合格祝い、小春の彼氏
⭐︎合格祝い
春の柔らかな陽射しの午後、光子、優子、拓実、さおり、朱里、樹里、小春の7人は、合格祝いに近くのファミレスへ足を運んだ。学校帰りの制服姿に、少しの疲れが混じるが、笑顔は満開だ。
席に着くやいなや、ジュースやソフトドリンクを手に取り、みんなで乾杯。
光子
「おーい、みんな!合格おめでとう〜!」
優子
「かんぱーい!ジュースで乾杯やけど、気持ちはビール並みに豪快ばい!」
拓実(笑いながら)
「そ、そうやな…俺たち、高校生活のスタート、最高の滑り出しや!」
さおり
「ほんとに…みんな一緒に合格できて嬉しいね!」
朱里
「受験中はめっちゃ緊張したけど、これで全部報われた感じやね。」
樹里
「やっぱりみんなで頑張ると違うな〜。一人じゃ絶対無理やったばい。」
小春
「うん、笑いながら勉強できたのも、光子先輩と優子先輩のおかげやね!」
それぞれの声が重なり合い、店内に楽しげな雰囲気が広がる。ジュースのグラスを軽く合わせながら、これから始まる高校生活の夢や希望を語り合う7人。
光子(小声で優子に)
「高校も、いっぱい笑わせて、いっぱい泣いて、いっぱい成長させるやろね。」
優子
「うん、私らなら絶対大丈夫。これからも一緒に、最強チームで行こうや!」
窓の外を春の風がそよぎ、店内には笑い声と明るい未来への期待が満ちていた。
ファミレスの合格祝いの席で、さおりはスマホを手に取り、少し緊張しながらも笑顔で番号を押す。
さおり
「圭介〜、ちょっと聞いて…うち、合格したとよ!」
電話の向こうから、弟らしい元気いっぱいの声が響く。
圭介
「えええ!?マジで!?お姉ちゃん、やったやん!うわぁ〜、俺もめっちゃ嬉しい!」
さおり
「でしょ…?ありがとう、圭介。」
圭介
「お姉ちゃんがずっと頑張ってるの、近くで見よったけん、余計に喜びが倍や!今、家でジャンプしよるよ、俺!」
さおりは笑いながらも、弟の全力な喜びに胸が温かくなる。
次に、福岡大学教育学部に通う奏太に電話をかける。
さおり
「奏太、聞いて…高校受かったとよ!」
奏太
「おお、さおり!マジでおめでとう!高校生活、思いっきり楽しんでな。大学のこっちでも、応援しとるけん!」
さおり
「ありがとう、奏太!大学でも頑張ってね。」
電話を切ったさおりは、ファミレスの席に戻り、光子や優子、仲間たちの笑顔を見渡す。
さおり
「家族も、奏太も、みんなが喜んでくれて…やっぱ、私幸せやなぁ。」
七人のグラスが乾杯の音を鳴らし、春の温かい光に包まれた中、笑顔と友情、未来への希望がリビングいっぱいに広がった。
ファミレスのテーブルで、光子と優子もスマホを取り出した。
光子
「うち、福岡高校受かったったい!みんなに伝えんとね。」
優子
「私も合格やけん、二人揃って報告するばい!」
光子は美香に電話をかける。
光子
「美香お姉ちゃん、聞いて!うち、合格したとよ!」
美香
「えー!光子、やったね〜!おめでとう!」
優子
「私も、私も〜!」
美香
「二人とも、ほんとにおめでとう!お姉ちゃん、今すぐ抱きしめたい気分や〜!」
光子と優子は笑いながらも、温かい気持ちで胸がいっぱいになる。
次に、家族へも一斉に報告。
光子
「お父さん、お母さん、私、合格したよ!」
優子
「私も一緒に受かったけん、心配せんでよかよ!」
優馬
「おお〜!光子、優子、二人揃って合格とは!父ちゃん嬉しか〜!」
美鈴
「よかね〜、ほんとにおめでとう。お姉ちゃんたちも喜んどるやろね。」
家族の声と笑顔に包まれながら、光子と優子は一層、合格の喜びをかみしめるのだった。
光子はスマホを手に取り、少し照れくさそうに画面をタップする。
光子(博多弁)
「翼、聞いて!うち、福岡高校合格したとよ!」
しばらくすると、画面越しに翼の笑顔が映る。
翼(博多弁)
「おお〜!光子、おめでとう!さすがやね!」
光子
「ありがと〜。優子も一緒に合格やけん、二人揃って報告したいとよ。」
画面の向こうで翼はうれしそうに笑う。
翼
「ほんとに!?優子もか!二人ともすごか〜!じゃあ、今度お祝いしよーや。」
