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博多大集合 爆笑お笑い大会、そして川原翔太の思い

博多大集合!爆笑お笑い大会


夕暮れの公園。事件も一段落し、ケンタや翔太、翼、拓実、光子と優子、そしてクラスメイトたちが一堂に会した。空気は和やかだが、何かが起こりそうな予感が漂う。


光子はふわっと笑顔を浮かべ、天然ボケでスタート。

「えーっと、うちらね、雷親父と妖怪濡れ鼠のコンビでやってみるばい!誰か隣に出たい人〜?」


優子はすかさず鋭いツッコミ。

「光子!誰もやりたくなかとよ、まずうちらがやるっちゃ!」


ケンタと翔太は半信半疑ながらも巻き込まれ、舞台に立つ。

「え、俺らもやると?…わ、わかった、やってみるばい…」


翼と拓実は観客に回り、他のクラスメイトに「次、即興コントやってみ〜?」と促す。すると、朱里やさおり、葵も次々にステージに上がり、ギャグや身振り手振りを交えた即興コントを披露する。


光子がふと、舞台の中央で大げさに手を広げる。

「ほら、雷親父がまた落ちるばい!ピカッ、ドーン!」


優子がすかさず後ろからツッコミ。

「光子、それ雷ちゃうし!また頭の中で雷落ちとると?」


観客のケンタや翔太、翼たちは腹を抱えて大爆笑。公園全体が笑いに包まれる。

「うちらね、笑わせるだけじゃなくて、みんなで楽しくなるのが大事っちゃ!」光子は真顔で言い、優子が手を叩きながら付け加える。

「そうそう、笑うと疲れも吹っ飛ぶとよ〜!」


次々に繰り出されるギャグやアドリブに、誰も息をつく暇がない。笑い声が夜空に響き渡り、博多の街に小さな奇跡のような光景が広がった。


そして、終盤。光子と優子は舞台の中央で肩を組み、笑顔を輝かせる。

「うちら、みんなと一緒に笑えるだけで幸せっちゃ!」


観客たちは大拍手。涙を浮かべながらも笑顔を見せるケンタと翔太。翼と拓実もまた、二人の存在の大きさを改めて実感していた。


こうして、博多の街に、笑いと希望が満ちあふれた夜が訪れた。




無茶振り即興コント!


