未来妄想優子と拓実の特等席
未来妄想優子と拓実の特等席
体育祭の練習で汗だくになった昼下がり、光子と優子は拓実と一緒にお弁当を広げていた。
優子はにこにこしながら拓実を見上げ、ぼそっとつぶやく。
「ねぇ、拓実…結婚したらさ、私の胸に顔埋めて、『俺の特等席』って言うんやろなぁ…」
拓実はフランクに肩をすくめて笑う。
「おう、そりゃ俺の特等席やけんな〜」
さらに優子の妄想は止まらない。
「そんでな、やがて生まれた子供に、がっちりガードされて、こう…『俺の特等席が〜!』って言いながら守られるんやろなぁ…」
光子は思わず吹き出してツッコミを入れる。
「おいおい、それ、お父さんやん!」
優子は赤くなりつつも、にやりと笑う。
「えー、ちゃうちゃう。未来の旦那さんの特等席ってことよ〜。もう、絶対そうなると〜」
拓実は照れ笑いを浮かべながら、フランクに返す。
「ま、俺の特等席が胸なんて…毎日デートし放題やんけ〜!」
光子は笑いながらも、弟のように言う。
「優子、ほんまに妄想すぎやけん。あんた、妄想優子やな!」
優子はむっとして光子に突っかかる。
「なんで私だけ妄想乙女扱いするんよ!翼はこんなこと言わんやろ?」
光子はクスクス笑いながら、軽く肩をすくめる。
「そりゃそうやろな。翼は冷静やけん。拓実はまだギャグ全開やけど、優子の未来の旦那やけん、いろいろ妄想しても楽しいやろな」
こうして、昼休みの弁当タイムは、未来妄想優子と拓実の特等席トークで大爆笑。光子もつい笑いをこらえきれず、三人の昼下がりはギャグと妄想が交錯する賑やかさとなった。
未来編・拓実の特等席争奪戦
あれから7年。光子と優子はそれぞれ20歳を迎え、優子は22歳で拓実と結婚した。
結婚式の後、二人の新居での初めての夜。拓実は、にやにやと笑いながら優子の胸に顔を埋めて言った。
「ふふ、これぞ俺の特等席や〜!」
優子はくすぐったそうに笑いながらも、幸せそうに言う。
「もう、拓実、やっぱりここが好きなんやろ?」
拓実は照れつつも、胸に顔を埋める手をゆるめず、満足げにうなずいた。
「うん、俺の特等席やけん、ここだけは譲れん!」
しかし、時間は流れ、二年後。ついに二人の間に子供が生まれた。
拓実は、朝起きるといつものように優子の胸を目指すが、そこには子供がぴったりと陣取っていた。
「うおおっ、俺の特等席が〜!」
優子はにっこり笑いながら、子供を抱き寄せる。
「ほらほら、拓実、これが新しい特等席やけんね〜。もう譲ってあげてよ」
拓実はしぶしぶ笑い、子供の頭をなでながらつぶやく。
「ま、まぁ…仕方ないか…これも幸せの特等席やな…」
光子に報告したら、間違いなく「やっぱり拓実は妄想特等席野郎やな!」と笑われるだろう。その光景を想像すると、拓実は少し照れくさいが、家族の笑顔に囲まれて、胸いっぱいの幸福を感じるのだった。
こうして、かつて優子が妄想していた「俺の特等席」は、現実となり、そして新たな争奪戦の舞台となったのである。
未来編・特等席奪還作戦!
