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ホークス観戦

自宅に帰り、リビングに腰を下ろした光子と優子、美香。お父さんの優馬とお母さんの美鈴が、温かい目で二人を見守る。


「今日のこと、学校のみんなや、グッズやライブの売上をちょっとでも寄付できたこと、全部話したと?」と美鈴。


「うん。みんなで話し合って、ほんの少しでも困っとる子どもたちに届けることにしたとよ」と光子。


優子も続けて、「うん、うちらの笑いで、少しでも笑顔になれるなら、やりたかったと」と照れくさそうに言った。


優馬はソファにもたれかかり、静かに頷く。「なんか、俺らが知らん間に、美香も光子も優子も、ほんとに大人になっとるな…」


美鈴も深く頷きながら、「そうね。みんな、笑いで自分の人生を切り開いてきたから、その幸せを、今苦しんどる同世代のみんなにも分けてあげたいんやろうね」としみじみ話す。


光子と優子は顔を見合わせ、小さく笑う。「うん、そう思う」と二人。


美香も微笑んで、「これからも、笑いと音楽で、少しでも誰かを幸せにできたらいいな」と付け加えた。


優馬と美鈴は、そんな娘たちの背中を見つめながら、静かに深呼吸をする。日常の中の小さな幸せが、確実に広がっていることを感じながら。


リビングには、笑いと温もりに満ちた、柔らかい時間が流れていた。






春の日差しが柔らかく差し込む博多の街角。来日した子どもたちやソフィー、ライアン、エマ、オリバーたちは、街の活気に目を輝かせながら歩いていた。


「This is ramen…!」

「これがラーメンか…!」

オリバーは丼を前に、目を丸くして箸を手に取る。湯気が立ちのぼるスープに、興味津々だった。


光子が笑いながら説明する。

「Some of you can’t eat pork because of your religion, so we also have chicken-based ramen. It’s really delicious too.」

「宗教的に豚は食べられん子もおるけん、鶏がらスープのラーメンもあるとよ。これも美味しいっちゃけん、安心して」


子どもたちはそれぞれの器に取り分けられたラーメンを、器用に箸ですくい、一口ごとに歓声を上げた。


「Yummy!」

「おいしい!」

オリバーも、スープの味に思わず笑顔がこぼれる。


次に筑前煮や彩り豊かな野菜、鶏肉を口に運ぶ。

「Wow! The flavors… so different but amazing!」

「わあ!味が…違うけど、すごくおいしい!」

光子と優子はにっこり笑いながら、「日本の家庭の味も楽しんでね」と声をかける。


デザートのイチゴスイーツや明太子料理も並ぶ。子どもたちは初めての味に目を輝かせる。


「The strawberries are so sweet!」

「イチゴ、すっごく甘い!」

ソフィーが笑顔で言う。


「Mentaiko is a little spicy, but delicious!」

「明太子もピリッとするけど、おいしい!」

ライアンも笑顔で頷く。


街の賑わい、色とりどりの料理、そしてそれを囲む笑顔。子どもたちは、初めての日本の味に舌鼓を打ちながら、互いの文化を分かち合う喜びに胸を躍らせていた。


光子と優子はそっと隣に立ち、囁く。

「It makes us so happy to see you all smiling while eating.」

「笑顔で食べてくれると、うちらも嬉しいっちゃけん」


美香とアキラも、その様子を微笑ましく見守った。


博多の味と笑顔が交わる、温かい午後だった。





博多の街での食体験を終えた一行は、いよいよPayPayドームへ向かうことになった。時計を見ると現在は15時。試合開始は18時で、それまでの間、福岡交響楽団による演奏会が予定されている。


「We still have some time before the game starts. The orchestra will perform until 5:30 PM.」

「試合が始まるまでまだ時間あるよ。オーケストラは17時半まで演奏するけん」

光子が周りに説明する。


「What kind of music will they play?」

「どんな曲を演奏するん?」

ライアンが興味津々で尋ねる。


「They’ll play songs from Disney movies, Studio Ghibli films, hit movie themes, Dvořák’s New World Symphony, and even Mika’s original Earth Hymn composition.」

「ディズニー映画の主題歌とか、ジブリ作品の曲、ヒット映画のメインテーマ、ドヴォルザークの新世界交響曲、そして美歌さん作曲の地球讃歌も演奏されるとよ」

優子が笑顔で答える。


エマも両手を広げながら目を輝かせた。

「I can’t wait to hear all of it! The New World Symphony sounds amazing!」

「全部聴けるのが楽しみ!新世界交響曲って本当にすごそう!」


オリバーはチケットを確認しながら、ワクワクした様子で言った。

「And Mika’s Earth Hymn—she composed that herself? I’m so curious how it sounds live!」

「それに美歌さんの地球讃歌って、自分で作曲したん?生で聴けるの楽しみやね!」


ドームに足を踏み入れると、広々とした会場に観客たちの期待感が漂っていた。練習が行き届いたオーケストラのメンバーは、演奏開始を前に楽器を丁寧に準備する。


「I can feel the excitement in the air!」

「会場の空気からワクワク感が伝わってくる!」

ソフィーが目を輝かせる。


「Let’s enjoy every note until the game starts!」

「試合が始まるまで、全部の演奏を楽しもうね!」

光子と優子も肩を並べ、にこやかに頷いた。


夕方の光が差し込むドームの中で、福岡交響楽団の華やかな演奏が始まろうとしていた。ディズニーの名曲が響き渡り、続いてジブリ作品の旋律が会場を包む。観客たちは息を飲み、映画のワンシーンを思い浮かべながら音楽に浸る。


