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サンライズ連結組曲 — 完成と送信

ノートPCのフタを開けると、未読のメールが二通。

件名は——[Audio] Sofia – “Dykhati Razom”、[Audio] Koyuki – Triangle & Woodblock。


光子「来とる! ダウンロードするね」

優子「プロジェクト開けるばい。テンポマップ読ませて…はい、準備OK」


フォルダに並ぶファイル名が心地よい。

Sofia_Vox_humming_take3.wav

Sofia_UKR_phrase_dykhati_razom.wav

Koyuki_Triangle_45deg.wav

Koyuki_Triangle_30deg_longmute.wav

Koyuki_Woodblock_soft.wav


ビデオ通話をつなぐと、画面の向こうで小雪が手を振り、ソフィーアが穏やかに微笑む。


小雪「なまら送ったよ。三角は角度ちょい違いで三本」

ソフィーア「母語フレーズ、“Дихати разом(一緒に呼吸する)”を、短く柔らかく入れました」


優子「じゃ、入れてみるね——ドロップ・アンド・スナップ」

光子「まず『友の名前』の11小節目。…入った。プレイ」


スピーカーから、息の立ち上がりがふっと部屋に満ちる。

「dy—kha—ti… razom」——母音がやわらかく揺れて、コードに溶け込む。


光子「ここ、リバーブ2.0s→1.6sに削ると輪郭立つね」

優子「賛成。で、鳩“チン”の手前、5/4→4/4の橋に小雪の45°チンを置く——再生」


チン。

空気が、すっと着地する。画面の向こうで小雪が親指を立てる。

小雪「気持ちいい。角度、これ採用でいいべさ」

ソフィーア「“razom”の語尾、少しだけ短くしましょう。次のブロックに譲ります」


優子「了解。クロスフェード-8msで処理……はい、もう一回」

光子「…よか。景色が見える」


三津浜の波のSE、岡山の「ガチャン」、道後のブラシ。ひとつずつ音が結び直され、曲が旅の順番に沿って息をし始める。


優子「この章、クリック軽めにして“揺れ”残そうか」

光子「うん。人の揺れ=旅の証拠やけん」


一通り通して、無言の数秒。

ソフィーア「Beautiful. 音が橋になってます」

小雪「ライブで早く叩きたいわ」


光子「データ、ほんとありがとう。素晴らしい曲に仕上げるけん、ミックスできたらまた送る」

優子「みんなもそれぞれのステージで歌って。札幌でも、東京でも、福岡でも、同じ“チン”で合図しよ」


小雪「了解。札幌版、映像も撮るね」

ソフィーア「私も学校のホールで録ってみます。対訳は短く整えます」


優子「じゃ、今日のラストテイク回して終わろ。3、2、1——」

光子がベースのドローンを置く。優子がブラシをそっと回す。

画面の端でふたりが小さく頷く。呼吸がそろい、音が走り出す。


テイク終了。静けさ。

光子「送る準備するね。仮ミックスと譜面、夜のうちにまとめる」

優子「合言葉、いくよ」

四人「うにゃ——/だらぱ〜」


通話が切れても、部屋に“チン”の余韻が薄く残っていた。

曲はもう、旅と同じ速度で完成へ向かっている。




終業式のチャイムが鳴ってすぐ、二人はスマホを取り出した。

光子〈デートいかん?〉翼〈行こうか〉

優子〈今日どうね?〉拓実〈行こうか〉


帰宅→着替え→昼食を済ませ、それぞれの家へ。



拓実サイド


玄関チャイム。

拓実「いらっしゃい」

優子「じゃーん、これ見て」二枚のチケットをひらり。

拓実「“赤毛のアン”のミュージカル? よかやん。行こう」

