呆然とした。


「……え?え?な、なんこれ……」

彼の足元には、ピンクと水色のブラが仲良く並んで落ちていた。


ベランダからそれを見た光子と優子は、顔が真っ赤になった。


「ちょっ……!あ、あれ……うちらの……」

「み、みっちゃん、どげんする?!」


健太はしばし固まっていたが、次第にニヤリと口角を上げた。

「おぉぉ〜……これはもしや……お宝拾ったっちゃないと?」


光子が慌てて声を張り上げた。

「健太ぁ!それ、拾わんでよか!!」


優子も必死に叫ぶ。

「そ、そうたい!触ったら承知せんけんね!」


健太は水鉄砲を手に持ちながら、にやにや。

「いや〜、これは証拠写真ば撮って、明日学校で自慢するしかなかろ〜もん!」


「やめぇぇーーーっ!」

光子と優子が同時に大声をあげ、顔を真っ赤にしながら身を乗り出した。


優子は慌てて階段を駆け下り、玄関から隣家に突撃。

光子もすぐさま追いかける。


庭先で待ち構える健太は、水鉄砲を構えてポーズを決める。

「さぁ〜どうすると?返して欲しかったら、うちの条件聞いてもらうばい!」


「はぁ!?条件とか何言いよると!?」光子がツッコミを入れる。

「そげんの聞く前に返さんかい!」


優子も顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

「そ、それは女の子の尊厳の問題やけんね!」


しかし健太は完全に調子に乗っている。

「お〜怖い怖い。でも、これば秘密にしとうなら、アイス奢ってくれたら考えてやる!」


「はぁ!?アンタ調子乗りすぎやろ!!」光子が突進しようとした瞬間――


ビュワーッ!