光子と優子は満面の笑みで、ケンタと翔太を見つめる。

「さあ、ケンタ、翔太!次はお前たちが即興でギャグコントする番ばい!」


二人は顔を見合わせ、戸惑い気味。

「え、俺ら…コントって、何をネタにすればいいと?」翔太が小声で聞く。

「わ、わからん…」ケンタも同意する。


優子はにっこり笑って、アドバイス。

「毎日の暮らしの中にネタは転がっとるっちゃ。朝の出来事とか、電車の中のハプニングとか、何でも面白くできるとよ!」


光子が手を叩き、無茶振りスイッチON。

「じゃあ、今日は“スズメ夫婦の朝の大喧嘩”やってみるばい!台本なし、アドリブで!」


二人は一瞬、目を丸くするが、光子と優子の笑顔に押され、舞台に立つことに。

「えー…じゃあ、俺が旦那役で…」ケンタが小声で始める。

「そんで、俺が妻役ね…」翔太も続く。


光子が小声で耳打ち。

「自由にやるばい!思い切り変顔もアリっちゃ!」


即興コントがスタート。

ケンタ(旦那役):「おい、スズメさん!朝ごはんは何やったと?」

翔太(妻役):「あんた!昨日のパン、全部食べたやん!私の分は?」


光子と優子は二人の間に入り込み、変な声やポーズで補助。

「うおお〜、雷が落ちるばい!」光子が叫ぶと、翔太が驚き飛び跳ねる。

「ちょ、ちょっと待て!俺が雷にやられる?」


優子は鋭いツッコミ。

「ケンタ!それスズメ夫婦ちゃうやん、雷親父になっとるばい!」


観客のクラスメイトたちは爆笑。ケンタと翔太も最初の緊張を忘れ、思い切り体を使って大げさな演技。


「ほら、見てみい、日常のハプニングでも笑いに変えられるっちゃ!」光子が声を張る。

「そうそう!頭で考えんでも、心で感じたことをそのまま表現するばい!」優子も笑顔で補足。


あっという間に、二人の即興コントは観客を巻き込み、全員で笑いの渦に包まれた。

「やっぱ、無茶振りも悪くなかね〜」ケンタが息を切らしながらつぶやく。

「楽しかった…!」翔太も笑顔を浮かべる。


こうして、博多の夜は笑いと歓声で満ち、光子と優子のギャグ指導のもと、二人は無事に初の即興コントデビューを果たしたのだった。




美香に顛末を報告


福岡交響楽団の練習がひと段落した夕暮れ、美香は自宅で春介と春海を寝かしつけたあと、リビングでくつろいでいた。そこへ光子と優子が、福岡まで駆けつけた。


「美香お姉ちゃん!ケンタと翔太、無事やったばい!」光子が息を弾ませながら報告する。

優子も続けて言う。「襲撃してきた男も捕まったし、麻薬組織と暴力団も解体されたとよ!」


美香は深く息をつき、肩の力を抜いた。

「ほんとによかった…!うちらが心配してたのは、ただそれだけよ。光子、優子、二人に何もなくて本当に良かった」


光子は笑顔で返す。

「うちは何ともなかったばい!みんな助けられて、本当に良かったっちゃ」

優子も頷きながら言った。

「ケンタや翔太も無事やし、事件が終わってホッとしたばい」


美香は二人の肩に手を置き、真剣なまなざしで言う。

「でも忘れんでね。世の中には、まだ助けを必要とする人がおると。うちらみたいに笑いも力にして、みんなを支えていけるんやけん、今日のことをこれからの糧にせんと」


光子と優子は顔を見合わせ、うんうんと頷く。

「うん!これからも、笑ってみんなを助けていくばい!」


美香は目を細め、静かに微笑んだ。

「うちらの光は、笑いと勇気の光やけんね」


こうして光子と優子は、再び笑いを力に日常へ戻り、福岡にいる美香の家族とも心温まる時間を共有した。春介と春海も、将来お姉ちゃんたちからギャグや笑いの力を学ぶのだろう。





川原翔太のもとへ


光子と優子は事件の一件が落ち着いた後、ケンタと一緒に川原翔太の現場に顔を出すことにした。二人にとって、翔太は気さくなおっちゃんであり、でも昔は暴力団のボスだったことも知っている特異な存在だった。


「おっちゃん〜!仕事はどげんね?」光子が元気よく声をかける。

「元気そうやね、みんな」翔太は少し照れたように笑う。「いやぁ、建設の現場は大変やけど、毎日やりがいがあるばい」


優子も興味津々で続ける。「おっちゃん、昔は暴力団のボスやったって聞いとるばってん、今はどげん感じとると?」

翔太は頭をかきながら、少し苦笑い。「いやぁ、あの頃とは全然違うな。今は安全第一、作業員の安全を守ることが一番大事やけん、昔のように威張ったり、怖い顔したりする必要は全くない」


光子と優子は顔を見合わせ、にやりと笑う。

「うちらの前では、どっちが年上かわからんくらいやね、おっちゃん」光子が冗談めかして言うと、翔太は思わず吹き出す。

「ほんとやな…うちら二人には頭が上がらんばい」


優子もニヤリと笑いながら、「無茶振りでギャグコントやらされるしね、おっちゃんも」

翔太は肩をすくめて笑う。「あの二人の前では、何しても敵わんばい。笑いで完敗やな」


その日、現場での作業は緊張感のあるものだったが、光子と優子の存在が場を和ませ、翔太も自然と笑顔になった。光子と優子にとっても、翔太の今の姿を見られることは、救われた心に安堵を与える瞬間であった。




割烹料理屋での再会(おっちゃん呼びバージョン)


休日の午後、光子と優子のもとに、川原翔太からの連絡が届いた。

「初めて給料もらったけん、親父とお袋に食事に来てもらうことになったばい。恩人であるお前たちにも、ぜひ来てほしい。みらいのたね事務所近くの割烹料理屋、17時に来てくれ」


