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妙ちくりんな夢。そしてジュネーブへの招待





夜、ベランダで名前遊びをして眠りについたその晩——二人は同時に、妙ちくりんな“改名世界”に迷い込む。



朝礼の校庭。拡声器から教頭の張りのある声。

「本日より名簿が最新に更新されました。えー…“脱水プリン みつ子”さん?」

「ちょ、待って!うちの名字、家電なん?」

周囲がザワつく。隣で優子——いや、名簿上は——

「“高速ツッコミ 優子”さん?」

「肩書きが名字になっとーやん!なんねそれ!」


二人は顔を見合わせる。

「みっちゃん、これ夢やろ?」

「たぶんね…でも人前で“脱水プリン”呼ばわりはキツか〜!」


場面はスライドするみたいに切り替わり、今度はTVスタジオ。

MCが満面の笑みで叫ぶ。

「今夜のゲスト、“フタマン・スパーク”こと元・光子さんと、“モレモレ・クイーン”こと元・優子さんで〜す!」

観客「うおおお!」

「誰がモレモレや!」

「誰がスパークやか!」

ツッコミを入れるたびテロップにでっかく《高速ツッコミ 優子》が点滅し、光子の肩口には謎のエンブレム《脱水P》がピコンと光る。


さらに夢は加速。空港の入国審査。

審査官がパスポートを眺めて眉を上げる。

“Are you Ms. Spin-Dry Pudding and Ms. Rapid Comeback?”

「い、いや…Yes…? ちゃうちゃう!(違うけどそれ私らやないと?)」

「Please… call us by our real names!(ほんとの名前で呼んでぇ!)」

後ろの列の乗客はクスクス。掲示板には《WELCOME, PUDDING & COMEBACK》の電光文字。

「空港まで悪ノリすな〜!」


瞬間移動するみたいに次のシーン。卒業式の舞台袖。表彰状には金文字で——

《笑撃芸名:アカリユイを授与する》

「そっちはちょっと格好よかけん、少し揺らぐね…」

「いや、うちは“脱水プリン”を先に食らっとるけん、もう戻したか」


ラストは教室。黒板の出席表はすべて改名後に。

“脱水プリン みつ子|高速ツッコミ 優子|プリン検定一級 美鈴|美の焼酎 優馬”…

「お父さんまで巻き込まれとるやん!」

「一家総ラッピングか。夢の悪ノリ規模デカすぎやろ…」


キーンコーン…と、どこからか始業を告げるチャイム。

二人は同時に目を覚ます。天井の影が、すっと朝の色に薄まっていく。


「……ゆうちゃん、最悪のタイミングで“脱水プリン”に改名させられた夢見た」

「うちも。“高速ツッコミ”が名字になっとった。なんばその運命名乗り…」

しばし沈黙。次の瞬間、二人は小さく笑った。

「やっぱ“光子”と“優子”がいちばんよかね」

「当たり前やん。光で照らして、優しさで包む。—それがうちらの本名やけん」

窓の外、朝の風がカーテンをふわり。

「ほら、現実いこ。まずは朝イチの“あんれまんまぁ”からや」

「了解。今日も名前負けせんごと、笑わせ倒すばい」


二人は布団を跳ね上げて立ち上がる。夢の中のふざけた名札は、目を開けた瞬間スッと消えた。残ったのは、いつもの呼び名と、胸の奥の決意だけ。今日も“光子”と“優子”で、世界にちょっとだけ明かりを足しに行く。




7月半ばの夕立のあと


湿った風が通る夕方。部活帰りで麦茶をがぶ飲みする二人。

家の電話が鳴る。優馬が出て目を丸くする。


「みっちゃん、ゆうちゃん。外務省さんやて。国連でスピーチせんか、っち」


「は!? うちら高校二年やけど?」(光子)

「よかやん。やるっちゃ。やらん理由がない」(優子)

「決まり! 夏休みは“笑いと音楽の外交”仕様やね」(光子)


