ジュネーブスピーチ記念特別インタビュー
国連ジュネーブ《ロサンゼルス組曲》出演者名簿(暫定版)
提出日:20XX年8月1日
公演日:10月下旬(閉会直前 20分枠)
編成:フル・シンフォニック(約60–68名)
音楽スタッフ
•指揮(Conductor):前原 (福高・吹奏楽部 顧問/音楽監督)
•作曲/オーケストレーション(Composers/Orchestration):小倉 光子★(2年/Tuba)、小倉 優子★(2年/Perc.)
•オーケストラ・アドバイザー/ピアノ首席:小倉 美香(福響/Pf)
•ステージマネージャー:大川 達也★(3年/Brass 係・Tuba Cover)
•ライブラリアン:鹿島 さおり★(2年/資料・パート譜)、小林 樹里★(2年/印刷・譜めくり)
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弦楽器 Strings(福響中心)
•コンサートマスター(Vn1 Concertmaster):志水 玲奈(福響)
•ヴァイオリン I:6–8名(福響)
•ヴァイオリン II:6–8名(福響)
•ヴィオラ:6名(福響)
•チェロ:6名(福響)
•コントラバス:4–5名(福響)
•ハープ:伊東 陽菜(福響)
※弦は全員福響。福高生はステージ業務に回り、必要箇所で客演(譜めくりなど)を担当。
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木管 Woodwinds
•フルート Fl.:
•井原 千紗(福響/首席)
•田村 美帆★(1年/2nd補助・Picc.サポート)
•オーボエ Ob.:山下 理紗(福響)、藤本 慧(福響)
•クラリネット Cl.:
•三宅 悠斗(福響/首席)
•藤井 明日香★(1年/2nd補助・E♭Cl.兼任)
•ファゴット Fg.:高城 泰央(福響)、川端 紗英(福響)
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金管 Brass
•ホルン Hn.:
•村瀬 絵里(福響/首席)
•鈴木 怜(福響)
•田村 洸介(福響)
•佐々木 遥★(1年/4th補助・a3時に乗り番)
•トランペット Tp.:
•甲斐 俊介(福響/首席)
•原 大輝(福響)
•高橋 直樹★(1年/3rd補助・Picc.待機)
•トロンボーン Tb.:
•西園 徹(福響/首席)
•大谷 瑛(福響)
•山本 沙羅★(1年/Bass Tb.カバー)
•チューバ Tuba:
•江口 篤史(福響/首席)
•小倉 光子★(2年/Feature/2nd Tuba & Solo)
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打楽器・鍵盤 Percussion/Keyboards
•ティンパニ:倉田 誠(福響)
•打楽器(小物・大太鼓・シンバル・鉄琴・チャイム等):
•牧野 凜(福響)
•早瀬 悠(福響)
•小倉 優子★(2年/パートリーダー・主要見せ場担当)
•中村 海斗★(1年/Aux Perc.)
•ピアノ/チェレスタ:小倉 美香(福響/Pf)
•キーボード・オフステージ(必要時):小春(ファイブピーチ★/Key)※芸名登録
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福岡高校 吹奏楽部(選抜・ステージ業務/補助)
•鹿島 さおり★(2年/譜面進行・木管補助)
•小林 樹里★(2年/譜面進行・金管補助)
•朱里(2年/Sax・ステージクルー※本編は非乗り番)
•井上 菜摘★(1年/低音運搬・Tubaカバー)
•黒木 航平★(1年/低音補助 ※本編は非乗り番)
•田中 健太★(1年/Cl.セクション補助)
•松岡 拓真★(1年/サックス隊サポート・舞台転換)
•ほか福高サポート若干名(名簿別紙)
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クレジット(配布パンフ等)
•Suite “Los Angeles”
Music & Orchestration: Mitsuko OGURA / Yuko OGURA
Piano Solo: Mika OGURA(Fukuoka Symphony)
Conductor: [Mr./Ms.] Maehara(Fukuoka HS)
Orchestra: Fukuoka Peace Orchestra(Fukuoka Symphony + Fukuoka HS Selects)
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連絡先(窓口)
•事務連絡・総括:福岡県立福岡高等学校 吹奏楽部顧問 前原(メール/電話)
•楽曲・技術:小倉 美香(福響)/小倉 光子・小倉 優子(福高2年)
•ステージ実務:大川 達也(福高3年)
放課後の音楽室。窓の外は茜色。譜面台に置いた「Suite “Los Angeles”」の総譜を撫でながら、ふたりは小さく息をついた。
「うちらの作った曲が、ここまで大きくなるとは、想像もしてなかったね」
「ほんとよ。部室で“あんれまんまぁ”言いながら小節削ったり足したりしよった曲が、ジュネーブで鳴るっちゃろ? 背筋シャンなるね」
スマホが震える。美香からのメッセージ——「テンポⅢの弦、弓順OK。ブラスの和声、泣ける」。続けてキャサリン、ライアン、ソフィーからも「We’ll be watching you.」「Proud of you!」の短い応援が届く。
「責任、でかいね」
「でもさ、曲が大きゅうなったっちゃ、芯は変わらん。“笑いと音で心あっためる”——それだけやん」
前原先生がドアから顔をのぞかせる。「本番の“間”は、君らの言葉そのものだ。自分たちの歩幅で、堂々とな。」
ふたりは目を合わせ、拳をコツン。
「不安で固まったら——」
「——深く吸って、“あんれまんまぁ”。」
譜めくりの角に小さく書いたメモが目に入る。“For kids who forgot how to smile.”
