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第82話:戦略級

 ここ異世界で、総軍級5人による異次元の大戦が今まさに始まるかと思われた緊張状態の中——パァァァァッとフェンリルが魔力で包まれ、美羽蘭との闘いで消耗した魔素量が回復(・・)した。


「俺も、弱い者いじめは嫌いだ」

 そう言った晃生が亜凰と美羽蘭の横に並び立つ。


「晃生君……!」

 総軍級の中に割って入った晃生を心配し、木乃香が不安そうな声を上げた。


「フェンリル、行け」

 もう敵意のないフェンリルを先に逃がそうとする晃生の言葉を理解したか、フェンリルが少しだけ晃生を見つめた後、リラやアウレリアと反対方向に駆けて行った。


「……貴方達は、人に害を為す虫——魔物如きを助けるというのですか?」

 ここまで黙っていたリーリヤが逃げていくフェンリルを見て口を開いた。


彼奴(あやつ)はもう害などなイ」

「その保証がどこにも無いと言っているのだ」

 美羽蘭を睨むアウレリアの影がゆらりと(うごめ)く。


 次の瞬間——


 ——ドォォォォオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!


 轟音と共に、()()()()()()()()()()()()()()()


「フェンリルッ!?」

 回復させ()がしたばかりのフェンリルが何者かにやられて戻ってきたとあって、晃生が慌てて駆け寄る。


(フェンリルは精霊だぞ……美羽蘭達が特別なだけで、そう簡単にコイツに勝てる奴なんて……)


 今日何度目かの戦慄をする晃生の耳に2つの足音が聞こえてきて、隠しもしない濃密な魔力の気配が背筋を撫でる。


 バッと振り返ると、アメリカ人と思われる2人の男女が歩いて来ている。総軍級が一堂に(かい)しているこの場に、まるでショッピングでもするかのような気軽さで。


 女の方はかき上げ前髪(アップバング)の天然の金髪(ブロンド)とそれに映える美しい翡翠(ひすい)色の瞳を併せ持つセクシーな魅力の女性。

 もう1人の男はハリウッド映画のアクション俳優のような精悍(せいかん)()りの深い顔付きと服の上からでも分かる筋骨隆々とした体躯(たいく)を持つ白人だった。


「おいおいィ、総軍級が揃いも揃ってこんな犬ころ一匹仕留めきれねェのかよ。底が知れてンなァ青の六軍(ブルーセイス)さんよォ」

「一緒にしないで。私なら一撃よ」


 粗暴そうな男に言い返した女は一撃と言ったことを実演するつもりか、晃生が(かば)うフェンリルの方にキッと鋭い眼を向けた。


 晃生はフェンリルを守ろうと怯まず立ちはだかるが——


吹き飛べ(brow away)


 ——ゴォォオオオオオウウウウウウゥゥゥゥッッッ!!!


 女は一言発しただけで、指一本動かすことなくフェンリルだけを吹き飛ばしてしまった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


(何が起きたッ……何なんだこいつの能力は……!?)


 振り向いた晃生はフェンリルがバキバキッと木々を破壊しながら吹き飛ばされていくのを捉え、効果範囲内であることに賭けて回復の魔力を向ける。


 たまたまフェンリルが吹き飛ばされた方向に立っていた舞桜も、フェンリルが近くを飛んだその一瞬、同じ特性を持った魔力を分け与えようと意識を向けた。


 本来魔力譲渡は互いの魔力の性質を同調させる工程に相当の訓練が必要だが、魔力特性が似通っていた為、今舞桜が咄嗟にやった魔力譲渡で上手くフェンリルの回復を助けられた可能性もある。通常の魔物では不可能だったが、精霊種にとっては魔力こそが存在を形作るものだからだ。