光子
「うん、絶対に一緒にお祝いせんとね!二日市高校も、もうすぐ2年生やろ?」
翼
「うん、もう2年生。光子も高校生活、楽しんでな!」
光子はにっこり笑いながら、スマホをそっと胸に押し当てる。
「うん、翼もおるけん、頑張れるばい。」
画面越しに交わした笑顔と励ましが、光子の胸を温かく満たす。
これから始まる高校生活への期待と、仲間との絆が、静かに胸に染み渡った。
樹里は警察署勤務の両親に電話をかけると、すぐに父親が電話に出た。
樹里
「お父さん、お母さん、聞いて!うち、福岡高校合格したとよ!」
受話器の向こうで、父親の声が弾む。
樹里の父
「おおっ、樹里!よく頑張ったな!こりゃほんとに嬉しか〜!」
樹里の母
「樹里、あんたの努力、ずっと見てたけん、ほんとに誇りやよ〜!」
樹里は少し照れながらも笑顔を返す。
樹里
「ありがと〜。でも、うちだけじゃなくて、光子と優子も一緒に合格やけん、みんなで頑張ったとよ。」
父親はすぐに声を大きくして応援する。
樹里の父
「そりゃあ、みんなで合格やったら倍うれしかね!今度、みんなでお祝いせんといかんばい。」
樹里は微笑みながら、電話越しに両親の喜ぶ声を聞き、胸がいっぱいになる。
「みんなのおかげやけん、うちもこれからもっと頑張るばい。」
電話を切った後も、樹里の頬には自然と笑みが浮かぶ。
両親の誇らしげな声が、樹里の心に力強く響いた。
小春は合格の報告を、まず両親に電話で伝えた。
小春
「お父さん、お母さん、うち、福岡高校合格したよ〜!」
電話の向こうで、両親の声が明るく響く。
浩二
「おお〜!小春、よく頑張ったな!お祝いばせんといかんばい!」
理恵
「小春、あんたの努力、ずっと見とったけん、ほんとに誇りやよ〜!」
小春は少し照れながらも、嬉しそうに返す。
小春
「ありがとう!でも、うちだけじゃなくて、光子先輩と優子先輩も一緒に合格やったとよ。」
次に、小春はすでに福岡大学教育学部に進学した奏太に電話をかける。
小春
「お兄ちゃん、うち、福岡高校合格したっちゃけど!」
奏太
「おお!小春、すごかね!ほんとにおめでとう!お姉ちゃんたちと一緒に頑張ったんやろ?」
小春は笑顔で頷く。
小春
「うん、みんなで頑張ったっちゃけん、うちも嬉しか〜。」
奏太
「よし、今度会ったら、みんなでお祝いしよう!美味かもん食べに行こうや!」
小春は電話を切った後も、胸が熱くなるのを感じた。
家族や兄に祝福される喜びが、これからの高校生活への大きな励みになったのだった。
合格祝いの帰り道、光子と優子は歩きながら樹里に話しかけた。
光子
「ねえ樹里、植木くんとはどうなっとると?」
優子
「そげん気になるやん、教えて教えて〜」
樹里は一瞬立ち止まり、顔を真っ赤にしながら目を伏せる。
樹里(赤面)
「そ、そげん言われても……この前、植木くんに……『彼女になってほしか』って、告白されたっちゃ……」
光子と優子は目を丸くして、にやにや笑う。
光子
「うわ〜、まじやん!樹里、モテモテやん!」
優子
「告白されたんやったら、もう付き合うしかなかね!」
樹里はさらに赤面して、手で顔を覆いながらも、少し嬉しそうに小さく頷いた。
樹里
「う、うん……そ、そういうことになったっちゃ……」
二人は嬉しそうに樹里の肩を軽く叩き、からかい半分に笑った。
光子
「いや〜、高校生活もいろいろ楽しみやね、恋愛も勉強も!」
優子
「うちらも負けとれんばい!」
春の陽気の中、三人は未来の高校生活への期待とワクワクを胸に、楽しげに笑いながら歩き出すのだった。
帰り道の話題は樹里の恋の話で盛り上がっていたが、優子がふと小春の方に目を向けて聞いた。
優子
「ところで小春、あんたには好きな人おると?」
小春は歩みを少し止め、頬をほんのり赤らめながら、目をそらす。
小春(照れ)
「えっ……あ、あんまり言いたくなかけど……」
光子
「お〜、やっぱりおるんやん!ちょっとくらい教えてくれん?」
小春は小さく息をつき、頷く。
小春