光子が微笑む。「ジュネーブでも、うちらの博多の風、吹かせるばい」
優子がスティックケースを肩に掛ける。「行くばい、ジュネーブ。笑顔、降らせよ」
その瞬間、音楽室の空気が少しだけ軽くなった。曲はもう、ふたりだけのものじゃない。みんなの手で、世界へ。
夜の部室。ふたりは国際電話の国番号を確かめてから、LAのスタジオにビデオ通話をつないだ。
画面の向こう、グランドピアノとドラムの間で、YOSHIKIさんが微笑む。
YOSHIKI「久しぶり。ロサンゼルスからこんばんは……いや、日本はおはよう、かな?(Hi! Good to see you again.)」
光子「おはようございます! ご無沙汰しとります。実は——スイス・ジュネーブの国連で、うちらの“ロサンゼルス組曲”をフル編成で演奏することになったっちゃん。」
優子「外務省から正式にOK出て、福岡交響楽団と福岡高校の選抜でいく予定です。そこで、プロデュースの先輩として、アドバイス頂けんですか?」
YOSHIKIさんの目がふっと柔らかくなる。
YOSHIKI「Amazing。君たちらしいニュースだね。まずはおめでとう。(Congratulations.)国連のホールは“響き”が主役になる。音量よりも“間”と“残響”をデザインするつもりで。特にスネアとバスドラは短めに置いて、余韻で語らせるといい。」
優子「了解です。キックは詰めすぎず、間合いを残す、ですね。」
YOSHIKI「うん。それと、pppからfffまでの“振れ幅”を恐れない。弱音で客席を前のめりにしてから、一撃で解放する。“Silence is also a note.”」
光子「ベースはどうしましょ? 低域が回る会場やと、音像がボヤけがちで……」
YOSHIKI「アタック位置を1〜2msだけ遅らせる意識を持って。ドラムのアタックの“影”に入ると輪郭が出る。あとサステインは右手で“歌う”つもりで——押さえっぱなしじゃなく、音程の芯を撫でる。」
優子「呼吸とメンタル面は? 緊張で走らんようにするコツ、あります?」
YOSHIKI「カウント“1”の前に、必ず“0”を吸う。深呼吸して“無音の小節”を自分に与える。クリックは使わず、コンサートマスターの弓と君の右足の“呼吸”を同期させること。君たちの合図“あんれまんまぁ”——あれ、いいよ。科学的にも理にかなってる。」
ふたりは思わず笑って、いつもの拳コツン。
光子「よっしゃ、ジュネーブでも“あんれまんまぁ”やね。」
YOSHIKI(笑)「それ、世界に流行るかもね。(It might trend worldwide.)」
彼はピアノの蓋を半開きにして、組曲のテーマを軽くなぞる。透明な和音がカメラ越しに部屋を満たす。
YOSHIKI「このイントロに“星屑の呼吸”を足してみない? ストリングスはソルGのハーモニクス、打楽器は弓で擦るシンバルをppppで。僕のピアノ・パッドのステム(2トラック)を今夜送るよ。必要なら使って。」
優子「まじで助かります! ありがとございます!」
光子「YOSHIKIさん、ほんと背中押されました。」
YOSHIKI「最後に——君たちが信じてる“笑いと音で心を温める”って軸、絶対手放さないで。国連のステージでも、君たちのフィロソフィーが一番の“武器”になる。If you need me on video for a short message, I’ll record one tonight.」
優子「ぜひ! 開演前のメッセージで流したいです。」
光子「ジュネーブ終わったら、またLAにも寄るけん。」
YOSHIKI「待ってる。Break a leg——いや、日本流に言うなら“あんれまんまぁ”で。」
通話が切れたあと、ふたりは同時に深呼吸。
スマホに届いた新着メール——“YOSHIKI_pianoPad_v2.aiff / bowCym_fx.wav”。
博多の夜風がカーテンを揺らし、譜面台の角のメモが光る。
「行こっか、ジュネーブ。音と笑いで、世界あっためるばい。」
「うん。YOSHIKIさんのステムも一緒にね。」
吹奏楽コンクール、九州大会へ
朝いちの楽器搬入。ケースの金具が「カチン」と鳴るたび、みんなの背筋がのびる。
前原先生が短く言う。「深呼吸。今日やることは、もう身体に入ってる」
チューニング室。A=442Hz、オーボエの基音に空気が整列していく。
光子が低音をそっと支え、優子がマレットのフェルトを指で確かめる。
「緊張しとる人、手ぇあげて」と光子。
何本も上がる手。
「じゃ、吸って——“あんれまんまぁ”」
全員で小さく笑い、肩の力がストンと落ちる。
本番
袖で前原先生が目配せ。「行くぞ」
並び方、譜面台の高さ、ミュート位置——無駄がない。客席のざわめきがスッと引く。
I. Gate 67 Dawn(夜明けのゲート)
ピアニッシモの弦代替(木管群)に、ハープ代わりの鍵盤。優子がボウド・シンバルを極小で擦り、“星屑の呼吸”がホール天井へ昇る。光子のB♭が床から温度を上げ、朝が“立ち上がる”。
II. Freeway Sapphires(フリーウェイの蒼)
サックスがモチーフを投げ、トランペットが反射。打ち込みでは出せない“溜め”を、優子がキックの間合いで描く。走らない。けれど前に進む。
III. Little Hands, Little Hopes(小さな手、小さな希望)
クラリネットとフルートが児童合唱のように呼吸し、内声のホルンが包む。光子のロングトーンは“押さえる”のではなく“撫でる”。客席の空気が、静かに前のめりになる。
IV. Sunset over Santa Monica(夕映え)
ハーモニーが橙から群青へ。ここで一度、全員が“無音の小節”を吸う——“0”の呼吸。
コーダでブラスがfff。けれど音は“吠えずに鳴る”。ホールの残響が曲の最後の一員になり、静寂が落ちる。
……一拍、二拍。
割れんばかりの拍手。
袖に戻るや否や、みんなで小さく拳を合わせる。
「やったね」
「まだ終わっとらん。結果、聴こ」と優子。
結果発表
ステージ袖モニター前。番号が読み上げられていく。
「——福岡高校、金賞。代表」
一瞬、音が消えたように感じて、次に世界が爆発した。泣き笑い、ハグ、前原先生の目に光。
「ようやった。ここから、九州。」
美香からメッセージが届く。
「泣いた。音が“届いとった”。次のステージも、誇りを持って。」
光子はチューバケースを撫でて、ぽつり。
「全国、見えてきたばい。行こ、みんなで。」
優子がマレットを握り直す。
「うちらの“音と笑い”で、最後まで駆けぬけるっちゃん。」
次の目標は、九州大会——そして全国へ。
今日の金色は、ゴールじゃない。合図だ。
蝉が遠くで鳴いている。福岡大会の興奮が静まり、部室には次の地図——「九州大会」の文字が貼られた。空調の効いた音楽室でも、譜面台には夏の湿気がまとわりつく。朝の基礎合奏、前原先生のタクトがすっと上がる。
「よっしゃ、全国へ続く夏の後半戦や。まずは“ロサンゼルス組曲”一楽章、テンポ112固定。低音、土台よろしく!」
光子はチューバのマウスピースを軽く湿らせ、腹から息を流す。
「任せとって。土台、がっつり築くけん。」
優子はスコアとメトロノームを睨み、打楽器セクションへ目配せする。
「パーカス隊、クリック112に合わせて“タッ・タタッ”の跳ね方、粒そろえるよ。スネアは立ち上がり硬くならんごと。」
午前は徹底して基礎。ロングトーンで響きの芯を探し、チューニングは442に統一。呼吸の合わせ方を、手拍子と歩きで身体に刻む。1年の面々も表情が締まってきた。