優子「キャナルに向かうばい」


翼サイド


ピンポン。

翼「お、みっちゃん」

光子「これ、当ててしもうた」二枚のチケットを差し出す。

翼「“赤毛のアン”! ちょうど観たかったと。行こ行こ」



キャナルシティ劇場・ロビー


ポスター前で写真を撮っていると、視界の端に見慣れた二人。

優子「あれ? みっちゃんと翼くん?」

光子「なんや、同じ発想やったか」

四人でチケットを見比べる。

光子「…席番、まさかの」

優子「四席並び!」

翼「運、持っとるね」

拓実「今日はダブルデート決定ばい」


開演まで少し時間。

ポップコーンとドリンクを分け合い、座席へ。

舞台の緞帳、やわらかい照明。客電が落ち、音楽が始まる。



一幕


アンの快活な声、プリンスエドワード島の合唱。

光子(小声)「想像力で景色が開くとが、たまらんね」

翼(頷く)「台詞の“間”、テニスのトスみたいや」

優子(耳元)「叩きたくなるリズムやけど、今日は我慢や」

拓実(微笑)「座っててもテンポが伝わるの、すごい」



休憩ロビー


光子「アンの“まっすぐさ”が刺さるね」

翼「夢中で走る人は強い。みっちゃんに似とる」

優子「マリラのツッコミ、勉強なるわ」

拓実「オチがやさしいのが良か。舞台の“チン”どこで鳴らすか考えてまう」

四人でミニチーズタルトを一口ずつ。

優子「ほい、栄養補給完了。後半も全集中」



二幕〜カーテンコール


成長、別れ、再会。最後の大合唱。

拍手が波になって、四人も立ち上がる。

光子「よかったぁ…心がぬくうなった」

優子「歌って、生き方やね」

翼「音の置き方、明日からの練習に持って帰る」

拓実「帰りに“今日の好きな一言”発表会しよ」



キャナルの運河沿い


噴水ショーの水柱が光をまとって上がる。

光子「うちらの“連結組曲”にも、今日の色を少し混ぜよ」

優子「アンの“想像力”のテーマ、インタールードにできる」

翼「曲名は“赤い橋の約束”とか」

拓実「英題は“Imagine, Then Step.”——ありやな」


記念にもう一枚、四人でセルフィー。

光子「ダブルデート、大成功やね」

優子「次は“鳩のチン”抜きやけんね。劇場で鳴らしたら怒らるる」

翼・拓実「はい(苦笑)」


地下鉄入口で手を振る。

翼「送るよ」

拓実「また近々、今度はライブも一緒に」

光子「今日はありがと。よか夜やった」

優子「うちらの“想像力”、さらに更新やね」


帰り道、同じ通知音が二つ。

翼〈楽しかった。また行こう〉

拓実〈好きな一言:“世界は想像で広がる”〉

光子〈同意。世界は音でも広がる〉

優子〈そして笑いでも広がる。—うにゃ/だらぱ〜〉


四人の足音が、福岡の夜にやさしく溶けていった。





即席コント「ブンブン車ナンパ撃退 in 博多」


(帰り道でネタを思いついた二人。家に着くなりビデオ通話を美香宅に接続。

画面の向こうで春介・春海がスタンバイ。リビングは即席ステージに)



登場人物

•優子…ヤンチャ車の運転手役

•光子…道を歩いとる博多女子

•美香(声だけ)…パトカーの拡声器役

•春介・春海…効果音&合いの手担当



本編


(SFX:ドロロロロロ…!! ※春介が口で再現)

優子(運転手・サングラス)「おいおいそこのオジョーサン、乗ってかん? オイっちゃんのシャコタン、キマっとーばい!」

光子(歩行者)「いやいや、まず音がキマり過ぎとる! 近所の小鳥、消音モード入っとーやん!」


優子「大丈夫大丈夫、イオンまで一瞬やけん! マフラー替えたっちゃ、今ちょー流行り!」

光子「流行りは“エコ&静音”やろが! 音だけフルオケ、乗り心地ピアニッシモって何ね!」


(SFX:キキィーッ! 横断歩道前)