「うん……うち……あんたらみたいに、学校の人とか、同級生とか……まだ誰にも言えんとよ……」
光子と優子はにやにや笑いながら、肩を叩く。
優子
「ふふ〜、小春もそげん照れるとね〜。でも秘密ばってん、心に秘めとくのも青春やけん、ええよね」
光子
「うんうん、わかる〜。誰にも言えん恋の気持ちって、ちょっとドキドキするもんね」
小春は少し安心したように笑みを浮かべ、二人と一緒に歩き出す。
春の柔らかい風が吹く中、三人の笑い声が街角に響く。未来の高校生活や、淡い恋の予感を胸に、これからの日々に期待を膨らませながら歩いていくのだった。
帰り道、光子と優子がふと小春に向き直る。
優子
「小春、あんたには好きな人おると?」
小春は頬を赤らめ、少し照れくさそうに目を逸らす。
小春(照れ)
「うん……おると……恥ずかしかけど、言うちゃる」
光子
「お〜、やっぱり!誰ね?」
小春は小さく息をつき、でもしっかり答える。
小春
「うち……奏太のお兄ちゃんの友達の……柳川くんが好きっちゃ」
光子と優子は目を丸くし、同時に爆笑。
優子
「まさかの同級生じゃなくて、兄ちゃんの友達かいな!小春、そげん照れるとね〜」
光子
「でもわかる〜。大人っぽい先輩や、ちょっと憧れちゃう気持ち、うちらもあったもん」
小春は恥ずかしそうにうつむきながらも、少し安心したように笑みを浮かべる。
春の柔らかな風の中、三人は高校生活や淡い恋の予感に胸を膨らませながら、ゆっくりと帰路についた。
小春がそっとスマホを取り出すと、そこにはクラスメイトたちと一緒に写った一枚の写真があった。中心にいるのが、彼女の密かに想いを寄せる 柳川翔太。
小春:「ほら、これが翔太っちゃ。クラスの集合写真から切り抜いたとよ。」
光子:「おお〜、見せて見せて!」
優子:「うわ、かっこよかね〜!どんな人なん?」
小春は少し顔を赤らめながら、説明する。
小春:「背は高すぎんくらいで、笑うと目が細くなって、優しそうな顔しとると。勉強も運動もできるし、みんなから人気あるっちゃけど、私には普通に話しかけてくれるとよ。」
光子:「へぇ〜、それ翔太くんやったら、そりゃあ惚れるやろね。」
優子:「でも、小春が好きなら、勇気出して話さんといかんばい!」
小春は恥ずかしそうに笑いながら、写真を指でなぞった。翔太の目が笑っているように見えて、心が少し温かくなる。
小春:「うん…翔太くんには、私のこと、ちゃんと知ってほしいなぁって思うっちゃ。」
光子と優子は頷き、二人を応援するように肩をポンと叩いた。
光子:「小春、応援しよー!恋も勉強も、全部うまくいくっちゃろ!」
優子:「そうそう、翔太くんの前でギャグ披露してもよかけん、笑わせて距離縮めるとか!」
小春は笑いながらも、心の中で静かに決意を固めた。翔太くんの笑顔をもっと近くで見られるように、自分も頑張ろう、と。
小春の想いとファイブピーチ★のライブ
小春は吉塚中の教室でノートを片付けながら、心臓が早鐘を打つのを感じていた。胸の内にずっと秘めていた思いを、どうしても翔太に伝えたくなったのだ。
放課後、校門前で待ち合わせた翔太に、小春は少し照れくさそうに声をかける。
小春
「ねぇ、翔太…今度、私の出とるファイブピーチ★のライブがあるっちゃけど…来てくれん?」
翔太は一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに笑顔で頷く。
翔太
「おお、そがんことなら絶対行くばい!日にちはいつ?」
小春
「12月21日やけん、PayPayドームで18時からやと。ほんとは、あんたに直接見てほしかったと。」
翔太は小春の真剣な眼差しに気づき、自然と口元がほころぶ。
翔太
「そしたら絶対行く。小春の頑張る姿、ちゃんと見とかんとね。」
小春は意を決して、さらに言葉を続けた。
小春
「それと…その、私…ずっとあんたのことが好きやったと。こうしてライブに誘うのも、あんたに見てほしかったけんやけん。」
翔太は少し赤くなりながらも、優しく答える。
翔太