「私らがお邪魔してもいいとかな…」優子は少し躊躇する。

光子も同意する。「でも、おっちゃんの気持ちを大事にせんとやろ」


二人は優馬と美鈴に相談する。

「川原さんの思いを汲んであげてほしい」と優馬。

「そうね、子どもたちの人生に関わったからこそ、恩返しを受けてもいい場面やわ」美鈴も微笑む。


二人はみらいのたね事務所にメールを送った。「わかりました」と短く返信し、指定の時間に店へ向かう。


割烹料理屋の扉を開けると、木目の落ち着いた店内に、年老いた老夫婦がすでに席についていた。翔太が声をかける。

「来てくれてありがとうな。席、こちらや」


光子と優子は少し緊張しながらも、笑顔で頭を下げる。

「おっちゃん、こんにちは〜!うちらは光子と優子やけんね〜」


老夫婦はにっこりと微笑む。「そうかそうか、息子を暗闇から救ってくれた子たちか。ありがとう」


席に着くと、食事は和やかな雰囲気で進む。箸を取りながら、老夫婦は静かに話し始める。

「光子さん、優子さん、息子を救ってくれて本当にありがとう。あの子が今、お日様の下で汗を流して働けるのは、あなたたちのおかげです」


光子は少し照れながら答える。「いえ〜、うちらはただ、おっちゃんが自分の力でやり直せるように思っただけばい」


優子も続ける。「でも、翔太くんが元気で働いてくれる姿を見て、うちらも嬉しいっちゃ」


店内には静かで温かな空気が流れ、二人の存在が家族の心をほぐしていく。食事を通して、過去の苦しみや闇が少しずつ和らぎ、笑顔が増えていった。


翔太も箸を止め、目を潤ませながら言った。

「お前たちのおかげで、俺はやり直せたばい。本当に感謝しとる」


光子と優子は頷きながら、「これからもおっちゃんがしっかり前を向けるように、うちらも応援しよっか〜」と笑みを返す。


割烹料理屋の夕暮れは、柔らかいオレンジ色に染まり、あたたかな時間がゆっくりと過ぎていった。




ギャグTシャツで笑いの花咲く食事会


割烹料理屋の食事もひと段落した頃、光子がにこにこしながらカバンをゴソゴソ取り出す。


「おっちゃん、ちょっと見て〜!うちら、月に一回、テレビの収録もやっとるっちゃけん、来週の日曜日の朝10時にこの前収録したのが放送されるけん、見てね!」


優子も隣で笑顔を作る。「音楽もギャグもコントもあるけん、楽しいばい。それで、今日はうちらからのプレゼントっちゃ!」


そう言って、二人はカバンから三枚のTシャツを取り出す。


「じゃん!これ、『うにゃだらぱ〜Tシャツ』!」

「これが、『あじゃたらぱーTシャツ』!」

「そして、これが『モレモレマンTシャツ』!」


老夫婦や翔太の目は、一瞬きょとんとする。

「これは…どういう意味なんかね?」翔太が聞く。


光子はウインクして言った。「まぁ、それは考えてみて〜」

優子もニコリと笑いながら付け加える。「でも、着たら元気になれるかもしれんっちゃ!」

翔太は笑いをこらえきれず、「お前たち、相変わらずだなぁ…」と肩を揺らす。

老夫婦も思わず笑い声を上げる。「これは…面白かねぇ!意味はわからんけど、楽しい気分になるばい」


光子はひょいとTシャツを広げ、「ほら、こうやって着たら…モレモレマンになれるばい!」と冗談交じりに説明。

優子はツッコミを入れる。「着ても、体から液体は出ませんけんね〜!」


笑い声が店内に広がり、食事の最後まで、お笑いの空気が支配した。

光子と優子のギャグTシャツは、単なる布ではなく、みんなの心に小さな爆笑と温かさを運ぶ魔法のようだった。


食後、翔太は二人に手を振りながら、「ありがとうな。お前たちの笑いと元気で、俺も家族も救われたばい」と感謝を伝える。


光子と優子は笑顔で、「またね〜!テレビも見てや〜!」と元気よく手を振った。


割烹料理屋を後にする二人の背中には、笑いと元気を振りまく二つの小さな太陽のような存在感があった。




割烹料理屋での食事が終わり、光子と優子は翔太たちに向かってにこにこ顔で言った。


「おっちゃん、まだ帰らんで〜。このあと、みらいのたねの事務所にも寄るっちゃ!」

優子も手を振りながら付け加える。「うちらのギャグやコントの実力、見てもらいたかけん!」


