軽く殺意の湧く話
電気屋さんに対して含むところは、ありません。お客さん(うちの母)の希望通りにしたんだろうな、と思ってます。これがもっと普段からお付き合いのある電気屋さんだったら、購入前に私か妹に一報くれただろうな、と考えてるので、今後のためにも連絡を取るべきかも…と反省中です。
昨日は実家に行ってきました。片道二時間半かけて、門柱の電球を替えるためだけに。
私の母は今年82歳になりました。父が亡くなってからは、実家で一人暮らしをしてます。とはいえ、私の妹が徒歩五分くらいのところに住んでいるので、ちょくちょく顔を見に行く機会もあり、気ままに遊んで暮らしている感じの一人暮らしです。
実家は、両親が年をとって住みやすいようにと、11年前に建て替えました。この11年、というところが問題でして……
LEDの電球が切れるんです。
八十オーバーの母から電話が掛かってくるわけです。
「あんた、今日仕事ある?リビングの電気がつかへんねんけど……」
「仕事です。(私に言わんと)妹ちゃんに言うて。妹ちゃんにはライン入れとくから、今日の仕事終わりに寄ってもらうから、それまで待ってて」
「でもこんな電球電気屋さんに売ってないと思うねん」
そんな事を言われても、電話ではわかりません、という声を飲み込んで「妹ちゃんに言うとくから、待ってて」と念を押します。
母は、ちょっとでも分からないことには、絶対手を出しません。操作を覚える気はサラサラないくせにスマホを持っても電話をかけることしか出来ず、何度も同じ人にうっかり電話をかけ続けるという迷惑な日々が続いた為に、ガラケーに戻りました。
なお、メールも送れず、写真も撮れず、見ることすら出来ないために娘である私や妹、もしくは孫が側にいるときしか、携帯の写真を見られません。なのでもう母の電話は、ネットには繋いでないのです。
そんな母の為に母の友人たちは、葉書で遊びの予定をお知らせしてくれます。なんて出来た人たちなんでしょうか!
それはさておき、面倒くさいことには手を出さない彼女は、悲しい事にせっかちで無駄に行動力があるのです。
妹が実家に顔を出した時には、既にリビングの電気が照明器具ごと変わっていました……。LEDの電球、買い替えても数千円で済むところが、三万弱の出費です。
「あの電気屋さんは、親切でええ人や」
「そら、三万も払ってくれたら親切にもなるわ」と言う私と妹の声にならない声が……
そして、一昨日の夜、また電話がかかってきたのです。
今度は妹から……
「ごめん、姉ちゃん、表札の上のとこの電球が点滅してるねんけど、替え方が分からへんねん」
「仏壇の横の押し入れに家の全部の取扱説明書が入ってるファイルがあるんやけど」と説明しても、母は勿論のこと、妹も見つけ出せず……
姉(私)召喚されました。
そして昨日、片道二時間半かけて、実家に行きました。
まず押し入れをあさり説明書を見つけ出し、ふむふむ、この電球が必要なのね、ということで、またもやバスに乗りイオンモールに行き、必要な電球を買って実家に戻り、36度の昼のさなか、ドライバーを使って門柱の一部を外し、電球を交換し……また、付けて。
確かに説明書が無いと、難易度の高い作業ではあった。
作業を終えて家に入ると、クーラーの効いた部屋で昼寝中の母……
めちゃめちゃ腹が立ちました!
電球交換程度で呼びつけられることにも、行動力と小金があるせいで、やたらと金遣いの荒い母親にも!
意固地で何事にも自分ファーストの母は、人の意見を聞かないので、電気屋さんを言いくるめて無理矢理照明器具の交換をやらせた疑いもあるので、電気屋さんを一方的に怒れない状況も含めて、寝てる母を殴りつけて起こしたい位に腹が立ちました。
口調はキツかったと思いますが、少なくとも暴力に訴えなかった自分を褒めたい。作業を終えて、また二時間半かけて帰宅。
移動時間 約六時間半(イオンモールへの移動と買い物の時間も含む)
作業時間 十分
実家での滞在時間 三十分程度
電球代 二千円
交通費 四千円弱
さすがに母も申し訳なく思ったのか、父親が亡くなってから初めて、電車代をくれました。父は私が実家に顔を出すと、交通費をくれてました。六年前の父の葬儀後、毎週実家に片付けや名義関係の処理に二ヶ月ほど通ってた頃、妹が姉ちゃんに電車代くらい払ったげたら?と母に言ってくれたら、一方的になじられました。
母いわく、娘が母親の様子を見に来るのは当然の行為であって、お金がなかったら親孝行しないつもりか?と、泣きながら怒鳴られました。一応なんとかなだめすかして、収まりました。
母が、電球代と電車代をくれました、とラインしたら、お金使いは荒いけど、お金への執着心がスゴイあの母が?と妹がビックリしてました。
でも、来週一周忌を迎える親戚へのお供えを立て替えてた分の請求をしたから、くれたんだと思う。
つまりは請求しないと、立替分もスルーされてしまうのです。父が亡くなってから、実家の建て替えのローンの支払いもスルーされそうになった過去があります。両親ではローンが組めなかったので、私の夫名義でお金を借りたのですが…
一年前には、ウォシュレットが動かなくなった、と文句を言われて行ったら、単なる電池切れだった。
亡くなった父がマメな人だったので、母が一言言ったらさっさと家中の雑事をこなしてしまうのも良くなかったんだろう。
母にとって面倒事は全て、自分以外の人間がして然るべき事なのです。
これからの数年、私と妹は母の「故障やから、◯◯屋さんに電話した」に怯えることになるだろう。
まだ電気屋さんで済めば良いんだけど、リビングの電気がつかなくなった時は、実を言うと母は電気屋に電話する前に、家を建て替えた時の工務店に電話をしていた。
たまたま夏季休業で繋がらなかったので、助かったが、うちの母は、電球の交換にハウスメーカーを呼びつける人なのです……
妹と二人で、「尊属殺人を避けるためにも、必要になっても絶対に介護はしない。施設のお世話になろう!」と誓ってます。
今のところ、めちゃめちゃ元気な母は、自分の母が92歳で亡くなったので、それを超えるのが目標らしいです(T_T)