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パート別練習

月曜日・パート練


放課後。チャイムが鳴り終わると同時に、部室からそれぞれの教室へ散っていく。

ホワイトボードには、優子の字で大きく——「録って→聴いて→1個だけ直す」。



木管(音楽準備室)


リーダーのさおりが手を叩く。「最初の8小節、息は上向きね。じゃ、1回いくよ」

録音→再生。

「良かった:①音の入りがそろった ②フレーズが明るい ③タンギングが軽い/直す:最後の伸ばしを同じ長さ」

一年の萌が小さく手を挙げる。「長さ、手上げ合図つけません?」

「ナイス提案!」(パンパンパンと拍手ルール)

二テイク目、伸ばしがピタッと揃って、みんな笑顔。


廊下から顔を出した光子。「明るさ、出とる! 最後の“息の出口”だけ、もう半歩先へ。それで朝になる」



金管(音楽室)


リーダー健斗「“疾走”はクリア優先でmf固定。あとで一発だけ開く」

録音→再生。

「良かった:①音色が割れてない ②アクセントが軽やか ③Hnの内声が効いとる/直す:アクセント後の音を細く」

一年トランペットの陽斗が「細くって、こう?」と短く吹く。

「それ! その感じ!」(パンパンパン)

扉の外から優子。「走るのは気持ちだけやけんね。音は“足並み”で」



低音(被服室横の小部屋)


亮太(Tuba)「うちらは“地面”。同じ長さ・同じ重さで歩く」

録音→再生。

「良かった:①重心が下がった ②B.Clの芯が見える ③Euphのつなぎが自然/直す:2小節目の終わり、息を足す」

一年Euphの真央が深呼吸して吹き直す。土が一段固くなったみたいに安定。

のぞいた光子が親指を立てる。「それ、それ! 夜が開ける音ばい」



打楽器(体育館倉庫前)


ケンジ「難所はゆっくり→半分→原速の3段階。バチ順は今日から固定」

ホワイトテープに**“バチ置き場”と書いてペタ。

鍵盤の彩香**「置き場できたの、地味に嬉しい」

録音→再生。

「良かった:①テンポの芯が出た ②音量バランスがやさしい ③終わりがきれい/直す:最初の一打の距離」

優子がスティックを軽く合わせる。「“当てる”じゃなくて置く。最初の一打は合図やけん」



ミニ巡回(部長・副部長)


二人は教室を渡り歩いて、**“褒め3・直し1”**だけを短く置いていく。

長話はしない。録音を聴いて、今、1つだけ。

それで空気が少しずつ軽くなる。



終了5分・まとめ


各パート、共有フォルダに今日のテイクをアップ。

グルチャには一行ずつ報告が並ぶ。

•木管「伸ばしの長さを統一、明日は息の向きキープ」

•金管「mfで形作り完了、明日は開くポイント決め」

•低音「2小節目の息足しクリア、明日は歩幅そろえ」

•打楽器「一打目=置くを徹底、明日は半分テンポで通す」


優子「よか月曜! 明日はセクション合わせ。低音+木管→木管+金管→金管+打」

光子「録音は1回でOK。“直す1個”守れたら拍手3回で締めてね」


最後、部屋の電気が落ちる前に、誰かが小さく。

「だいじょぶ→ぎゅー→ぽん」


月曜日の音が、まっすぐ前に進み始めた。





火曜日・全体練(“合ってる”を、みんなで合わせる日)


放課後の音楽室。椅子が円弧に並び、前原先生が短くタクトを上げる。

「パートで合っても、全体で合ってるかは別。今日は“位置”と“呼吸”をそろえる日ね」


ウォームアップ(2分)

•全員でロングトーン→最後の1秒だけ揃えて切る。

•先生「“切り方”が合えば、入りも合うよ」



① 夜明けパート(冒頭〜)—“同じ景色に立つ”


