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知覧特攻平和祈念資料館と戦争。

朝食の食卓は、昨晩の大爆笑から一転、少し静かな空気が流れていた。笑い疲れでまだ顔が赤い光子と優子も、口数は少なめ。しかし、箸を動かしながらも、心の奥では旅の次の目的地への期待と緊張が入り混じっていた。


「みんな、お腹ぺこぺこやろ?いっぱい食べて、今日の知覧もちゃんと見んとね」

美鈴お母さんが優しく声をかける。


「うん、いっぱい食べて力つけとかんと、戦争の歴史もちゃんと感じられんもんね」

優馬が静かに頷く。娘たちの未来を思い、言葉に力が入る。


美香お姉ちゃんは、婚約者のアキラを横目で見ながらも、少し考え込むように箸を動かしていた。

「私たちも、好きな人がいるけん、命の重みとか、大切な人を思う気持ちとか、ちゃんと感じとかんと…」


アキラも真剣な表情で頷く。「そうやね。生きて帰ることが許されん若者たちの想い、絶対に忘れたくない」


光子は、箸を置いて真剣な顔で二人の様子を見つめた。

「うん、戦争の歴史って、教科書だけじゃわからんこともあるもんね。知覧に行って、目で見て、感じたい」


優子も小さく頷き、光子の手をそっと握った。

「お姉ちゃん。うちら、ここでちゃんと学んで、知って、伝えられる人になろうね」


二人の目は真剣そのもの。昨日までのギャグと笑いのテンションは、そのままに、今度は戦争の悲しさと大切な人を思う気持ちを胸に刻もうとする、そんな空気に包まれていた。


「さあ、食べ終わったら出発やね。知覧のこと、ちゃんと心に刻んで帰ろう」

美鈴がにっこり笑うと、テーブルの上の空気も少し和らぐ。笑いの余韻と、静かな決意が入り混じった、そんな朝食のひとときだった。




車を走らせ、海沿いの道を抜けていくと、やがて静かで厳かな雰囲気の知覧の特攻隊祈念資料館が見えてきた。車を駐車場に停めると、光子と優子は少し緊張した面持ちで降り立つ。


「うわ……お姉ちゃん、ここ、思ったより静かで、なんか心が引き締まるね」

優子が小さな声でつぶやく。


「うん……笑いとギャグばっかりの旅のあとやけど、ここは真剣に見とかんとね」

光子も自然と声をひそめる。手を握り合い、資料館の入口へと歩を進めた。


中に入ると、壁一面に貼られた写真や資料、そして特攻隊員たちが残した手紙の展示が目に入る。静かな館内に足を踏み入れるだけで、自然と背筋が伸びるような空気が漂っていた。


「ここから、たくさんの若い人たちが、命をかけて飛び立っていったんやね……」

光子は展示を一つひとつ丁寧に見ながら、深いため息をついた。


「うん……想像以上に、みんな真剣で、怖かったやろうね。残された家族のこと考えたら、もう胸が痛いよ」

優子も静かに頷く。二人の表情には、これまでの旅で培った思いやりと、戦争を考える真剣さがにじんでいた。


美香お姉ちゃんとアキラも、手をつなぐ二人をそっと見守りながら、静かに展示を見て回る。美鈴お母さんと優馬も、言葉少なに特攻隊員の手紙に目を落とす。


「うちらも、大切な人を守るために、精一杯生きんといかんね」

光子がつぶやくと、優子も小さく頷き、二人の手は自然と強く握られた。


館内の空気は重いが、二人にとっては、学びと決意の時間。過去の悲劇をしっかり胸に刻み、未来に生かすための静かな一歩となった。




資料館の一角、特攻隊員が残した手紙が丁寧に並べられた展示ケースの前に立ち、光子と優子は静かに足を止めた。


「……お姉ちゃん、この手紙、彼女に宛ててある……」

優子が小さな声でつぶやく。封筒の文字には、淡々とした日常の一言と、命の覚悟が綴られていた。


光子は息を整え、目を逸らさずに読む。

「『もうすぐ飛び立つ。怖いけど、君の笑顔を思い出して頑張る。生きて帰れなかったらごめん』……うぅ……」

光子の声は震え、涙が頬を伝う。


優子も自分の手に持った家族への手紙を見つめ、胸を押さえながら読み上げる。

「『お父さん、お母さん、弟や妹たちのことは心配せずに。僕は選んだ道を全うします』……ああ……こんな……」

優子の声もかすれ、涙が止まらない。


二人は互いに視線を交わし、言葉は交わさないまま、手紙を一通ずつ丁寧に読んでいった。胸が張り裂けそうな気持ちが押し寄せるが、光子も優子も逃げずに、しっかりと目を逸らさずに受け止めていた。


