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復活

朝の光が差し込む街中。美羽と涼介の幽霊コンビは、透明な体でそっと地上に降り立った。目標は、人間界の人々を笑わせて生き返ること。


光子と優子、優馬、美鈴も後ろで見守る。


光子:「さあ、行くばい!幽霊ギャグ、炸裂させるとよ!」

優子:「うにゃ〜!街中ギャグ、負けんばい!」


二人はまず、近くの公園へ。ベンチに座るおじいさんをターゲットにする。


美羽:「おじいさん、ちょっと聞いてくれんね?」

涼介:「幽霊漫才、はじまるばい!」


透明の体をくるくる回しながら、美羽は手を大きく振り、いきなり「見えんけど見えとる幽霊です〜!」と叫ぶ。

おじいさん、最初はびっくりして後ろに倒れそうになるが、美羽が次々にギャグを繰り出す。


「見えんけど、腹筋痛なるくらい笑わせるけん、覚悟しとけ〜!」

「幽霊なのに、足元ふわふわ〜!って、あれ、俺の足、どこ行った〜?」


涼介も負けじと幽霊ならではのボケを連発。

「幽霊やけど、今日の朝ごはんは魂カレー!うにゃ〜、スパイス効きすぎ!」

「透明やけど、服は見える…いや、服も透明やんか〜!」


おじいさん、思わず手を叩いて大笑い。「なんじゃこりゃ〜!幽霊が漫才しよる!笑いすぎて涙出るわ〜!」


その勢いで、次は子どもたちが遊ぶ公園の広場へ移動。


優子:「ここでもやるばい!子どもたちも笑わせて、ポイント稼ぐっちゃ!」

光子:「幽霊のくせに、動きはキレッキレ〜!」


二人はくるくる回転しながら、透明体でジャンプし、まるで空中アクロバットを見せる。

「空飛ぶ幽霊アイドル、登場〜!」

「見えんけど、笑いは見える!見えるやろ〜!」


子どもたちは大爆笑。「幽霊なのに面白すぎる〜!」

「笑いの幽霊、最高〜!」


その声を聞いた街の人々も次々に集まり、ギャラリーは瞬く間に50人以上に膨れ上がった。


美羽:「これでポイントかなり稼げたかも!」

涼介:「笑いの力、すごか〜!」


光子と優子は後ろで応援しながら拍手。「よしよし、幽霊ギャグ修行、順調ばい!」

優馬:「おお、これなら本当に生き返れるかもな。」

美鈴:「笑いの力って、人間界でも通用するっちゃね。」


最後に美羽と涼介は手を取り合い、透明体のまま「人間界、笑いパワーで制圧したばい!」と叫ぶ。

周りの人々も「最高〜!もう一回やって!」と歓声をあげ、街中が大爆笑の渦に包まれた。


こうして幽霊コンビの「街中ギャグ伝道修行」は、予想以上の成功を収めるのであった。

次のステップは…もっとギャグ満載の「家庭内ギャグ修行」へ続く予感。




夕暮れ、幽霊コンビは光子と優子の家に戻ってきた。

光子:「さあ、家庭内ギャグ修行、始めるばい!」

優子:「うにゃ〜、笑わせる準備できとるけん!」


まずはリビングで、幽霊ならではの透明ボケ。

美羽は壁にすりすりしながら「透明壁ドン!」

涼介は棚に突っ込み「幽霊なのに、物に触れると音が出る〜!」


光子と優子も負けじと参加。