1回通す→すぐ録再生。

•先生「低音は同じ歩幅、木管は息を上へ。入る前に肩で深呼吸して“今から”の合図」

•優子「金管は待つ勇気ね。朝はまだ静か」


もう一度。今度は空気が柔らかい。

•光子「最後の伸ばし、全員で手上げ合図いれるよ(パッと上げて同時に切る)」


直したのは1個だけ:“切り方”統一。



② 朝のテーマ(木管主役)—“明るさの角度”

•先生「明るさは音量じゃなく角度。頭の上に息を投げるつもりで」

•サックス内声に軽くスポット。「芯があると、主役が映える」


2テイク目、フレーズが前にほどける。

•先生「OK。金管はまだ絵の外側におって。色鉛筆の“縁取り”くらい」


**直したのは1個だけ:**木管の息の角度。



③ 疾走(中盤)—“走るのは気持ちだけ”


1回通す→録再生。

•先生「金管、mfで形を作って、最後だけ開こう。打楽器の最初の一打は置く」

•ケンジ「了解、置く一打!」(小さくスティックを見せ合う)


やり直し。音は軽く、リズムは固く。

•優子「アクセントの後を細く、足並みだけ速く」


**直したのは1個だけ:**打楽器の“置く一打”。



④ 到着コーダ(ラスト)—“消え際と1秒”

•先生「最後の和音、鳴らす→聴く→1秒静止。拍手が来ても動かない」

•光子「指1本で合図するけん、目で見る」


試しに通す。音が静かに消えて、1秒の静止——教室の空気が締まる。

•先生「そこ! 今日いちの収穫」


直したのは1個だけ:“消え際の1秒”。



今日の“良かった3・直し1”

•良かった

1.切り方がそろって静寂が生まれた

2.朝の木管が明るくなった

3.疾走の金管が割れずに前へ

•直す(明日)

→ **転調の入り(中盤手前)**でテンポが前のめり。低音の足並み合図を足す



明日の段取り(廊下掲示/30秒で読める版)

•水曜=パート練:

•低音:転調の足並み(2小節だけ)

•木管:朝テーマの終わり方再チェック

•金管:mf固定→最後だけ開くの再現

•打楽器:置く一打+原速1回

•宿題:今日の全体録音を聴いて、各パート**“直す1個”**をグルチャに一行



片付けの途中、誰かが小さく言う。

「だいじょぶ——」

隣から返る。

「ぎゅー——」

最後に合図。

「ぽん」


“パートで合ってる”が、“みんなで合ってる”に変わった火曜日だった。





放課後、校門を出たところ。夕焼けが楽器ケースの金具を薄く光らせる。


「健斗、大人になったねぇ」

光子が自転車を押しながら、わざとらしく目を細める。


「やめてくださいよ先輩。入ってすぐの頃は突っ走るだけでしたからね。まさか先輩方が国連の平和大使とか、世界でスピーチするなんて、思いもしなかったですし」


「は? 世界の小倉やけん?」

横から優子が胸を張る。急に深々とお辞儀して——

「本日は〜博多和平代表団でございます〜」

通りがかった小学生がパチパチ拍手。健斗、肩を震わせて笑う。


「はいそこで大人の余裕見せて、トランペットケースを優雅に——」


パチン。……バコーン!