展示ケースの向こうには、美香お姉ちゃんとアキラ、そして優馬と美鈴お母さんが静かに立ち、二人を見守る。館内の空気は張り詰めているが、悲しみと共に、過去の人々の想いを胸に刻む尊い時間でもあった。


涙は止まらない。だが、二人の心には、一つの決意も芽生え始める――大切な人を、全力で守り、大切に生きようと。




光子は展示ケースの前で手紙を読み終えて、少し間を置いてつぶやいた。


「優ちゃん……なんで、こんな戦争ばせんといかんやったとやろうね……?」


優子も手紙を握りしめ、眉を寄せる。


「うん……ほんとよね。誰んために、なんのために、あんな悲しかことが起こったとやろ……資源も人も、勝ち目なかとに……」


光子はそっと展示ケースに手を置き、遠くを見るように目を細めた。

「せやけど、誰も止められんやったとやろうね……当時の人たちは、国の命令とか、大人の都合で……」


優子はため息をつきながら、手紙に視線を落とす。

「命かけて戦った若い人たち……でも、なんでそんな悲しか運命になったとやろ……」


二人は言葉少なに手紙を抱きしめる。胸の奥で、悲しみと同時に、疑問と怒り、そして大切な人を守りたい思いが渦巻く。


「うちら、未来では……大切な人ばちゃんと守れる人にならんとね」

光子の声は静かやけど、力強さを帯びとった。


優子も小さく頷く。

「うん……もう二度と、こんな悲しかことが起きんごとなるように……」


二人の目には、涙の光とともに、未来を見据える決意が宿っとった。




光子は少し緊張しながらも、家族や近しい大人たちに問いかけた。


「お父さん……なんで人間は戦争ばしてしまうとやろう?なんでこんなに多くの命が失われるとわかっとって、それでも戦争ばやるとやろう?」


優馬は少し考え込み、静かに答えた。

「うーん……結局は、権力や利害の争いっちゃね。大人の勝手な都合で、若い人たちは犠牲になるしかなかとやろう。けど、それでも守りたかったもの、残したかったものは絶対にあったはずや」


光子は優馬に頷き、続いて美鈴に尋ねる。

「お母さんは、どう思うと?」


美鈴は柔らかい笑みを浮かべながら答える。

「私らも若かった頃は、戦争の全貌なんて分からんかったけど、大切な人を守ることの重みや命の尊さだけは、肌で感じとったとよ。二人も、こうやって知ることで、同じ気持ちを理解できると思う」


光子は美香に目を向けた。

「美香お姉ちゃんは?」


美香は資料館で見た手紙のことを思い出しながら、言った。

「戦争の悲しさは、ただ悲しいだけやない。そこには人間の弱さや愚かさもある。だから、私たちは笑いだけじゃなく、こういう歴史も知って、二度と繰り返さんようにせんといかん」


最後に光子はアキラに尋ねた。

「アキラにいちゃんは、どう思うと?」


アキラは少し肩をすくめて答えた。

「戦争のことは、テレビや本でしか知らんかったけど、実際に命を懸けた人がおったと考えると、胸が締め付けられる感じやった。でも、そういう思いば忘れたらあかん。二人も感じたことはちゃんと心に持って、伝えるとよか」