翔太は笑いながら、「お前ら、どんだけ自信あるんや…」と苦笑。

老夫婦もにっこりして、「見せてもらわんとねぇ」と期待の眼差し。


二人はカバンを肩に掛け、軽やかに歩き出す。光子はさっそく小さな足取りでぴょんぴょん跳ねながら、

「ほらほら、おっちゃん、楽しみにしててばい!」

優子も笑顔で、「笑わんと損するけんね〜!」と声を弾ませる。


事務所に到着すると、スタッフたちも集まってきた。

「さぁさぁ、今日は特別にうちらのギャグショー見せるばい!」光子が張り切る。

優子も負けじと、「即興コントもあるけん、みんな覚悟しとって!」


部屋はすぐに笑いと元気に包まれ、光子と優子の存在が、スタッフの疲れた心にも小さな太陽のような光を差し込むのだった。





みらいのたねの事務所に、光子と優子の声が響く。


「さぁさぁ、みんな〜、うちらの爆笑コント、始めるばい!」

優子が笑顔で宣言すると、スタッフたちはざわつきながらもワクワクした目で見守る。


光子がぴょんとジャンプしながら、第一ネタに入る。

「まずは、うちらの代表作、スズメ夫婦の喧嘩ネタ〜!」


二人は手を取り合い、スズメの羽を羽ばたかせるジェスチャー。

「ちょっとアンタ、餌ば取りすぎやろ!」光子がボケると、

「いやいや、アンタの嘴が大きかけん、全部奪われたとよ!」優子がツッコミ。


部屋中にスズメのピーチクパーチク鳴き声と、二人のテンポの良いやり取りで大爆笑。

スタッフは腹を抱え、「あははは!腹筋痛い〜!」と悲鳴混じり。


続いて光子が身をよじらせながら、第二ネタ。

「お父さん温泉上がり事件〜!コーヒー牛乳が鼻から噴射!」

優子も同時に、紙でコップを作るジェスチャー。

「ズボッ!ズボボボボ〜!」と声と動きで表現する。


「ぎゃはははは!」スタッフが吹き出し、コーヒー牛乳の鼻噴射に全員ひっくり返る。


最後は、第三ネタ。光子が拳を握って、叫ぶ。

「うにゃだらぱー事件や〜!ホークス逆転ホームランでお父さん叫ぶっちゃ!」

優子がボールを投げる仕草をしながら、光子の叫びを増幅。

「うにゃだらぱ〜!うにゃだらぱ〜!」

事務所は笑いの震源地と化し、声は天井まで響く。


光子が満足げに手を広げる。

「爆笑の震源地はここ!震度7行くよ〜!」


スタッフも床に転げ、笑いの余韻に包まれながら、涙をぬぐう。

優子も満面の笑みで、「うちらね、笑わせるために生まれてきたんちゃ!」と声高らかに。


事務所は文字通り、笑いと元気の嵐に吹かれた一日となったのだった。





事務所のは、光子と優子のギャグコントで笑いの嵐。スズメ夫婦の喧嘩、コーヒー牛乳鼻噴射、うにゃだらぱー事件――次々と繰り出されるボケとツッコミに、川原翔太とその両親は腹を抱えて爆笑していた。


「はぁ〜、もうこんなに笑ったの、いつぶりやろう!」翔太のお父さんが目を細めて言う。

「お前ら、本当にすごいな…なんか、理由が分かった気がするわ」お母さんも涙を浮かべ、まだ笑いが止まらない。


光子がニコリと微笑み、優子と肩を並べて語り始める。

「人間ね、笑ってる時はね、辛いことも、悲しかったことも、苦しかったことも忘れられるっちゃ。」


優子が続ける。

「人間笑うことを忘れたら、人間じゃなくなる。笑うことができるのは、人間だけに与えられた特権ちゃ。」


光子が両手を広げ、力強く結ぶように言う。

「これからは、おっちゃんも、おっちゃんのご両親も、みんな笑って行こうや!」


その言葉に、翔太も両親も目を潤ませながらも笑いをこらえきれず、再び腹を抱えて笑い転げる。


「光子とゆうこ…お前ら、ほんっとにすごいな…!」翔太がようやく息を整えながら言う。

「うちらね、笑いはみんなの力になるって信じとるっちゃ。」光子がにっこり。

「うん、笑って前に進む力になるとよ!」優子も笑顔で応じる。


割烹料理屋の中は、笑いと温かさに包まれ、あの嵐のような日々が嘘だったかのように、穏やかな時間が流れた。


事務所の割烹料理屋は、光子と優子のギャグコントで笑いの嵐。スズメ夫婦の喧嘩、コーヒー牛乳鼻噴射、うにゃだらぱー事件――次々と繰り出されるボケとツッコミに、川原翔太とその両親は腹を抱えて爆笑していた。