拓実はため息をつきながら、優子の胸に顔を埋められず、子供に占拠されている現状を前に、優馬に相談した。
「優馬さん…もう俺の特等席、完全に奪われてしまいました…」
優馬はニヤリと笑って言った。
「おう、俺も昔、同じ経験をしたぞ〜。特等席は奪還せんといかん!」
こうして、父と息子による「特等席奪還作戦」がスタートした。
まず作戦①:子供を抱き上げて優子の胸から引き離す作戦。
拓実「よっしゃ、行くぞ!」
優馬「せーの!」
二人で抱えようとするが、子供は笑いながら両手をばたつかせ、まんまと脱出。
拓実「うわー、まさかのジャンピングアタック…!」
優馬「こ、これは想定外や〜!」
作戦②:おもちゃで気を引いて特等席へ滑り込む作戦。
拓実「ほら、これで釣れるはず!」
しかし、子供はおもちゃよりも優子の笑顔を選び、特等席を死守。
拓実「な、なんでやねん!これ最強やろ…」
優馬「俺の時代もこんなやったぞ…子供の執念、舐めたらいかん!」
作戦③:夜中のこっそり奪還作戦。
拓実「よーし、今夜こそ…!」
しかし、布団に潜り込むと、子供がすでに先回りして布団の真ん中を占拠。拓実と優馬、二人とも隅っこで丸まるしかなかった。
拓実「俺の特等席が…完全に封鎖されとる…」
優馬「無理やな…これは…」
結局、どの作戦もことごとく失敗。拓実は天を仰ぎ、静かに悟るのであった。
「俺…この特等席、奪還は無理やな…でも、ここで諦めるんじゃなくて…新しい特等席を作るしかないかもな」
優馬は肩を叩きながら、にやり。
「それでええんや。家族の笑顔の中に、新しい特等席を作るんや!」
拓実は少し笑みを浮かべ、子供と優子の笑顔を眺める。
「せやな…俺の特等席は奪われたけど、ここにいるだけで十分幸せやな」
こうして、未来の拓実は、新たな特等席探しを決意したのであった。
次回、拓実はどんな新しい特等席を発見するのか!?
(お楽しみに!笑)
未来の拓実・久々の特等席確保作戦
未来の寝室。ベビーベッドには、まだ眠る小さな子供。
優子がそっと寝かせながら、拓実に向かってささやく。
「ほら、子供が起きんうちに、早よ来て」
拓実、少し照れながらもベッドに近づく。
「お、おお…久しぶりやな、こういうの…」
優子はにっこり笑って、軽く手を伸ばす。
「うん、たまにはこうやって、特等席確保せんとね」
二人は久しぶりにひそやかに寄り添い、少しの間だけ、拓実は優子の右胸を「特等席」として確保することに成功。
「ふぅ…やっと、俺の特等席が…!」
拓実の目はうれしさでキラキラしている。
しかし、重たい…いや、ちょっとの間だけとはいえ、久々の特等席、思った以上に身体のバランスが必要。
「ちょい、ちょい…体が…!重たいっちゃ!」
拓実が慌てると、優子はクスッと笑いながらも手を握って安心させる。
「大丈夫、拓実。ほんの少しだけでも、あんたの特等席はここにあるけん」
そして、子供がうっすら目を覚まし始めるタイミングで、二人は静かに体勢を整え直す。
「よし…次は、子供が寝とるうちに、もっと巧妙な特等席作戦を練るか」
拓実は小さなガッツポーズ。
優子は笑顔で、「でも、ほんの少しでも特等席確保できたんやけん、今日はこれで大満足やね」とささやく。
拓実はにやりと笑い、心の中でつぶやく。
「うん…俺の特等席、やっぱりここにあるんやな…」
短い時間ながらも、久しぶりの夫婦の営みで、拓実は特等席を奪還。
その日は二人の間に、静かでほのかな幸福感が流れたのであった。
知らぬ未来と熱血体育祭
2035年9月、博多南中学校の校庭は、夏の暑さをほんの少しだけ和らげる秋風が吹き抜ける中、二学期の体育祭本番に向けて熱気が高まっていた。
光子と優子は、まだ15歳。未来に待つ拓実との「特等席作戦」なんて夢にも思わず、ただ目の前のリレーや綱引きに集中していた。
「うわ〜、今年も暑いっちゃね。汗だくになりよるばい」
光子がぼやきながらアンダーシャツの袖で額の汗を拭う。
「もう、乙女心どこいったんやろ〜。汗だくだし、気分はただの戦士やね」
優子は体操着の汗染みを見て小さく笑う。
「これ、犬とか猫に嗅がせたら気絶するレベルやろなぁ」
光子が慌てて「嗅ぐな〜!」と突っ込む。
校庭では、熱血指導のタッカマン先生が、まるで松岡修造のように全力でリレー練習を指導している。
「もっと足を速く!声を出せ!気合いだ〜!」
クラスメイトたちは「タッカマンのせいで気温3度くらい上がっとらん?」と笑いながらも、必死に走る。
