夏の体育館での応援。
「夏の体育館で卓球応援戦線」
夏休みの午後、南中の体育館は熱気に包まれていた。
拓実が参加する、福岡市内の中学生が集まる卓球の試合が開かれているのだ。
翼と光子、さおり、そして優子も応援に駆けつけた。
「拓実くん、がんばれー!」
光子が手を振りながら声を張り上げる。
「おぉ、翼も来とるやん!」
さおりも声を出して応援する。心臓がバクバクしている。
「優子もおるね!あんたの彼氏やもんね」
翼がささやくと、優子は照れくさそうに笑いながら拍手を送った。
拓実は台の前に立ち、ラケットを握る。
緊張の面持ちだが、鋭い目つきで相手を見据えている。
ボールが弾むたび、会場には拍手と歓声が響いた。
「ナイスショット!」
光子もさおりも声を合わせる。
優子は自分の彼氏の勇姿に手を叩きながら、「拓実、もう一回!」と叫ぶ。
試合は熱戦の連続で、拓実も思わず汗を拭きながら必死にラリーを続ける。
さおりは、彼の真剣な姿に自然と胸が高鳴る。
「かっこいい……」小さく呟いてしまった。
最後のポイント、拓実がスマッシュを決めると、会場から拍手と歓声が沸き上がった。
「やったー!」
さおり、光子、優子、翼は一斉に声を上げ、拓実に向かって駆け寄る。
「お疲れさま!すごかったよ!」
さおりは息を切らしながら拍手を送り、拓実も照れくさそうに笑った。
「ありがと。来てくれて嬉しいよ」
夏の日差しがまだ残る体育館で、四人の友情と応援の熱気が溢れた瞬間だった。
「拓実、二回戦で魅せる!」
二回戦が始まる。トーナメント戦なので、一度負ければそこで終わりだ。
優子は胸を張り、手を振りながら声援を送る。
「拓実くん、がんばれ!絶対勝つとよ!」
その熱い声援を受けて、拓実の目は鋭く光る。
「よし、いくぞ!」
試合が始まると、拓実はいつものプレースタイルで相手を圧倒した。
チキータで角度をつけ、3球目攻撃で相手の動きを封じ、バックハンドを巧みに使ったスマッシュで得点を重ねる。
観客席からは拍手と歓声が絶え間なく響く。
優子は思わず立ち上がり、声を張る。
「そう!その調子!」
光子と翼も拍手で応援する。
ラリーの中で拓実は冷静さを保ちつつ、得点を重ね、順当に勝利。
「よっしゃ、3回戦進出!」
優子は両手を高く掲げて歓喜の声を上げ、拓実もにっこり笑顔で応える。
試合後、さおりは息を切らしながらも、
「拓実くん、すごい……ほんとにかっこいい」
とつぶやき、彼の真剣な姿に心を奪われた瞬間だった。
「拓実、三回戦の死闘」
三回戦の相手は、同じ中学二年生。序盤から拮抗した展開が続く。
「負けられん!」
心の中で拓実は自分に言い聞かせる。
ラリーが続くたび、相手のクセや球の軌道を読み、タイミングを見極める。
スマッシュの一閃。球速に圧倒され、相手は思わず動きが止まる。
優子は声を枯らしながらも応援する。
「拓実くん、そこ!そうそう!」
光子と翼も拍手を送り、観客席は次第に熱気を帯びてくる。
試合は一進一退の攻防が続くが、拓実は集中力を切らさず、相手のミスを確実に拾って得点を重ねる。
ラリーの最中、冷静な判断で回転や角度を変えたショットを打つたび、観客からため息交じりの感嘆の声が上がる。
最終セット。拓実は背筋を伸ばし、深呼吸を一つ。
「ここで決める!」
スマッシュが決まり、相手のラケットが届かない。
「やった!勝った!」
観客席から歓声と拍手が沸き起こる。
優子は両手を掲げ、目を輝かせながら叫ぶ。
「拓実くん、すごかぁ!かっこよかぁ!」
拓実は少し照れくさそうに笑いながらも、満足そうにコートを後にする。
「拓実、準々決勝の死闘」