美鈴は静かにうなずく。

「原稿は日本語と英語で用意。ボケは控えめ、最後に効かせること」



修正版タイムライン(7月〜10月)

•7/15 外務省から正式打診(電話)

•7/20 事前ブリーフィング@福岡→オンラインで国連手順説明

•7/下旬 スピーチ素案づくり(家で“原稿合宿”)/英語版ドラフト開始

•8月 吹奏楽合宿&コンクール準備の合間に、毎夕英語リハ&質疑想定

•ライアン/ソフィー/キャサリンとZoomで現場ヒアリング

•9/上旬 学校で公開練習スピーチ(HR時間・質疑つき)

•9/下旬 基金「Laugh & Light Fund」とSmiles Pen-Friend構想を正式化

•10/上旬 外務省・通訳チームと最終リハ(東京オンライン)

•10/下旬 ジュネーブ登壇&“Maison des Ponts”訪問(本番)



夏の準備ダイジェスト

•原稿磨き

事実→物語→提案→合言葉「あんれまんまぁ」の流れで再構成。

•英語の“間”練習

「笑いが起きるまで0.7秒待つ」をメトロノームで体得。

•現場の声

3拠点から“今必要な支援”を聞き、基金の四半期レポート公開を決定。

•学校巻き込み

生徒会と連携し、ペンフレンド企画のパイロット校を選定。

•旅の段取り

旅程・機材・衣装。※セキュリティで脱水プリンバッジ没収の恐れ→手荷物から外すと決めて爆笑。



教室リハ(9月)


ホームルーム。黒板にチョークで“SMILES, NOT SHELLS”。

光子が日本語、優子が英語で通し。

「鉄と爆薬の雨やなく、笑いと笑顔の雨を降らせよう」

最後にみんなで深呼吸——

「あんれまんまぁ」

教室の空気が一段やわらぐ。担任が小さく拍手し、クラス全員が続いた。





7/20 外務省オンライン・ブリーフィング


画面には「外務省 国際平和協力室」の背景。佐伯参事官と福永主査が並び、その隣に在ジュネーブの担当官エリス・マーティンの小窓。

小倉家のリビングでは、光子と優子、美鈴、優馬がノートPCを囲む。


「本日はお時間ありがとうございます。10月末、ジュネーブでの若者パネルに日本代表としてご登壇いただきたいと思います」


「うちら、全力でやるっちゃ。音楽と笑いで、平和ば届けるけん」(光子)

「段取りはお任せ下さい。ただし…ウケ狙いは“最後に一滴”で」(優子)


佐伯参事官が微笑む。

「ユーモアは素晴らしいが、要は“メッセージ”。構成は①体験、②問題提起、③具体策、④呼びかけ。英語スピーチ必須、日本語版も用意を。質疑は英語中心です」


優馬が手を挙げる。

「親として一点。脱水プリンの缶バッジを胸に—」

「没収されるけん、やめんしゃい」(美鈴・即ツッコミ)


エリスが続ける。

「当日は市内の子ども支援施設“Maison des Ponts(橋の家)”にもご案内できます。皆さんの“Laugh & Light Fund”の説明も歓迎です」


光子と優子、同時に小さくガッツポーズ。

「よっしゃ、やる気スイッチONばい」



原稿合宿(7月下旬〜8月)


ちゃぶ台に散らばるポストイット、録音メモ、Zoomの議事録。毎晩のように推敲が続く。


「導入は、うちらの“笑いの現場”から入ろうや。耳鼻科がサイン会化した話は一旦ボツ」(優子)

「じゃ、被災地の子と繋いだライブの日を核エピに。『笑いが痛みを一時的に無力化する』って仮説を置く」(光子)


二人は英語版も並走で書く。

「‘Make it rain smiles, not shells.’ はキー・フレーズ確定」(優子)

「呼吸も設計。オチのあと0.7秒“間”を取る」(光子)


廊下から顔を出す優馬。

「おやつ補給。博多通りもん」

「神サポ!」と二人。



現場ヒアリング(8月)