「光子先輩……この和音、もっと柔らかくしたいっちゃけど?」
(ホルン・佐々木 遥)
「遥ちゃん、舌べったりにせんで、スーッと息先に置いてから音を‘乗せる’イメージ。口角ちょい上げ、ベルは床に音を溶かす感じね。」
「優子先輩、このシンバルのスwell、最後だけ強に割れるっちゃん……」
(打楽器・中村 海斗)
「海斗、肘で振らんで手首で空気を抱き込む感じ。音の“カド”を取ってごらん。はい、もう一回——そう、それそれ!」
休憩の合図が出ると、汗だくの1年・田中健太(Cl)が譜面を抱えて駆けてくる。
「先輩……さっきの掛け合い、裏拍で前にこけるっちゃん。どう踏ん張ればよかと?」
優子が指で小さく四分を刻み、言葉でリズムを打ち込む。
「“タ・タタ|タ・タタ”って言いながら足は“トン・トン|トン・トン”。口と足を別々に回す練習、今ここで30秒だけやろ。……ほら、できるやん。」
光子が親指を立てる。
「健太、いまの感覚忘れんどき。裏は“怖くない”。乗れたら気持ちいいけん。」
午後は分奏。木管は鹿島さおり(Cl)主導で、長いフレーズの息配りを統一。
「吸うとこ“ここ”で一斉にね。切り方は‘ン’を言わん。音だけ置いていくばい。」
金管は大川先輩と樹里(Tp)でアタックの粒立ちを磨き、低音は光子が菜摘(Tuba)に姿勢から教える。
「菜摘ちゃん、座面半分だけ座る。背骨すっと伸ばして、息はストローじゃなく“ホース”。ドドーンって床に流すばい。」
「……わ、下が鳴る!」
「やろ?その感じで本番まで友達になっとき。」
パーカッション室では優子がメトロノームを止め、静かに言う。
「クリック外す練習もしとくよ。みんなで“呼吸”で合図——せーの。……そう、今の“揃った”が合図。機械に頼らん感覚、ここから先の武器やけん。」
夕方、全体合奏。第三楽章のクライマックス、ダイナミクスが波のようにうねる。前原先生が止め、譜面に赤鉛筆を走らせる。
「今の山、2小節早い。欲しがらんで“溜めて”からドン、や。光子、優子、その波の芯を作るのはお前らや。」
「了解。じゃあ合図は私の吸いで——みんな、私の肩が上がる“前”に息、準備しとって。」(光子)
「スネアは直前1%だけ我慢、落ちた瞬間に100%。全員で“同時に景色が開く”絵、描こ。」(優子)
もう一度。今度は会場の空気がふっと変わる。最後の和音がホールの天井に吸い込まれていく。沈黙。
そして前原先生の小さな頷き。
「……それや。九州で鳴らす“芯”は今のや。」
片付けのあと、円陣。楯の写真がスマホの壁紙になっている二年と、まぶしそうにそれを見る一年。光子が短く息を吸い、笑う。
「全国のドア、こじ開けるまでやめんけん。」
優子が手を差し出す。
「声出すよ——“あんれまんまぁ”で肩の力抜いて、いざ行くばい。」
全員の手が重なる。
「あんれまんまぁ——!」
音楽室の扉が閉まる。残ったのは、譜面から立ちのぼる微かな紙の匂いと、次のステージへ続く、夏の熱気だった。
テレビ特集「笑いと音で、平和をつかむ—小倉家の素顔」
—小倉家・リビングにて収録
記者「国連の平和大使“日本代表”として、光子さんと優子さんが10月にジュネーブへ。ご家族として、率直なお気持ちは?」
美鈴(母)「びっくりしたのが正直です。でも“あの子たちらしい”とも思いました。笑いと音楽で人の心をほどく——家の中で毎日やってたことが、世界につながっただけ、という感じです。」
優馬(父)「親としては誇らしかねぇ。けど、浮かれすぎず“いつも通り”で行け、とだけ伝えました。舞台も学校も、家も同じやろ、って。」
記者「幼少期から今まで、どんな毎日を?」
美鈴「朝は早起き。発声と基礎練を15分、朝食のあとに新聞とニュース。学校、部活、帰宅して夕食づくりをみんなで分担、宿題と作曲・台本メモ、就寝前に読書。型を作ることで、自由にふざける“余白”も生まれるんです。」
記者「“笑い”はいつから?」
優馬「物心ついた時から(笑)。ただ家訓があって——
①人を傷つけない笑い
②弱い立場の人の味方であること
③困ってる人を見たら先に手を伸ばす。
この3つは、どんな賞より大事やと、ずっと言い続けました。」
美香(姉)「私自身、過去につらい経験があって、笑えない時期が長くありました。そんな私を、毎晩のドタバタと真っ直ぐな言葉で救ってくれたのが、あの子たちなんです。だから“笑いって命を守る力なんだ”って家族全員、身をもって知っています。」
記者「育て方で気をつけたことは?」
美鈴「“正解を急がせない”ですね。観察して、自分の言葉を探すまで待つ。失敗は叱るより“解きほぐす”。有名な“洗濯機プリン事件”も、怒鳴るより先に“なぜ起きたか、次はどう面白く回収するか”を話し合いました。結果、コントと曲になって、全国の人が笑ってくれた。失敗は創作の種です。」
記者「学びと活動の両立は?」
優馬「“毎日1ミリ前へ”。テスト前でも基礎練は切らん、代わりにスマホ時間を削る。寄付や国際交流は“有名だからする”じゃなく“必要がそこにあるからする”。ニュージーランドやカナダ、ロサンゼルスの施設とのやり取りも、宿題みたいにカレンダーに組み込んどります。」
美香「現場で心が凍ってる子に会うと、まず表情をほぐす“短い笑い”から始めるんです。そこへ音楽をそっと重ねる。二人はその順番が本当に上手い。」
記者「二人の“強み”は何だと思いますか?」
美鈴「観察眼と、言葉の温度。冗談のスピードは超速いのに、相手の痛みには立ち止まれる
観察眼と、言葉の温度ですね。冗談は超速でも、相手の痛みには必ず立ち止まれる。“笑わせる前に、まず安心させる”が癖になってます。」
優馬(父)「それと“ギャグ→真面目”の切替スイッチ。家では『赤/青(本気)』って合図があるんです。青に入ったら一切ふざけない。だから学校やステージでも芯がぶれんのです。」
記者「ネット時代ならではの心配は?」
美鈴「あります。誹謗中傷や虚報への備えとして“事実・一次情報・第三者確認”の三点セットを習慣化させました。相談先の大人リストも常に更新。二人が誰かを守る前に、まず自分を守る練習です。」
美香(姉)「寄付やコラボは“透明性ファイル”を必ず作る。入出金の流れ、支援先の声、成果の記録——全部本人たちが読み上げられる形に。善意を仕組みに変えるのも、継続のコツだから。」
記者「日々の健康管理は?」
優馬「睡眠7時間死守。発声・体幹・手首のケアは“歯磨き扱い”にして毎日。笑いも体力勝負ですから。」
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記者「顧問の先生から見た二人は?」
前原先生(福岡高校・吹奏楽部顧問)「“台本なしで秩序を作る”希有な生徒です。場を沸かせても、合図ひとつで静寂に戻せる。ロサンゼルス組曲の指示も的確で、若いのに“譜面の後ろ側”を語れる。」
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記者「ジュネーブへ。準備は?」
美香「スピーチは“3分×3段”構成にまとめています。①笑いが心を解氷する話、②音楽で共鳴が生まれる話、③寄付と現地連携の仕組み。英語版・日本語版・要約版の三種。」
美鈴「演奏は“ロサンゼルス組曲”。福岡交響楽団と高校からの選抜で再編。現地の子どもたちとつなぐ短いコール&レスポンスも入れました。」