準々決勝の相手は、三年生。体格もがっしりしており、威圧感すら漂う。
コートに立った拓実は、少しだけ緊張したものの、すぐに気持ちを切り替える。
その時、スマホにメッセージが届く。
優子からの秘伝の言葉だ。
「拓実くん、球も気持ちも負けんごとね!あなたならできるけん!」
拓実はその言葉を読み、拳を握りしめる。
「よっしゃ!任せとけ!」
試合が始まると、序盤から互角の攻防。相手の強打を巧みに返す拓実。
ラリーは一進一退で、観客席も息を飲む展開が続く。
フルセットに突入し、最終セットは10-10のデュース。
観客の声援がさらに熱を帯びる中、拓実は冷静に相手の動きを読み、タイミングを見計らう。
スマッシュ!球は相手のコートに決まり、次のショットも冷静に返す。
そして最後のポイント、鋭いバックハンドで相手の返球を封じる。
12-10。拓実の勝利だ。
観客席からは大歓声。優子は跳び上がり、両手を振って叫ぶ。
「拓実くん、かっこよかぁ!」
拓実は息を整えながらも、満足そうに笑う。
「勝った…やったぜ!」
こうして、拓実は準決勝進出を決めた。
「拓実、準決勝の激闘」
準決勝のコートに立つ拓実。
ここまで勝ち上がってきた選手たちは、皆、実力が拮抗している。序盤から互いに一歩も譲らないラリーが続く。
観客席では、翼、光子、優子が息をのむ。特に優子は、拓実の一挙手一投足に声援を送る。
拓実は冷静に、相手の動きを見極めながら、正確な返球でミスを誘う。
相手も巧みに返すが、徐々に疲れの影が見え始める。
「ここで…!」
少し浮いたボールを見逃さず、回転をかけて返す拓実。
相手はタイミングを外し、返球できない。
ラリーはフルセットまで続いたが、最後は拓実の冷静さと経験が勝り、ついに決勝進出。
観客席の優子は両手を振り、声を張り上げて叫ぶ。
「拓実くん、すごかぁ!」
翼も拍手を送り、光子も笑顔で拓実を見つめる。
拓実は息を整えながらも、ほっとした表情を見せる。
「やった…決勝まできたぞ。」
こうして、拓実はついに決勝戦に進む。
「拓実、決勝の激闘と栄光」
決勝戦のコートに拓実が立つ。
ここまで勝ち上がってきた相手は、驚異の全勝記録を誇る、スタミナ抜群の強豪選手。これまで1セットも落とさずに勝ち上がってきた。
一方、拓実は二試合続けてフルセットの激闘を戦ってきたため、体力面ではやや不利。
観客席の優子はそっと耳打ちする。
「拓実くん、落ち着いて。焦らんで、自分のペースでやればよかと。」
序盤から互いに譲らない白熱のラリーが続く。
拓実は疲れを感じながらも、相手の動きを見極め、正確な返球でポイントを奪う。
試合はもつれにもつれ、ファイナルセットも互いに一歩も引かない展開に。
スコアは20-20のデュース。観客の声援がひときわ大きくなる。
最後の1ポイント。拓実は迷わず攻め、力強いスマッシュで相手を振り切る。
ボールは相手コートに落ち、審判が「ポイント!」と宣言。
「やった…!」
スコアは22-20。拓実が、ついに優勝を手にした。
観客席の優子は両手を振り、思わず歓声をあげる。
「拓実くん、やったね!」
翼も拍手を送り、光子も笑顔で拓実を見つめる。
拓実は息を整えながらも、充実感に満ちた笑顔を浮かべる。
「勝った…やっと優勝できた。」
こうして、拓実の努力と集中力、そして優子の熱い応援が実を結び、栄光の瞬間が訪れた。
「勝利のキスと夏の余韻」
試合が終わり、体育館の歓声がまだ耳に残る中、光子が首をかしげながら拓実に聞く。
「ねえ、なんで耳打ちしたと?」
翼もさおりも同じ疑問を抱き、拓実に目を向ける。
優子は少し照れながら笑う。
