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高校について悩む 久留米の祖父母宅へ

「高校進学の話」


 やがて夏休みも半ばを迎え、光子と優子は、涼しい部屋で並んで座りながら、高校進学の話題に移った。


「ねぇ、ゆうちゃん、私たち高校はどうするつもり?」光子が、少し緊張気味に尋ねる。


「んー、まだ迷いよるっちゃけど、光ちゃんはどう思っとると?」優子も同じく、真剣な眼差しで返す。


「私は、学力も大事やけど、部活も楽しみたいなぁって思っとる。あと、友達とももっと色々経験したいし。」光子は少し顔を赤らめながら言う。


「なるほどね。私も同じ感じやね。でも、進路だけじゃなくて、自分のやりたいこともちゃんと考えとかんとね。」優子は、少し考え込むように俯く。


 二人はしばらく沈黙する。けれど、その沈黙もお互いの気持ちを確かめる時間となる。


「じゃあ、いっしょに色々調べたり、オープンスクールとか行ってみんね?」光子が提案する。


「うん、それがええね。光ちゃんと一緒なら、安心して決められそう。」優子も微笑む。


 こうして双子は、将来への小さな一歩を踏み出しながら、互いに背中を押し合うのだった。







「音楽高校への相談」


 光子と優子は、夏休みの午後、美香の部屋で二人並んで座っていた。


「ねぇ、美香お姉ちゃん、私ら、やっぱ音楽コースのある高校に行きたいなーって思いよると。」光子が切り出す。


「そっか、光ちゃんもゆうちゃんも本気やね。」美香は微笑みながら、手元の楽譜を片付ける。


「お姉ちゃん、福岡高校の音楽科ってどんな感じやったと?実際通ってみて、どうやった?」優子が真剣な目で尋ねる。


「うん、私が通っとったときは、授業も部活も本当に充実しとったばい。特に音楽科は、個人のレベルに合わせて指導してもらえるけん、基礎から応用までしっかり学べると。」美香は経験を踏まえて説明する。


「へぇー、じゃあ、楽器も選べると?」光子が興味津々で聞く。


「もちろん。私がトロンボーンで、他の人はピアノとかサックスとか色々。合奏も多いけん、仲間と一緒に成長できるとよ。」美香は笑顔で語る。


「すごいなぁ。やっぱり、ちゃんと学校選ばんといかんね。」優子も感心した様子。


「よし、じゃあ私が今までの体験や、受験のコツとかも教えてあげるけん、安心して挑戦せんね。」美香は二人に向かって力強く頷く。


 光子と優子は顔を見合わせ、小さく頷いた。音楽への情熱と、美香の経験談が、二人の心に明るい道筋を照らしていた。





「音楽の道を広げる夏」


 光子と優子は、美香の部屋でノートや楽譜を広げながら話していた。


「ねぇ、美香お姉ちゃん、ピアノも弾けるし、ドラムもできたら楽しそうやん。」光子が笑顔でつぶやく。


「せやね。光ちゃんはピアノ、ゆうちゃんはドラムで、それぞれ活かせるやん。」優子もにこやかに答える。


 美香は少し微笑んで、二人のノートに目を落とした。


「わたしとしては、作曲や作詞も二人はできるけん、それを極めるのもよかかなって思うばい。ピアノアレンジとか、いろんな楽器も手にできるし、音楽の幅は無限やけんね。」


「作曲とか作詞も、できるとやね!」光子が目を輝かせる。


「うん、ただの演奏だけやなく、自分の音楽を作れるってことは、もっと自由に表現できるってことやけん。」美香は優しく諭すように言った。


「そっかー、やっぱり音楽って奥が深かねぇ。」優子も頷きながら、ノートにペンを走らせる。


 夏休みの午後、窓から柔らかい日差しが差し込む部屋で、三人は未来の音楽について話し合った。自分たちの音をどう育てるか、どんな世界を描くか――その可能性は、まるで青空のように広がっていた。