ケースのロックが甘くて、ミュートが三方向に飛散。

ひとつは歩道をコロコロ、もうひとつは自転車のカゴにホールイン、最後のひとつは——


「うわっ、ハトが持ってった!」

空へ運ばれてくトランペットミュート。


「みっちゃん! 鳩のチン事件の続編やない!」

「やめんか! 回収いくばい!」

三人で全力ダッシュ。光子が街路樹の下でジャンプ、パシッとミュートキャッチ。

「王手ビュイーン!(自分で効果音)」

「はい拍手〜!」健斗がパンパンパン。


息を切らせながら、今度は自販機の前で一息。

「PON PET買う? だいじょぶ→ぎゅー→ぽんのやつ」

「買う買う。……って、健斗、それ**小銭全部床に“どーん”**しよるやん」

「先輩方の前で手が震えたんです!」

「世界の小倉やけんね?」

「やめんか!(ツッコミ二連)」


横断歩道の信号が点滅。

優子「テンポ120、オン・ユア・マーク——」

光子「ヘックチンは禁止!」

「走るのは気持ちだけ、音は足並み!」

「それ今ここで言う?!」


わちゃわちゃしていたら、通りすがりの親子が声をかける。

「テレビ見たよ〜。双春ちゃんの回!」

「ありがとうございます! じゃ、**サービス“ぽん”**いきます!」

三人で背中をくるり——PON。親子、大爆笑。


自転車を並べて走り出す帰り道。風が少し冷たい。

健斗が小さく言う。「……やっぱ、先輩たちについていきたいです」

「ついてこんでよか。一緒に前に出るっちゃん」

光子が笑う。

「だいじょぶ → ぎゅー → ぽん。はい、今日も合図よし!」


三台の自転車が、同じ足並みで、夕焼けの中へすべっていった。





校門からの帰り道。夕焼けのオレンジが三人の影を長く伸ばす。


健斗「でも、あの頃の俺はお子ちゃまでしたもん…」


光子「なに言いよーと。あんた、ペット(Trp)吹きよる時の顔、マジで獲物ねらうタカかトラやん。めっちゃ良か面構えしとる。」


優子「マウスピース当てた瞬間に目の解像度上がるっちゃんね。**“獲物=ハイB♭”**みたいな。」


光子「あんた、これから絶対伸びるけん、うちら卒業した後の福岡高校吹部、頼むばい。」


健斗(耳まで真っ赤)「……任せてください。ハイB♭10年分吹きます!」



そして、安定のドタバタ


優子「じゃ、未来の部長にタカ顔見本、お願いしまーす。」

健斗キリッ「――カッ!」(急に鋭い目)


その瞬間、コンビニの自動ドアがガコン!と開く。

光子「センサーがタカ顔拾ったやん!」

優子「威圧で開けるドア、新機能やね〜」


店から出てきた子どもがビクッ。

光子「だいじょぶ→」

優子「ぎゅー→」

三人「ぽん!」(ちっちゃく背中見せ)

子ども、にこ〜。



歩き出すと、健斗のケースの留め具がポロ。


カシャ…コロコロ…コトン!

ミュートがマンホールに吸い込まれる。


健斗「あ”ぁぁぁ! ミュートォォ!」

光子「待て、その**“コトン”は“PON”の親戚**!」

優子「王手ビュイーン回収作戦いくよ!」


光子がマンホールの隙間に定規を差し込み、優子がストラップで引っかけ、健斗がタカ顔レーザーで照準(意味はない)。

スポン!

光子「回収成功〜!」

健斗「先輩たち、レスキュー部でも食べていけます…」



信号待ち。点滅が始まる。


優子「テンポ=ピッピやね。オン・ユア・マーク——」

光子「ヘックチンは禁止!」

健斗「走るのは気持ちだけ、音は足並みで!」

三人、マーチング歩きで横断。歩道の向こうの工事警備員さん、吹き出す。



自販機前で一服。PON PETを3本。


健斗「先輩、ほんとに頼っていいですか」

光子「頼るんやなくて並ぶとよ。うちらが前で風よけ作るけん、あんたは音で追い風作って。」

優子「で、困ったら**“だいじょぶ→ぎゅー→ぽん”**。合図そろえば、全体で合うけん。」


健斗「……ぽん。」(小声で背中トン)