光子と優子は、家族と婚約者の言葉を胸に刻み、静かに頷いた。


「うちら……大切な人を守るために、自分にできることば、考えていかんとね」

光子がそっと優子の手を握る。


優子も小さく頷き、二人の心は少し大人になった気がした。




資料館を出た光子と優子は、車に戻るまでの間、しばらく沈黙して歩いた。朝の風が少し冷たくて、でも海の匂いが心を落ち着かせる。


「優ちゃん……うちらも、なんかできることば考えんとね」

光子が小さな声でつぶやく。


「そやね……大切な人を思う気持ちとか、笑いとか、そういう日常の大事さも伝えていけるっちゃない?」

優子が頷きながら答える。


車に戻ると、優馬や美鈴、美香、アキラに向かって、二人は今日感じたことを話し始めた。


「うちら、戦争ば知って、命の大事さとか、大切な人との時間の重みがよく分かったとよ。だから……うちらも、自分たちなりに平和の想いば形にしてみたいっちゃ」

光子が真剣な顔で語る。


「平和への想い……曲にするってのはどうやろ?」

優子も続ける。

「うちらが感じたこと、笑いや歌やギャグも交えつつ、伝えることができたら……うれしいっちゃ」


美香はニコリと笑って、「それ、いいアイデアやん。光子、優子の思いを曲にして、みんなに届けるとよか」と言った。


アキラも頷きながら、「音楽ば使って、自分たちの思いば表現できると、きっと誰かの心にも届くはずや」と言う。


優馬と美鈴も二人を見守り、「そうやね。自分の気持ちばしっかり形にすることが大事や」と励ます。


車内には、さっきまでの静けさとは違う、少し前向きな空気が漂った。


光子と優子は顔を見合わせ、小さく頷く。

「うん……うちら、やってみようね」


優子の言葉に光子も笑顔で答えた。

「うん、二人で……平和への歌ば作ろうや」


こうして、双子ちゃんの新たな挑戦――「戦争と平和をテーマにした曲作り」が始まろうとしていた。





車が知覧を離れ、穏やかな海沿いの道を走りながら、双子ちゃんは早速曲の構想を語り始めた。


「曲のタイトル、どうする?光子」

「うーん……やっぱり、うちらの思いばそのまま表すなら……『PEACE and LOVE FOREVER』ってどう?」

優子も目を輝かせて頷く。「うん、それで決まりやん!平和と愛は永遠にって意味も入っとるし、うちらが伝えたいことそのものやんね」


美香お姉ちゃんが微笑んで、「さすが光子と優子やね、タイトルからもう元気と希望が伝わってくる」と言う。


「じゃあ、まずはどんな曲にしたいか考えよっか」

光子が言うと、優子もすかさず、「うちらの声だけやなくて、オーケストラも入れて、重厚感の中に暖かさも感じられる感じにしたいっちゃ」と提案する。


アキラにいちゃんが、「それやったら、メロディば考えるときに、ギャグの要素も入れられると、うちららしさも出るやろね」とアドバイス。


優馬と美鈴も頷き、「それぞれのパートで伝えたいことを言葉にしてみたら?歌詞でも語りでも、自由に表現できるとよ」と励ます。


双子ちゃんは車の中で手を取り合いながら、二人で歌う部分、コーラス部分、オーケストラの入り方、ギャグの挿入ポイントまで、次々とアイデアを出していった。


「うん、これなら、戦争の悲しさも、大切な人との日常の尊さも、うちらの思いを全部込められるっちゃ」

光子が小さく息を吐き、優子も「うん、二人で作る曲、楽しみやね」と笑顔。


こうして『PEACE and LOVE FOREVER』の構想が固まり、双子ちゃんの心には、希望と笑い、愛と平和への想い がぎゅっと詰まった。


次のステップは、実際に楽器を使ってセッション開始――まるで旅の冒険のように、二人の創作の時間が始まるのであった。




の海沿いの光を浴びながら、双子ちゃんは車から降り、持参した楽譜と小型キーボード、タブレットを広げてセッションを開始した。風が穏やかに吹き、波の音がまるで自然のパーカッションのように二人を包む。