優馬「“平和は抽象ではなく習慣”と伝えたい。だから当日は、誰でも明日からできる3つの行動も提示する予定です。」
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記者「最後に、光子さん・優子さんご本人から。」
光子「私たち、家ではずっと笑って歌ってただけなんです。でも、その“だけ”が誰かの夜を明るくすると知りました。ジュネーブでは、“笑いはぜいたく品じゃなく、心のライフライン”って、まっすぐ伝えます。」
優子「ギャグは軽くて、想いは重く。傷ついた人の尊厳を、音と言葉でそっと起こせるように。世界がピリつく時こそ、笑いの出番やけん。“赤→青”の切替で、ちゃんとやってきます。」
美鈴「帰ってきたら、まずは家カレーです(笑)。いつも通りで、また次へ。」
優馬「うん、“毎日1ミリ前へ”。それがうちの平和の作り方やけん。」
――舞台は小倉家のリビング。録音の赤ランプが点り、取材開始。
記者「今日は、光子さん・優子さんの“素顔”をお聞かせください。まずはお父さまの優馬さんから。お二人、家ではどんな性格ですか?」
優馬「光子は“思いついたら体が先”の太陽系ボケ担当やね。なんでも遊びに変える天才。優子は“秒で道筋つける”ツッコミ隊長。ふたりでお笑い発電所たい」
記者「たとえば、最近の“発電”エピソードは?」
優馬「名物は“洗濯機プリン事件”。光子が合宿帰りにプリン入れたまま洗濯機回して…(苦笑)。優子が『この脱水プリンが黙っちゃいないぜ』ってバキッと締めて、家族全員ダウン」
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記者「美鈴さん、母として見る長所と短所は?」
美鈴「長所は“人の痛みにすぐ反応できる”とこ。困っとる人を見捨てん。短所は…元気が有り余って事件(=ギャグ)を産みがち(笑)。でも切り替えは超速いです。舞台前は“あんれまんまぁ”で呼吸を整えて、音楽モードに入ると目つきが職人になる」
記者「学業との両立は?」
美鈴「毎朝晩のニュースチェック、新聞の切り抜き、復習ノート。クイズ番組で知識の抜けを埋めるのがルーティン。塾は行かんけど、聞く・まとめる・教え合う、が徹底しとるけん強いです」
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記者「美香さん、姉の立場から見た二人は?」
美香「光子は“景色を描く作曲家”。低音(チューバ/ベース)で物語を支えるタイプ。優子は“時間を支配する指揮者的ドラマー”。段取りと心拍の管理がうまい。ふたりの合わせ技で、笑いも音も崩れない骨格ができる感じ」
記者「プロの目から、音楽面での強みは?」
美香「①リズム精度と体力(長尺でも落ちない)
②言葉の解像度(MCや対話が音楽の導入になる)
③社会と接続する企画力(ロサンゼルスでの交流、寄付活動、平和メッセージを“曲”に落とす)
この三つが同時に回っとるのが稀有です」
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記者「二人は社会的な場面でも存在感があります。正義感の源は?」
優馬「家訓は“強い言葉ほど、優しい目的で”。危ない現場を見たら通報・保護・記録を先に。光子が動いて、優子が要点を整理して話す。言葉の力を信じとる」
美鈴「“笑い→安心→本気”の順で寄り添うこと。相手の尊厳を潰さず、でも線は引く。その練習を家で毎日やってる感じです(笑)」
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記者「家庭での役割分担は?」
美鈴「料理と家計簿は私。洗い物と買い出しは優馬。…ただし買い出しは高確率で“ネタ”を拾って帰ってきます」
優馬「ネタは資源やけん!(ドヤ)」
美香「私は楽曲監修と“生活のテンポ”係。双子(春介&春海)のギャグ暴走は…誰か止めて(笑)」
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記者「音楽家・お笑いとして、今いちばん伝えたいことは?」
美鈴「“戦う場所はスポーツと討論だけ”。鉄と爆薬の雨より、笑いと笑顔の雨を。」
優馬「笑う間、人は憎めん。笑いは呼吸やけん、生き返る」
美香「音楽は“同時に息をする”体験。笑いは“同時にうなずく”体験。どっちも、人を孤独から連れ戻す力があると思っとる」
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記者「最後に、光子さん・優子さんへメッセージを。」
優馬「胸張って、間違いは“笑い”じゃなく“嘘”やって言える大人になれ」
美鈴「調子が悪い日こそ、ごはん・睡眠・家族。舞台は逃げんけん」
美香「“優しさ→技術→ユーモア”の順で。順番を間違えんかったら、どんな場所でも通用するよ」
(録音停止。取材後も、台本なしの家族漫才がしばらく続いたのは言うまでもない。)
――小倉家インタビュー・続編(記者質問)
記者「SNSの発信や周囲の評判から、“苦しむ人を見捨てない”“平和・反戦への強い思い”が伝わってきます。実際はいかがですか?」
優馬(父)「うちは家訓でね。“強い言葉ほど、優しい目的で”。現場で困っとる人を見たら、①通報、②安全確保、③傾聴。この三つは迷わん。反戦は理屈やなくて“顔”の問題やと感じとる。被害者の顔、支援者の顔を知ったら、笑いは敵意を溶かす仕事に変わるけん。」
美鈴(母)「“目の前のひとり”を助けると決めて、やったことは可視化する(活動報告・寄付の透明化)。燃え尽きんように、休息と専門家連携も同じくらい大事。毎日の選択で暴力へ寄らない――それが私たちの平和です。」
美香(姉)「私は虐待で笑いも涙も失っとったけど、言葉と音楽に救われた側。だから“見捨てない”は私の約束。芸は刃物、使い方次第で人を傷つけも癒やしもする。ロスやNZ、カナダの子たちとの交流で、国や言語より先に“呼吸と笑顔”が通じるって確信したよ。」
光子「私らの現場ルールは五つ。1) 安全の確保 2) 事実の記録 3) “味方”を宣言 4) 制度につなぐ 5) 最後に笑いで呼吸を取り戻す。
平和メッセージはずっと同じ。“鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を”。戦っていいのはスポーツと討論だけやけん。」
優子「SNSは“アイスブレイク→共感→行動”の三段階。ヘイトや加害の正当化はネタにしない、当事者性の確認、出典とファクトチェック、誹謗中傷は記録して然るべき窓口へ。笑いは盾にも橋にもなるけん、使い方に責任を持つって決めとる。」
さおり(仲間代表)「身近な平和は足元から。学校では“声かけ・見守り・相談先の可視化”を続けつつ、環境や福祉の企画も一緒にやる。笑いは参加のハードルを下げる最強の合図やけん。」
記者「今後の約束を、ひと言ずつ。」
光子「“見捨てん”。これは合言葉。」
優子「“煽らん・侮らん・諦めん”。これは運用指針。」
美香「笑いと音で、人を孤独から連れ戻す。」
優馬・美鈴「家族で背中を押し続ける。」
記者席のざわめきがすっと細くなる。
「“鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を。”――重い。けど、あの二人は本気だ」誰かが小声でこぼす。
光子がマイクへ一歩。
「重たいからこそ、笑いの出番です。痛みをごまかすためやなく、行動に背中を押すために。」