光子「よし、その小声ぽん、今日いち可愛い。」

優子「ご褒美にタカ顔コンテストもう一回!」

健斗「うお、まだやるんすか!」

三人同時にキリッ。

コンビニの自動ドア、また開く。


光子・優子「開くんかい!」

通りすがりの人たち、ドッと笑い。

笑いながら、三人は同じ足並みで家路についた。





ただいまの声が玄関に響く。

「おかえり〜!」キッチンからお母さん(美鈴)の声。油のはぜる音、ふわっと唐揚げの匂い。


制服を脱いで部屋着に着替えると、二人でキッチンへ直行。

「……一個つまみ食い〜」箸でひょい。

「こら〜! 熱かけん気ぃつけんね!」

「あっつ! うまっ!」


テーブルには山盛りキャベツ、ポテサラ、味噌汁、レモンが半月に並んどる。

「今日、全体通しやったっちゃ」優子が口の端でふうふう。

「なかなか良か感じ。切り方そろえたら、**静けさが“ぽん”て決まった」

「打楽器の最初の一打は“置く”**も、ハマったね」光子がうなずく。


「よう頑張ったねぇ」美鈴が揚げたてを網から移す。

「レモンかける派? かけん派?」

「うちは片側だけ派」「うちは全体シャワー派」

「ほら始まった」美鈴が笑う。


そこへお父さん(優馬)がただいま。手を洗って、トングを指揮棒みたいに構える。

「唐揚げ最終審査、始めまーす。王手——ビュイーン」

「それ将棋やけん!」二人同時ツッコミ。

でも審査は真剣で、一個ずつ半分こ。「外カリ中ジュワ、合格!」


座って手を合わせる前、三人で小さく確認。

「だいじょぶ → ぎゅー → ぽん」

家の合図は、それで整う。


ご飯をかき込みながら、光子がスマホをチラ見。

グルチャに「通し録音アップ済/直す1個=転調の入り」の報告が並んどる。

「みんな、動き早かね」「うちらも明日の低音合わせのメモ書いとこ」


食後、台所で皿を洗いながら、優子がぽつり。

「本番、最後の1秒、今日みたいに止まれたら勝てる」

光子が水滴を払って笑う。「勝ち負けより**“きれいに終わる”が先やけどね。結果はあとから付いてくる**っちゃん」


リビングに戻ると、唐揚げの香りがまだ少しだけ残っていた。

明日の練習の段取り表をテーブルに置いて、二人同時に伸びをする。

「ほな——風呂→ストレッチ→5分だけ譜読みコース」

「ラストはうにゃ→だらぱ〜→ぽんで就寝やね」

「それは私用やろ!」笑い声が、家じゅうにふわっと広がった。





リビングでビデオ通話をつなぐと、美香の顔が映った。


光子「お姉ちゃん、今日全体通しやったっちゃ。思ったより仕上がり良かったよ」

優子「“切り方”と“最後の1秒”がピタッてハマった」


美香「お〜、やるやん。じゃあ——」


画面の端から白い生き物×2がぬ〜っと登場。

春介「ばあ〜!」

春海「ばあ〜!」

顔じゅう保湿パックべったり。


光子「ブホッ! あんたら、なんちゅう顔しとるとね!」

優子「これ、もしやミイラの姉弟?」


カメラがズレて、美香の「へ?」顔。

美香「あぁ〜〜〜、しまうの忘れとった〜!」


光子が小声で囁く。

光子「ねぇ優ちゃん、今のいっとく?」

優子「もちろんやろ」


——双子の脳内で、台本ゼロ即興のスイッチがカチッ。



即興ミニコント「保湿ミイラ、あらわる」


(設定:化粧品売り場)

店員・光子「いらっしゃいませ〜。本日限定、うるおい百倍パックいかがですか〜」

客・春介「ぼく、ミカミカになりゅ?」

客・春海「わたちもツヤツヤしゃん!」


店員・優子「今ならだいじょぶ→ぎゅー→ぽんの合図で密着率アップします」

二人「ぽん!」

(パックがさらにぴったり)