「よーし、まずは歌のメロディ決めよか。うちらの声が一番輝くところはどこやろ?」

光子がキーボードの前で呟くと、優子も小さな声でハミングしながらメロディを試す。二人の声は徐々に重なり、ハーモニーが海風に溶けていくようだ。


「ここで、オーケストラが入ったらどうなるやろ?」

優子がタブレットでシンセサイザー音を試しながら提案すると、光子も「ほんなら、弦楽器パートはここで盛り上げて、金管は希望の部分に入れるとよかね」と応じる。


「うちらのギャグも入れたいっちゃね。歌の合間に小ネタのセリフとか、笑いの効果音とか」

光子の提案に、優子も目を輝かせる。「うん、ここでちょっとくすっと笑わせる部分があれば、平和の大切さも伝わるっちゃ」


アキラにいちゃんと美香お姉ちゃんは、離れた場所で二人を見守りつつアドバイスする。

「光子、優子、歌詞のここはちょっとゆっくりにして、聴く人の心に響くように」

「ギャグ挿入のタイミングは、曲の高揚感の直後が効果的やろうね」


優馬と美鈴もそれぞれメモを取りながら、アレンジや歌詞の言い回しを助言する。「戦争の悲しみと平和の喜び、両方が伝わるようにね」


二人はお互いの意見を尊重しながら、声を合わせ、キーボードを弾き、タブレットでオーケストラ音を重ねる。数時間のセッションの末、曲は徐々に完成形へ。


「できた……かな、優ちゃん?」

「うん、光子。これなら、『PEACE and LOVE FOREVER』の思いがそのまま伝わる気がする」


二人は手を取り合い、海に向かって小さく歌声を響かせる。波音と混ざった声は、まるで世界に平和と愛を呼びかけるように、夏の海風に溶けていった。


その後、録音機材を車に積み、月一のテレビ番組の収録スタジオへ向かう双子ちゃん。スタジオでも、海でのセッションの勢いそのままに、歌声、ギャグ、そしてオーケストラのアレンジを披露し、スタッフも感嘆する完成度。


カメラの前で光子が真剣な表情で、「戦争の悲しみを忘れず、大切な人との日々を守るために、うちらの思いを歌にしました」と語り、優子も「笑いと希望を忘れず、みんなと平和を分かち合いたい」と続ける。


スタジオの空気は静かに、そして温かく包まれた。撮影が終わると、スタッフから「これは全国の人に伝えたい曲ですね」と声が上がり、双子ちゃんは満面の笑みで頷いた。


こうして、『PEACE and LOVE FOREVER』は完成し、テレビを通じて多くの人々の心に届く準備が整ったのだった。





双子ちゃんはスタジオに立っている。今回のカップリング曲は、『PEACE and LOVE FOREVER』とはちょっと違う、現実の問題に切り込む歌である。





光子と優子は、長崎の原爆資料館や知覧での体験を思い返していた。胸が張り裂けそうになるほどの悲しみに、二人の心は深く打たれていた。


光子:「わたしたち、長崎の原爆資料館で、たくさんの人が亡くなっとると見たっちゃ。知覧でも、若い特攻隊員が家族に宛てた手紙読んで、胸が張り裂けそうになった。」


優子:「いまも地球には、数回分の地球を滅ぼす核兵器があるとよ。日本は被爆国やのに、核兵器禁止条約を批准してないっちゃ。なんでやろ、って思うと。」


光子:「まだ子供やけど、わたしたちにも自分の思いを伝える責任があると思ったと。賛否両論あるのはわかっとる。『子供がこんな歌歌ってよかと?』って言う人もおる。けど、わたしたちが見たこと、感じたこと、自分たちの言葉で伝える意味はあるっちゃ。」


光子は深く息を吸い、未来を見つめるように空を見上げた。


光子:「戦争や核兵器は、人類と共存できんと心の底から思うっちゃ。だから、この歌で伝えたいのは、わたしたちの痛みや悲しみ、そして平和への強い願い。わかってほしい。」