「そ、そうやったんや…ありがとう、小春。俺も小春のこと、ずっと大事に思っとったばい。」
小春は安堵の笑みを浮かべ、翔太の手をそっと握った。
小春
「じゃあ、絶対楽しんでね。ファイブピーチ★の私たち、全力で笑いと元気を届けるけん。」
翔太
「うん、絶対応援する。小春の気持ちもちゃんと受け止めるけん。」
その日の夕暮れ、吉塚中の校門前には、二人の笑顔が優しく揺れていた。小春の勇気と翔太の温かい応答が、二人の距離を一気に縮めた瞬間だった。
そして、ライブ当日。PayPayドームの大歓声の中、ステージに立つ小春は、翔太の姿を客席に見つけて、自然と笑顔が弾けた。胸の奥に秘めていた想いが、音楽と笑いと共に届く――そんな予感に、会場全体も暖かい空気に包まれるのだった。
合格報告と翔太の笑顔
春の陽射しが柔らかく差し込む放課後、小春は教室を出ると、胸がドキドキして仕方なかった。今日は待ちに待った合格発表の日。受験番号を確認する瞬間の緊張と、不安と期待が入り混じる。
校門前の掲示板に目をやり、深呼吸して番号を探す。あった――自分の番号、ちゃんとある!思わず小春は両手を握りしめて小さく跳ねた。
小春
「やった…受かったっちゃ…!」
興奮冷めやらぬまま、すぐにスマホを取り出す。まずは、ずっと想いを寄せてきた翔太に連絡する番だ。
小春(メッセージを打ちながら)
「翔太くん、私、合格したっちゃけど!」
送信ボタンを押すと、すぐに返信が届いた。
翔太
「え、ほんと?おめでとう!俺も合格したばい、宗像高校の体育科に!」
小春の頬が赤くなる。嬉しさと安心感で胸がいっぱいになる。
小春
「わぁ、翔太もやったんや!一緒に喜べるっちゃね、よかった〜。」
翔太
「ほんとに良かった。お互い頑張ったけん、これからも一緒に成長していけるね。」
小春はスマホを握りしめながら、心の中でつぶやいた。
小春
「翔太と一緒に、新しい高校生活も頑張れるっちゃ…!」
その後、小春は家族にも連絡し、喜びを分かち合う。兄の奏太も電話越しに笑顔で祝福の言葉を贈り、家族の温かさに改めて感謝する小春。合格の知らせと共に、未来への希望が一気に広がる瞬間だった。
小春の初めての紹介
ファイブピーチ★の練習スタジオは、いつものようににぎやかだった。ピアノの美香が軽くリズムを刻み、ベースの光子、ドラムの優子、キーボードの小春、ギターの颯太、そしてバックコーラスの由美と詩織が揃って、今日の曲の確認をしている。
小春は手元の譜面を置き、少しドキドキした表情で口を開いた。
小春
「ねぇ、みんな……ちょっと紹介したい人がおると。」
由美と詩織は顔を見合わせ、頷く。光子と優子も小春に興味津々の目を向ける。
光子
「おお、誰ば?彼氏とか?」
優子
「きゃ〜、小春の彼氏〜?見たか〜い!」
小春は少し恥ずかしそうに笑いながらも、勇気を出して話を続ける。
小春
「うちの彼氏っちゃ……翔太っちゅうと。宗像高校の体育科に合格したばい。」
すると光子と優子は思わず目を丸くして驚き、颯太も口を開けて感心する。
颯太
「おお、そがんか!おめでとうやん、小春。」
小春は頷きながら、スタジオのドアの方を指差す。
小春
「ほら、来たよ。翔太、入ってよかよ。」
ドアが開くと、少し恥ずかしそうにしながらも、笑顔で入ってくる翔太。体育科らしい健康的な体格と、真っ直ぐな視線が印象的だった。
翔太
「はじめまして、ファイブピーチ★のみなさん。小春の彼氏の翔太です。」
美香
「おお、はじめまして!小春の話は聞いとうよ。」
光子
「こりゃ、頼もしか人ばいね〜。」
優子
「うちの小春の彼氏かぁ〜、よろしくね!」
小春はにっこり笑い、翔太の手をそっと握った。
小春
「みんな、これからもよろしくね。うちの想いもちゃんと伝えてほしいっちゃけん。」
翔太も笑顔で頷き、少し照れながらも一言。
翔太
「小春を大事にするけん、よろしくお願いします。」
スタジオは温かい雰囲気に包まれ、メンバー全員が笑顔で頷いた。練習の合間に、いつもとは違う、ちょっとだけ家庭的な気持ちが漂う時間。