優子が続ける。
「戦っていいのはスポーツと討論だけ。私たちは、言葉と音楽で“敵”を作らず、味方を増やすやり方を選びます。」
そしてふたりは具体策を三つだけ挙げた。
1.ジュネーブでのスピーチ――被害者の“顔”が見える物語を語る。
2.『ロサンゼルス組曲』のフル演奏――涙で終わらず、拍手で始まる物語に変える。
3.現地支援団体との連携・寄付の発表――“雨”を笑顔に替える仕組みを残す。
最後に、ふたりはゆっくりと会場を見渡す。
「雨の種類は、私たちが選べる。爆薬の雨か、笑顔の雨か。――私たちは後者でいきます」
拍手は長く、静かに続いた。記者たちは気づく。これは“名セリフ”ではなく“やり方”の宣言だ、と。
特別インタビュー:優馬 × 美鈴 × 美香
――「鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を。」その裏側
Q1. あのフレーズに、ご家族として何を感じましたか。
優馬:最初に聞いた時は胸がぎゅっとなりました。戦争や暴力に“正しさ”はあっても“救い”は生まれにくい。あの子らは救いのほうを選んだ、と思いました。
美鈴:言葉は軽くない。あの子たちは、笑いで人の肩の力を抜いてから、大事な話をそっと置いていく。その順番を大事にしてるんです。
美香:ステージの上の一言じゃなく、普段の暮らしの延長線。だからこそ重みがある。私は“宣言”じゃなく“実行”の合図に聞こえました。
Q2. ふたりの“笑い”は、どう育まれたのでしょう。
優馬:家の食卓ですね。失敗もケンカも、最後は笑いに落とす。反省はするけど、引きずらない。癖みたいなもんです。
美鈴:ニュースも一緒に見て、わからないことは調べる。シリアスを避けないで、でも怖がりすぎない。そのバランスが、あの子たちの“間”を作った気がします。
美香:私がしんどかった時、ふたりは毎晩のように小さなコントを作ってくれたんです。笑うと、呼吸が戻る。あの体験が、いまの彼女たちの背骨。
Q3. “困っている人を見捨てない”姿勢は、家庭の方針?
優馬:「見て見ぬふりをしない」は家のルールです。ただし“自分ひとりで背負わない”。警察や専門家に繋ぐ判断も含めて教えました。
美鈴:助ける側が折れてしまわないように、境界線を引くことも支援。そこは口酸っぱく。
美香:だから彼女たちは、笑い・言葉・仕組み(寄付や連携)の“三本立て”で動くんだと思う。
Q4. ジュネーブでは何を一番伝えてほしい?
優馬:被害の“数字”じゃなく“顔”。誰かの物語として届けば、心は動く。
美鈴:怒りの言葉より、希望の行動例。小さくても真似できる一歩を。
美香:音楽と沈黙の力。言葉を置きすぎず、余白で想像させる時間も持ってほしい。
Q5. 公の使命と、未成年としての安全。どう守りますか。
優馬:移動・会場導線はプロの警備と連携。オンライン発信は時間差と位置情報非表示の徹底。
美鈴:メンタル面は“セルフ・チェックリスト”を持たせてます。眠れてる?食べられてる?楽器は楽しい?――サインが出たら休む。
美香:私も同行できる場面は必ず同行。必要なら私が盾になります。
Q6. SNSでの反響や批判には?
優馬:批判は情報。感情的リプには反応しない。建設的な指摘はチームで検討。
美鈴:誤情報は一次情報で淡々と修正。ユーモアで受け流す時と、正面から説明する時を使い分けます。
美香:彼女たち自身の言葉で短く答えるのが一番届く。長文はファンサイトで丁寧に。
Q7. ご家庭での“平和の練習”ってありますか。
優馬:毎週“ニュース1本・ディベート10分”。勝ち負けより、相手の最後の一言を要約するのがルール。
美鈴:感情の言語化。「悲しい」「悔しい」を言えて初めて、相手に優しくできるから。
美香:そして締めは一発ギャグ。空気を軽くして終わる。明日に持ち越さない。
Q8. ロサンゼルス組曲を国連で演奏――親としての実感は。
優馬:身震いしました。練習部屋から世界へ。音が“居場所”を作るのを見た気がします。
美鈴:あの曲は旅の記録であり、祈り。フル編成で“人が人を支える音”になるのが楽しみです。
美香:ステージ袖で泣く準備はできてます。化粧、崩れるの確定。
Q9. ふたりが折れそうになった時、かける言葉は?
優馬:「今日は父の出番や。お前の“代打”を任せろ」――笑わせて肩代わりします。
美鈴:「休むのは逃げじゃない。次の一歩の準備」――温かい食事と抱きしめる時間。
美香:「泣いてからやろう」――泣く・寝る・食べる、基本を整えるのが私の役目。
Q10. 最後に、ジュネーブへ向かうふたりへ。
優馬:世界の真ん中で、いつものテンポで話してこい。笑いも忘れるな。
美鈴:あなたたちの“やさしい強さ”を信じています。帰りにちゃんと土産話、聞かせてね。
美香:怖くなったら、客席の一番前に私がいると思って。背中、押してるから。
――インタビューはここで終了。三人とも最後は同じ言葉を残した。「あの子たちは、笑いで人をひとりにしない。だから、私たちもひとりにはしない」。
国際ビデオ通話:福岡 × ウェリントン × バンクーバー × ロサンゼルス
― 光子&優子、世界の仲間に“笑いと音楽の平和”を語る
〔画面分割:福岡(光子・優子)/ウェリントン(Ryan & kids)/バンクーバー(Sophie & teens)/ロサンゼルス(Catherine & Sunlight Hope Children)〕
Mitsuko(光子)〔JP→EN〕
「みんな、つないでくれてありがとう!今日は“笑いと音楽でつながる作戦会議”にしようね。」
EN: “Thanks for hopping on! Let’s make this a quick strategy huddle for laughter and music.”
Ryan(NZ)〔EN→JP〕
EN: “First off—congrats on the Geneva invitation. What’s the core message you plan to bring?”
「まずはジュネーブ招待おめでとう。現地で伝えたい中核のメッセージは?」
Yuko(優子)〔EN→JP〕
EN: “That safety starts with dignity—and dignity starts when someone feels seen and heard. Humor softens fear so truth can enter.”
「安全は尊厳から、尊厳は“見られ、聴かれた”実感から始まる。ユーモアは恐れをほぐし、真実が入ってくる余白を作るっちゃ。」
Sophie(Canada)〔EN→JP〕
EN: “You support our centers financially, but how do you protect yourselves from burnout?”
「うちの施設を支援してくれてるけど、あなたたち自身の燃え尽きをどう防いでる?」
Mitsuko(光子)〔JP→EN〕
「まず“3つのS”:Sleep(寝る)、Soup(あったかいもの食べる)、Silly(アホなこと言う)。これ、毎日やるっちゃ。」
EN: “Our ‘3S’: Sleep, Soup, Silly. We rest, eat warm food, and say something delightfully dumb—daily.”