春海(手旗を振る)「とまれー!」

優子「あっ、標識! …ピタッ(急停止)」

光子「ほらね、まずは止まる! 横断歩道は“チン”の前にブレーキ!」


(SFX:ガリ…ッ ※段差に車体が擦る音・春介担当)

光子「あー! 今“心も車高も低か!”って音した!」

優子「段差が攻めてきたっちゃん…」


(遠くから拡声器・美香の声)

美香「前方のブンブン車両、静かな夜にご協力くださーい。安全運転、よろしくです」

優子「はい…ただいまアイドリングストップいたします…(小声)」


光子「運転、静かな人がモテるっちゃ。 まずは交通ルール守りんしゃい。それから彼女募集中って言いんしゃい」

優子「はい…まずは“人にやさしく道路にやさしく(車高にも)”…」


(SFX:チン! ※春海が小さなトライアングル)

春介・春海「うにゃ——!」

全員「だらぱ〜!」


——カーテンコール——



アフタートーク(ビデオ通話)


美香「はい満場一致で優勝。注意はやさしく、笑いは大きく、よかね!」

光子「ネタになった瞬間、ちょっとだけ世の中が安全になる気がするっちゃ」

優子「次は“静かな運転でスマートにナンパ(※しません)”編やね」

春介「ぶーん しずか!」

春海「とまれ ちん!」


(家じゅう、爆笑と拍手)





(リビング。ミニカーと三角コーンのおもちゃを並べて即席どうろ。

光子と優子は見守り係。トライアングルを手にニヤリ)


優子「じゃあ——コント開始〜!」



春介(ハンドルのおもちゃ握って)「ぶーんぶーん! しゅんしゅけ、くるま うんてんちゅる〜!」

春海おめかしバッグぶらさげて「はりゅみ、あるいとーよ。きょうは じこ なしなし〜」


春介「ぷっぷー! ねぇねぇ、のってく? しゅんしゅけタクちー、やすいよ〜」

春海「えっ、のる?……でもね、あんぜんちぇつめい ある?」


春介(胸をはって)「ある〜! あんぜんベルト、かちっ!(自分に装着)

とまれは ちん! しんごうは ぴかぴか みる〜!」


春海「じゃあ のりましゅ。はりゅみ、おかねは“ちゅーいっかい”で はらいましゅ」

春介「わーい! うけとりましゅ!(照れて手をぶんぶん)」


(SFX:春介口まね)「ぶーん……」

(信号ごっこ。光子が色カードを出す)


光子「あか〜」

春介「あっか! とまる〜!(両足ぴたっ)」

優子トライアングル「チン!」

春海「とまった〜! えら〜い!」


光子「きいろ〜」

春介「きいろは どちたらいい?」

春海「あわてない〜、おてて ぎゅ〜。ゆっくり まつ〜」


光子「あお〜」

春介「あおー! でっぱちゅ〜!(そろ〜り)ぶーん(ちいさめ)」


春海「あ、そこ ほどうきょう。ぱちんこ だんさ!」

春介「だんさ こわい〜(そろり…) がりっ だめ〜!」

春海「しゅんしゅけ、しゃこう ひくいから きをちゅけて〜(どや顔)」

春介「しゃこう…ひくい? じゃ、たかいたかい する〜!(ミニカーを持ち上げる)」

春海「きゃはは! それは べつの いみ〜!」


(横断歩道のぬいぐるみが手を挙げる)


春海「わっ、くましゃん わたるって!」

春介「はーい とまる!」

優子「チン!」

春海(くまを誘導)「どうじょ〜。あんぜんが いちばん〜」


春介「つきまちた〜! はりゅみ おきゃくしゃん、ちゅー いっかい おねがいしましゅ」

春海ほっぺにちゅ「はい、しはらい かんりょ〜!」

春介(赤面)「うへへ ありがと〜」


(そこへ“ヤンチャ車”役の優子がサングラスで乱入)