光子と優子は小春の肩を軽く叩き、姉妹らしいいたずらっぽい笑みを浮かべる。
光子
「ふふ、翔太、これから小春ばしっかり守らんといかんばい。」
優子
「うちの小春、うちらの友達ばい。ちゃんと面倒見んとね〜。」
翔太は少し汗をかきながらも、力強く頷いた。
翔太
「はい、任せてください!」
こうして、小春の大切な人は、ファイブピーチ★の仲間たちに正式に迎え入れられたのだった。
ファミレスでの合格祝いのあと。
光子と優子は、にやりと笑って翔太に向き直った。
光子:「さぁて、宗像高校のニューカマー、翔太くん!合格祝いのスペシャルイベント、即興ギャグコント歓迎ショーに参加してもらうばい!」
優子:「台本?そげなもんあるわけなかろーもん!即興が基本やけん!」
翔太:「え、ちょ、ちょっと待って!?俺まだ心の準備が…」
さおり:「ふふっ、逃げられんよ?うちらの伝統やけんね」
樹里:「がんばって〜、彼氏くん!」
小春は顔を真っ赤にしながらも、笑顔で「翔太、ファイトっちゃ!」と手を握る。
光子:「よし、最初のテーマは…『合格発表の日、掲示板の前で変な人に絡まれたら?』」
優子:「スタート!」
翔太は観念して深呼吸。すぐに妙なオジサン役を始める。
翔太(怪しい声で):「おお〜、受験番号の紙…わしが食べてしもーたばい!」
光子:「食べた!?この人、食べ番号オジサンやん!」
優子:「食べ番号オジサンに負けるわけにゃいかん!わたしの秘密兵器、でっかい消しゴムば出すばい!」
翔太:「ぎゃー!消されるー!」
会場(ファミレスのテーブル周り)は爆笑の渦。
さおりと朱里はテーブルを叩いて笑い転げ、樹里は涙を拭きながら「やっぱ強制参加が一番おもしろいね!」と。
小春は照れながらも、翔太がみんなに受け入れられていくのを見て、安心と嬉しさで胸がいっぱいになっていた。
――こうして、ファイブピーチ★伝統(?)の歓迎ギャグコントは、新しい仲間を巻き込みながら大成功を収めた。
合格祝いのファミレスを出たあと。
光子や優子たちはそれぞれ家族と合流して帰っていき、小春と翔太は自然と二人きりで並んで歩き出した。
夜の博多の街は、ネオンが柔らかく照らしていて、少しひんやりした風が吹いていた。
小春:「さっきは…ありがと。めっちゃおもしろかったばい。うち、正直、翔太がうまく溶け込めるか心配やったっちゃけど…ぜんぜん大丈夫やったね」
翔太は少し照れながら頭をかく。
翔太:「いやいや、あんなん完全に強制参加やったやん。必死に合わせただけやけん」
小春はくすっと笑って、ほんのり赤い頬を隠すように横を向いた。
小春:「でも、そげん必死になってくれるとこ、やっぱ好きやなぁって思った」
その言葉に翔太は一瞬立ち止まり、驚いたように小春を見る。
翔太:「……小春、今さら反則やろ、それ」
小春:「え、なんで?」
翔太:「そんなこと言われたら、もっと好きになってしまうやん」
ふたりはしばらく黙って歩く。
足音と、夜風の音だけが二人を包んでいた。
やがて駅の明かりが見えてきたころ、小春は勇気を振り絞るように言った。
小春:「高校に入っても…ずっと、一緒におりたいっちゃ」
翔太は迷わずうなずき、軽く小春の手を握った。
翔太:「もちろん。どんなときでも、小春の隣におるけん」
小春の胸の奥に、温かい光が灯ったような気がした。
その手のぬくもりが、合格発表の日の緊張や不安をすべて包み込んでくれていた。
――こうして二人は、春から始まる新しい生活に向けて、一歩ずつ歩み出していった。
駅の改札口に近づいたころ、小春はふと思い出したように翔太に向き直った。
小春:「あ、そうや!今度、博多のライブハウスでライブするっちゃ。ファイブピーチ★のやつ。…翔太、見にきてほしい」
翔太は一瞬きょとんとしたあと、笑顔を浮かべる。
翔太:「おぉ、ほんとに?小春がステージ立っとるとこ、まだ生で見たことなかけん、めっちゃ楽しみやん」
小春は照れ隠しに少し唇を尖らせた。
小春:「う、うち、ちょっと恥ずかしかけど…翔太に見てもらいたいっちゃん。がんばっとる姿」