リレーのスタートラインに立つ拓実。軽い身のこなしで、まるで卓球で鍛えたフットワークをそのまま応用しているかのようにスイスイと走る。
優子は息を弾ませながら「こりゃ今年も拓実、リレー選手決定やね〜」とつぶやく。
しかし、その直後。拓実が持ったバトンがすっぽ抜ける。
光子と優子、そしてさおりと朱里は一瞬ポカンとした後、校庭中に響き渡る大爆笑。
「拓実〜、何やっとんのよ〜!」
拓実も思わず笑ってしまうが、少々照れた顔でバトンを拾う。
「いや〜、まさかバトンに逃げられるとは思わんかったばい…」
昼休み、光子と優子、拓実、さおり、あかりの5人で賑やかにお弁当を食べる。
女子の爆笑トークに拓実はついていけず、笑顔で首をかしげる。
「拓実、もうすぐ誕生日やん。プレゼント、何にしようかなぁ?」
優子の目はキラキラ。拓実はフランクに肩をすくめながら答える。
「ん〜、やっぱギャグ鉢巻の最新作、『あじゃたらぱー』で決まりやろ!」
全員、思わず大笑い。
その午後も、リレーの練習は続く。拓実は汗だくになりながらも軽快に走る。
光子は「うちらの未来、こんな笑いがいっぱいの日常が待っとるんやろか…」と心の中でつぶやく。
優子も笑いながら「まさか、拓実が将来あんな特等席争奪戦をやるなんて、夢にも思わんよね〜」
15歳の二人は、未来の拓実との「特等席作戦」も、未来の家庭生活も、もちろん知らない。
ただ目の前の体育祭を全力で楽しみ、汗と笑いと少しの青春のもどかしさをかみしめるのであった。
そして、ゴールラインを目指すリレーの選手たちの背中には、未来の小さな幸福とギャグに満ちた日常が、まだ見えぬまま、風のようにそよいでいた。
大玉暴走!珍プレー属州
午後のプログラム、大玉転がし。
白組と赤組が、大きな白と赤の玉をコロコロと転がしながらゴールを目指す。
光子と優子は白組、拓実も一緒に玉の後ろから必死に押していた。
「よっしゃー!押せ押せー!」
「いけーっ!いま白の時代ばい!」
ところが、ゴール近くでバランスが崩れる。
大玉がぐらり…そして大きくコースアウト。
「うわぁぁぁぁぁー!」
「止めんとやばか!」
光子と優子、拓実が慌てて追いかけるも間に合わず。
真っ白な大玉は、まっすぐ来賓席へ一直線!
ズドーン!!
見事に直撃したのは、なんと博多南小学校の校長先生。
光子と優子もよく知っている、あのにこにこ顔の校長だ。
「せ、先生ーーーっ!すいません、大丈夫でしたか!?」
慌てて駆け寄る双子。
すると、校長は大玉に押しつぶされながらも、にっこり笑って言った。
「小倉さんたち、ひっさしぶりやね〜。おかげで、わしの人生にも大玉転がしがやってきたばい!」
光子が思わず「先生、それ笑い事やないっちゃ!」と突っ込む。
優子はお腹を抱えて「いや、笑うしかなかやん!」と大爆笑。
来賓席はざわつきつつも、先生の豪快なギャグで和やかな空気になった。
そこにさらに、見覚えのあるちびっ子の声。
「わぁ〜、みずほ!大玉が先生ば押し潰したとよ!」
「ほんとやん、ひなた!先生、ぺったんこや〜!」
博多南小学校3年生、はなまるツインズのひなたとみずほが、にこにこ顔で先生を指さしている。
「おいおい、指さしたらいかんやろ〜!」と光子が言うも、二人はお構いなし。
「先生、もしかして大玉妖怪になったと?」
「わ〜!『おおだまん』の誕生や〜!」
その自由すぎるネーミングに、会場中が大爆笑。
優子は地面に転がって笑いながら、「あはははは!おおだまんて!」
光子も涙をぬぐいながら「もうツインズ最高やね!」と叫ぶ。
校長も立ち上がり、両手を広げて大玉の前に立ち、
「わしは今日からおおだまんや!体育祭の守護神になるぞ〜!」とノリノリ。
観客席は爆笑と拍手の渦に包まれ、大玉転がしはまさかのギャグエンディングを迎えるのだった。
リレーの結晶!ギャグvsスピード
いよいよ体育祭の最後を飾るリレー決勝。
観客席の熱気は最高潮に達していた。
「白組ぃぃーーー!」
「赤組ぃぃーーー!」
両軍の応援合戦が鳴り響く中、選手たちがスタートラインに並ぶ。
拓実は赤組のアンカー。
その表情には余裕の笑み。足の速さでは群を抜いている。
そして問題の――光子と優子。
なんと二人は、「ギャグ枠」として選出されていた。
司会者が場内アナウンスで説明する。
「今年からの新ルール、リレー決勝はスピードだけではなく“ギャグ力”も採点対象です!速さと笑いの二刀流、どちらも観客を沸かせた者が真の勝者となります!」
観客席「おぉぉーー!」
◆スタート!