 だが、今の状況下ではそれが精一杯。

 この2人からこれ以上目を逸らすのは危険過ぎる。晃生の感覚がそう訴えかけていた。


「晃生君。あの金髪(ブロンド)の女が青の六軍(ブルーセイス)の最後の1人——アイリーン・アークライトよ。言霊(ことだま)——言葉に魔力を乗せてあらゆる現象を引き起こす、万能の能力者と呼ばれているわ」

「アイリーン……あいつが世界ランク1位の、あのアイリーンだってのか……ッ!」


 世界最強——以前アンナに聞いたことを思い出し、晃生が目を見開く。


(言霊……フェンリルにだけ言葉を向けて、俺の後ろにいたフェンリルだけを吹き飛ばしたってことか。総軍級はみんなめちゃくちゃだな……けど……)


 亜凰の説明に納得しつつも、晃生はアイリーンではなく()()1()()()()の方に視線を注いでいた。


「ヒュ〜〜、飛んだなァ。言霊(ことだま)ってのは相変わらずふざけた能力だ」

「貴方には言われたくないわ。一番ふざけた存在のくせに」


 アイリーンを揶揄(からか)うその男からは、晃生の魔力感知でもなんの魔力も感じない。

 だが何故か、この場にいる誰よりも危険な雰囲気(ムード)を持っている。


 さっきのアイリーンとの会話からしても、最初に逃げたフェンリルをブッ飛ばして舞い戻らせたのもこの男だ。


 まるで剥き出しの核弾頭がそこにあるような、圧倒的な存在感。


(ここに集まってるのは世界最強の6人だぞ……コイツ、何者なんだ……!?)


「んで、そこのガキが情報にあった奴か? こんな犬っころにも勝てねぇようじゃ無駄足だな」

「そうね。Leo(リオ)まで引っ張り出してきて、米国防総省(ペンタゴン)も大袈裟なんだから」


 愛称でLeo(リオ)と呼ばれた男とアイリーンは、()()()()()そんな言葉を交わした。


「ペンタゴン……? アメリカの国防総省が俺に何の用だ?」

「用はたった今無くなった。お前が弱すぎたからなァ」


 ピクっと晃生のこめかみが動く。


「晃生君、やめときなさい。彼は私から見ても得体が知れなさすぎるわ。総軍級のアイリーンもいる」

「大丈夫だ。無闇にアメリカと敵対するほど馬鹿じゃない」


 亜凰に(いさ)められるまでもなく、晃生は冷静にその男のことを観察していた。


(体格は俺よりだいぶゴツいけど、超回復で強化されてる俺の方が身体能力は上だろうし、魔力を感じない以上、特殊能力も無い……はずなのに、何なんだ? こいつの放つ存在感は……)


「他の総軍級共も、このタイミングでここに居るってこたァ、このガキを見に来たんだろ? 当てが外れて残念だったなァ」

「……私は魔物災害の危機に陥った日本の救援に来ただけですが」


 魔物を毛嫌いしているリーリヤはそれを理由に否定する。


「建前はそうだろうなァ。だがゲートが開いた後に救援要請を受けてから来たにしちゃ到着が早すぎる。事実、全員このガキの所に集まってやがるだろうが」

「ここに来たのはフェンリルの魔力を追って来たからだし〜」

「私もだ」

 リラとアウレリアもあくまで偶然だと言い張るが……


「だったらさっさと帰ったらどうだ? その犬っころは不甲斐ねェお前らの代わりに俺らがブッ殺してやったんだからよォ」

「……」


 リオに言われ、3人は迷うような様子で晃生のことをチラッと見た後、大人しく去って行った。


 大人しくとは言っても、リーリヤは来た時と同じく暴風を纏い、リラは足元に作った魔力障壁を魔法の絨毯のようにして飛んで行ったが。

 言葉通り大人しく去ったのは影に消えたアウレリア・パラディースだけだ。


「……で、結局何なんだよ? アメリカに加えてロシア、韓国、ドイツの総軍級まで俺に何か用だったのか? 俺がフェンリルに勝てないと用済みになるってどういうことだよ?」