再び突風が吹いて、健太の手元からブラがふわりと舞い上がった。

そして――なんと、庭に干してあった健太のトランクスの上に、ふんわりと落ちたのだ。


「うわぁっ!?やめてくれー!うちのトランクスの上にのるなぁーっ!」

今度は健太の方が慌てふためき、顔を真っ赤にした。


光子と優子は顔を見合わせ、同時に吹き出した。

「ぷっ……あはははははっ!」

「健太、あんたの方が恥ずかしかやん!」


健太は真っ赤になりながら、両手でトランクスとブラを必死に隠す。

「ち、違う!これは事故や!俺はなんも悪くなかぁー!」


光子と優子は、涙が出るほど笑いながら健太からブラを取り返し、そそくさと逃げ帰った。


ベランダに戻ると、二人はしばらく息が整わないほど笑い転げた。

「……あ〜、今日はほんと朝から波乱万丈やねぇ。」

「もう、洗濯物は室内干しにしよ……絶対。」


外ではまだ、真っ赤な顔で叫ぶ健太の声が響いていた。

「くそぉぉー!忘れろぉーーっ!誰にも言うなよぉーー!」





――土曜日の午後。洗濯物事件でバタバタした小倉家。光子と優子は、さっきの「ブラ飛ばし事件」の恥ずかしさがまだ冷めやらぬまま、家に駆け込んだ。


「ねぇねぇ、美香お姉ちゃん〜!うちら、さっき死ぬほど恥ずかしかったっちゃん!」

「ほんとよ!ブラがさぁ、ビューンて隣の庭に飛んでいってさ!中2の男子に見られたっちゃけん!」


光子と優子が同時にまくしたてると、美香はお腹を抱えて大笑い。

「ぶははっ!あんたら、ほんと毎日がコントやね!そら災難やったわ!」


双子は頬を真っ赤にして、枕に顔を埋める。

「もう…穴があったら入りたかったわ…」

「隣の男子、絶対学校で言いふらすっちゃんね…」


「ま、まぁまぁ。あんたらは彼氏おるやろ?気にせんでよかって!」

美香は笑いながらも、ふと表情を和らげて、双子の隣に腰を下ろした。


「それよりね――」

彼女は声を落として、少し照れくさそうに微笑んだ。

「まだお父さんとお母さんには言ってないっちゃけど……実はね、私のお腹に赤ちゃんがおると」


光子と優子の目がまんまるになる。

「えっ……!ほんと!?」

「赤ちゃん!? 美香お姉ちゃんのお腹に!?」


「うん。いま妊娠3ヶ月。お医者さんにもちゃんと診てもろうたけん、大丈夫」

美香は自分のお腹にそっと手を添える。まだ外からは目立たないけれど、その仕草に二人は見入った。


「すごい……!赤ちゃんが、美香お姉ちゃんのお腹の中におるっちゃね…」

「わたしたち、にーにに妹に続いて、今度はおばちゃんになると!?」


双子は目を輝かせて飛び跳ねる。

美香はその姿を見て、声を上げて笑いながらも、少し目を潤ませた。


「うん、そう。あんたらはおばちゃんになるっちゃん。だけど…そのときも、今みたいに笑っててね。私、あんたたちの笑い声が、いちばん安心するけん」


光子と優子は顔を見合わせ、大きくうなずいた。

「任せんしゃい!赤ちゃんも笑い転げるくらい、うちらが面白いこといっぱいするけん!」

「そうそう!まずはブラ飛ばし芸から見せちゃろか!」


「いや、それはやめとき!」

美香は吹き出し、笑いと涙の入り混じった声で二人を抱き寄せた。


――小倉家の新しい日々は、また一歩、にぎやかさを増していくのだった。





――夕方。小倉家の玄関に、買い物袋を提げた優馬と美鈴が帰ってきた。ちょうどリビングにはアキラも来ていて、双子とゲームをしていた。


「ただいま〜。いやぁ、スーパー混んどったねぇ」

「おかえり〜!」と光子と優子が同時に振り向く。

その横で、美香は少し緊張した面持ちで、手をぎゅっと重ねて座っていた。


美鈴が荷物を置いてふと娘の表情に気づく。

「ん?美香、どうしたん?なんか改まった顔しとるけど…」


美香は深呼吸をして、両親とアキラを見つめた。

「お父さん、お母さん。実はね、今朝、産婦人科に行ってきたと」


「産婦人科?」

優馬が思わず声を上げる。美鈴も目を瞬かせる。


美香は小さくうなずき、言葉を絞り出すように続けた。

「ここ最近、生理が来とらんやったけん、検査してもろうたっちゃ。そしたらね……私のお腹に赤ちゃんがおったと」


リビングが一瞬、静まり返った。


「……え?」

優馬の声はかすれていた。

「赤ちゃん……?」

美鈴は口に手を当てて、美香を見つめる。


「うん。妊娠3ヶ月って。先生からも確認もらった。大丈夫やけん」

そう言って、美香は自分のお腹に手を添えた。まだ外からは何も変わらない。けれど、その仕草が何よりも確かな証拠だった。


光子と優子が同時に跳ね上がる。

「おぉーーっ!ほんとに!?」

「赤ちゃんできたと!?」


二人は大はしゃぎし、アキラは口をあんぐりと開けたまま固まっている。


「美香……」

美鈴の目には涙がにじみ、言葉にならない思いが溢れていた。

「そうか……お母さんになるとね……」


「お父さんはどう?驚いた?」

美香が少しおどけて言うと、優馬は頭をかきながら、半分涙目で笑った。

「驚いたどころやなか!心臓バクバクしとるわ!でも……すごかことやなぁ……」


その場にいた全員が、笑いと涙を同時に浮かべながら、美香の周りに集まった。


「ねぇねぇ、うちらおばちゃんになるっちゃね!」

「おばちゃん光子とおばちゃん優子やけん!赤ちゃん、爆笑するやろうね!」

双子は大喜びでぴょんぴょん跳ねる。