優子:「意見が違う人がおってもええ。けど、戦争や核兵器がどげん残酷か、どうしても伝えたか。わたしたちの世代も、ちゃんと声あげなね。」


光子:「いろんな意見があるのはわかっとる。でも、伝えたかった思いは届いたかな、と思うと、少しホッとする。」


優子:「わたしたちが見たこと、感じたこと、これからも自分たちの言葉で、歌で伝えていきたい。戦争や核兵器がなくなる世界に、少しでも近づけるように。」




二人の声は、力強くも切なく響く。画面越しに見ている視聴者は、笑顔だけでなく、真剣に世界の現実と向き合う双子の姿に胸を打たれる。


放送後、SNSやネット上では意見が二分する。

「子供がこんなことを言うなんて…」という批判的な声もあれば、

「若い世代が自分の意見を歌で伝えることに意味がある。素晴らしい!」といった賛同の声も溢れる。


双子ちゃんは画面の前でコメントを読む。光子が小さく笑う。

「いろんな意見があるのはわかっとる。でも、伝えたかった思いはちゃんと届いたかな、と思うと、少しホッとする。」


優子も頷きながら付け加える。

「うちらが見たこと、感じたことを、これからも自分たちの言葉で、歌で伝えていきたい。戦争や核兵器がなくなる世界を、少しでも近づけるように。」


二人の瞳には、未来を見据える強い光が宿っていた。




収録スタジオにて、光子と優子は新たなカップリング曲のタイトルを発表した。タイトルは「WHY?」。核兵器や戦争についての疑問や思いを歌に込めた曲である。


光子:「新しい曲のタイトル、『WHY?』ばい。なんで核兵器はなくならんと?っていう疑問を歌にしたっちゃ。」


優子:「核の傘で本当に安全なんか?ってことも考えた。戦争に関するいろんな疑問を、わたしたちなりに詰め込んだっちゃけん。」


光子:「まだ子供やけど、見たことや感じたことを、自分たちの言葉で伝えたか。歌で伝えると、きっと届く人がおると思うとよ。」


優子:「賛否両論あるかもしれん。でも、伝えたい思いは本物やけん、ちゃんと歌うっちゃ。」


スタジオ内には緊張感が漂いながらも、二人の真剣なまなざしと、歌に込められた覚悟が感じられた。


光子:「この曲で、戦争や核兵器について、みんなが考えるきっかけになればええな、と思うと。」


優子:「わたしたちの声で、少しでも平和の気持ちが広がったらうれしいっちゃ。」





テレビ放送後、公式SNSには続々とコメントが寄せられた。


光子と優子の真剣な表情や、「WHY?」の歌詞に感銘を受けたファンたちの声が目立つ。



ファンA:「双子ちゃん、ただ可愛いだけじゃなく、こんなに深いことを考えて歌にしてるなんて…涙が出た。」


ファンB:「戦争のこと、核のこと、子どもが真剣に伝えようとしてるのがすごく伝わった。応援しかないっちゃ。」


ファンC:「WHY?聴いて、改めて平和について考えさせられた。大人も聞くべき内容やね。」



一方で、意見は賛否両論だった。


視聴者D:「子どもがこういう歌を歌っていいんか?ちょっと過激すぎる気もする。」


視聴者E:「でも、若い世代が自分の考えを伝えることに意義があると思う。勇気ある行動やね。」



光子と優子はSNSのコメントを一緒に見ながら、


光子:「賛否両論あるけど、わたしたちの思いはしっかり伝わっとるっちゃね。」


優子:「そうやね。いろんな意見があるのもええと。受け止めて、次につなげるっちゃ。」



番組を制作したスタッフや司会者も感想を語った。


スタッフ:「子どもがここまで真剣に平和を考えて歌うとは思わなかった。視聴者の反響もすごく大きかったです。」


司会者:「双子ちゃんの歌で、多くの人が戦争や核兵器について考えるきっかけになったと思います。」



光子と優子は、放送後も「WHY?」を歌うたび、見てくれた人たちの心に何かを残せたことを実感していた。


光子:「わたしたちの歌で、誰かの心に届いたなら、それでええっちゃ。」


優子:「これからも、自分たちの言葉で伝えていくっちゃね。」





知覧からの帰り道、車の窓の外に薩摩富士とも呼ばれる開聞岳が姿を現した。


かつてこの山の麓から、特攻隊員たちが出撃していったことを思い出し、車内の運転席以外の全員は静かに手を合わせる。光子と優子も、目を閉じ、若くして命を散らせた人たちに祈りを捧げた。