「はぁ〜、もうこんなに笑ったの、いつぶりやろう!」翔太のお父さんが目を細めて言う。

「お前ら、本当にすごいな…なんか、理由が分かった気がするわ」お母さんも涙を浮かべ、まだ笑いが止まらない。


光子がニコリと微笑み、優子と肩を並べて語り始める。

「人間ね、笑ってる時はね、辛いことも、悲しかったことも、苦しかったことも忘れられるっちゃ。」


優子が続ける。

「人間笑うことを忘れたら、人間じゃなくなる。笑うことができるのは、人間だけに与えられた特権ちゃ。」


光子が両手を広げ、力強く結ぶように言う。

「これからは、おっちゃんも、おっちゃんのご両親も、みんな笑って行こうや!」


その言葉に、翔太も両親も目を潤ませながらも笑いをこらえきれず、再び腹を抱えて笑い転げる。


「光子とゆうこ…お前ら、ほんっとにすごいな…!」翔太がようやく息を整えながら言う。

「うちらね、笑いはみんなの力になるって信じとるっちゃ。」光子がにっこり。

「うん、笑って前に進む力になるとよ!」優子も笑顔で応じる。


みらいのたね事務所の中は、笑いと温かさに包まれ、あの嵐のような日々が嘘だったかのように、穏やかな時間が流れた。





夜8時を回り、光子と優子は「私たちは家に帰るけんね。またね〜」と言い、笑顔で事務所を後にした。


残された翔太と両親は、静かにその背中を見送る。

「ほんと、あの2人は真っ直ぐに生きとるな。」翔太が小さく呟く。

「翔太、おまえ、あの2人には足を向けて寝られんな。」父が肩を叩きながら言う。

「ほんとやね。あの子達が、翔太を救い、私たちも救ってくれた。感謝してもしきれんね。」母も目を潤ませ、静かに頷いた。


事務所のスタッフも続ける。

「あの子達の底抜けに明るい笑顔に救われた人はね、ほんとにたくさんおるとです。あの子達は、苦しんどる人を見捨てることができんとよ。」

「力や暴力でなく、言葉で心に訴えるけん、人の心に響くとです。」

「しかも、あの子達は史上最年少、8歳でM-1優勝しとるくらい実力は本物やけん。」


翔太は深く息をつき、両親と共に、今ここにある穏やかで温かい時間に、静かに感謝した。




「笑いの双子、光子と優子 ―翔太が見た新しい光」



川原翔太は、割烹料理屋での食事会の帰り道、夜風に当たりながら静かに考えていた。

両親と笑い転げ、久しぶりに心の底から声を出して笑った数時間。あの時間を作ってくれたのは、間違いなく小倉光子と小倉優子という二人の少女だった。


「……もっとあの二人のこと、知りたか」


心の奥から自然に湧き出た想いだった。



■ 初めて知った「真っ直ぐな力」


翔太はかつて、博多の裏社会に足を突っ込み、抜け出せない泥沼にいた。

麻薬の密売に関わり、暴力団に取り込まれそうになり、心も体も蝕まれていた。

そんな彼を救い出したのが、まだ高校一年生の光子と優子だった。


正面からぶつかり、恐れることなく彼の目を見て言った。


「人間、笑うこと忘れたら人間やなかよ。うちらと一緒に、笑って生きて行こうや。」


その言葉は力でも暴力でもなく、心を直接揺さぶった。

翔太は、救われたのだ。



■ 両親が語る「忘れた笑い」


食事会で両親が口にした言葉が、翔太の心に残っていた。


「こんなに笑ったの、いつぶりやろうね」

「息子が日向の下で汗を流して働いてくれるようになった……あの子達には感謝してもしきれんよ」


両親は長い間、翔太のことで頭を抱え、笑顔を失っていた。

だが、光子と優子が持ち込んだ笑いの力は、その暗闇を吹き飛ばした。

翔太自身も、声をあげて笑う両親の姿に涙が出そうになった。



■ 事務所スタッフの言葉


「光子さんと優子さんの笑顔に救われた人はたくさんおるとです。

 あの子達は、どんな苦しんどる人も見捨てきらん。

 それもね、力や暴力やなく、言葉と笑いで人の心に届かせるから、人は変われるんです。」