翔太:「小春が一番輝いとる瞬間やろ?そら見に行かんと彼氏失格やん」
小春は顔を赤くしながらも嬉しそうにうなずいた。
小春:「ほんとに来てね。ステージから探すけん!」
翔太は改札に入る前、小春の頭をポンと軽くなでて、真剣な顔で言った。
翔太:「約束する。ぜったい行く」
小春の胸は高鳴り、まるで次のライブの照明が、すでに自分を照らしているような気がした。
4月1日 ― 博多のライブハウス
桜が満開を迎えるころ、博多の夜は特別な熱気に包まれていた。ファイブピーチ★のライブの日。ライブハウスには開演前から多くのファンが集まり、外までざわめきがあふれている。
開演のベルが鳴り、ステージにライトが走る。
ドラムのカウントから、疾走感のあるオープニング曲が流れ出す。観客は一斉に声を上げ、拳を突き上げた。
光子:「みんな〜っ!待っとったぁ??」
ファン:「待っとったぁーー!!!」
優子:「今日も思いっきり盛り上がるばい!!」
場内はすでに熱狂の渦。数曲を駆け抜けたあと、MCタイム。光子が前に出て、マイクを握る。
光子:「えーっと、ここでちょっとご報告がありまーす!」
優子:「実はね、うちら、この春高校受験やったっちゃけど…」
小春:「無事に…みんな合格しましたーっ!」
ファン:「おめでとーー!!!」
拍手と歓声が響き渡り、観客の一部は手作りの「合格おめでとう」ボードを掲げていた。
優子:「いやぁ〜、受験のあと、胃が痛かったっちゃけど、みんなの応援のおかげで乗り越えられたっちゃん!」
光子:「ほんとほんと!ありがとーー!!」
小春:「これからも学校とライブ、どっちも全力でがんばるけん、応援よろしくね!」
会場があたたかな拍手で包まれる。
光子:「じゃあ景気づけに、合格祝いの一発!ノリノリの曲でいくばい!」
優子:「立っとるみんなも、座っとるみんなも、飛び跳ねる準備はよかね??」
ファン:「イェーーーイ!!」
アップテンポのイントロが鳴り響くと、観客は待ってましたとばかりに大歓声。
ステージ上の光子と優子、小春の笑顔はひときわまぶしく、青春のきらめきそのものだった。
4月1日 ― 博多ライブハウスにて
熱狂の渦の中、ファイブピーチ★のMCタイムが続く。光子と優子が合格報告をしたあと、小春が少し緊張した面持ちでマイクを握った。
小春:「あの……今日は、もうひとつ大事な報告があるっちゃ。」
客席がざわめく。ファンたちは「なんやろ?」「え、卒業?いや違うやろ!」と首をかしげながらも期待に目を向ける。
小春は深呼吸をしてから、照れくさそうに笑った。
小春:「私の大切な人……彼氏を紹介します。柳川翔太です!」
客席:「えぇぇーー!!!」
一瞬の驚きと同時に、大きな拍手と歓声が巻き起こった。
光子:「おぉー!ついに言うたね!」
優子:「いぇーい!翔太くん、ステージ上がってきてー!」
スタッフがマイクを差し出すと、観客席の中央あたりから、少し気恥ずかしそうに手を挙げる男子の姿。
それが翔太だった。
客席のファン:「キャー!」「イケメンやん!」「お幸せにー!」
翔太は頭をかきながらステージに上がり、小春の横に並んだ。
小春(マイクを持って翔太を見つめながら):
「この人が……私の彼氏です。これからも一緒にがんばっていきます。」
翔太(マイクを受け取り、少し緊張しながら):
「えっと……突然ですけど、俺も小春が大好きです。みなさん、これからも応援よろしくお願いします!」
観客:「おぉーーー!!!」
「青春やん!!」
「がんばれー!!」
光子:「よっしゃー!翔太くんも強制参加たい!」
優子:「今からみんなで歓迎のコントやるけん、台本なしやけど覚悟しとってね!」
観客は大爆笑と大歓声で盛り上がり、ライブハウスはまるで祝福のステージのように輝いていた。
翔太歓迎スペシャルコント in 博多ライブハウス
光子:「それじゃあ〜!今日の特別ゲスト、翔太くんを歓迎して、コント『彼氏の試験』スタートや〜!」
優子:「題して、彼氏力検定2037」
観客:「イェーー!!」
⸻
シーン1:小春を守れるか!?