「The music is beautiful… it really feels like a story unfolding!」

「音楽が美しい…まるで物語が目の前で展開しよるみたいやね!」

ライアンは目を輝かせ、感動を隠せなかった。


「And the Earth Hymn… it makes me feel connected to everyone and everything.」

「そして地球讃歌…みんなと地球の全てと繋がっとる気持ちになるね」

エマも深く息を吸い込み、音楽の力に心を打たれていた。


17時半、演奏はひとまず終わりを迎える。観客たちから大きな拍手が巻き起こる中、光子と優子は目を輝かせ、これから始まる野球観戦への期待に胸を膨らませた。


「Now, the real game begins!」

「さあ、いよいよ試合が始まるばい!」

優子が小さく拳を握り、笑顔で周りを見渡した。





福岡交響楽団の演奏が終わると、会場は再びざわめき始めた。観客たちは席を立ち、いよいよ始まる福岡ソフトバンクホークスの試合に期待を膨らませている。光子と優子、そして来日した子どもたちもワクワクした表情でグラウンドを見つめた。


「It’s time! Let’s cheer for the Hawks!」

「さあ、いよいよやね!ホークスを応援しよう!」

光子が元気よく声を上げる。


「Yeah! Go Hawks! Go!」

「うん!ホークス、がんばれ!」

優子も拳を握り、隣のライアンやソフィーと目を合わせて笑った。


スタジアムの空気は熱気に包まれ、歓声が響き渡る。観客席には小倉家の家族や、ファイブピーチ★のメンバー、はなまるツインズのひなたとさくら、さらには美香とアキラの音楽仲間たちも一緒に座っている。


「This is amazing! I’ve never seen a baseball game live before!」

「すごい!生で野球観戦するんは初めてや!」

エマが目を輝かせる。


「Don’t worry, I’ll explain the rules if you don’t understand.」

「ルールがわからんときは、私が説明するけんね」

光子が笑いながらライアンに向かって言う。


試合が始まると、球場全体が歓声と拍手で揺れた。福岡ソフトバンクホークスの選手が華麗なプレーを見せるたびに、観客席からは大きな声援が飛ぶ。光子と優子は来日した子どもたちに声をかけながら、一緒に拍手を打ち、笑顔を交わした。


「Look! That’s a home run!」

「ほら!ホームランや!」

優子が指差すと、エマもオリバーも目を見張った。


「It’s incredible! The energy here is contagious!」

「すごい!この熱気、伝染するね!」

ソフィーも興奮気味に応じる。


応援の合間には、光子と優子が小さなギャグや冗談を交えて子どもたちを笑わせた。球場に響く歓声の合間に、笑い声も混ざる。会場全体がスポーツの熱狂と笑顔で満たされていた。


「We should do this more often! Cheering together and laughing—it feels great!」

「もっとこうやって一緒に応援したり、笑ったりしたいね!めっちゃ楽しい!」

光子が隣のソフィーに話しかけると、ソフィーもにっこり笑った。


試合終了後、勝利した福岡ソフトバンクホークスに大きな拍手が送られる中、光子と優子は来日した子どもたちに向かって言った。


「Today we laughed, we cheered, and we shared happiness together. That’s what life is about!」

「今日はみんなで笑って、応援して、幸せを分かち合ったね。これが人生ってもんよ!」

優子も同じ気持ちで頷く。


子どもたちも満面の笑みを浮かべ、球場の熱気と一緒に、日本での初めての野球観戦を心から楽しんだ。






夜も更け、試合終了のアナウンスとともに観客はゆっくりとスタジアムを後にした。光子と優子、来日した子どもたち、そして家族たちは、各々の帰路につく準備をしている。


「That was so much fun! 今日はめっちゃ楽しかったね!」

「Yeah, it was amazing! うん、最高やった!」

光子と優子が笑顔で声を弾ませる。


ファイブピーチ★のメンバーも、近くの出口で手を振る。

「See you all tomorrow! また明日会おうね〜!バイバイ〜!」

「Bye-bye! バイバイ〜!」

お互いに手を振り合い、球場での熱気と笑いを胸に、解散した。


その夜、ホテルに戻った子どもたちは、日本での初めての野球観戦の興奮を語り合いながら、ゆっくりと眠りについた。


翌日、3月の晴れ渡る日曜日。光子と優子たちは、今度はサッカー観戦のために再びスタジアムへ向かう。今日はアビスパ福岡の試合で、キックオフは14時だ。


「I’m so excited! 今日もわくわくする〜!」

「Yes! Let’s cheer with all our hearts! うん、みんなで力いっぱい応援しよ!」

優子が拳を握りしめ、目を輝かせる。光子も笑顔で頷いた。


スタジアムに到着すると、サポーターの熱気がすでにあふれ、青と黒のユニフォームが観客席を彩っている。光子と優子は、来日した子どもたちにユニフォームを手渡しながら、サッカーのルールを簡単に説明する。


「When the ball goes into the goal, the team scores one point! ゴールにボールを入れたら1点!得点が多いチームが勝ちやけんね!」

「Got it! わかった!頑張る!」

エマやオリバーも真剣な表情で聞き入り、手にした応援グッズを振った。


試合開始と同時に、観客席から歓声が上がる。光子と優子は、来日した子どもたちと一緒に声を張り上げ、ゴールのたびに大喜びする。笑い声と歓声がスタジアム中に響き渡った。


「Go! Go! Avispa! がんばれ〜、アビスパ福岡!」

「Yes! Let’s cheer together! みんなで応援しよ!」

優子が大きな声で応援すると、周囲の観客も自然に手拍子を合わせ、スタジアム全体が一体となった。


光子と優子は、昨日の野球観戦の興奮と同じように、笑いと喜びを共有しながら、今日もまた来日した子どもたちと日本のスポーツ文化を心から楽しむのであった。



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