Yuko(優子)〔JP→EN〕
「あと“助けは分業”。抱え込まん。警察・専門家・学校と連携。うちらは“最初の一歩”の役。」
EN: “And we share help. We don’t carry it alone—police, counselors, schools. We’re the ‘first step,’ not the whole staircase.”
Catherine(LA)〔EN→JP〕
EN: “Can you blend music and comedy for our kids again? They still talk about your ‘Washer Pudding’ bit.”
「また音楽とコメディを混ぜてやってくれる? この前の“洗濯機プリン”を今も子どもたちが話してるの。」
Mitsuko & Yuko(即興ミニ・ワーク)〔EN/JP〕
Yuko: EN: “60-second reset. Everyone, deep breath—” / JP:「60秒リセットいくよ。深呼吸〜。」
All: EN/JP: “Inhale… and say: A-n-re-man-maa〜”
(画面の子どもたち、笑いながら一斉に発声。空気がふっとやわらぐ)
Jayden(LAの子・EN→JP)
EN: “Does laughing mean my pain is gone?”
「笑ったら、ぼくの痛みは消えるの?」
Mitsuko(光子)〔EN→JP〕
EN: “Pain doesn’t vanish; it becomes shareable. When we share it, it gets lighter.”
「痛みは消えん。でも“分け合える”ようになる。分け合えば、軽くなるっちゃ。」
Hana(Vancouverの子・EN→JP)
EN: “What will your Geneva music sound like?”
「ジュネーブでの音楽って、どんな感じ?」
Yuko(優子)〔JP→EN〕
「“旅”の組曲やね。出発の鼓動→出会いの和音→沈黙の祈り→笑いのリフレイン→“ただいま”の和声、で終わる。」
EN: “A ‘journey’ suite: heartbeat of departure → chords of encounter → a silent prayer → a refrain of laughter → a homecoming cadence.”
Ryan(NZ)〔EN→JP〕
EN: “If you could ask the world one thing from Geneva, what is it?”
「ジュネーブで世界にひとつ頼めるなら?」
Mitsuko & Yuko(同時)〔EN→JP〕
EN: “Replace rains of iron and explosives with rains of smiles and laughter.”
「“鉄と爆薬の雨”を“笑いと笑顔の雨”に置き換えて。」
Sophie(EN→JP)
EN: “We’ll stream your talk to our center if allowed.”
「許可が出たら、あなたたちのスピーチを施設で配信するね。」
Catherine(EN→JP)
EN: “And we’ll prepare a watch party with hot soup. Your ‘3S’!”
「うちは温かいスープを用意して“3S”で視聴会するわ。」
Yuko(優子・締め)〔JP→EN〕
「来月も定例でつなご。質問はいつでも送って。次回は“言葉の盾”ワークショップやるけん。」
EN: “Let’s do a monthly check-in. Send questions anytime. Next time: a ‘Shield of Words’ mini-workshop.”
Mitsuko(光子・博多弁で最後の一言)
「ほんなら、みんな—今日も生きとってくれて、ありがとね。笑いはうちらの合図やけん!」
EN: “Thanks for being here—being alive. Laughter is our signal flare!”
全員で画面に手を振る。
All: “See you soon / またねー!”
合同インタビュー(日本メディア)
―― 光子&優子「鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を。」
記者A:国連の場でのスピーチ依頼、おめでとうございます。まず今の率直な気持ちを教えてください。
光子:ありがとうございます。高校生の自分たちに務まるのか不安もありますが、「いま、ここから言えること」を誠実に届けたいです。
優子:背伸びはせん。けど、逃げもせん。そう決めとります。
記者B:スピーチの核になるメッセージは?
優子:「安全は尊厳から、尊厳は“見られ・聴かれた”実感から始まる」。その入り口を、音楽と笑いで開く――です。
光子:スローガンはいつも通り。「鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を。」これは私たちの合図です。
記者C:海外の施設支援について、具体的に教えてください。
光子:ニュージーランドのライアンさんの施設、カナダのソフィーさんの施設、ロサンゼルスのキャサリンさんが代表の Sunlight Hope Children に、グッズ売上の一部を継続寄付しています。
優子:寄付だけじゃなく、定期的にビデオ通話で交流。ミニ・コメディとミニ・音楽ワークで、心の体温を上げる時間を一緒に作っとります。
記者D:ロサンゼルスで作られたという“組曲”について。
光子:「旅立ち → 出会い → 祈り → 笑いのリフレイン → ただいま」の5楽章。現地の出会いと、子どもたちの表情の変化を音にしました。
優子:ジュネーブではフルオーケストラ版、国内では吹奏楽版とバンド版でも広げます。
記者E:学業と活動、どう両立していますか。
優子:時間割を“科目”じゃなく“集中力の波”で組みます。重い勉強→軽い作業→小ネタ作り…って循環。
光子:「3S」も徹底。Sleep(寝る)/ Soup/ Silly(気持ちよくアホになる)。燃え尽き防止に効きます。
記者F:コメディを“社会の課題”に向ける時、線引きは?
光子:「嘲笑」にしない。「一緒に笑える構図」になるまで作り直します。
優子:当事者の尊厳が最優先。強い表現は“権力・構造”に向け、個人には向けない。ここは鉄則です。
記者G:ネット中傷やいじめ問題にも発信していますね。
優子:被害者に「あなたは悪くない」と言い切ること、加害には「言葉の線引き」を可視化して返すこと。
光子:学校では「言葉の盾」ワークをやってます。テンプレではなく“本人の言い方”で返せる練習を。
記者H:博多弁の“軽やかさ”が武器に感じます。
光子:地元の言葉は体温があるけん。キツいことを言う時も、丸く届く。
優子:でも芯はぶれん。優しく、正確に、強く――これが私たちの口癖です。
記者I:YOSHIKIさんとの共演・制作も話題でした。学びは?
優子:限界の先で“沈黙を信じる”勇気。休符は音楽の一部、って腹落ちしました。
光子:世界基準の段取りとリカバリー。現場は愛で回す、も肝に銘じました。
記者J:アドリブ派と伺いました。台本は?
光子:ないです。骨組みだけ決めて“呼吸”で走る。
優子:阿吽でスイッチング。外したら素直に笑う。失敗も味方です。
記者K:ジュネーブでは英語で?
優子:英語本編+日本語抄訳。音楽と映像も併用して“ことばの壁”を下げます。
光子:海外の子どもたちともライブでつなぐ計画。許可は調整中です。
記者L:将来の展望を。
光子:高校・大学をちゃんと修めて、海外巡回のライブ&ワークを常設化。
優子:“笑い×音楽×教育”を仕組みに。学校と地域で回る小さな常設館、いつか作りたいです。
記者M:ご家族の存在は?
優子:土台。日々のケアも、笑いの質も、ぜんぶ家で磨かれる。
光子:母の厳しさと父の自由さ、姉のプロ根性と、甥姪の天真爛漫。全部が燃料です。
記者N:象徴的な一言で、あなたたちを紹介すると?