店員・光子「副作用として**“笑わせ力”上昇があります」

春介「ウィンク!」

春海「ちゅ!」

——画面の向こうで美香、爆笑**。


美香「ちょ、待って、お母ちゃん(私)にウケすぎやけん!」

優子「はい、本日の保湿ミイラショー終演です〜」



美香がハンカチで二人のパックをそっと外しながら、姉モードに切り替える。


美香「で、本題。通し良かったんやろ? なら、明日やることは**“良かったとこを再現する”やね。

1つだけ気をつけて。無理に大きくして合わせんこと。静かいとこは小さく綺麗に。

それと、転調の入りで“誰が合図出すか”を一人**決めとくといい。迷いが消えるけん」


光子「了解。低音→木管の受け渡し、亮太に合図任せるわ」

優子「うちは“最後の1秒”の止め指を光子に。目で合わせる」


美香「よか。あとね、通しは1日1回で十分。残りはここだけ練で体力残して」

春介「おねえしゃん、がんばるぽん」

春海「ぎゅーしてからぽん!」


光子「ほら来た。応援ルーティン」

優子「じゃ、締めに——」

全員「だいじょぶ → ぎゅー → ぽん!」


通話の終わり際、春介と春海が画面にドアップ。

春介「ミカミカ〜」

春海「ツヤツヤ〜」


美香「はいはい、次は“パックはお片付け”の練習もしよっか〜」

光子・優子「それ大事!」


笑いと合図で締まった夜。

ビデオ通話の黒い画面に、二人のやることリストがくっきり残った。

「良かったの再現/転調の合図役決定/通し1回」——明日もいける。





リビングのテレビに、ビデオ通話のタイルがずらっと並んだ。

「Wellington」「Vancouver」「Los Angeles」「Sofiia」「小雪」。時差も国境も、画面の枠で一気にゼロになる。


光子「みんな、今日の全体通しは手応えあり! で——報告の前に、爆笑再現コントから入ります」

優子「タイトルは**『保湿ミイラ、あらわる』**。3、2、1…ぽん!」



即興ミニコント:保湿ミイラ、あらわる(国際配信版)


(設定:オンライン化粧品ショップ)

店員・光子「Welcome〜! 本日限定、うるおい百倍パック〜!」

店員・優子「Say the magic cue:Daijobu → Gyuu → PON!(だいじょぶ→ぎゅー→ぽん)」


春介ミニミイラ「ぼく、ミカミカになりゅ?」

春海ミニミイラ「わたち、ツヤツヤなる〜!」


店員・光子「副作用:笑わせ力+200%」

春介「ウィンク!」

春海「ちゅ!」

(画面の各地でドッ)


美香(オフ画面から)「あぁ〜しまうの忘れとった〜!」

優子「これが**母の見落とし——通称“モイスチャーミステイク”**です」

光子「回収の合図、PON!」


——フィニッシュポーズ。背中で小さくPON。



各地のリアクション


Wellington チーム(拍手)

「That was gold!(最高)」

「The cue is catchy—Daijobu, Gyuu, PON!(合図、耳に残る!)」


Vancouver チーム(肩を震わせながら)

「We’re stealing—uh, borrowing—this for warm-ups.(ウォームアップに使いたい)」

「Maple-leaf sheet mask ready!(メープル柄のパック準備よし!)」


Los Angeles チーム(笑い転げ)

「Hollywood needs this. 10/10 hydrating laughs!(満点“うるおい”笑い)」

「We’ll bring star-shaped eye patches next time.(星形アイパッチ持ってくる!)」


ソフィーア(親指を立てて)

「最高! ねえ、合図のPON、本番のブレス合図にも使えるね。

次の合わせ、**サビ前で“PON”**して入るの、どう?」

光子「採用!」

優子「転調の入り=亮太“PON”合図で統一しよ」


小雪(涙目で笑いながら)

「なまらおもろいって! 次は札幌支部も保湿ミイラ参戦するわ〜」



ミニ報告(超シンプル)