(優子がサングラスをかけて登場)
優子:「おい、そこの彼女、オレと付き合わんね?」
(観客「フゥ〜!」)
小春(腕を組みながら):
「ひゃ〜!知らん人からナンパされよる〜。翔太、助けて〜!」
翔太(少し照れながらも堂々と):
「彼女は俺の大事な人やけん、手出すな!」
観客:「キャーーー!!」
光子:
「翔太くん、カッコよかけど声ちっちゃい!マイクもっと近づけて!」
⸻
シーン2:料理テスト
(光子が鍋を持って登場)
光子:「はい!彼氏力といえば料理やろ?翔太くん、愛のオムライスを作ってもらいます!」
翔太(困惑しながらフライパンを持つフリ):
「え、いきなり!?……卵をこうして〜、ケチャップで……」
小春(オムライスを受け取るフリして):
「きゃ〜!『小春LOVE』って書いてある♡」
観客:「フゥーーー!!」
優子:「おぉ〜!合格〜!いや、満点たい!」
⸻
シーン3:最後の試験「公開愛の告白」
光子:「さぁ、最後の試験やけんね。翔太くん、小春ちゃんにステージで愛の告白、お願いします!」
翔太(観客をチラ見して、ちょっと赤面しながらも):
「小春……これからも、ずっと一緒にいてくれ!」
小春(顔を真っ赤にして):
「……はい♡」
観客:「キャーーー!!!」
「青春バンザーイ!!」
⸻
優子:「はいっ!これにて彼氏力検定、合格です!」
光子:「ファイブピーチ★公認の彼氏に認定しま〜す!」
(観客の大拍手!翔太は深々と頭を下げる)
博多ライブハウス — ファイブピーチ★春のスペシャルライブ
(ステージは少し照明が落ち、温かいブルーのライトが灯る。観客も静まり返り、期待に包まれた空気。)
光子(マイクを持ってニコッと笑い):
「ここで、ちょっと特別な時間にしたか〜と思っとるっちゃん。」
優子(横でうんうんと頷きながら):
「今日は、うちら4人でアカペラをお届けします。詩織お姉ちゃんのピアノに合わせて、心を込めて歌うけんね。」
(詩織がゆっくりとピアノの前に座り、柔らかな和音を奏で始める。光子・優子・奏太がマイクを持ち、観客は拍手で迎える。)
アカペララブソング(オリジナル)
光子と優子のハーモニーが重なり、奏太の低音が支え、詩織のピアノが温かく響く。会場はしっとりとした雰囲気に包まれ、観客はうっとりと聴き入る。
(曲が終わり、静寂のあと大きな拍手と歓声が起こる。)
奏太(少し照れくさそうに笑って):
「ありがとう。みんなの心に届いたら嬉しかね。」
光子(マイクを持ち直し、少し声を弾ませて):
「でね!もうひとつ、大切な報告があるとよ!」
優子(観客の方を向いて):
「今日は来とらんけど、美香お姉ちゃん……2月29日に、元気な双子の赤ちゃんを出産しました〜!」
(会場「おぉ〜〜!!!」と大歓声、拍手が鳴り止まない。)
光子(両手で赤ちゃんを抱くジェスチャーをして):
「男の子と女の子やけん。名前は春介くんと、春海ちゃん!」
優子(にこにこしながら観客へ手を振り):
「めっちゃ可愛いっちゃん。うちらも会いに行ったけど、もう癒やされすぎてやばかった〜♡」
(観客から「見たい!」「おめでとうー!」の声が飛ぶ。)
光子(観客に向けて手を差し伸べるようにして):
「じゃあここで……お兄ちゃん、アキラお兄ちゃんからも一言、みんなにお話してもらおうかね!」
(アキラがステージ袖から照れながら登場。観客は「キャー!!」と盛り上がる。)
アキラ(少し緊張しながらマイクを持ち):
「えっと……改めてご報告します。2月29日に、美香と僕の間に、双子が生まれました。男の子は春介、女の子は春海といいます。」
(観客「おめでとうー!!」)
アキラ(感極まった表情で):
「新しい命が家族に加わって……本当に、毎日が幸せです。これからも、音楽と、家族と、一緒に大切に歩んでいきたいと思っています。」
(観客からの大拍手。光子と優子が横で「パチパチパチ!」と大げさに手を叩きながら笑顔。)
優子:「ほら〜、涙目なっとるやん、お兄ちゃん!」