光子:「見えんけど、机が浮いとる〜!」

優子:「幽霊なのに、スプーンが空中ダンス!」


美鈴と優馬も思わず笑い転げる。

美鈴:「うわ〜、今日も爆笑やね!」

優馬:「おお、俺のギャグより面白いかも…いやいや、負けんばい!」


次の修行は「絶妙タッチ・ハイパーコチョコチョ」だ。

幽霊の二人が、手先を微妙に触れるか触れないかでコチョコチョを仕掛ける。

光子と優子、そしてさおりも参加し、家族全員が順番に悶絶する。


光子:「あはは、そこはやめて〜!」

優子:「うにゃ〜、くすぐったか〜!」

美羽:「これが元祖のハイパーコチョコチョか!」

涼介:「お母さんの教え、受け継いどる〜!」


さらに次は、台所での「料理ギャグ修行」。

美羽と涼介が幽霊の手で食材をふわふわ浮かせて、鍋に投入。

優子:「わ〜、鍋の中で玉ねぎが空中ダンスしよる〜!」

光子:「幽霊コンビ、炒めるのも自由自在やん!」


リビング、台所、廊下、家中が笑いの渦に包まれ、幽霊コンビも少しずつ人間界の「笑いポイント」を稼いでいく。


夜も更け、修行の締めは「全員ギャグ総まとめ」。

美羽:「今日はいっぱい笑ったね〜!」

涼介:「笑いの力、どんどん強くなっとる気がする!」

光子:「明日も家庭内ギャグ修行、楽しみばい!」

優子:「うにゃ〜、幽霊も人間も一緒に大爆笑っちゃ!」


家族みんなが笑い疲れた頃、幽霊コンビは満足そうに透明体を揺らしながら、「明日もまたギャグ修行、よろしくね」と言い残して部屋の隅に消えていった。


優馬:「おお、これは本当に生き返る日が近いかもしれん…」

美鈴:「笑いの力って、想像以上にすごかね。」


こうして、幽霊コンビの家庭内ギャグ修行は無事に終了。

家族の絆と笑いのパワーは、ますます強固になっていったのであった。





しばらくの間、幽霊コンビの家庭内ギャグ修行は続いた。

浮遊して物を動かす、ハイパーコチョコチョ、空中調理…どれもこれも笑いと愛情に満ちており、まったく辛くない修行ばかり。

むしろ、家族全員が腹筋崩壊寸前になるほど楽しんでいた。


そしてついに、霊界裁判所からの最終審判の時が訪れる。

光子:「いよいよやね…ドキドキする〜!」

優子:「うにゃ〜、緊張するばい!」


法廷(もちろんギャグ満載仕様)には、幽霊コンビ、光子、優子、家族、そして審判役の霊界裁判官が並ぶ。

裁判官は厳格な顔つきだが、目の端には微かに笑みが浮かぶ。


裁判官:「では、幽霊コンビよ。生き返る資格があるかどうか、最終審判にかける。」

光子:「うちらが保証します。二人はギャグの修行も、人間界の愛も学びきったっちゃ!」

優子:「うにゃ〜、愛情と笑いの力、十分やけん!」


審判官は杖を振るい、幽霊コンビに質問。

裁判官:「人間界で生き返ったら、どんな心構えで生きるつもりか?」

美羽:「笑いと愛情を忘れずに、周りを幸せにする幽霊パワーを活かす!」

涼介:「ギャグで笑顔を作り、みんなの元気の源になる!」


審判官、少し頷く。

裁判官:「うむ…よし、条件クリアじゃ。」

光子と優子、そして家族全員が拍手喝采。