「うちも…ちゃんと手合わせよっと。」光子は小さくつぶやき、優子もそっと同じように手を合わせる。


しばらく静寂が続いた後、車は再び宿泊先の旅館へ向かって走る。しかし、再び事態が動く。


「えっと…こっちでよかと?」優馬ゆうまが少し不安げにハンドルを握る。


「また道間違えとるやん!」光子が思わずツッコミ。


「ゆうちゃん、迷子ならぬ迷い大人やん!」優子も笑いをこらえながら、やんわりと優馬に突っ込む。


「いやー、ちょっとルート確認しただけやん…」優馬は照れくさそうに苦笑い。


その瞬間、車内はまた軽い笑いに包まれる。特攻隊員への祈りと、日常の小さなドタバタが、静かな感動と笑いを同時に運んできたのだった。


光子と優子はお互いに顔を見合わせ、微笑みながらも、心の奥では戦争で命を落とした人たちへの祈りを忘れなかった。





が旅館の駐車場に滑り込むと、女将さんが玄関先でにこやかに出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、皆さん。」女将さんが微笑む。


光子はさっそく、にやりと笑ってお父さんを指差しながら言う。

「うちのお父さん、また鹿児島市内で迷子になったっちゃけん!」


優子もにこにこしながら、女将さんに追い打ちをかける。

「ほんとに、迷い大人やけん、もう〜!」


女将さんは笑いながら、「あらあら、そげんことですか。まぁ、無事でよかったですわね」と、やさしく受け止めてくれた。


部屋に案内され、夕食の時間。目の前には、黒豚を使った豪華な料理がずらりと並ぶ。


「わぁ〜、これ全部食べれると〜?」光子の目は輝き、箸を持つ手が止まらない。


「ほんとやね!うち、黒豚の角煮が一番楽しみ〜!」優子も嬉しそうに箸を伸ばす。


美香やアキラも笑顔で料理を楽しみ、食卓は一気にテンションマックス。香ばしい匂いと美味しそうな色合いに、女子チームのテンションは最高潮に達した。


「うちら、今夜は食べて笑って、最高の夜になるね!」光子が満面の笑みで言うと、優子も頷きながら、「ほんと、これぞ旅の醍醐味やね〜!」と答えた。


六人での食卓は、鹿児島の夜に笑い声と幸せな空気を満たしていた。



温泉の暖かい湯気に包まれ、女子4人組は浴場に入ると、さっそく「あ〜、いい湯だね〜!」と声を揃える。


光子は湯船に浸かりながら、鼻歌でドリフターズの曲を口ずさむ。

「うっひゃ〜、うたうとるだけで楽しくなるね!」


優子もすぐに同調して、湯の中で手を叩きながらリズムに乗る。

「うちらも、ドリフの仲間入りしたみたいやね〜!」


美香お姉ちゃんは、湯船から湯気に顔を覗かせ、笑いながら二人を見つめる。

「はいはい、うるさいったい。でも楽しそうやねぇ。」


お母さんの美鈴もにこやかに、

「まぁ、笑うのは健康にええけん、いっぱい笑いんしゃい!」


その瞬間、光子と優子は即席ギャグ漫才を始める。湯船の中での「うにゃ〜あじゃたらぱ〜」を交えたボケとツッコミが炸裂し、浴場に響き渡る笑い声。


美香も負けじと、双子ちゃんのボケに突っ込み、時折お母さんも混ざって、笑いの連鎖は止まらない。


湯の温もりと笑いで、女子4人組の心も体も、すっかりほぐれていった。





温泉の湯気がふんわり漂う浴場。女子4人組は湯船に浸かりながら、笑いとおしゃべりで賑やかだった。光子はふと鼻歌でドリフターズの曲を口ずさみ、そのリズムに乗って優子が手拍子。