「本当に分からねェか? 危機感が足りねェなァこの国のガキは」


 要領を得ないリオの発言に眉を寄せる晃生。


 そこで亜凰が口を開いた。

「……晃生君。私を含め、さっきまでここに揃っていた総軍級能力者を(よう)する国——日本、中国、アメリカ、ロシア、ドイツ、韓国は互いに新たな総軍級の出現を危惧しているの。単身で10万の兵士にも匹敵する戦力なんて、警戒するなっていう方が無理な話でしょう? 先月私が救援に行ったおかげもあって日中関係は今安定しているけど、その他の国同士は水面下で睨み合っている状態なのよ」


「あァ。その緊張状態から、政治家連中には冷戦時代の再来だとか考える奴もいやがる程だ。だからこそ、各国の諜報機関は次の総軍級を最大限警戒している。そんな中、軍団級を倒したお前が日本で2人目の総軍級になるんじゃねェかと危険視されて、降って湧いたゲートの同時多発的出現に(かこつ)けて総軍級共が日本に集まり、ここで間抜けヅラを突き合わせることになったって訳だ」


 ようやく説明する気になったリオが亜凰の話を補足する。


(リライフ戦の影響がそこまで飛び火してたのか……)


「……なるほどな。その俺が思ったより弱かったから用済みだって言いたかったのか。で? 他の国の総軍級を追い払って、なんで残ってるんだ? 本当はまだ俺に用があるんじゃないのか?」


「ハッハァッ、そういうところの勘は良いじゃねェか。ま、ここまで来て何もナシじゃつまんねェしな。ザコとはいえ無名からいきなり軍団級を倒したんだ。その成長速度は確認しとかねェとだろ。なァ? アイリーンよォ」

「最初の方が本音でしょう? まあいいわ。確かに、収穫無しで帰るのも面白くないしね」


(こいつら……直接俺の力を見たいってところか)


「気付いてるか? ここは今日本じゃねェ。どの国も領有権を主張出来ねェ無法地帯(ダークテリトリー)だ。現世界(あっち)じゃ国際法の宇宙条約なんてもんがあって、宇宙空間ですら犯罪は裁かれちまうが、異界(ここ)じゃ通用しねェ」

「……何が言いたい?」

「分かんだろ? つまり、お前は今ここで殴られようが殺されようが文句は言えねェってこった」


 リオがそう言った直後、アイリーンが晃生の方を向き、フェンリルを言葉だけで倒したその口を開く——


「晃生君!」

 叫んだ亜凰が咄嗟に斥力場(リパルサーフィールド)を展開させるが、


「——斬り刻め(carve out)


 ブシュウウウウゥゥゥゥッッッッと晃生の全身に突如発生した斬り傷から血が激しく噴き出す。


 これまでどんなものも押し退けてきた亜凰の斥力場(リパルサーフィールド)を貫通——いや、すり抜けてきたその攻撃は、晃生が身に付けている特別性の学園制服に傷一つ付けることなく、体だけを直接斬り刻んだのだ。


 晃生の眼でも攻撃を捉えられず、高密度に進化した筋繊維を深くまで斬り裂かれていることから、今のは斬撃を飛ばすような攻撃ではなく、アイリーンが口にした『斬り刻む』という現象(・・)そのものを直接引き起こすもののようだ。


(めちゃくちゃだろこんな攻撃……ッ!)


 だが、ここまで超回復によって増加してきた魔力量による高い魔法抵抗力のおかげでまだなんとか立てている。


「ハッハハハァッ、口ほどにもねェなァおい。倒れねェのは大したもんだが、こんな奴がアメリカの脅威になるかよ」

「……っていうか、お前は誰なんだよ。後ろに立ってるだけの癖に……偉そうにすんな……」


 回復後の即反撃で意表を突こうとまだ傷は治さず、受けたダメージが深刻なフリで隙を(うかが)う為に挑発に乗った芝居をする晃生。

 

「口の利き方に気を付けろ。俺はレオナルド・バラクロフ。世界最強の男だ」

「世界最強……? 総軍級の前でよくそんなことが言えたもんだな……」

「総軍級も小隊級も俺にとっちゃ変わりねェんだよ。どっちもザコだ。俺はなァ、総軍級を超える世界初の戦略級(・・・)能力者として分類されてんだよ。まだ非公式にだがな」

「戦略級……?」

「あァ、つまりこういうこった」


 レオナルド——リオがそう言った直後、パッとその場の空気が一変した。

 

(なんだこれ……魔力が、消えた……!?)