光子:「泣き顔に最初の笑い皺をつくる人」
優子:「沈黙に“だいじょうぶ”のラベルを貼る人」
記者O:最後に、読者・視聴者へ。
優子:どうか自分をあきらめんで。助けて、と言うのは弱さやなくて技術やけん。
光子:今日も生きとってくれて、ありがとう。いつか会場で、“あんれまんまぁ”一緒に言おうね。
――(一礼。取材終了後、記者席から自然と拍手)
国際リモート合同インタビュー
―― 接続先:ウェリントン(ライアン)、バンクーバー(ソフィー)、ロサンゼルス(キャサリン)
司会 / Host(Japan):
Q1. 光子さん・優子さんの支援や交流は、現地の子どもたちにどんな変化をもたらしましたか?
(EN) How have Mitsuko & Yuko’s visits and support impacted your kids on the ground?
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ライアン(Wellington):
A1. 「まず表情が変わりました。」 無表情だった子が、最初の冗談で肩を揺らして笑う――そこが回復の起点になりました。寄付は学習支援とカウンセリングの拡充に使っています。
(EN) “Faces changed first.” A child who hadn’t smiled started shaking with laughter at their first joke—that spark kick-starts recovery. Donations fund tutoring and more counseling hours.
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ソフィー(Vancouver):
A1. 「安心して笑う練習ができた。」 戦禍で“笑う=油断”だった子に、安全な笑いの時間を毎週つくれています。機材も支援してもらい、音楽ワークが常設になりました。
(EN) “They relearned safe laughter.” For kids from war zones, laughing once meant being careless. Now weekly sessions create a safe pocket of joy. Their gear helped us make music workshops permanent.
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キャサリン(Los Angeles)(Sunlight Hope Children 代表):
A1. 「尊厳が戻る。」 ステージと同時に“あなたを見ているよ”という視線を配ってくれる。寄付はメンタルヘルスと法務サポートにも充てています。
(EN) “Dignity returns.” Their shows come with a gaze that says, “We see you.” Funds also cover mental-health care and legal support.
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司会 / Host:
Q2. 3人から見た、光子・優子の強みは?
(EN) What’s their unique strength from your perspective?
ライアン:
A2. 「速やかに“場”を温める能力。」 30秒で警戒心が溶ける。しかも冗談の矛先は常に“構造”で、人ではない。
(EN) “Rapid warmth.” In 30 seconds, defenses drop. Their punchlines hit systems, never people.
ソフィー:
A2. 「説明しない、体験させる。」 倫理の授業ではなく、笑って涙して“わかった”に連れていく。
(EN) “They don’t lecture; they let you feel.” You end up understanding by laughing and tearing up.
キャサリン:
A2. 「約束を守る継続性。」 配信、手紙、次の企画。『またね』の後が、必ず来る。
(EN) “Follow-through.” After “See you,” they actually come back—with streams, letters, new plans.
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司会 / Host:
Q3. 具体的な使途や連携の次の一手を教えてください。
(EN) What do donations fund exactly, and what’s next in collaboration?
ライアン:
A3. 学習端末・被服・交通費、そしてトラウマケア時間の増枠。**次はNZ・日・加・米の“4拠点同時スマイル配信”**をやりたい。
(EN) Devices, clothing, transit, more trauma-care hours. Next: a four-city “Simul-Smile” stream: NZ–Japan–Canada–US.
ソフィー:
A3. 移民法の相談枠、語学補習、楽器購入を継続。卒業生メンター制度を一緒に立ち上げます。
(EN) Ongoing immigration clinics, language support, instruments. We’ll co-launch an alumni mentor program.
キャサリン:
A3. アートセラピーの常設化、法務外部連携の強化。年末に日米合同“笑い×音楽”ホリデー特番を企画中。
(EN) Making art therapy permanent; stronger legal partnerships. Planning a Japan–US holiday special: Laughter × Music.
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司会 / Host:
Q4. ジュネーブでのスピーチ&演奏に期待することは?
(EN) Hopes for their UN appearance?
ライアン:
A4. 「被害ではなく回復の物語を。」 可能性は輸出できる。
(EN) “A recovery narrative, not just harm.” Possibility is exportable.
ソフィー:
A4. 「政策と心の距離を詰める通訳に。」
(EN) “Be the interpreters between policy and the human heart.”
キャサリン:
A4. 「世界の子どもたちに“あなたは見られている”を届けて。」
(EN) “Let every child hear: ‘You are seen.’”
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司会 / Host:
Q5. 最後に、本人たちにメッセージを。
(EN) A message directly to them?
ライアン:
A5. 「その笑いは、南半球にも届いとるよ。」 またあそぼう。
(EN) “Your laughter reaches the Southern Hemisphere.” Come play again.
ソフィー:
A5. 「あなたたちの勇気は連鎖する。」 次はバンクーバーで大合奏を。
(EN) “Your courage is contagious.” Next time: a mass jam in Vancouver.
キャサリン:
A5. 「約束のクリスマス、みんなで。」 サンライトの子たち、カメラの前で待ってる。
(EN) “Christmas—together, as promised.” Our kids at Sunlight will be waiting on camera.
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(回線安定ののち、3拠点同時で手を振り合い、笑い声と拍手で終了)
教師インタビュー:博多南小 → 博多南中 → 福岡高校
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博多南小学校
受け手: 3年・4年担任/上村真理 先生、音楽専科/中園啓太 先生
Q(記者):小学生の頃の光子・優子はどんな児童でしたか?
A(上村):とにかく“よく観察して、すばやく言葉にする”子たちでした。クラスで誰かが困っていると、まず冗談で空気をやわらげてから、要点を短く伝える。叱るのではなく“気づかせる”のが上手でした。
Q:印象に残る場面は?
A(中園):合唱の合わせで緊張が高い時、二人が1分だけ即興コントを入れて全員を笑顔に戻したことがあります。その後の発声が見違えるほどよくなった。以降、学年行事の“場を整える係”は二人の指定席でした。
Q:学びの姿勢は?
A(上村):毎朝ニュースの要約を書いて持ってきていました。社会科で「質問の仕方」を教えると、翌週には低学年に向けた“やさしい質問カード”を自作して配っていたのも彼女たちです。
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博多南中学校
受け手: 生徒指導主事/田島浩 先生、吹奏楽顧問/森下千佳 先生
Q:中学期に伸びたところは?
A(田島):言葉の“威力”と“優しさ”の使い分け。いじめや冷やかしに対しては、事実と筋道でピタッと止める。一方で、当事者の孤立を防ぐフォローまで必ずセットでした。
Q:学校全体への影響は?
A(森下):定例朝礼で二人が“笑いとルールの両立”を話した翌週から、遅刻減・提出物の期限順守が目に見えて改善。吹奏楽では、基礎合奏のテンポ感をネタに置き換えて教えるアイデアを出し、下級生の理解が速くなりました。
Q:難しい出来事への向き合い方は?