裁判官:「だが、最後に一つだけ試練あり。ギャグで家族全員を同時に爆笑させること!」

光子:「よっしゃ、任せとけ!」

優子:「うにゃ〜、これくらい朝飯前っちゃ!」


幽霊コンビは全力でギャグ漫才を披露。

ハイパーコチョコチョ、空中調理、透明ボケ…あらゆるギャグを駆使し、家族全員が涙を流すほど笑い転げる。

美鈴:「あはははは〜!もうお腹が痛い〜!」

優馬:「これは…完全に人間界復帰の資格あるばい!」


審判官は満足げに頷き、杖を一振り。

光の渦が幽霊コンビを包み込み、ゆっくりと彼らは人間の姿へと戻った。


光子:「やった〜!ついに生き返ったっちゃ!」

優子:「うにゃ〜、嬉しか〜!」

美羽と涼介も笑顔で手を取り合い、家族全員で抱き合う。


こうして、幽霊コンビはギャグと愛情の力で見事人間界に復帰。

家庭は再び笑いで満たされ、みんなの絆もさらに強くなるのであった。





霊界裁判所でのギャグ修行と最終審判が終わると、次は正式な「人間界復帰手続き」が待っていた。


光子や優子、家族も見守る中、幽霊コンビは戸籍謄本の作成や住所登録、各種手続きに臨む。

裁判所職員(もちろん幽霊仕様だが、事務はきっちり)は、書類を一つ一つチェックしながら、

「はい、住所登録完了。戸籍謄本も発行済み。その他の必要手続きもすべて完了です。」


涼介:「これで…本当に人間界に戻れるんやな…」

美羽:「うにゃ〜、わくわくする〜!」


家族も、光子と優子も、そして朱里や樹里も手続きの様子を見守りながら、無事にすべてが滞りなく進んだことを確認。


こうして約一か月の準備期間を経て、ついに幽霊コンビは人間としての体を完全に取り戻した。

最初はフワフワと地面に足がつかないような感覚に戸惑いながらも、

光子:「やった〜!やっと地面に足がついたっちゃ!」

優子:「うにゃ〜、この感覚、久しぶりやな〜!」


家族も周囲の友達も大喜びで、復活を祝う。

この間、二人の笑顔とギャグパワーは、一瞬たりとも失われることはなかった。


こうして、幽霊から人間に戻った二人は、学校でも家庭でも再びギャグ満載の日常を送ることになる。

もちろん、あの霊界裁判所での修行と、笑いに包まれた生活経験は、二人の大切な財産として心に刻まれていた。





霊界裁判所でのギャグ修行と生き返りの経験を経て、涼介と美羽は人間界に戻った。二人が目指すのは、涼介は舞台俳優、美羽はミュージカル歌手としての道。


まず涼介。

舞台俳優としての第一歩は、コメディ芝居のオーディションだった。幽霊時代に培った身体表現と間の取り方、そしてユーモアのセンスを生かし、ステージ上で観客と審査員を一瞬で引き込む。滑稽な表情と身振りで、笑いの波を次々と生み出す涼介に、審査員は思わず笑いをこらえきれない。


美羽はミュージカル歌手として挑戦。

歌声はもちろん、ダンスや表現力も抜群。幽霊時代に経験した「あんれまんまぁ」精神を歌詞や演技に盛り込み、笑いと感動を同時に届ける舞台を創り上げる。観客はその魅力に釘付けになり、舞台が終わった瞬間、拍手喝采が鳴り止まない。