アキラもようやく我に返り、赤くなった顔で小さく笑った。

「……おめでとう、美香。なんか、まだ信じられんけど……ほんとによかった」


美香はみんなの顔を見回して、涙を浮かべながら微笑んだ。

「ありがとう。みんなに祝ってもらえて、ほんとに嬉しい」


――夕暮れの光が窓から差し込み、家族の笑顔を照らしていた。

新しい命の誕生は、小倉家にまたひとつ、新しい物語を刻み始めたのだった。





夏休みのある日の午後。

図書館の一角、参考書とノートを抱えた中学生たちが机を囲んでいた。光子と優子、さおり、朱里、樹里、そして拓実。中三組の本気の勉強会である。


みんな真剣に筆を走らせる中、双子の頭には白い鉢巻が光っていた。

……いや、よく見ると普通じゃない。


「ちょ、みっちゃん……その鉢巻、なんて書いてあると?」

朱里が思わず声をひそめた。


光子は堂々と頭を指さす。

「これ?『うにゃだらぱ〜』」


すぐ隣で優子がにやりと笑う。

「うちは『うにゃ〜あじゃぱー』」


拓実は鉛筆を落としかけた。

「……必勝じゃなくて、必笑やん!」


樹里も呆れたように口を押さえる。

「ていうか、そんな鉢巻、どこで売っとるんよ……」


光子は胸を張って言い放った。

「これは小倉家に代々伝わる、必笑法ひっしょうほうばい!」


「は?必勝法やなくて必笑法?」

さおりが吹き出しそうになる。


優子が得意げに解説する。

「受験は笑いで乗り越えるっちゃ!笑いながら問題解いたら、どんな難問もふにゃ〜っと解けるとよ!」


その瞬間、机の上に広がる空気がぐらりと揺れた。

「……そんなわけあるかー!」

全員の総ツッコミが図書館の静寂を破り、慌てて「しーっ」と司書さんに注意される。


六人は小声で慌てて謝ったものの、机の下では肩を震わせながら笑いが止まらなかった。



図書館での勉強なのに、すでに「必勝」より「必笑」のペースに巻き込まれてしまう仲間たち。

夏休みの勉強会は、真剣さとドタバタとが混ざり合った、不思議な時間になっていくのだった。





「……ちょっと待って、それ、公式グッズやったと?」

朱里が目を丸くして、光子と優子の鉢巻を指さした。


光子は得意げに頷く。

「そやけん、私たち、ネット通販でゲットしたとよ!」


優子もにこにこ笑いながら補足。

「しかも、限定カラーで、うにゃだらぱ〜と、うにゃ〜あじゃぱーって書いとると!」


樹里がびっくりして、思わず声が大きくなる。

「まじで!?公式グッズやったと!私、知らんかったー!」


拓実は眉をひそめつつも、興味津々で鉢巻を手に取る。

「……これ、俺も欲しいかも……」

思わず自分の頭に巻こうとするが、サイズが中学生向けじゃなくて断念。


さおりは笑いながらも呆れ顔。

「いやー、みっちゃんたち、ほんと何でもグッズにするっちゃね。これが小倉家の必笑パワーなんやろか」


朱里が手に取って鉢巻を広げ、ふざけて自分の頭に巻いてみる。

「……うにゃだらぱ〜!必笑!」

一瞬で場が爆笑の渦になる。


光子と優子は満足げに頷く。

「ほらね!笑いながら勉強せんと、頭に入らんけん!」


樹里もついに手に取って、自分の額に巻いてみる。

「……うにゃ〜あじゃぱー……うわ、笑いが止まらん……」


拓実も負けじと巻こうとするが、さすがに男子にはサイズが小さすぎて苦戦。

「ちょ、俺には無理や……でも……」

悔しそうに拳を握る。


こうして、夏休みの図書館は、ただの勉強会ではなく、公式グッズの鉢巻を巻きながら、笑いに包まれた「必笑勉強会」と化したのであった。





図書館の勉強会は、いつの間にか「必笑勉強会」と化していた。光子と優子の鉢巻の効果は絶大で、問題を解くたびに二人は必ずボケを挟むのだ。


光子が声を張り上げる。

「この問題、答えは42やけど、うにゃだらぱ〜!」

優子も負けじと続く。

「こっちは47やけど、うにゃ〜あじゃぱー!」


朱里が眉をひそめる。

「ちょ、ちょっと待って、問題解く気あると?」

樹里も吹き出しながら、鉢巻を抑える。

「光子、優子……真面目にしてくれんと、頭に入らんやん……」


しかし、光子と優子のボケは止まらない。光子はノートを机に叩きつけ、

「47やったけど、うにゃだらぱ〜、やっぱ42やったわ!」

優子は大げさにうなずきながら、

「そうそう、うにゃ〜あじゃぱーで確認せんとね!」


朱里がついに鉢巻を指さしてツッコミ。

「もう、鉢巻のせいかー!公式グッズパワーでふざけすぎやろ!」


拓実も思わずツッコミ。

「いやいや、真剣に勉強せんと受験ヤバいやん!」

だが光子と優子は、顔を見合わせてにやり。

「受験も笑いながらやけん、頭に入るとよ!」

「必笑勉強法、伝授するばい!」


樹里は机に突っ伏して大笑い。

「うわー、これ絶対頭に入る気せん……でも、笑いすぎて脳みそ活性化してるかも……」


さおりも頷きながら、

「……でも、なんか不思議と勉強してる気になるっちゃね。笑いながらやけん、気が楽やわ」


光子と優子はそれを聞いて得意げに胸を張る。

「ほらやろ!これが小倉家の必笑パワーやけん!」

「うにゃだらぱ〜!」「うにゃ〜あじゃぱー!」


その日、図書館はただの静かな勉強室ではなく、鉢巻とギャグに満ちた爆笑空間と化した。周りの学生たちも、最初は驚きながら見ていたが、あまりの面白さに思わず笑いが止まらなくなる。