第一走者が勢いよく飛び出す。
トラックを駆け抜け、次々とバトンが渡っていく。
そしてついに、光子の番!
「よっしゃぁーー!光の戦士、ここに見参!」
走りながら突然ポーズを決める光子。
観客「ギャハハハ!」
バトンを振り回し、ライトセーバーごっこを始める。
「シュバァァーン!わたしはリレーのジェダイや!」
審査員の得点ボード:「ギャグ 95点」
スピードは遅いが、爆笑で会場を支配した光子。
続いて優子。
「わたしは“やさしか子”!走りながら、応援団のみんなにハグを配るとよ!」
走りながら観客席に寄って、手を振ったり握手をしたり。
最後は転びそうになりながらも、満面の笑みでバトンをつなぐ。
審査員の得点ボード:「ギャグ 97点」
「きゃーー!優子ちゃんかわいすぎー!」と女子の黄色い声援が飛び、男子は呆然。
◆アンカー拓実!
そしてラスト、拓実の出番。
スピードは圧倒的。だがギャグ採点では不利…と思いきや、拓実は走りながら叫んだ。
「おれは優子の彼氏やーー!俺の特等席はここやーーー!」
と言って、ゴール前で胸に顔を埋めるジェスチャー。
観客「ブハハハハハーー!」
審査員「ギャグ 100点!」
◆結果発表!
司会者「今年の優勝は……赤組!!!」
拓実のスピードとギャグ満点で赤組が勝利!
しかし光子と優子も大健闘。
校長先生(さっき大玉直撃された人)がマイクを持ち、
「小倉ツインズ、あんたらはギャグの金メダルや!」と宣言。
観客席から大きな拍手と爆笑が沸き起こり、体育祭は笑いと感動で幕を閉じた。
公開告白の余波
体育祭が終わり、クラス全員がぐったりした様子で教室に戻ってきた。
机に突っ伏す者、ジャージをバサッと脱ぎ捨てて「あつかー…」とぼやく者、誰もが精根尽き果てている。
そこへ男子の一人が思い出したように口を開いた。
「なぁ……拓実。お前、リレーの時に言ったやろ?」
「……あ?」
拓実はペットボトルの水を飲みながら、とぼけた顔。
「“俺は優子の彼氏やー!”って叫んどったやん!」
「…………」
しーん、と一瞬静まった教室。
次の瞬間――
「「「公開告白やないかぁぁぁーー!!!」」」
男子全員が一斉にツッコミ!
机をバンッと叩くやつ、椅子から転げ落ちるやつ、爆笑で涙を流すやつまで現れる。
拓実「お、おい落ち着けって!あれはノリやけん!ノリやって!」
男子A「ノリで彼氏宣言するやつおるか!」
男子B「しかも満点ギャグ取っとったし!」
男子C「全国ネットやったら炎上案件ぞ!」
女子たちもくすくす笑っていて、優子は顔を真っ赤にしながら机にうつ伏せた。
「もうっ……恥ずかしかぁ……」
光子はすかさず立ち上がり、教壇に上がってマイクごっこ。
「速報です!博多南中三年三組、拓実選手、公開告白で赤組優勝に貢献!」
「やめろぉーーー!」
拓実が必死で止めようとするが、クラス中は爆笑の渦。
その中で、優子がちょっとだけ顔を上げて――
「……でも、拓実の言葉、うれしかったとよ」
その一言に、今度はクラス全員が「うおぉぉぉーー!」とどよめいた。
まるで体育祭本番よりも盛り上がる教室だった。