夜。ライアン(NZ)、ソフィー(カナダ)、キャサリン(LA)の窓が並ぶ。

必要支援、メンタルケア、継続性の難しさ——メモが増える。


「単発やなく、四半期レポ出そう。透明性で信頼つくる」(優子)

「学校発の“Smiles Pen-Friend”も9月始動で」(光子)



公開リハ(9月・HR)


黒板にチョークで “SMILES, NOT SHELLS”。

光子が日本語、優子が英語で通し、最後に全員で深呼吸。


「せーの、あんれまんまぁ」


教室の空気がふっと軽くなる。担任が拍手し、クラスが続く拍手で満ちる。



前夜の荷づくり(10月下旬の一週間前)


スーツカバー、譜面ファイル、USBバックアップ×3。

優馬がそっと脱水プリンバッジを紛れ込ませる——即、優子に見つかる。


「父上、没収。玄関で反省文、400字詰め」

「ひぇー」


美鈴は静かにチェックリストを読み上げる。

「パスポート、招待状、変換プラグ、のど飴。…そして“自分を信じる”」


「お母ちゃん、その最後がいちばん効く」(光子)



スピーチ骨子(抜粋/日英併記)


私たちは福岡の高校生です。毎日、音楽と笑いで人の心に灯りをともす練習をしています。

We are high schoolers from Fukuoka, Japan. Every day, we practice turning on small lights in people’s hearts with music and humor.


戦争は、未来の笑い声を奪います。

War steals tomorrow’s laughter.


私たちは“鉄と爆薬の雨”ではなく、“笑いと笑顔の雨”を降らせたい。

We ask the world to stop the rain of steel and explosives—and let it be a rain of smiles.


だから私たちは、支援基金Laugh & Light Fundを四半期報告で透明化し、学校発の文通Smiles Pen-Friendで、孤立した子どもたちと日常の言葉を交わします。

That’s why we run the Laugh & Light Fund with quarterly transparency, and the school-based Smiles Pen-Friend program to exchange everyday words with isolated children.


最後に、緊張をほどく合図を一緒に——深呼吸して、「あんれまんまぁ」。

And finally, let’s share a tiny ritual to loosen our shoulders—take a breath, and say: Anre-manmaa.


笑える社会は、争いを選ばない。

A society that can laugh is a society that can choose not to fight.


(※当日のユーモアは“最後に一滴”の予定)





シーン:作戦会議(放課後・音楽室)


優子「夏休み、コンクールもジュネーブ準備もフル回転やね。ロサンゼルス組曲、現地で流せたら心に刺さるっちゃ」

光子「やろ?スピーチの最後に“4分版”を生で、フル版はサイドイベントで。外務省に当たってみよ」

さおり「機材はピアノ+打+語りのデュオ版でいける?」

優子「いける。打ちは小物(カホン/グロッケン/ウィンドチャイム)に絞る。音量問題クリア」

光子「著作権は自作やけんOK。念のため“上演権・録音録画可否”の文面も添えとく」



連絡メール草案(日本語/英語)


件名:ジュネーブ登壇時の楽曲上演について(ロサンゼルス組曲・短縮版の提案)


佐伯参事官、福永主査

いつもご調整ありがとうございます。福岡高校・小倉光子/小倉優子です。

10月のジュネーブ登壇に際し、私たちが制作した《ロサンゼルス組曲》を、(1) 本会場での4分短縮版(ピアノ+打楽器+語り・英語字幕付)、(2) サイドイベントまたは訪問施設での15分完全版、いずれかの形式で上演できないかご相談です。

目的は「音楽×言葉」で平和メッセージを聴覚的・情緒的に伝えることです。音量・時間・機材制約に配慮し、下記の通り準備いたします。

•形式:デュオ(Pf/Perc+英語ナレーション)、もしくは再生音源+語り

•所要:短縮版 4’00、完全版 15’30

•機材:アップライト/グランド(会場仕様に順応)、小物打、ヘッドセット×1、場内スクリーン(任意)

•著作権:自作。上演・録音・撮影の許諾可(クレジット表記条件のみ)

•参考:音源デモ/譜面PDF/プログラムノート添付


ご検討いただければ幸いです。

小倉光子・小倉優子


———

Subject: Proposal to perform our “Los Angeles Suite” during Geneva appearance


Dear Mr. Saeki and Ms. Fukunaga,

We would like to propose sharing our original “Los Angeles Suite” either (1) a 4-min condensed version in the main session (piano + small percussion + spoken word with EN captions), or (2) a 15’30’’ full version in a side event / partner facility.