スタッフの言葉が、翔太の胸を強く打った。

そうだ。自分だけじゃない。あの二人に救われた人間は、世の中にたくさんいる。

まるで「笑い」を武器にした戦士のようだ、と翔太は思った。



■ 史上最年少の快挙


「なにしろ、あの子達は史上最年少、8歳でM-1優勝しとるんです。実力は本物ですよ。」


その話は翔太にとって衝撃だった。

まだ幼い子供だった頃から、舞台の上で全国を相手に戦い、笑いを掴み取ってきた。

彼らが「ただ明るい高校生」ではないことを、翔太は痛感した。


自分がいた世界とはまるで違う、光と希望の道を歩いてきたのだ。



■ 翔太の独白


その夜、布団に横になっても、翔太は眠れなかった。

心の中で、光子と優子の笑顔や、ツッコミの声が何度も蘇る。


「俺、あの二人のこと、もっと知りたか。

 どんな風に育って、なんであんなに人を救えるんか。

 そして……これから俺は、あの二人にどう返していけるんか。」


気がつけば翔太は、スマートフォンを手に取り、「光子 優子 テレビ出演」と検索していた。

そこには、月一でレギュラーを務める番組の情報や、過去のM-1の映像が並んでいた。



■ 翔太の新しい決意


翌日、建設現場で働きながら、翔太は汗を拭った。

肉体労働はきつい。しかし、以前の裏稼業よりはるかに清々しかった。

休憩中、現場仲間に「なんか元気やな、翔太」と声をかけられる。


「元気やろ?俺にはな、光子と優子っていう、笑いの師匠がおるけんね」


仲間がキョトンとするのを見て、翔太は初めて自分から大声で笑った。


笑うことで人を救う二人を見て、翔太自身もまた「笑うこと」を覚え始めていた。



■ ラストシーン ―翔太の心に芽生えた光


夜、自宅に戻った翔太は、両親と一緒にテレビをつけた。

そこには、舞台の上でコントを繰り広げる光子と優子の姿があった。

観客が大爆笑する中、翔太と両親も同じように笑った。


笑いすぎて涙が出る。その涙はもう、絶望や苦しみの涙ではなかった。


「……あの二人のこと、もっと知って、俺も変わりたい。」


翔太の胸に芽生えたその想いは、確かな光となって彼の未来を照らし始めていた。



【エピローグ】


こうして翔太は、光子と優子を「おっちゃんと呼ばせてもらえる恩人」から、「生き方を学ぶ師匠」へと見るようになった。

彼の中に生まれた新しい光は、やがて彼自身が周りの人間に笑顔を届けるきっかけとなるだろう。





「……俺は、あの子達をもっと知りたい。知って、俺も変わりたい」


その思いが、翔太を突き動かす。



翌日。翔太は、みらいのたねのスタッフに声をかけた。

「あの……光子と優子のこと、もっと教えてもらえませんか?」


スタッフは驚いた顔をしたが、やがて柔らかく笑った。

「翔太さん、あの二人に興味を持たれるのは自然なことですよ。彼女たちはね、人を笑わせながら、人を生き返らせる子達ですから」


ファイルを取り出し、スタッフは語り始めた。

光子と優子が幼少期から数々の困難を乗り越えてきたこと。

小学時代に大きな事故に巻き込まれたこと。

それでも人を笑顔にすることをやめなかったこと。

数えきれない涙と苦しみの中で、それでも前を向き続けてきたこと。


翔太は息を呑んだ。

「……あの年齢で、そんなことを……」


彼の胸には、また新たな火が灯る。

「俺も……負けてられん。あの二人に救われただけじゃなくて、俺も誰かを救えるようにならんと」


その夜、翔太は決意する。

光子と優子にただ感謝するだけでは足りない。

彼女たちと同じように、人を笑わせ、支え、そして救う人間になりたい――。


その思いは、翔太の人生をさらに大きく変えていくことになる。





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