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蛍火

残照

作者: 夏野ほたる


送り火が紅く ゆるく燃える

夕暮れの空と 同じ紅の色

ゆっくりとのぼってゆく 白い煙に

懐かしいあなたの 声を聞いた


もっと話をすれば よかったのか

もっと話を聴けば よかったのか

もっと笑い合えば よかったのか

もっと手をつなげば よかったのか

もっと抱き締めれば よかったのか


もっと声に出して 伝えていれば


届かなくなってから

気がつくことばかり


夢のなかでは

元気に笑っている

そこにいるのが

当たり前のように


目が覚めると 思い出す

ああ

あなたは もう いないのだと


遠くの山の端に

残る紅


わたしは元気でやっています

これからも元気でやっていきます


思い出すと 

懐かしく

哀しく

温かく

悔しい


思い出すことは

忘れないこと


また わがままを言います


少しで いいのです

道に 迷わないように

これからを 照らしてください


あの 残り火のように

 

あの 残照のように


あなたの ぬくもりのように








 


月日が経つのは早いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  あの世との境界なのか、盆の夕景に不思議と感じる夏の暑さがぬるま湯にでも浸かったように体温と同期する頃、火や煙を霊と捉え想いを寄せ、送り火も消えかける最後の一行に温かい心を感じられ、送り火…
[良い点] 全体的に切なく、それでも「これから」を見据えた後ろ向きなばかりではないラストが印象に残りました。「あなた」はいなくなったとしても、語り手の心の中に残る大きな存在であることを示唆する「残照」…
[良い点]  追憶と後悔、過ぎた時間は戻りませんがこれらを抱えて人は生きていくのでしょうね。これらは過ぎ去りし過去の残滓かもしれませんが、生き残った人の糧にもなるのでしょう。  ただぬくもりを思い出す…
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