Goal: to communicate our peace message emotionally through music and words, within time/volume constraints.

Details attached: demo audio, score PDFs, program note, tech rider.

Best regards,

Mitsuko & Yuko Ogura



プログラムノート(和英・抜粋)


《ロサンゼルス組曲 / Los Angeles Suite》

—出会いが光になるまで—


この曲は、戦争や災害で家族を失った子どもたちと過ごした数日の記憶を、朝・午後・夜・約束の4場面で描きます。笑いは痛みを消しませんが、痛みが心を占領する時間を短くできます。その“短くできた時間”に、希望の種を置きたい。そんな思いで作りました。

This suite captures four moments—Morning, Afternoon, Night, Promise—born from days we spent with children who lost family to war or disasters. Laughter doesn’t erase pain, but it can shorten the time pain takes over the heart. In that shorter time, we plant a seed of hope.



上演フォーマット(選択肢)

1.本会場:4分短縮版(生)


•構成:Pf(小春 or 美香代役可)+Perc(優子)+語り(光子)

•英字幕スライド併走/音量小

•スピーチのクロージングに直結


2.サイドイベント:15’30完全版(生)


•同上+簡易映像(写真数枚)

•質疑と合わせて30分枠


3.訪問施設:再生音源+トーク&即興


•現場ピアノ事情不問、可搬スピーカーで対応



事前に送る添付物・持ち込み物

•デモ音源(mp3 192kbps以上)

•総譜・パート譜PDF(短縮版/完全版)

•テックライダー(必要マイク数、譜面台、椅子、電源)

•字幕スライド(英語)

•権利許諾レター(上演・録音撮影可、クレジット規定)



ナレーション抜粋(和英)


「笑いが降るとき、心の傘はいらなくなる。」

“When laughter falls, our hearts don’t need umbrellas.”


「鉄と爆薬の雨ではなく、笑いと笑顔の雨を。」

“Not a rain of steel and explosives—but a rain of smiles.”


(※短縮版はこの二行+ピアノ主題で完結)



タイムライン(ざっくり)

•7/○:外務省に提案メール送付(本会場4分/サイドイベント15分)

•8/上:可否回答→会場確定→機材確定

•8/中:短縮版完成、デモ納品

•9/上:字幕スライド・トークと接続リハ(オンライン)

•10/末:現地前日リハ→本番



最後に:電話でのひと言台本


優子「参事官、音量・時間は厳守します。“ユーモアは最後に一滴”にしますけん」

光子「でも、その一滴が、会場に“笑顔の雨”ば降らせます」




企画名


Los Angeles Suite – Cinematic Orchestra Cut(上映+短尺ライブのハイブリッド)


ねらい

•本会場では**収録映像(フルオーケストラ/吹奏楽フル編成)**を上映 → 情緒のピークを最大化

•上映後に**短い“生の一滴”(ピアノ+小物打)**で余韻を締め、メッセージを胸に固定



当日の進行(7〜12分枠/本会場)

1.司会(0:20)

 優子「今日は“鉄と爆薬の雨じゃなく、笑いと笑顔の雨を”という願いを、音に込めて持って来ました。」

 光子「まずは短い映像を——私たちの《ロサンゼルス組曲》です。」

2.映像上映(5:00 or 8:00の二択)

 - 5分版:第Ⅰ「Morning」→第Ⅳ「Promise」抜粋

 - 8分版:Ⅰ→Ⅱ→Ⅳ(ナレーション最小)

3.生のコーダ(1:30〜2:30)