「うちら、ドリフみたいにギャグで湯船を揺らすばい!」と優子。


光子はすかさず湯を手で掻き回しながらボケを放つ。

「見て〜、湯が踊っとる!うにゃ〜あじゃたらぱ〜って、湯も笑いよるやん!」


優子はそのボケを受けて、ツッコミ。

「うにゃ〜あじゃたらぱ〜言うても、湯が笑うわけなかろうもん!踊っとるんはあんたの手やん!」


二人の掛け合いに、美香お姉ちゃんが参加。

「はいはい、うるさいったい!でもその勢い、ちょっと面白かばい。お母さんもツッコミ入れるけんね。」


美鈴お母さんは湯に肩まで浸かりながら、にこやかに笑い声を響かせる。

「まぁ、うちの娘たち、ギャグは湯にも負けんばい。光子、優子、そげん笑いよったら風呂から出られんばい!」


それを合図に、光子はさらにボケを重ねる。

「ねぇ、優ちゃん、この湯の泡、敵に見えたら戦争になるんやないと?」


優子は即座にツッコミ。

「戦争なるわけなかろうもん!泡と戦うんはあんたの妄想ばい!」


すると二人の掛け合いに、湯気の向こうから美香も参戦。

「泡と戦争?うちも参加したかばい。じゃあ、この泡、私の必殺コチョコチョ攻撃ば受けんしゃい!」


突如として始まったお風呂ギャグ漫才。湯船での手拍子、泡を指で弾くしぐさ、声を張ったボケとツッコミ。浴場は笑い声で満たされ、湯気の中で誰がどのセリフを言ったかもわからないくらいの熱気に包まれる。


「うにゃ〜!あじゃたらぱ〜!」「お母さんまで混ざっとるやん!」「ぎゃはは、泡も笑いよる〜!」


その光景は、温泉の穏やかな湯気と混ざり合い、まるで小さな舞台のコントショーのようだった。笑い疲れて肩まで湯に沈み込む四人。温泉の心地よさと笑いの余韻が、身体だけでなく心もふんわり温めていた。





男子組の二人、優馬とアキラは湯気の向こうから、女子の笑い声を聞きながら肩まで湯に浸かっていた。浴場は女子4人組の元気な掛け合いで、まるで小さなコント劇場のように賑やかだ。


「いやぁ、女子はやっぱり元気やねぇ。笑い声だけで、こっちも元気出るばい」と優馬がにこやかに言う。


アキラも頷きながら、湯に手をひたして応える。

「ほんとやね。うちら静かやけど、女子4人がにこやかで笑いよるけん、安心して仕事も勉強も頑張れるっちゃ」


二人は湯の中で肩を寄せ合い、女子組の無邪気な声を聞きながら、静かにほっとした表情を浮かべる。元気な笑い声に囲まれながら、男子組の心もゆったりと温まっていった。


湯気の向こうでは、光子と優子の掛け合いがまだまだ止まらず、時折美香お姉ちゃんと美鈴お母さんの声も加わる。男子二人は、それを聞きながら静かに微笑み、女子たちのパワーに心の中で感謝していた。


「これがあるけん、うちらも頑張れるんやなぁ」と優馬が小さくつぶやき、アキラも静かに頷く。


温泉の湯気と笑い声の中、男女それぞれが心地よく疲れ、そしてまた元気をもらうひとときだった。





お風呂から上がると、女子4人はすでに湯上がりのくつろぎモードに入っていた。


美鈴お母さんと美香お姉ちゃんは冷えたビールを手に、じんわりと温まった体に喉越しを楽しむ。

一方の光子と優子は、まだ子どもらしくオレンジジュースを片手に、つまみやお菓子をつまみながら女子会気分。


「いやー、温泉の後のジュースって最高やね!」と光子がにこにこ笑うと、優子も「うん、ほんとばい」と頷く。


そこへ男子二人、優馬とアキラもビールを手に戻ってきた。湯上がりの爽快感に加え、プチ飲み会の雰囲気も合わさり、ささやかな宴が始まった。


「こりゃ、女子会に男子が乱入する感じやな」とアキラが笑い、優馬も「まあ、でも盛り上がるけんよかろ」と応じる。


湯上がりの温かさと冷たい飲み物、そしてお菓子の甘みが混ざり合い、笑い声とおしゃべりが部屋いっぱいに広がる。


双子ちゃんも、女子会の中で自分たちのギャグを披露したり、ジュース片手にちょっとした漫才を始めたりして、部屋はさらに賑やかに。

男子二人も負けじと、笑いの波に乗りながらグラスを傾ける。


温泉旅行の夜は、こうして小さな家族宴会で、笑いとおしゃべりに包まれて過ぎていった。






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