優子「コンクール曲はサンライズ小章(2038改)。

今日は“切り方”“朝の角度”“置く一打”“ラスト1秒”を1個ずつ直して、通し1回で終了」

光子「明日はセクション合わせ。低音→木管の受け渡しは**亮太の“PON合図”**で行く」


LA「Crystal clear.(了解)」

Vancouver「We’ll mirror that in our rehearsal.(こっちもマネする)」

Wellington「We’ll try the one-fix rule too.(“1個だけ直す”やる)」



国際“だいじょぶ→ぎゅー→ぽん”リレー


光子「じゃ、最後は世界横断合図リレーいくよ!」

福岡(全員)「だいじょぶ!」

Wellington「ぎゅー!(Hug!)」

Vancouver「ぽん!(PON!)」

Los Angeles「PON!!(二度押し)」

ソフィーア&小雪「PON〜!(揃って背中くるり)」


画面じゅうで拍手と笑い。誰かが言う。「笑いは時差ゼロやね」


美香にっこり「本日のまとめ:笑いでブレス統一、PONでキメ。はい、解散〜」

春介「おやすみPON」

春海「ツヤツヤPON」


通話が切れた後も、画面の黒にうるおった笑いがしばらく残っていた。





Skit: “Hydration Mummies, Now Streaming”


(スキット:「保湿ミイラ、ただいま配信中」)


Cast|配役

•Clerk A … Mitsuko(店員A:光子)

•Clerk B … Yuko(店員B:優子)

•Harusuke … played by Mitsuko(春介役:光子)

•Harumi … played by Yuko(春海役:優子)



[Opening / オープニング]


Clerk A (Mitsuko): Welcome to PON Beauty Live! Today’s special: Ultra-Hydration Sheet Mask!

店員A(光子): ようこそ、PONビューティー・ライブへ! 本日のおすすめは「超うるおいシートパック」です!


Clerk B (Yuko): One simple cue boosts adhesion: Daijobu → Gyuu → PON!

店員B(優子): 合図は簡単、密着度が上がります——だいじょぶ → ぎゅー → ぽん!



[Enter the “mummies” / ミイラ登場]


Harusuke (Mitsuko → small, cheeky voice): Boo! Am I shiny now? I wanna be mica-mica!

春介(光子→幼い声): ばあ! ぼく、ピカピカ? ぼく、ミカミカになりゅ!


Harumi (Yuko → tiny, bouncy voice): Me too! I want tsuya-tsuya cheeks!

春海(優子→幼い声): わたちもー! ほっぺツヤツヤにしたいの!


Clerk A: Perfect models! Please face the camera.

店員A: 最高のモデルさん! カメラのほう見てくださーい。


Clerk B: Ready? Everyone together—

店員B: 準備はいい? せーので——


All: Daijobu → Gyuu → PON!

全員: だいじょぶ → ぎゅー → ぽん!



[Effects / 効果タイム]


Harusuke: Whoa, it sticks! My face feels like mochi!

春介: うわ、ぴったり! おかおがおモチになった!


Harumi: I’m glossy! Can I wink? Wink!

春海: ツヤツヤ〜! ウィンクできる? ウィンク!


Clerk A: Side effect: +200% laughter.

店員A: 副作用:笑わせ力が**200%**アップします。


Clerk B: And confidence +PON.

店員B: それと自信もぽんっとアップ。



[Upsell & gags / 追いパック&小ネタ]


Clerk A: Optional item: Star-eye patches for celebrity sparkle.

店員A: 追加アイテム:星形アイパッチでセレブなきらめき。


Harusuke: I’ll be a superstar! Chu!

春介: ぼく、スーパースターなる! ちゅ!


Harumi: Me, too! Double wink—pon!

春海: わたちも! ダブルウィンク—ぽん!


Clerk B: Feeling dry? Mist with “Reset Spray”—then cue again.

店員B: 乾いたら「リセットスプレー」をシュッ——それからもう一度合図。


All: Daijobu → Gyuu → PON!

全員: だいじょぶ → ぎゅー → ぽん!



[Mini mishap / ちょいハプニング]


Harusuke: Uh-oh… my patch is sliding!

春介: あっ……パッチずりゅー!


Clerk A: Gentle lift, place—don’t slap. First touch is a cue.

店員A: やさしく持ち上げて、置くだけ。最初のひと押しは合図ね。


Harumi: Fixed! I’m tsuya-tsuya again!

春海: 直った! またツヤツヤ〜!



[Closing pose / フィニッシュ]


Clerk B: Final check: confidence?