 - ピアノ主題+ウィンドチャイム/グロッケン(極小音量)

 - 光子が一言:「When laughter falls, our hearts don’t need umbrellas.」

4.拍手→締めの挨拶(0:40)


サイドイベントや施設訪問では15:30フル上映(必要に応じてQ&A 10分)。



技術仕様(提出物)

•映像:H.264/MP4(本番用 1080p/25 or 29.97fps、字幕焼き込み版/字幕なし版の2種)

予備にProRes 422 HQ(MOV)も持参

•音声:48kHz/24bit ステレオ(-16 LUFS目安)/会場が対応すれば5.1も用意

•字幕:英語本編、会場言語に合わせたサブ(SRT別添&焼き込み)

•スライド:タイトル・クレジット・要約(PDF)

•テックライダー:再生PC+HDMI、ステージに譜面台1・椅子1、ヘッドセット1



権利・倫理チェック(最重要)

•出演者・施設の全員分の肖像使用許諾(未成年は保護者署名/施設包括許諾)

•センシティブ情報は個人特定回避(名札・住所等は映さない/必要ならモザイク)

•クレジットに施設名・代表名・協力者を明記

•国連会場での録画・写真について撮影範囲の事前同意を取得



収録〜編集スケジュール(例)


Day1(ホール収録)

•6カメ(正面FIX×2、クローズアップ×2、クレーン/ジンバル×1、客席リア×1)

•音声:メインLR+エリアマイクリボン/スポット多数→後日整音


Day2〜7(編集)

•仮編集→音整→字幕→カラー→レビュー(美香チェック)→納品


納品パッケージ

•5分版/8分版/15分版(各:字幕焼き込み/字幕別)

•スチル10枚(プレス用)

•60秒トレーラー(SNS用)



外務省・国連向けメール草案(映像版)


件名:ジュネーブ登壇における《ロサンゼルス組曲》上映のご提案(映像+短尺生演奏)


外務省 佐伯参事官/福永主査

小倉光子・小倉優子です。

当日、フル編成で収録した映像を5分/8分のどちらかで上映し、その後に90秒の生コーダ(ピアノ+小物打)で締めるハイブリッド構成をご提案します。

視覚+音響で最大限にメッセージを伝えつつ、会場制約(音量・時間)にも適合いたします。技術仕様・権利許諾の準備は完了次第まとめて提出します。

サイドイベント/施設訪問では15分フル版の上映も可能です。ご検討をお願いいたします。


———

Subject: Proposal to screen our “Los Angeles Suite” (orchestral film) + short live coda in Geneva


We propose a 5 or 8-minute cinematic cut of our suite (recorded with full ensemble), followed by a 90-second live coda (piano + small percussion).

This balances emotional impact with time/volume constraints. We can also present the 15’ full version in a side event or partner facility. Tech specs and consent documentation will be provided.

Best regards,

Mitsuko & Yuko Ogura



作品メモ(映像の冒頭/字幕用)


“This film was created with children and friends we met in Los Angeles.

Laughter doesn’t erase pain, but it shortens its shadow. In that shorter time, we plant hope.”



リスク&バックアップ

•音出ない/映らない:静止画スライド+ピアノ主題の“完全アコースティック版”を即切替

•時間短縮要請:5分→3分ティーザー版を別途仕込む

•会場音量規制:上演は映像音量-20%/コーダは完全アンプラグド



収録の絵作り(簡易カット割案)

•導入:逆光シルエット→弦のトレモロで“朝の粒子”

•中盤:木管の旋律に合わせ施設の笑顔(同意済み)を一瞬、過剰説明はしない

•終盤:ティンパニ心拍→静寂→ピアノの“Promise”主題で黒→タイトル



ひと言台本(本会場・博多弁エッセンス)


光子「うちらの音が、誰かの心に小さな明かりば灯せたら——それだけで十分やけん」

優子「じゃあ、映画版《ロサンゼルス組曲》、どうぞ」





件名案

•【確認依頼】ジュネーブ登壇における《ロサンゼルス組曲》フルバージョン演奏可否について

•[Request] Permission to perform full version of “Los Angeles Suite” in Geneva


宛先(例)