あるオーディションで、審査員の一人がつぶやく。

「こ、これは…新人とは思えない完成度!笑いと感動を同時に操れるなんて!」


二人はその後、コメディ中心の舞台やミュージカルで次々と役を勝ち取り、観客を笑わせ、時には涙させる舞台人として活躍する。


涼介:「霊界での修行が、こんな風に舞台で活きるとはな…!」

美羽:「あんれまんまぁ〜って、笑いに変えられるんやもん、最高やね!」


家族や友人、遠くで応援してくれる温也や郷子も、二人の成長と活躍を誇らしげに見守る。

そして、涼介と美羽が繰り広げる舞台のギャグと歌は、人々に笑顔と元気を届け続けるのだった。





ある日、涼介と美羽は、小倉家に感謝の気持ちを込めて特別な招待をすることにした。


「今日は、絶対に楽しんで帰ってもらうけん!」

光子と優子がわくわくしながら迎える中、涼介と美羽が家にやってくる。


「ただいま〜、お邪魔しまーす!」

二人の明るい声に、光子と優子も「おかえりー!」と元気に返す。


この日は特別に、涼介は即興コント、美羽は歌とダンスを組み合わせたミニミュージカルを披露する。

光子と優子は目を輝かせながら舞台を観て、笑い声や拍手が絶えない。

美鈴と優馬も、家族揃って温かい拍手と歓声で応援する。


「やっぱり、うちらも舞台やってみたくなるね!」

光子がつぶやくと、優子も「うん、あんれまんまぁ精神で行ける気がする!」と笑顔。


涼介:「小倉家のみんなに感謝の気持ちを届けたくて…今日の舞台は、全部君たちのために準備したんよ」

美羽:「うん、いつも応援してくれたけん、心からありがとうの気持ちを込めて歌うよ!」


その夜、小倉家のリビングは、笑いと歌声で溢れ、家族全員の心が温かく満たされる。

光子と優子はもちろん、優馬と美鈴も、二人の活躍を間近で見ることができた喜びに胸いっぱいになるのだった。





涼介と美羽は、にっこり笑いながら封筒を光子と優子、そして優馬と美鈴、美香に手渡した。


「これ、今度二人で主演を務めるミュージカルの観劇チケットやけん!」

美羽が嬉しそうに話す。


封筒の中には、5枚のチケットが入っていて、光子と優子、優馬、優鈴、そして美香の分が揃っていた。


「わぁ、すごい!観に行けるっちゃね!」

光子が声を弾ませると、優子も「うん、絶対爆笑しに行くばい!」と目を輝かせる。


優馬:「ほー、こりゃ楽しみばい。二人の舞台、間近で観れるっちゃね」

美鈴:「うん、家族揃って観劇できるのが嬉しいわ」


光子と優子は、美香の分もちゃんとあることに気づき、「お姉ちゃんも一緒に観れるっちゃ!やった〜!」と大喜び。


その瞬間、小倉家のリビングは、未来の舞台への期待感と、温かい家族の笑顔でいっぱいになった。

光子と優子はチケットを握りしめ、「絶対面白く観るけん!」と心に誓い、ワクワクしながらその日を待つのだった。





当日、小倉家の5人は朝からそわそわ。光子と優子は服装をあれこれ迷いながら、ミュージカルのテーマに合わせて明るい色の服を選ぶ。美香は落ち着いた装いで、優馬と美鈴も家族みんなで行くことを楽しみにしている。


劇場に着くと、涼介と美羽が舞台裏で準備をしている姿をちらりと見かけ、光子は「おお〜!生きとるとやね!」と感嘆の声。優子も「絶対、面白いばい!」と拳を握る。


座席に着くと、幕が上がり、コメディ要素満載のオープニング。涼介は堂々と舞台俳優としての存在感を発揮し、美羽は華やかな衣装でミュージカルナンバーを熱唱。客席からは笑いと拍手が絶えない。


光子と優子は、お互い顔を見合わせながら「やっぱり笑える〜!」と小さく声を漏らす。さすがギャグ漫才で鍛えた笑いのセンサー、どこで笑いが起こるか瞬時に反応する。


美香は「さすが…舞台での存在感が違う」と感心しつつも、ついニコニコ笑いが止まらない。優馬と美鈴も「ほんと、二人ともすごい」と目を細める。


そしてクライマックス、涼介と美羽が即興ギャグや歌の掛け合いを披露。光子と優子は思わず拍手と笑いで大興奮。家族全員で楽しむ観劇は、笑いと感動で心が満たされるひとときとなった。


幕が降りた後、涼介と美羽は客席に駆け寄り、手を振ってお礼。光子と優子は「ほんとに面白かった〜!」と声をそろえ、観劇の余韻に浸る。


その夜、小倉家は帰宅しながら、舞台の感想を話し合い、笑いと温かい気持ちで一日を締めくくるのだった。





文化祭以来、落語研究会の舞台が設けられ、光子・優子・さおりが高座に上がる日。光子は観客に向かって、「今日は、うちの家族ネタばっかりやけど、笑っていってね〜!」と元気よくあいさつ。


最初に光子が高座に上がる。ネタは、優馬がお母さんのセクシーな下着を干す時の妄想事件。


「うちのお父さんね、下着干しよると、つい妄想が止まらんと!そしたら、双子刑事に捕まって、ハイパーコチョコチョの刑に処されよったとよ。いや〜、あの時のお父さんの悶絶ぶりが、めっちゃ笑えてね!」