光子:「観客のみんな〜!うちらと一緒に、春介くんと春海ちゃんに『おめでとー!』って叫ぼうや!」
観客:「せーのっ!おめでとーーー!!!」
(ステージは祝福の拍手と歓声に包まれる。)
博多ライブハウス — ハッピーソング突入
(観客の「おめでとーーー!!!」の大歓声がまだ響いている。光子がくるっとターンして観客へ。)
光子(テンションMAXで):
「みんな〜!お祝いムードはまだまだ続くけんね!!」
優子(ドラムスティックを高々と掲げて):
「次は、うちらファイブピーチ★から最高にハッピーな曲をお届けするっちゃん!!」
奏太(ギターをジャーンと鳴らしてニヤリ):
「お祝いソングやけん、全力で騒いでいいとよ!飛んでいいとよ!叫んでいいとよ!」
小春(キーボードに手を添えながら笑顔で):
「一緒に歌ってくれる人〜!!」
(観客「はーーーい!!!」と両手を挙げる。手拍子が自然に起こり、熱気が一気に広がる。)
詩織(ピアノで明るいイントロを鳴らしながら):
「いくよ〜!盛り上がれ〜〜!!」
(アキラがサックスを肩にかけ、由美と詩織がパーカッションで加わる。会場の照明が一気にカラフルに切り替わり、キラキラとステージを照らす。)
明るいアップテンポのオリジナル曲(イメージ:未来・希望・家族・友情をテーマにした祝福ソング)
光子(ベースを弾きながら歌う):
「笑顔の花を 咲かせよう〜♪」
優子(ドラムを叩きながらコーラス):
「ハッピーデイ!ハッピーデイ!」
小春(キーボードで明るい音を響かせながら歌う):
「未来はほら 君と一緒に〜♪」
奏太(ギターでノリノリにリフを弾きながら):
「声を合わせ 夢を叶えよう〜♪」
(観客が自然に手拍子でリズムを刻み、会場全体が一体となる。観客の中には泣き笑いで手を振るファンの姿も。)
(間奏でアキラがサックスをブワッと吹き上げ、観客「フゥーーー!!!」と大歓声。)
(曲のラスト、全員で力強くハモる。)
ファイブピーチ★全員:
「笑顔あふれる 明日へと〜〜〜〜!!!」
(ドーン!と照明が最大に明るくなり、紙吹雪が舞い、観客は総立ちで拍手喝采。)
光子(マイクを掲げて叫ぶ):
「ありがとうーーー!!!」
優子(ドラムを叩いてバシッと決めポーズ):
「最高の夜やねーーー!!!」
(観客、大歓声。ステージは祝福と笑顔に包まれ、ハッピーな空気でいっぱいになる。)
アンコールの拍手が鳴り止まない。
「アンコール!アンコール!」と客席が揺れるほどの大歓声。
光子と優子が顔を見合わせて、いつもの調子でピースサイン。
光子:「よっしゃー!うちら、まだ帰らんばい!」
優子:「アンコールっち言うてもろーたら、やらんわけにいかんやろ〜!」
小春もマイクを握って笑顔で客席に手を振る。
「今日はね、ほんとに特別な日やけん。最後までみんなと一緒に、最高の時間にしたい!」
ステージ後方では、詩織が再びピアノの前に座り、伴奏の準備を始める。
奏太もギターを構え直し、照明スタッフが温かなオレンジ色のライトを会場いっぱいに広げる。
そして、アンコール1曲目はおなじみのアップテンポナンバー。
観客が一斉に立ち上がり、手拍子と声援でホール全体が揺れる。
光子:「まだまだいけるかー!」
観客:「いけるーーー!!!」
優子:「声ちっちゃいばい!もっかい!」
観客:「いけるーーー!!!」
――その瞬間、笑顔と熱気が爆発するように、会場は一体感に包まれた。
続く曲は、ファンとの絆を大事にした定番のラストソング。
涙ぐむ観客もいれば、手を取り合って揺れる人たちもいる。
最後のサビでは、光子と優子が手を繋ぎ、小春も加わって三人で肩を組みながら歌う。
その姿に、客席からは割れんばかりの歓声と拍手が送られた。
そして曲が終わると同時に、三人は深々と頭を下げた。
優子:「ほんと、みんな…ありがとう!うちらの青春は、みんなと一緒にあるけん!」
光子:「これからも一緒に、笑って泣いて、最高の景色をつくっていこうや!」
――大歓声に包まれて、幕がゆっくりと下りていく。