優子「ぶるるる! おじょーしゃん のってかん?」

春海「あ、うるちゃいから いや〜!」

春介キリッ「ここは しずかどうろ! るーる まもってね!」

優子「しゅ、しゅいません……(サングラス外して) しずかに します」


春海「しずかな うんてん すてき〜」

春介「やさしい うんてん かっこい〜」


(フィニッシュポーズ)


春海「みんな〜 あんぜん しようね〜」

春介「しんごう みて、ちん きいて、にこにこ〜」

二人「うにゃ——! / だらぱ〜!」


(客席=光子・優子・美香、大拍手)


優子「優勝〜!」

光子「“しゃこうひくい”の回避、天才やったね」

美香「台本いらんね、二人の即興が最強」

春介・春海「えっへん!(胸をはる)」





まさに血筋+環境やね。毎日そばで“うにゃ/だらぱ〜”と即興の呼吸を見て、合図のチンで転調する――その回路がそのまま双春に根づいとる。


優馬「こらもう、光子と優子ゆずりやね」

美鈴「見事ばい。台本いらん強さ、育っとる」

美香「現場勘があるっちゃん。観客の呼吸を聴いとる」

光子「ちびスター、合図は目と“チン”やけん」

優子「ほら、せーの——うにゃ/だらぱ〜」


――即興は、家のリビングがいちばんの舞台。ここで磨いた勘が、そのまま世界で通用する力になっていく。





ノートPCをテーブルに置いて、ビデオ通話をポチ。

画面にソフィーアと小雪が現れる。


優子「ちょい見て! うちの甥っ子と姪っ子のコント」

光子「タイトル『しずかどうろ作戦・ちん』やけん」


— 再生:

春介「ぶーん! しゅんしゅけタクちーでーす!」

春海「はりゅみ、おあるき中〜。あんぜん いちばん〜」

(横断歩道で)優子(SE)「チン!」

春介「とまる〜!」

春海「おしはらいは“ちゅー いっかい”でしゅ」

春介「うへへ〜!」


画面の向こうで、二人が同時に崩れ落ちる。


小雪「なまら可愛い! 『しゃこう ひくい』って持ち上げるの、発想天才だべさ!」

ソフィーア「I’m crying—(笑)安全のメッセージも入ってるのが最高です。『チン=合図』、子どもでも完璧にわかる」


優子「やろ? 台本ゼロで即興やけん」

光子「光子優子ゆずりってことにしとって!」


春介(画面に近づいて)「こゆきおねえしゃん、ぽー!」

春海「そふぃーあおねえしゃん、ちゅ!」

小雪「ひいっ(笑)心撃たれた」

ソフィーア「ハートたくさん飛んできました」


小雪「インタールードの**“チン”、この声サンプル混ぜたら?