観客は大笑い。光子の表情も、生き生きとしていて、笑いを取りつつも話のテンポは絶妙。


続いて優子が高座に上がる。ネタは、優馬が未来でロボット父ちゃんになってしまう話。


「お父さんね、家事も仕事も完璧やし、ハイパーコチョコチョにも耐えるし、家庭内ではコンセントから充電、屋外では超小型ハイパワーエンジンで駆動しよると!いや、そりゃもう人間ちゃうやんか〜!」


観客は爆笑。光子も思わず袖から顔を出して、ニヤリと笑う。


最後にさおりが高座に上がる。さおりのネタは、光子と優子の毎日のドタバタ日常を落語風に。


「うちのクラスに、光子ちゃんと優子ちゃんっち言う二人組がおるとです。朝からギャグ満載、学校でも家でもネタの連続。体育祭のリレーでは、走りながらボケてツッコむ、そんな二人を見よると、笑いが止まらんとよ!」


観客は大爆笑し、拍手も鳴りやまない。光子と優子はさおりの話に大笑いしながら、「さおり、めっちゃ上手いやん!」と声を合わせる。


そして、観客席には美羽と涼介も。二人は、落語のギャグ満載の舞台に感心しつつ、大笑いしながら拍手を送る。


舞台が終わると、光子・優子・さおりはそろって深々とお辞儀。観客からは「もう一回見たい!」の声が上がり、三人はにこにこ笑顔で高座を下りる。


家族や友人、そして先輩たちにも笑いと感動を届けた、素敵な落語舞台となったのだった。




三人の落語が終わり、拍手が鳴りやまない会場。観客の中でひときわ大きな拍手を送っていたのが、美羽と涼介だった。


美羽は目を輝かせて、

「すごい!こんなにテンポよく笑わせられるなんて、中学生とは思えんよ!舞台の空気を操る力、ほんとに才能ある!」


涼介も頷きながら、

「そうやな。お客さんを巻き込む技術、オチのタイミング、完璧やった。特に光子ちゃんの“妄想事件”のくだりは、演技力も含めてプロ顔負けやったし、優子ちゃんの“ロボ父ちゃん”は想像力のスケールが違う。さおりちゃんの“日常ネタ”は、三人の絆を見事に笑いに昇華しとったな」