外務省 〇〇局 〇〇課 佐伯様/福永様(ご担当者名)

Cc:学校担当教員、制作・音響担当、保護者代表



メール本文(日本語)


佐伯様/福永様


いつもお世話になっております。福岡高校 声楽科2年の小倉光子・小倉優子です。

このたび10月末のジュネーブ登壇に関し、私たちが作曲した組曲**《ロサンゼルス組曲》のフルバージョン(約15分30秒)を生演奏**で実施できるか、可否と条件をご相談させてください。


ご提案の骨子

•作品:ロサンゼルス組曲(全4楽章・約15’30”)

•趣旨:紛争・災害で傷ついた子どもたちとの交流をモチーフに、「鉄と爆薬の雨ではなく、笑いと笑顔の雨を」を音で伝えるもの

演奏形態いずれか

A. フル・シンフォニック(50〜60名)…学校選抜+現地楽団協力案

B. 室内オーケストラ(12〜16名)…ピアノ、木管、金管、弦四、打楽器(小編成対応アレンジ済)

C. ハイブリッド…ホール収録音源(オケ)を下敷きに、私たちの生ピアノ+小物打+主要旋律を重ねる“ライブ・レイヤー”方式(会場制約が厳しい場合)


所要時間と進行(例:総計 18分)

•00:00–00:40 挨拶(日本語→英語要約)

•00:40–16:10 組曲フル演奏(15’30”)

•16:10–18:00 締めの一言・拍手誘導


必要条件(概略)

•リハーサル:前日 90–120分/当日ゲネ 30–45分

•音量:会場規定に準拠(必要なら弱音版で対応可)

•舞台:譜面台・椅子・指揮台(A/B案のみ)、アップライトorグランドピアノ1、打楽器一式(グロッケン/チャイム/ティンパニは編成に応じて簡素化可)

•権利・倫理:出演者・協力施設の肖像・演奏利用許諾は取得済み/名前表記はガイドラインに従います

•代替案:時間・騒音制約が厳しい場合は8分版(上映)+生のコーダ90秒に切替可能


つきましては、以下をご教示いただけますと幸いです。

1.会場の生演奏可否と上限時間/音量規定

2.推奨編成(A/B/Cのいずれが現実的か)

3.前日リハの可否・ステージ入替時間の目安

4.撮影・録画・配信の可否(記録用・教育用のみ想定)

5.プロトコル上のご留意点(来賓席、挨拶順、服装規定 等)


必要に応じ、テクニカルライダー/ステージプロット/リスク対策表(下記添付)を正式版にして提出いたします。

ご多用のところ恐れ入りますが、ご確認のほど何卒よろしくお願い申し上げます。


福岡県立福岡高等学校

小倉 光子・小倉 優子

(指導教諭:前原 〇〇 連絡先:xxxx@school.jp / +81-xx-xxxx-xxxx)



Email (English)


Dear Mr./Ms. Saeki / Mr./Ms. Fukunaga,


This is Mitsuko Ogura and Yuko Ogura (Fukuoka High School).

Regarding our appearance in Geneva, may we kindly ask for permission to perform the full version (≈15’30”) of our original suite, “Los Angeles Suite,” live at the venue?


Outline

•Work: Los Angeles Suite (4 movements / ≈15’30”)

•Message: From conflict/disaster to hope—“Let laughter and smiles fall instead of iron and explosives.”

•Performance options:

A. Full symphonic (50–60 players) with local support,

B. Chamber orchestra (12–16 players)—arranged version ready,

C. Hybrid (pre-recorded orchestral track + live piano/small percussion/lead lines) for tight constraints.


Run-of-show (≈18 min)

•0:00–0:40 Opening remarks (JP→EN)

•0:40–16:10 Full performance (15’30”)

•16:10–18:00 Closing words & applause


Requirements (summary)

•Rehearsal: 90–120 min (prev. day) / 30–45 min (show day)

•Sound: Within venue policy (we can provide a low-dynamic version)

•Stage: Music stands/chairs/conductor stand (A/B), 1 piano, basic percussion set (scaled per option)

•Rights/Ethics: All appearance consents secured; credits per guideline

•Fallback: If constraints arise, we can switch to 8-min film screening + 90-sec live coda.