「トロンボーンに挑戦!」


 美香がキャリーケースからトロンボーンを取り出し、光子と優子に差し出した。


「ねぇ、試しに私が使っとるトロンボーン、やってみる?」美香はにこやかに笑う。


「えーっ、やってみたかー!」光子が目を輝かせ、トロンボーンをそっと受け取る。


「まじで?むずかしかとちゃう?」優子も少し緊張しながら覗き込む。


「最初はなかなか音は出んばってん、ちょっとしたコツがあると。ほら、口の形と息の出し方をこうやって…」美香はやさしく指導する。


 光子が構えて吹いてみると、ぽわん、と柔らかい音が響いた。


「わぁ、鳴ったー!」光子は思わず歓声を上げる。


「すごかねー、わたしもやってみる!」優子もワクワクしながら構える。息を吹き込むと、ぶおぉー、とちょっと大きめの音が部屋に響き渡った。


「おお、ゆうちゃん、上手いやん!」美香が拍手する。


 光子と優子は互いに笑い合いながら、初めてのトロンボーン体験に夢中になった。夏休みの午後、音楽の楽しさが三人の間にあふれていた。





「オープンキャンパスへのお誘い」


 光子と優子は、夏休みのある日、いろいろな楽器を試してみて、ふたりとも興奮気味だった。


「ねぇねぇ、優子、9月の連休にオープンキャンパスがあるっちゃけど、行ってみん?」光子がワクワクしながら話しかける。


「えーっ、ほんと?行きたいばい!」優子も目を輝かせる。


 ふたりはすぐに家に戻り、リビングで両親に報告した。


「お父さん、お母さん、9月の連休に音楽コースのオープンキャンパスがあるっちゃけど、わたしたち、参加してみることにしたとよ」光子が笑顔で伝える。


「そがんね。じゃあ、しっかり準備して行かんとね」優馬お父さんがにこやかに答える。


「うん、二人でしっかり見て、体験もしてこようと思うと」美鈴お母さんも励ますように言った。


 さらに光子と優子は、さおりにも声をかける。


「さおりちゃんも、一緒に行ってみん?面白かばい」光子が誘う。


「えーっ、いいと?行きたいばい!」さおりも目を輝かせながら頷く。


 こうして三人は、9月の連休に向けて、音楽の世界に触れる小さな冒険の計画を胸に、ワクワクした気持ちを高めたのであった。





「夏休みのお盆・進路トーク」


 夏休みもお盆に入り、光子と優子の家には、さおりと恋人たち――翼、拓実、奏太が集まった。

 リビングは冷房が効いて涼しいが、空気は熱気に満ちていた。


「そげんね、翼はもう3年生やけん、進路のこと気になっとるやろ?」光子が笑顔で切り出す。


「うん、そうたい。高校進学ばいけど、音楽コースに行くかどうか悩みよると」翼は少し照れながら答える。


 拓実も興味津々で尋ねる。


「おい、光子、優子はどう考えとると?」


 優子は自分の夢を口に出す。


「わたしはドラムも叩けるけん、音楽コースに行ってもっと上手になりたいっちゃけど、どう思う?」


 光子も付け加える。


「わたしはピアノ弾くけん、それを活かせる学校に行きたいと思うと」


 そこで、すでに高校に進学している奏太が口を挟む。


「ふむ、オープンキャンパスとか、体験してみるといいよ。自分のやりたいことが見えてくるけん」


 さおりも、自分の意見を語る。


「わたしはね、自分のやりたいことが何か、まだ考えよると。でも、みんなと一緒にいろいろ経験できるのは楽しみやね」


 みんなで意見を出し合い、夏休みのひとときは、進路や夢の話で笑顔と真剣さが入り混じる、心地よい時間となった。





「夏休みのお盆・音楽と夢の時間」