 人の体内や木々、草花、岩、大地、川、大気中に至るまで、ありとあらゆるものに含まれていたはずの魔素粒子が全く感じられなくなったのだ。


 さらにさっきの戦闘のせいで密かに集まってきていたらしいデビルウルフ達がバタバタと倒れていく。


 魔力に覚醒したその日から、可視光線を捉え可聴音波を聞き取るのと同様に、新たに獲得した第六感で魔力を知覚してきた晃生達にとっては目や耳を塞がれたに等しく、一瞬五感を奪われたような錯覚に陥る。


 咄嗟にさっき斬り刻まれたダメージを回復しようと試みるが、()()()()()()()()()

 

「魔力を消す能力か……!?」

「さァ? どうだろうな」


 ()えて傷を治さずに残しておいたのが裏目に出た形だ。

 

(くそッ、奴からは魔力を全く感じなかったし、それは今も同じだ。なのに、どういうことだ……!?)


 見れば亜凰も戸惑いを隠しきれていない様子から、()()()()()()リオの魔力妨害(ジャミング)からは(のが)れられないらしい。


「総軍級が兵士10万人分だかって言われてやがるみてェだが、俺はその総軍級を簡単に捻り潰せる。核兵器みてェに俺がいるだけで戦争の局面を決定付ける、圧倒的な力だ。特に能力者共や魔導兵器をバカみてェに並べ立てる()()()()()()()にはな」

「……一応、貴方の存在は国家機密だったのよ? それをペラペラと……」

「うるせェ。文句があんなら直接言いに来いと上のクソジジィ共に伝えとけ」


 アイリーンの反応から、晃生はリオの言葉がただのハッタリではないと思い直す。


(こいつの前ではどれだけ強い能力者を何人集めようと、麗色(れい)ちゃんが作るような魔導兵器をどれだけ配備しようと、全て無駄ってことか……けど……)


「魔力を無くせば勝てるとでも思ったか?」


 晃生の肉体はこれまでの破壊と超回復の繰り返しにより、素の状態でも圧倒的な性能を誇るまでに至っている。

 魔力による運動エネルギーのアシストが無かろうと、多少体を斬り刻まれていようと、そこらの能力者では相手にならない程に。


「お前自身が弱いなら意味ないぞ」

 言い終わった直後、ドンッッッと加速した晃生は瞬時にリオへと肉薄し、渾身の突進打撃を放つ——!

 

 ——ドォォォオオオオオオオンッッッ!!!


 晃生の拳がリオに直撃し、衝撃波によって土煙がブワッッッと巻き上がる。


 亜凰や木乃香達が見守る中、土煙が晴れていくと……


「——その程度か?」

「……ッ!?」


 リオはノーダメージでそこに立っていた。


(バカなッ……魔力が使えてないとはいえ、ゴーレムや巨人化した仁の拳すら弾き返した俺の打撃だぞッ……!?)


 助走距離が少なく、活性化(アクティベーション)も封じられた状態とはいえ、魔力無しでも超人的な身体能力を持つ晃生の全力の一撃をまるで子供のパンチのように受け止めたリオに、晃生本人だけでなく亜凰や灯真、勇斗達も驚きを隠せずにいる。


「魔力無しでどうやって……!?」

「ま、お前程度じゃそれが限界だろ」


 反撃の拳を放とうとリオが拳を振りかぶる。

 素早い動作ではないが、自分の全力が全く効かなかった相手への恐怖心で体が硬直した晃生は動けない。


 そこへ——


穿貫(せんがん)(けい)ッ!」


 ——ドォォォォォォオオオオンッッッ!!!