Could you advise on:

1.Feasibility of live performance, max duration and sound limits

2.Preferred option (A/B/C)

3.Rehearsal access and stage changeover

4.Policy on recording/streaming (for archival/educational use)

5.Protocol considerations (seating, order of remarks, dress code)


We can submit a formal technical rider, stage plot, and risk plan (see drafts attached).

Thank you very much for your consideration.


Sincerely,

Mitsuko & Yuko Ogura

Fukuoka Senior High School

(Teacher in charge: Mr./Ms. Maehara — xxxx@school.jp / +81-xx-xxxx-xxxx)



参考添付(ドラフト同梱用)

1.Tech Rider(草案)

•編成A/B/Cの機材一覧、電源、譜面台・椅子数、打楽器詳細

•ピアノ調律希望:当日朝 A=442Hz(可変可)

2.ステージプロット(平面+断面/各案1枚)

3.タイムライン(前日リハ/当日ゲネ、入館〜撤収)

4.リスク対策表(音量制限・時間短縮・機材不具合時の切替手順)

5.クレジット記載案(施設・協力者・著作権表記)

6.同意書リスト(肖像・演奏・記録利用—取得済/追加予定)



3つの編成オプション(要点だけ)


A. フル・シンフォニック

•メリット:最大のダイナミクスと説得力

•留意:人数・リハ枠・音量規制のハードル高


B. 室内オーケストラ(推し)

•メリット:舞台・音量の現実解、持ち運び容易

•編成例:Pf/Fl/Cl/Sax/Hn/Tp/Tb/Perc/String Quartet(12〜16人)


C. ハイブリッド

•メリット:最小枠で“生”の感動を残せる

•留意:会場PA・同期再生の確認が必要



よく聞かれるポイント(先回り回答例)

•騒音規制:弱音アレンジ/ミュート使用/打楽器パート簡素化で対応可能。

•時間短縮:15’30”→8’版に即切替可。

•安全・プロトコル:高校生ゆえ移動・監護体制は教員/保護者同伴で万全に。

•保険/輸送:楽器保険、ATAカルネ、CITES該当材不使用を確認済(必要書面提出可)。





月末の夕方。コンクール練習を終えて帰る電車の中、光子のスマホが「ピロン」と鳴った。

件名は——【外務省|ジュネーブ登壇に関する最終決定のご連絡】。


小倉 光子様/小倉 優子様

10月下旬の国連ジュネーブ本部における本件プログラムにつき、閉会直前に**《ロサンゼルス組曲》フルオーケストラ版・フルバージョン(約15分30秒)の生演奏を正式にお願いしたく決定いたしました。

本番持ち時間は20分**(セッティング含む)。前日120分/当日45分のリハーサル枠を確保済。録画は記録用途で実施予定。詳細は添付の式次第・進行案をご確認ください。

つきましては、**8/10までにテクニカルライダー、ステージプラン、出演者名簿(仮)**をご提出ください。

——外務省 国際文化交流担当


光子「……決まった。」

優子「フルオケ・フル尺やって。やったぁぁぁ!」

二人は思わず立ち上がり、座席の上で小さく飛び跳ねた(※周囲にペコペコ会釈)。



家に着くなり、緊急ミーティング


地の文:リビングに集まったのは、前原先生(顧問)、美香、両親、そしてファイブピーチ★のメンバー。空気は一瞬で「喜び」から「実務モード」に切り替わった。


前原先生「時間はタイトだが、いける。編成はフル・シンフォニック=A案で固めよう。」

美香「弦は福岡交響楽団の仲間にメンター参加を打診する。若手中心に“Fukuoka Peace Orchestra”として臨時編成、どう?」

光子「最高。」

優子「やるばい。」



即日アクションプラン(7/31 → 8/10 提出まで)

