創作詩10: 鉄格子の窓から見た光景
本投稿では、創作詩 ”鉄格子の窓から見た光景” を発表します。
病室から中庭を見下ろすと、
小柄な女の子がベンチに腰掛けていた。
見た目は中学生くらいだろうか?
真夏だというのに、
その子は厚めの長袖シャツを着て、
首にはチェック模様のマフラーを巻いていた。
私の視線の先に気づいた妻は、こう言った。
「あの子、かわいそうなの」
「いじめを苦にして、自殺未遂したらしいのよ」
「毎日、だれとも喋らないで、あそこに座ってるわ」
女の子のそばには、
妙に傾いたオリーブの木が立っていた。
おわり
【編集後記】
2023年12月6日に投稿した掌編小説 長い坂の先に立つ病院の一場面を抽出して、詩に紡ぎました。
「隔離病棟に入院している妻を見舞った男のモチーフ」はそのまま活かして、風景描写のみを少し改変しています。