 横から、美羽蘭が(・・・・)リオに掌底を打ち込んだ。


 晃生の打撃でビクともしなかったリオがズザザザザァッと押し込まれ、それでも大したダメージは受けていない様子だったが、後退させられたことに対し意外そうな顔をした。


「おっ? お前は多少マシみてェだな」

 自身の影響下でこれだけの攻撃を繰り出した美羽蘭を、リオは素直に称賛した。


 だが——


「こうか?」

 

 ——ッドォォォォォォオオオオオオオンッッッッ!!!!


 今美羽蘭が放った高威力打撃技。おそらく初見であっただろう掌底、その拳撃(けんげき)版を一目で盗んで放ったリオに驚愕しつつも美羽蘭は繰り出された腕に両手を添えるようにして受け流す——が、完全には力の向きを変えられず、その受けた余波だけでぶっ飛ばされて大木の幹に激突させられる。


「あぐッ……!」


「へェ、ちょい受け流されたか。やるなァ。んじゃ、お前はどうだ?」


 短い(うめ)き声を上げた美羽蘭を一瞥(いちべつ)したリオは晃生に向き直った。


 そのリオの姿が、動体視力と反応速度が超強化されているはずの晃生の視界から描き消える。


「吹き飛べ」

 アイリーンの言霊と同じことを言ったリオの声が耳元で聞こえ——


 ——ッッドォォォォォォオオオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!


 ただの殴打で、リオの言葉通り晃生の体が吹き飛ばされる。


 バキバキバキバキィッッといくつもの大木をへし折りながら飛ばされた晃生はドゴォォォォンッッッと先にあった巨岩にめり込んでようやく制止した。


 事前に超回復を発動させることも出来なかった晃生はそのたった一撃で意識を失ってしまう。


「ハッ、やっぱこんなもんか」


 フッとリオが闘気を収めるような感覚がして、周囲に魔力の気配が戻る。


「くッ、亜凰(アオ)ッ、そっちの(わっぱ)共を連れてゲートへ急ゲ! 中川晃生は(ゥオ)が連れて行クッ!」

「ええ!」


 亜凰が即座に引力を発動させ、木乃香、灯真、舞桜、勇斗、愛奏音の5人を引っ張る。


「だめ! 晃生君がまだっ……!」

「おい離せッ!」


 晃生を心配する木乃香が声を上げ、灯真も手から熱噴射(ジェット)を出して引力に逆らおうとするが、亜凰の引力の方が強い。


「良いから美羽蘭に任せなさい。貴方達がいても足手まといよ。日本に戻れば彼らも勝手は出来ないわ」


 勇斗と愛奏音も晃生を助けるために引力の影響から逃れようと空中で(もが)くが、亜凰は無理矢理5人を引っ張って地球へと帰還した。


「ハハッ、そんなにビビらなくても、新たに総軍級に成長する疑いのあった中川晃生(コウキナカガワ)以外は興味ねェってのによォ」


「……だったらもう用は済んだだろウ。さっさと帰ったらどうダ?」

 愉快そうに笑うリオを、晃生が飛ばされた方向に立ち塞がる美羽蘭が睨む。


「あァ、言われなくても帰るとこだ。あの様子じゃ、総軍級になるなんざ夢のまた夢だろうしなァ。行くぞアイリーン」

「ええ。美羽蘭、今度会った時は中華料理でも食べに行きましょう。私、チャーハン(フライドライス)が好きなの」

(シィ)(ゥオ)が作ってやるヨ」


 美羽蘭の答えを聞いて、アイリーンは満足そうに手を振りながら、リオはつまらなさそうに去って行く。


 警戒を解かずにそれを見送った美羽蘭は晃生の元へと向かった。


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