1.指揮者決定:前原先生を音楽監督、現地は通訳兼プロトコル対応の副ディレクターを帯同

2.編成確定(目安60〜68名)

•木管:2fl(pic), 2ob, 2cl(bcl), 2fg

•金管:4hn, 3tp, 3tb, 1tuba

•打楽器:3〜4(timp, glock, suspended cym., bass drum, triangle, chimes ※代替可)

•鍵盤:piano(必須)

•弦:14-12-10-8-6(会場に応じて縮小可)

3.スコア最終稿・パート譜整備:ダブルチェック体制/弦はボウイング統一

4.テックライダー作成:ステージ図・椅子譜面台・調律・打楽器一覧・電源・転換導線

5.物流:楽器保険・レンタル打楽器の現地手配、フライトケース/通関書類準備

6.人員表:氏名(英字表記)、役割、パスポート残存確認、緊急連絡網

7.スケジュール:前日 現地下見&120分通し、当日 最終45分ゲネ

8.映像連携:スクリーン用タイトルスライド(日本語・英語)、エンドクレジット

9.プロトコル:入退場動線、服装基準(ダークスーツ/黒ロング)、挨拶台詞の長さ

10.リスク対応:8分版ショート(映像)+生コーダ案も同梱



返信メール案(送信:即日)


日本語


佐伯様/福永様


福岡高校・小倉光子/小倉優子です。

このたびのフルオーケストラ版・フルバージョンでの正式ご依頼、心より光栄に存じます。A案(フル編成)で準備いたします。

•持ち時間20分内に収まる進行・転換設計で調整

•8/10までに**テックライダー/ステージプラン/出演者名簿(仮)**提出

•録画は記録用途で了解、クレジット表記案を添付予定


また、会場規定に応じて弱音アレンジ版も用意いたします。何卒よろしくお願いいたします。


福岡県立福岡高等学校

小倉 光子・小倉 優子(顧問:前原〇〇)


English


Dear MOFA Team,

We are honored to accept the full-orchestra, full-length performance. We will proceed with Option A and submit our technical rider, stage plot, and provisional roster by Aug 10.

We will ensure the 20-minute window including changeover. Recording for archival use is fine; we’ll attach our proposed credits.

Best regards,

Mitsuko & Yuko Ogura (Fukuoka High School)



リハーサル計画(抜粋)

•8/5(合奏①):フォーム確認/テンポ枠決定

•8/12(合奏②):各楽章つなぎ・ブレンド最適化

•8/19(分奏):弦→ボウイング統一/金管→ppコントロール、木管→レガートの粒

•8/26(合奏③・録音チェック):録って聴き、和声バランス微修正

•9/2(ホールリハ①):実残響でダイナミクス設計

•9/16(ホールリハ②):通し+MCタイミング

•10/上旬(最終固め):渡航直前仕上げ


美香「弦は“鳴らし過ぎず、でも泣く”。木管は旋律の言葉を立てて、金管はブレスの統一で品位を出す。打楽器は物語の心拍。」

優子「了解やけん。刻むとこ、わたしが責任もつ。」

光子「低音は土台、でも歌心忘れん。」



ステージ設計メモ(国連仕様に合わせた上品さ)

•入場:静粛。コンダクター入場と同時に拍手誘導、即アタッカ

•曲間MCなし(閉会直前の流れを守る)

•終止:余韻3秒→弓上げ→最小限立礼→代表者ひと言(10秒以内)

•服装:黒基調・過度な装飾なし。ピンマイク不要



家族のひとこと(博多弁)


美鈴「決まったっちゃね。胸張って行きぃ。」

優馬「ほんなこつ、世界の大舞台やぞ。腹筋は置いてけ。」

美香「音で、笑いで、希望ば灯そ。姉ちゃん全面バックアップやけん!」

光子「**任せんしゃい。**世界のラスト10分、かならず“笑顔の雨”降らせるけん。」

優子「やるばい。」




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