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episode 6 彼氏の需要

彼氏の需要…?


「じゅ、需要?」

李羽人の発言の意図が掴めず困惑する。



「そう」

真顔で頷く。

なんで唐突にそんな質問をして来たのかまず聞きたいが李羽人の顔は答えだけを求めている顔だった。



「あ、あると思うけど」


実際、紡としては恋愛をしてみたいと思っている。


だが、まぁそんな簡単に相手が見つかるはずもないので最近は夢物語のような自分とは縁遠いものだと思い始めている。




「…なら、少しの間でいいから俺を彼氏にして欲しい」


いや、流れが掴めない!

心の声が漏れないように細心の注意を払いながら紡は恐る恐る李羽人を見た。




「どうして?」


「それは追々話すから、出来れば明日までに決めて欲しい」



展開が早すぎて飲み込めていない紡は訳がわからぬまま頷いた。






「彼氏?なぜに?」

その夜、紡はひとりごちた。


失礼かもしれないが、どうも紡には李羽人が恋愛をしそうな(ひと)には見えない。


女子と縁遠いわけではないが、むしろ女子を自分から話してそうなイメージだ。



紡はベッドに転がり頭を抱えた。

彼氏…いたら楽しそうだ。



けど、せっかくなら彼氏にする人は好きな人であって欲しい…。



「李羽人のこと嫌いじゃ…ないから別に…」



シニカルな笑みを浮かべた紡は布団を手繰り寄せて寝ることにした。







「李羽人、彼女って私でいいの?」


「いいの?」

本当に?と目を見開いて、今にも飛びつきそうなくらい前傾姿勢になった。



「いや、いいの?」


「いい!」李羽人はこくこく頷いた。

嬉しそうで嬉しそうで愛らしく見えてくる。


「あのさ…なんで…?」


「なんで、か」

李羽人は迷った顔をする。

もしかして、女子避けとかそう言う類だろうか。



「………一目惚れっていうわけじゃないけど…」


「じゃないんかい!」

じゃあなんでわざわざ言う?


紡は反射的に突っ込んでしまったが李羽人は真面目な表情だ。



「なんだか、付き合ってみたい気がして…」


「はぁ」

ここまで来ると生返事しか返せない。



「…触れてみたかった…?みたいな」

ボソボソと注意しなければ聞こえないほどの声が聞こえて来た。



「性欲ね。むっつりが」



「いや、違う…」

自信なさげに呟いてる時点でアウトだ。



「李羽人がよく分かんなくなって来た。最初は冷たく、思ったより優しく、そしてむっつりときた」


ははっと紡乾いた笑いを零した。



「違うんだ…よ」


「分かんないねぇ」


別にむっつりでも迷惑をかけないなら良いと思う。

だが…。


「ごめん、ちょっと考えさせて」


「そうなるよね」


「そうだね」

紡は呆れのため息を吐いて、李羽人の頭を撫でた。


「もう少し、私のこと好きになって欲しいかな」


本能的ではなく。


そう言い残した紡はリビングから出て行った。



李羽人は頭の中を整理することに勤しんだ。


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