A(田島):理不尽に対して「怒る」ではなく「整える」。記録をとり、関係者に“聴く順番”を設計し、最後は皆が下りられる“着地点”を示す。中学生でここまでできるのは稀です。
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福岡高校(声楽科)
受け手: 吹奏楽部顧問/前原俊郎 先生、学年主任(声楽)/山科朱音 先生
Q:現在の二人の強みを一言で?
A(前原):「設計された熱」。作曲(ロサンゼルス組曲)でもコントでも、場当たりに見えて下敷きは理詰め。リハのメモは秒単位、ダイナミクス指定は“理由”つきです。
Q:学業・部活・社外活動の両立は?
A(山科):時間管理の精度が高い。ニュースの要約→発声→基礎練→課題の“ルーティン化”で、学年上位の成績を維持。疲れている日は無理をせず、回復設計を先に立てるのも上手です。
Q:後輩への影響は?
A(前原):注意の言い方が秀逸です。「できていない点」を笑いで緩め、「できるようになる道筋」を具体化する。結果、後輩の“やらされ感”が消え、主体性が残る。合奏の集中が長持ちします。
Q:国際舞台に向けて期待することは?
A(山科):歌とユーモアで“心の翻訳”をしてくれるはず。ステージ後の言葉も含めて、平和を“体験”として届けられる二人です。
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先生方からの総括メッセージ
•「笑いは目的ではなく、学びとつながりの“導線”になっている。」
•「強く優しい言葉で、人と場を整える生徒。」
•「次の世代に“善い影響の連鎖”を残すだろう。」
記者は校門を背に歩き出し、胸ポケットのメモ帳を指で叩いた。
ページの隅には同じ言葉が何度も書き込まれている――「整える力」。
学びの現場で彼女たちが使っていた“笑い”は、ただの賑やかしではなかった。空気をほぐし、視線を揃え、次の一歩へ背中を押すための導線。叱責でも命令でもなく、言葉の角度を少し変えるだけで、人が自分から前に進むようになる。その設計を、彼女たちは自然にやってのける。
小学校では雰囲気を、
中学校では関係性を、
高校では時間と作品を――。
学年が上がるほど、整える対象が大きくなっているのに、根っこは変わらない。笑いは目的ではなく、合図だ。音楽は飾りではなく、橋だ。言葉は武器ではなく、羅針盤だ。
メモ帳を閉じる。
「この二人は、場当たりで奇跡を起こす天才じゃない。準備で奇跡を“再現可能”にする職人だ」
ジュネーブで彼女たちが鳴らす音は、きっと議場の天井よりも高く、誰かの心のいちばん暗いところまで届く。鉄と爆薬の雨ではなく、笑いと笑顔の雨を――。そのフレーズは、取材前よりも重く、しかし不思議と温かく胸に残った。
記者は編集部に電話を入れる。
「特集のタイトル、決めました――“笑いはインフラ、音楽は橋”。締め切り、前倒しでいきます」
特別インタビュー:共演者が語る「双子ちゃん」の正体
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明石家さんま
Q(記者):最初に会ったときの印象は?
A:最初から“仕上がってる”ねん。台本なしでスイッチ入った瞬間にお客さんの呼吸まで操る。収録終わったら毎回言うてるやろ?「今日は整骨院コースや」って(笑)。でもな、あの子らの笑いは“人をいじらへん”“現場を温める”んよ。そこがええ。
Q:一番やられた瞬間は?
A:「洗濯機プリンが黙っちゃいないぜ」や。あれ即興で膨らませて、オチまで綺麗に畳む。舞台袖でスタッフ全員うずくまってもうて、進行戻すの大変やったもん(笑)。
Q:プロとしての評価を一言で?
A:笑いの“伝送効率”が異常に高い。声楽の呼吸が土台にあるから、間と声量の出し入れが天才的。あれは芸歴やなく“設計”や。
Q:世界に出る二人へ。
A:言葉通じんでも笑いは通じる。せやけど現地の文化は必ずリスペクトしてな。あの二人なら大丈夫、わはは!
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YOSHIKI
Q:音楽家の目に、二人はどう映りますか?
A(YOSHIKI):まず“呼吸”が美しい。発声も打点も、微細なテンポの揺れを怖がらない。優子さんのドラミングは強靭だけど手首が柔らかい。光子さんの低音(ベース/チューバ)は重いのに抜ける――クラシックで鍛えた倍音設計がある。
Q:ステージで驚いたことは?
A:ハードな曲の直後に、あの“爆笑コント”へ切り替える体力と集中力。普通は交感神経張りつめたままで転換できない。でも彼女たちは“場”の心拍を下げる術を持っている。音楽家として尊敬します。
Q:社会活動について。
A:LAの施設に自分たちでアポイントを取り、寄付だけで終わらせず、必ず“再会の約束”を残していく。持続可能性を最初から設計しているのがすごい。音と笑いで人を抱きしめる、あれはアートの原点です。
Q:期待をひと言。
A:世界の大舞台で“日本のユーモア×音楽”の新基準になってほしい。必要なら僕もまたプロデュースしますよ。
⸻
所ジョージ
Q:所さん流に言うと、二人の“工作精度”は?
A(所):いいねぇ、“暮らし発明”。ネタがキッチンや洗濯機から生まれてくるでしょ? あれ、笑いの“DIY”だよ。失敗を面白がる設計図を家族全員が共有してる。ガレージでギター直すみたいに、気持ちをちょいと調律してくれる。
Q:現場で感じた強み。
A:段取りがやたらうまい。人を立てる、カメラの死角を作らない、子どもやお年寄りが入ってきたら必ず“役割”を渡す。だから場が事故らない。あれはセンスじゃなく“生活の技術”。
Q:世界へ。
A:肩の力はこのまんまで。異文化に行ったら、まずは“相手の工作”を見学だ。いい部品はすぐ真似して、ご機嫌に走り出せばOK!
⸻
ビートたけし
Q:芸の核心、どこに見えます?
A:笑いは刃物だ。切れ味だけじゃなく、鞘が要る。あの子らは“鞘の作り方”を知ってるから、人を傷つけないで切れる。たいしたもんだよ。
Q:印象的だった場面。
A:戦争の話をするとき、急に“間”が変わる。静けさを怖がらねぇ。で、最後はちゃんと日常へ帰す。客席を置き去りにしない覚悟があるね。
Q:若い表現者への助言。
A:でかいテーマほど“目の前の一人”に届けろ。世界平和は、まず隣の奴を笑わせることだ。バカヤローって言いながら抱きしめるのがいちばん効く。
Q:期待をひと言。
A:転ばねぇ程度に、派手に転べ。失敗が増えるほど芸はでかくなる。へへ、頑張んな。
⸻
まとめ(記者メモ)
四人に共通していたのは、
•「笑いは設計」「呼吸が美しい」「場を整える」――技術としての評価。
•「人を傷つけない」「再会を設計する」――倫理としての評価。
双子ちゃんの芸は“偶然の奇跡”ではない。日常を材料に、呼吸と間で組み立てる“再現可能な奇跡”。
ジュネーブでも、彼女たちはきっと同じやり方で世界を温める。笑いと音楽で。