『とまる〜!』『どうじょ〜!』って後ろでささやき入れるの、なまら映える」

ソフィーア「私は“Dykhati razom(一緒に呼吸する)”の後ろ白に、二人の“にこにこ〜”を遠くの子どもコーラス**みたいに置きたいです」


優子「採用! 今夜、ステム切って送るけん」

光子「便利なとこだけループして、笑い=転調スイッチの合図強めよう」


ソフィーア「SNSに短いクリップ出してもいい? 顔はスタンプで隠します」

美香(横から)「顔スタンプならOK。家族アーカイブにも保存しとって」

小雪「了解〜。**“なまら安全コント”**ってタグつけるわ」


春介「うにゃー!」

春海「だらぱ〜!」

二人そろって、最後にもう一回「チン!」


小雪「タイミング、職人級」

ソフィーア「次の合わせ、楽しみにしてます」


優子「サンキュー! データ今から送るけん」

光子「橋はつながっとー。音と笑いで」


通話を切ると、部屋に**“チン”の余韻**。

双春の即興は、今日も世界のどこかへ届いていった。





サンライズ連結組曲 — 完成と送信


深夜の防音ブース。最後のリバーブ尾っぽが消える。

優子「——オールテイク、OK」

光子「できたばい。書き出すよ」


DAWのバーが100%に達し、ファイル名が並ぶ。

Sunrise_Suite_v1.0_master.wav

01_Negai_no_Hohaba.wav … 14_Sunrise_Home.wav

Stems/Drums_Bus.wav / Bass_Drone.wav / Vox_Main.wav …

Click_TempoMap.mid

Lyrics_JP-EN-UKR.pdf

MC_miniscript_15s.txt

Perc_Specs_Triangle&Block.pdf


優子「双春サンプル(『とまる〜』『どうじょ〜』『にこにこ〜』)は**-18LUFS**で仕込んで、Day4“チン”の後ろにささやきで置いとる」

光子「岡山ガチャンSE、瀬戸の波、美鈴アナウンスもゲイン合わせ完了。鳩“チン”は45°→0.2秒ミュート版で確定」


二人で小さくハイタッチ。

「うにゃ」「だらぱ〜」



送信


件名:[Deliverables] Sunrise Suite v1.0 / FivePeach★

宛先:ソフィーア/小雪(CC: 前原先生・ファイブピーチ★メンバー)

本文(要点):

•完成版マスター(WAV/MP3)

•各曲ステム&クリック/テンポマップ

•歌詞カード(日英+ソフィーアの“Дихати разом”表記)

•MC台本(15秒)

•打楽器仕様(トライアングル角度・ミュート、ウッドブロック配置)

•参考:双春コーラスSFX(低レベル・差し替え可)


優子「送るけん、ポチ」

光子「アップ完了。共有リンクも貼った」


すぐ通知。


Sofia〈受領。今夜ホールで試聴します。Bridge is alive.〉

Koyuki〈きた! なまら鳥肌。明日、三角の別テイクも返すね〉

前原先生〈構成美しい。鳩“チン”の笑い=転調、教育現場でも使える〉

バンドチャット〈“ギャグの首都”Remixで死ぬほど笑った/湿布買っとく〉


優子「よか反応」

光子「旅ん時刻表、音になったね」


PCを閉じる前に、ふたりでもう一度だけマスターを小さく流す。

夜行列車の継ぎ目がダ・ダンと鳴り、家の中に静かな朝が来るみたいに、曲が終わった。






湯気でもわっと曇った鏡。ちゃぽん、と湯船の音。

光子が椅子に座った優子の背中を、やわく泡でなでる。


光子「うちら…あと一年したら、この家出るっちゃね」

優子「やねぇ。はやか」

光子「音大出たら、戻ってくる?」

優子「戻る。うちら育ててくれた街やけん。拠点は絶対、博多。そこから世界に広げていきたか」

光子「同じこと考えとった。原点がここやけん、帰ってくる場所はここでよか」


優子「家族もおる、仲間もおる。ライブハウスもホールも、全部“ただいま”って鳴るけん」

光子「で、必要な時は世界に“いってきます”。鳩のチンも、英語版作らなね(笑)

“Next stop, Shoulder Station. Please mind the claws.”」

優子「世界標準の“チン”つくろうや」


交代して、優子が光子の背中を丁寧に洗う。

優子「みっちゃん、今日はよう頑張った。連結組曲、ちゃんと繋がったね」

光子「みんなのおかげやね。…お父さんとお母さん、もう寝とーかな」

優子「寝とる寝とる。明日の朝、牛乳争奪戦やけん、今のうち湯上がり飲んどこ」


ふたりで湯に肩まで沈む。しばらく黙って、同じタイミングで深呼吸。

光子「帰ってくる場所が決まっとるけん、遠くまで行けるっちゃ」

優子「うん。博多発、世界行き。—うにゃ」

光子「—だらぱ〜」


上がって、髪を乾かし、パジャマに着替える。

寝室の灯りを落とす前、指切りみたいに小さく小指を合わせた。


光子「また明日も、音で連結しよ」

優子「もちろん。おやすみ、みっちゃん」

光子「おやすみ、優ちゃん」


家は静か。遠くで冷蔵庫が低く鳴っている。

博多に戻ってくる未来を胸に、ふたりはすっと眠りへ落ちた。

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