 話がひと段落したあと、光子と優子は、美香から教わった音楽の幅広さについて話を思い出していた。


「作曲とか作詞もできるっちゃろ?それば極めるのもありやと思うと」美香の言葉が頭をよぎる。


「せやね。ピアノのアレンジとか、いろんな楽器に触れてみるのも楽しそうやね」光子が頷く。


 優子も興奮気味に言う。


「わたし、ドラムもっと上手くなりたかけん、いろいろ試してみたいっちゃけど」


 翼が少し照れながら口を開く。


「俺はも、将来のこと考えると、音楽だけやのうて、いろんな進路の選択肢も見てみんとね」


 拓実も真剣に聞きながら、自分の高校進学について考える。


「お兄ちゃん、音大行ったら、楽器だけじゃなくて、作曲や編曲も学べるっちゃろ?わしも試してみたいなぁ」


 そこへさおりが笑顔で提案する。


「ほんなら、9月の連休にオープンキャンパスあるけん、みんなで一緒に行ってみん?体験して、自分が本当にやりたいこと見つけるとよ」


 光子と優子は目を輝かせ、翼や拓実も興味津々。


「よかね!せっかくなら、さおりも一緒に行こうや」


 みんなの顔に、期待とわくわくが広がる。夏の光に照らされる笑顔は、まるで星空のように輝いていた。







「進路の迷いと夏の決意」


 お盆の昼下がり、縁側に座って冷たいお茶をすする光子と優子。翼と拓実も一緒に腰を下ろし、真剣な表情で進路について話していた。


「わし、運動系の高校も気になるっちゃけど…光子や優子と一緒に過ごすこと考えると、音楽系の学校も捨てがたかとよね」翼が少し迷いながら言う。


「わかるとよ、翼。せっかく仲良か友達と一緒に学べるんやったら、音楽系も楽しそうやもんね」光子がうなずく。


 拓実も眉をひそめ、慎重に口を開く。


「俺も運動系に行ったら、部活でバリバリやれるけど、光子や優子と同じ音楽系の高校に行ったら、みんなで過ごせる時間も増えるし…悩むばい」


 優子はにっこり笑って、二人に言う。


「どっちも捨てがたいっちゃろ?でも、どの道選んでも、自分がやりたいことをちゃんと考えて決めるとよ」


 翼と拓実は目を合わせ、互いにうなずき合う。夏の日差しの中で、進路の迷いも少しずつ整理されていくようだった。


「まずは、いろいろ体験してみるとよね。オープンキャンパスとか、見学とかさ」光子が提案する。


「うん、それで決めるばい」翼も拓実も決意を新たに頷いた。


 それぞれの胸の奥に、未来への小さなワクワクと期待が芽生え、夏休みはまだまだこれからだと感じさせる一幕だった。






夏休みのお盆。光子と優子、翼、拓実、そしてさおりと奏太が集まり、進路や将来の話をする。翼も拓実も運動系の高校も視野に入れており、音楽系も少し気になる様子だ。


光子は真剣な目で翼に向かって言った。

「翼くん、せっかくテニスで頑張っとるとやけん、これからも大きな大会で活躍して欲しいとよ。」

優子も拓実に視線を向け、にっこりと笑う。

「拓実くんも、卓球で全国大会とか、目指して欲しいとよね!」


翼は少し照れながらも、力強く答える。

「俺も、みんなに応援してもらっとるけん、頑張らんとね。」

拓実も握り拳を作りながら言った。

「俺も、優子ちゃんの応援背に受けて、負けんようにするばい。」


さおりと奏太も微笑みながら頷く。

「俺も、みんなで支え合っていくのが大事やと思う。」


光子と優子の思いを受けて、翼も拓実も、改めて自分の目標と向き合いながら、夏休み後半への意気込みを胸に刻むのだった。




夏休みギャグ列車大作戦


お盆休みのある日、私たちは久留米の祖父母の家に泊まりがけで行くことになった。天神の福岡駅から西鉄久留米駅まで、電車の旅だ。