「そ、それはね…優勝したら、わたしのファーストキスをあげるって…」
光子が吹き出す。
「そりゃ本気出すわなぁ!」
翼も笑いながら頷く。
さおりも思わず笑顔になる。
表彰式も終わり、みんなが解散して学校からの帰り道。
拓実と優子は二人並んで歩くが、周りにはもう誰もいない。
優子がそっと立ち止まり、拓実に向かって囁く。
「拓実、こっち向いて…」
拓実が振り向く。
優子はためらいながらも、心を決めてそっと唇を重ねた。
夏の夕暮れの風が二人を包み、暑さで火照った顔も、勝利の喜びも、すべてが甘く溶け込む瞬間だった。
拓実は驚きながらも、優子の手をそっと握り返す。
「…ありがとう、優子。」
その日、二人にとって忘れられない、特別な夏の一瞬が刻まれた。
「ファーストキス記念日」
グルチャに優子がログインすると、みんなのアイコンがにぎやかに光る。
「みんな~、報告です!」と優子。
「実は…拓実くんと、ファーストキス記念日を迎えました~♡」
光子がすかさずツッコミ。
「そ、それはめでたいばい!どんな感じやったと?」
翼も笑顔で、「ふむふむ、順調そうやん!」
さおりもニコニコしながら、「やっぱり優子ちゃんらしいわ~、初々しいのに大胆やね」とコメント。
美香も「夏の思い出に最高の瞬間やね」と微笑む。
アキラも「おめでとう!あの試合の後の出来事やったんやな」と感慨深げ。
温也や郷子も「ほんとにおめでとう、優子ちゃん」と祝福の言葉。
グルチャの画面いっぱいにハートと笑顔があふれ、みんなで喜びを分かち合う。
こうして、夏の思い出のひとつとして、ファーストキス記念日がめでたく報告された。
「公式発表と二人の記念日」
翌日、拓実もグルチャにログインし、にっこり笑顔で報告。
「みんな、昨日はありがとう。優子とファーストキス記念日を迎えました。これからも大事にしていきます!」
光子が早速、「二人ともめでたいね~!」と反応。
翼は「お互いに素敵な夏の思い出になったな」とにこやかに頷く。
さらに、二人は公式SNSやファンクラブの公式アカウントでも発表することに。
「ファーストキス記念日を迎えました。応援してくれてるみんなに感謝。これからも二人で歩んでいきます。」
ファンからも祝福コメントが殺到し、SNSのコメント欄はハートや笑顔であふれる。
こうして、二人の特別な日が、プライベートだけでなく、公式にも輝かしい記念日として刻まれることになった。
「ファンの反応とグルチャの盛り上がり」
公式SNSでファーストキス記念日を発表した瞬間、コメント欄は一気に活気づく。
•「わぁぁ、めっちゃかわいい!二人ともおめでとう!」
•「夏の青春って感じで尊い……!」
•「拓実くん、優子ちゃん、本当に幸せになってね!」
•「公式発表までされるとは、まじでファン冥利に尽きる!」
グルチャでもリアルタイムで盛り上がる。
光子:「ちょ、公式まで載せるってすごかね~!」
優子:「もう、みんな見とると?恥ずかしか~」
翼:「いやー、でも二人とも幸せそうで何よりやん」
さおり:「私も祝福の舞をしたかぁ!」(冗談交じりに拍手)
美香:「うちの双子たち、とうとうやったね~」
温也&郷子:「うわぁ、微笑ましすぎる……。夏の夜空みたいにキラキラしとる」
さらにファンのコメントで、「私も初恋を思い出した!」、「尊すぎて画面壊れそう!」といった笑いや感動の声が飛び交い、グルチャは祝福と爆笑で大盛り上がり。
こうして、二人の初めての恋の記念日は、友達だけでなく、ファンの心も温かく包む一大イベントとなった。
「翼の最後の夏」
中学3年生の翼にとって、これが中学最後の公式戦。