店員B: 最終チェック:自信は?


Harusuke & Harumi: PON!

春介&春海: ぽん!


Clerk A: Thank you for watching PON Beauty Live. Stay hydrated, stay happy!

店員A: ご視聴ありがとうございました! うるおって、笑って、ハッピーに!


Clerk B: See you next time—Daijobu → Gyuu → PON!

店員B: また次回——だいじょぶ → ぎゅー → ぽん!


(Bow & wave / おじぎ&手をふる)





Reactions|みんなの反応


Ryan(Wellington)

•“That skit is gold. We’re adopting Daijobu → Gyuu → PON as our breath cue.”

(あのスキット最高。だいじょぶ→ぎゅー→ぽんはブレス合図として採用だね。)

•“One-fix rule is brilliant—keeps the room light and focused.”

(“直すの1個”ルール、最高。場の空気が軽く締まる。)


Sophie(Los Angeles)

•“Production-ready bit! If you add a soft rimshot on ‘PON,’ it’ll land even cleaner on camera.”

(もう番組に出せるレベル!「ぽん」にやさしいリムショットを重ねたら、映像でもさらに決まる。)

•“Star-eye patches are on me next session.”

(次回は星形アイパッチ、私が用意するね。)


Sofiiaソフィーア

•“笑いとブレスが同時にそろうの、ほんとうに素敵。転調前の無音“PON”呼吸、私もやります。”

(Laughter and breath aligning—beautiful. I’ll do the silent ‘PON’ breath before the key change, too.)

•“朝の木管の色、もっと青くできる。私、ハーモニー上で薄く歌入れて試したい。”

(The morning woodwinds could feel “bluer.” I’d like to test a very light vocal layer on that harmony.)


小雪(Sapporo)

•「なまらおもろかった〜! 幼稚園でも受けるべさ。PON合図、札幌チームも使うわ。」

(That was crazy funny! Kids here will love it. We’ll use the PON cue in Sapporo, too.)

•「バックコーラスの“PON”サンプル、今夜録って送るね。」

(I’ll record a little “PON” choir sample tonight and send it over.)


——全員一致のまとめ:「笑いでブレスをそろえる」「PONでキメる」。次の合同あわせで即実装、いけます。





ミイラと保湿のうた


アキラと美香のリビング。スマホに映るのは、顔じゅう保湿パックで“ミイラ化”した春介と春海。

二人とも、まずは腹を抱えて笑った。


「こらぁ……怒る気にもならんわ〜」美香が涙をぬぐう。

「芸術点満点やな。これは曲にしようや」アキラがニヤリ。


テーブルにメモ帳。鉛筆が走る。


「タイトル、**『だいじょぶ→ぎゅー→ぽん』**でよくない?」

「よかね。サビは子どもが一緒に言えるように、短くて覚えやすく」


アキラはキッチンから空のスプレーボトルを持ってきて、シュッと鳴らす。

「これ、リズムの合図に使える」

美香はテーブルを指でトントン。「ぽんのとこ、軽くリムショット風にね」


メモに小さく歌詞が並ぶ。


♪ だいじょぶ → ぎゅー → ぽん

ほっぺは つやつや みずたま ころり

だいじょぶ → ぎゅー → ぽん

きょうも笑ったら こころが うるおう


「難しい言葉はいらん。これで十分伝わる」

「合図でブレスもそろうしね。部活のみんなにも使えるばい」


試しに二人で口ずさんでみる。

アキラがスプレーでシュッ、美香がテーブルをポン。

そこへ寝室のドアが開いて、パジャマ姿の春介と春海がとことこ。


「おかあしゃん、ぽんのおうた?」

「そうよ、二人が主役のおうた」


「だいじょぶ!」

「ぎゅー!」

「ぽん!」


三人の声がきれいに重なって、美香とアキラは目を見合わせて笑う。

「もう完成やん」

「明日、ボイスメモ録ろうかね」


笑いの余韻と、ほのかな化粧水の匂いが、部屋にやさしく残った。





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