座席に座ると、さっそくギャグネタ探しを始める。光子はノートにメモを取りながらアイデアを出し、優子も笑いながらそれに加える。


「この前のお父さんの『ペロンペロンチーノ』のネタ、もう一回使えるかもね!」光子が笑いながら言う。


「うん、でも今度は夏バージョンにアレンジせんとね。」優子もにこにこしながら答える。


窓の外を流れる景色を横目に、二人は次々とネタを考え、笑いながら久留米へ向かう。途中、ちょっとしたハプニングもあったけど、それもすべてネタの材料だ。


久留米駅に着くころには、もう頭の中は祖父母の前で披露するギャグでいっぱいになっていた。




久留米の夏、落語で笑う日 ~古典落語の挑戦~


久留米の祖父母の家に着いた光子と優子は、元気いっぱいに「おじいちゃん、おばあちゃん、きたよー!」と挨拶。祖父母は笑顔で迎え入れた。


「せっかく来たんやけん、今日は芸でも見せてくれんとね」


光子は深呼吸をして高座に上がる。演目は古典落語『時そば』。

一人で、そば屋の客も店主も演じ分ける。


光子(客役):「えっと、勘定は…ん?三十文じゃなくて三十五文やと?」

光子(店主役、声を変えて):「へへ、間違えたんかいな。ほんならもう一杯おまけじゃ!」


祖父母は声を出して笑い、床に手をつきながら拍手。さらに光子は即興で小ネタを追加。


光子(客役):「この猫、そばよりうまかもん持っとるばい!」

光子(店主役):「おい、猫にまで負けるな、客!」


大爆笑のあと、優子も高座に上がる。演目は『時うどん』。一人で全役を演じ、光子とはまた違った表現力で祖父母を楽しませる。


優子(客役):「このうどん、ほっぺた落ちそうやね〜」

優子(店主役、声を変えて):「落ちたら、うちが拾うけん安心せぇ!」


二人の一人落語は、ギャグと即興が絶妙に絡み合い、祖父母は声を上げて大笑い。

「ほーっ、これは見事やな!」とおじいちゃん。

「昔の噺がここまで生き生きと…」とおばあちゃん。


家の中は滑稽な言い間違いや小ネタで賑わい、光子と優子の高座は、夏の久留米に笑いの花を咲かせたのであった。




久留米の夏、音楽と笑いの夕べ


夕方になり、優馬と美鈴、そして美香の運転する車で久留米の祖父母の家に到着。


「おじいちゃん、おばあちゃん、お久しぶりデス!」

美香は丁寧に挨拶し、祖父母も笑顔で迎える。


「おお、美香ちゃん、久しぶりやねぇ。ほんなら、せっかく来たけん、美しい音楽でも聞かせてくれんね」とおじいちゃん。


美香は持参した電子ピアノを前に座り、ゆっくりと指を鍵盤に置く。

最初は誰もが知っている唱歌、「故郷」から始める。祖父母は、懐かしさと共に耳を澄ませる。


続いて「夏はきぬ」、そして「赤とんぼ」と、静かで柔らかなメロディが家中に広がる。

美空ひばりさんの名曲「川の流れのように」、さらに「愛燦燦」では、少し大人びた響きで深い感情を届ける。


祖父母は思わず目を潤ませ、光子と優子も静かに聞き入る。

その美しい演奏に、室内は夕方の柔らかな光と、ピアノの音色が混ざり合い、まるで時間がゆっくり流れるようだった。


演奏が終わると、皆が拍手を送り、祖父母は嬉しそうに笑った。

「いやぁ、ほんとに感動やったねぇ」とおじいちゃん。

「美香ちゃん、また来て弾いてくれんね」とおばあちゃんも目を細める。


こうして久留米の夕方は、音楽と笑いで満たされ、家族の絆をさらに深める、温かな時間となったのだった。





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