美羽が笑いながら続ける。

「舞台俳優とかミュージカル歌手とか目指しよる私たちから見ても、彼女たちは“笑いの表現者”として、すでに立派な舞台人よ。これからもっと伸びるはず」


涼介も笑みを浮かべ、双子ちゃんたちを見つめながらぽつりと呟いた。

「俺たち、あの子たちに助けられて生き返ることができたけど…もしかすると、これからは俺たちの方が、彼女たちの舞台に助けられるんかもしれんな」


二人は顔を見合わせて頷き、心からの拍手をもう一度送る。

ステージ袖でそれを聞いた光子と優子、さおりは、照れ笑いしながらも嬉しそうに顔を見合わせるのだった。





霊界裁判所での手続きからおよそ一か月。

ついに、美羽と涼介の戸籍が正式に作成され、新たな人生が始まる日が訪れた。


役所から渡された書類を見て、美羽がそっと呟く。

「……“朝比奈美羽”。これが、私の新しい名前」


隣で涼介も書類を見つめ、感慨深げに口を開いた。

「そして俺は……“朝比奈涼介”。俺たち二人、同じ苗字で生きていくんやな」


二人が選んだ苗字は「朝比奈」。

「朝」は新しい朝を迎える再生の意味を、

「比奈」はどんな困難に比べても柔らかく受け止め、笑顔で生きる願いを込めて。


小倉家のリビングでその報告を受けた光子と優子は、ぱっと笑顔を見せた。

「素敵な名前やん!」

「ほんと、“朝”から始まるって、また人生を新しく切り替えたって感じがする〜」


美鈴も目を細めて、

「苗字に込められた意味も、あんたたちらしいわね。ギャグ満載でも、真剣に生きるんやもん」


優馬は冗談めかして、

「よっしゃ、朝比奈家の二人!今日から俺のライバルやけん。舞台も笑いも負けんぞ!」


その瞬間、光子と優子のツッコミが飛ぶ。

「お父さんは舞台俳優でも歌手でもなかろーが!」

「ただのロボ父ちゃん候補やん!」


リビングは笑いに包まれ、美羽と涼介はあらためて胸の奥がじんわりと熱くなる。

新しい苗字と共に、新しい人生を――舞台と歌の世界で輝くために。




引っ越し当日。

「ここが、俺たちの新しい家かぁ……」

涼介は段ボールを抱えたまま、静かな住宅街に立ち尽くした。


美羽は嬉しそうに周りを見渡す。

「ねぇ涼介、ほんとにちょうどいい場所だよね。小倉さんちの近くだし、ミカお姉ちゃんのマンションも近いし」


そう、二人が選んだ住まいは、小倉家から歩いて10分ほどの距離。

さらに、美香の暮らすマンションからもほど近く、まるで「家族の輪」に守られるような立地だった。


午後になると、さっそく光子と優子がやってきた。

「わぁ!ほんとに近いやん!」

「これならすぐ遊びに来れるね〜」


二人は勝手知ったる家のように、段ボールの整理を手伝い始める。

「ちょっと、そこのは舞台の台本やけん大事に扱って!」

涼介が慌てて言うと、優子がにやりと笑った。

「わかっとるよ〜。でも、こっちに“爆笑台本”って書いとるやん!」


「それ俺の大事なギャグ台本やんか!」

「やっぱりね〜!」

光子と優子が同時に突っ込みを入れると、部屋いっぱいに笑いが広がる。


夕方、美鈴と優馬も様子を見にやってきた。

「近くにいてくれるってだけで、なんか安心するわね」

美鈴が目を細めて言うと、優馬も頷いた。

「よっしゃ!困ったことがあったらすぐ俺んとこに来いよ。ロボ父ちゃん24時間稼働中やけん!」


「いやいや、稼働しすぎたらまたコンセントから煙出るやろ!」

光子と優子の鋭いツッコミが炸裂し、笑いが止まらない。


美羽と涼介は、その光景を眺めながら思った。

――この場所でなら、きっとどんな夢も追いかけられる。

そう確信しながら、新しい暮らしが静かに始まった。





夏の陽射しが少しやわらぎ始めた午後、光子と優子、さおりは笑顔を携えて、美羽さんと涼介さんの新居へ向かった。引っ越し祝いのプレゼントを抱え、玄関の前に立つ双子たちは、少し緊張しながらも胸を躍らせていた。


「美羽さん、涼介さん、引っ越しおめでとうございます!」

「お祝い、受け取ってくださいね!」


光子と優子が並んで差し出したのは、手作りの小物やメッセージカードが詰まったギフトボックス。さおりもにこやかに手を振る。


美羽さんは微笑みながら、「ありがとう、光子ちゃん、優子ちゃん、さおりちゃん。本当に嬉しいわ」と受け取り、涼介さんも「新しい家での生活、がんばるぞ」と力強く応える。


玄関先での歓談の後、皆でリビングに入り、軽食やお茶を囲みながら、笑い声が絶えない時間が流れる。光子はお父さんの妄想ギャグ、優子はロボ父ちゃんネタ、さおりは二人の日常を落語風に話す。美羽さんと涼介さんは、二人の創意あふれるギャグに大笑い。


「いやぁ、二人の落語、最高ね。笑いのセンス、抜群やわ」と美羽さん。

「ほんとに、うちらのネタ、よー笑ってくれるけん、やりがいあるっちゃ」と優子。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕方近くになると、光子たちはそろそろ帰宅の時間。


「じゃあ、また学校帰りにでも遊びに来てね!」と涼介さん。

「うん、絶対来るっちゃ!」と双子。


家路につく途中、光子が優子に小声でささやく。「今日もいっぱい笑わせてもろたね。やっぱ、こういう時間って大事やね」

「うん、ほんと、またギャグネタ考えんとね」と優子。


そして翌日、双子たちは月一のテレビ収録のため、東京へ向かう。車内では、ファイブピーチ★の新しいネタや衣装の話で盛り上がり、東京の街を目指す心も弾む。









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