最後に光子が大きく胸を張って宣言する。

「受験勉強も、笑いながらやると、頭にも心にも効くとよ!」

優子も続ける。

「鉢巻は公式グッズ!必笑パワーで合格間違いなしやけん!」


朱里と樹里は呆れつつも笑顔で、拓実も苦笑い。

こうして、光子と優子の「うにゃだらぱ〜」「うにゃ〜あじゃぱー」は、受験勉強の合間にみんなを笑顔に変える最強のギャグ必殺技となったのだった。





翌日の図書館は、前日の「必笑勉強会」の余韻を残しつつも、さらにパワーアップした「爆笑勉強会」と化していた。光子と優子は、今日も新たな鉢巻を巻いて登場する。


光子は胸を張って宣言。

「今日の鉢巻はモレモレマン鉢巻やけん!」

優子も負けじと。

「わたしは鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻やけん!」


朱里は目を見開く。

「ちょ、ちょっと待って……な、何それ!勉強する気、あると?」

樹里も思わず吹き出す。

「いやいや、鉢巻の名前だけで笑い殺されそう……」


だが、光子と優子は全く意に介さず、今日もボケの連発。光子が問題を解くたびに、

「うにゃだらぱ〜、答えは42やけど、モレモレマン効果で倍速や!」

優子も突っ込む。

「うにゃ〜あじゃぱー、鼻からコーヒー牛乳噴射で、頭スッキリやけん!」


拓実が思わず手を叩いて笑う。

「もうやめろー!笑いすぎて漢字が頭に入らんやん!」

さおりも、まだ少し顔を赤くしながらも笑いをこらえきれない。

「これ、やっぱり小倉家伝統の必笑勉強法やね……」


光子はにやりと笑い、鉢巻を軽く叩く。

「モレモレマン鉢巻は、答えが間違っても許してくれるとよ!」

優子も頷きながら、

「鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻は、くしゃみの勢いで覚えたことを忘れんとよ!」


朱里と樹里はあきれつつも大笑い。

「もう、こんな鉢巻で勉強するなんて前代未聞やわ……」

拓実も苦笑いを隠せず、机に突っ伏す。

「うにゃだらぱ〜とかうにゃ〜あじゃぱーとか、もう頭がパンクしそうや……」


それでも、光子と優子は大真面目。

「勉強は笑いながらやけん、効率倍増やけん!」

「必笑勉強法、伝授するばい!」


モレモレマン鉢巻と鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻の力は絶大で、参加者全員、笑いが止まらず、ついには図書館の静寂は完全に崩壊した。


その日、図書館の勉強会は、ただの学びの場ではなく、笑いとギャグの祭典と化し、光子と優子の伝説の鉢巻は、受験勉強の合間に最強のエンターテイメントとして語り継がれることとなったのだった。





土曜日の午後、光子と優子の家のリビングには、朱里、樹里、さおり、拓実が集まっていた。図書館での大笑いはさすがに迷惑になると判断し、今日は自宅で勉強することに。


双子ちゃんは、もちろんいつもの鉢巻を装着。光子は「うにゃだらぱ〜」、優子は「うにゃ〜あじゃぱー」。机の上にはノートや参考書が広げられ、鉢巻の効果か、ただの勉強なのに空気は既にお祭りムードだ。


朱里は半信半疑で鉢巻を眺めながらも、隣でノートを開く。

「えーと、これで本当に頭に入ると?」


光子はにっこり笑い、机をトントンと叩く。

「もちろん!笑いながらやると、覚える力も倍増するけん!」

優子も頷く。

「モレモレマン鉢巻と鼻からコーヒー牛乳噴射鉢巻は最強やけん!」


さおりは少し緊張した面持ちで、でも心なしか笑みをこぼす。

「ほんとにこれ、効くと?」


「効くと!」と光子。

「うにゃだらぱ〜で答えもスラスラ出るっちゃ!」

「うにゃ〜あじゃぱーで記憶も噴射やけん!」と優子も続ける。


樹里も思わず笑いをこらえつつ、

「もう、鉢巻見ただけで笑いが込み上げてくる……」


拓実は、苦笑いしながらも参加。

「光子、優子、こんな鉢巻で本当に受験勉強になるんか?」


光子は真剣な顔で答える。

「なるっちゃ。うちと優子で作った、小倉家伝統の必笑勉強法やけん!」


優子も机を叩きながら、

「笑いながら勉強すると、頭にも血が回るけん、集中力も上がるとよ!」


こうして、笑い声とツッコミが飛び交う中、勉強は確実に進んでいく。紙に書いた公式も、数字も、いつもよりスラスラ頭に入っていくのがわかる。


気づけば、勉強の合間の休憩時間も、鉢巻をしたままのボケツッコミで大笑い。朱里や樹里もつられて笑い、さおりも最初の不安な表情はどこへやら、笑顔で鉢巻を眺めている。


午後の日差しが差し込む中、双子ちゃんの家は、笑いと学びが同居する、ちょっと不思議で楽しい「必笑受験塾」と化していたのだった。







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