空から大きな美脚が現れた
ある日の夏のこと。海が見たくて近所の海岸に来た。
すると、空をふわふわと泳ぐ真っ白い雲間から、大きくて真っ白い何かがずおっ・・・と降りてきた。私はその大きな真っ白いものを目の当たりにして、たぶん今でにないくらい目を見開いたと思う。
だって、その大きくて真っ白いものは──人の足。生足。しかも……
その足が、海に入ると。
バシャンっっ!!!!!!!
ぐらぐらと地面が揺れ、波が大きく揺れた。その揺れは程なくして止んだ、が。
「足っっ!!!美脚っ!!綺麗っっ!!羨ましいっ!!!」
と、動揺しながら私はそんなことを言ってしまった。すると、今度は雲間からずおおっと、真っ白くて細い大きな手が出てきて、私の方に伸びてくる。
え?何?変なこと言っちゃった?私殺される??
と、びくびくしていると、真っ白くて細い大きな手は私の顔の前に来た。捕まえて潰される!そう思いながら、ぎゅっと目を瞑った。
………………
…………
……?
しばらく目を瞑ったが、何も起こらない。私は恐る恐る、片目を開いた。すると。
「え……え?」
私の顔の目の前には、真っ白くて細い大きな指があった。その指は何か小さなものを……いや、私からしたら両手で抱えてやっと持てそうなくらいの、大きくてキラキラと輝く石の塊みたいなものを摘まんでいた。
「え……っと?これは……もらって良いってことかな?」
手と足しか見えないけど、なんだかそんな感じがして。私は恐る恐る、そのキラキラと輝く大きな石の塊を手に取った。瞬間、その石の塊が重すぎて落としそうになったけど、どうにか受け取った。
すると。
──驚かせてしまった謝罪とそして、私の足を褒めてくれたお礼です。地球にお邪魔しました。それでは──
天から、そんな優しい声が降り注ぎ、真っ白くて綺麗な大きな手足はずおおっと、雲間に上がっていった。
私はその手足が去った後も、ぽかんとしながら空を見上げていた。
私がもらったそのキラキラと輝く大きな石は、ダイアモンドだった。私はそのダイアモンドを宝物として大切にしよう──としたけど、おうちが貧乏だったので売ってお金に変えた。
そして、そのお金でいつまでも幸せに暮らしました。
おしまい。