場所は暑さ対策で選ばれた屋内テニスコート。冷房が効いているとはいえ、会場の熱気はすごい。応援席には、光子・優子・拓実・さおり、そして仲間たちが駆けつけている。
⸻
試合前、翼はラケットをぎゅっと握りしめ、仲間に向かって一言。
「これが最後の夏やけん、悔いは残さん!全力でいくばい!」
光子:「翼、ファイトー!最後まで走り抜けー!」
優子:「負けん気だけは誰にも負けとらんけん、大丈夫たい!」
拓実:「集中!集中!勝負楽しめ!」
さおり:「が、がんばって…つ、翼くん!」
⸻
一回戦
相手は格下。サーブからのストローク戦で翼が押し切る。ペアとの連携も冴え、順当にストレート勝ち。
二回戦
相手は同じ県内の強豪校ペア。序盤は押され気味だったが、粘り強くボールを拾い、逆転。翼の得意の「前衛ボレー」が決まり、観客席から拍手がわき起こる。
光子:「ナイスボレー!かっこよすぎやろ!」
優子:「中学最後にふさわしいプレーばい!」
⸻
準決勝
相手は全国経験のある選手を擁するペア。激しい打ち合いの中、翼の気迫が光る。大事な場面で決めたスマッシュに会場がどよめく。
拓実:「うぉぉ、今のやばかろ!?完全に決まったばい!」
さおり:「つ、翼くん、すごい…!」
しかし、ファイナルゲームでわずかに振り切られ、惜しくも敗退。
⸻
コートを出るとき、翼は涙をこらえながら笑顔でみんなに手を振る。
翼:「悔しかばってん、全力は出せたけん、もう悔いはなか!」
光子が駆け寄り、肩を叩く。
光子:「めっちゃかっこよかったよ!最後の夏、最高やった!」
優子:「ほんと、感動したばい。翼、ありがとう!」
さおり:「わたし、応援できて…ほんとよかった!」
⸻
こうして翼の中学最後の夏は、勝利以上に仲間たちの心に深く刻まれるものとなった。
「夏の打ち上げバーベキュー」
翼の夏の大会が終わった日の夕方。
場所は青柳家の広い庭。炭の香りと笑い声が入り混じる。
⸻
翼:「今日は俺のために集まってくれてありがとう!大会は負けてしもうたけど、最後の夏をみんなと締めくくれて、めっちゃ幸せやけん!」
青柳父:「よう頑張ったな、翼。お前の気迫、ちゃんと伝わっとったぞ」
青柳母:「英雄、お兄ちゃんにちゃんと『お疲れさま』言わんね」
英雄(弟):「兄ちゃん、かっこよかったばい!俺もソフトテニス始めよっかな〜」
翼は照れながら頭をかく。
⸻
バーベキューの網の上には、牛肉、鶏肉、ウインナー、野菜、そして優子と光子が仕込んできた焼きおにぎりが並ぶ。
柳川愛(拓実の妹):「お肉焦げとるやん、拓実兄ちゃん下手〜!」
拓実:「誰が下手や!これは“香ばしさ”って言うとばい!」
優子:「はいはい、じゃあ私が焼くけん。ほら、拓実は座っとき!」
美鈴母:「ふふふ、仲良かねぇ。若いってよかばい〜」
優馬父:「おいおい、俺らもまだ若かっちゅーねん!」
優馬がいつものギャグを飛ばす。
「今日はビーフばい!いや、“美ーフ”な俺とかけてます!」
→ みんな一瞬シーン……そのあと爆笑。
光子:「お父さん、それ無理やりすぎ〜!」
さおり&翔介:「はははっ!」
⸻
食後、花火を取り出す。
英雄と愛が先頭に立って線香花火対決。
英雄:「俺のが長くもつばい!」
愛:「負けんけんねー!」
さおり:「ふふ、かわいいねぇ」
⸻
最後はみんなで集合写真。
翼が真ん中でピースしながら一言。
翼:「最高の仲間と最高の夏!ほんとありがとう!」
その写真はすぐにグルチャにアップされ、
「最高やったね!」
「翼くんお疲れ!」
「焼きおにぎりまた食べたい〜」
とコメントが飛び交い、打ち上げの夜はいつまでも笑い声で包まれていた。