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ユメBとイサメ

 「ねえ、あれ」


 進が空を指さした。空に浮かぶ地球こと霊泡界が黒く妖しく光ったのだ。


「なにもないだろ進」


 渡は嫌そうに言った。渡には霊泡界が見えないのだ。


「あれは狼煙よ。誰かが戦ってる」


 一人の少女がすれ違いざまそう言った。


「進、その話は喧嘩になるからやめなさい。渡ももう少し我慢しなさい」


 大月はしゃがんで渡と進と目を開わせて言った。しかし、大月の心中は初めて感じる類の不安でいっぱいだった。


 それからしばらくして今度は渡が空を指さした。


「あれ、なに」


 それはアキヤラボパだった。


「落ちてくる。逃げろ」


 そんな声を聞いて周りはパニック気味になった。


「行かなきゃいけない。見なきゃ」


 進がそう言って人の流れに逆行して渡と進と大月はちりぢりになった。


 大月は胸が苦しくてうまく動けなくなった。心臓が異常に高鳴っているのだ。


 そして大月は目にした、アキヤラボパと謎の少女から人を護るチヨコレイト・ボーイの姿を。その謎の少女は紫のドレスを着ていて、なぜか顔を覚えられなかった。


 大月は確信した。この感覚こそ萌なのだ。私は彼を追わなければならない。そうでなければいけない。そんな強迫観念が生まれた。


 ユメの腕から黄金の炎が放たれて周りの人が苦しんでいた。


「チヨコレイト・ボーイ頑張れ」


 そんな声援が聞こえて大月の心拍数があがった。大月は混乱してうまく考えられなくなった。


 そして「()()()()()」というチヨコレイト・ボーイの言葉とともに発生した想情弾爆により大月は血の気が引いて正気を取り戻した。


 ふと、大月の脳裏にカメラを構えて写真を撮る少女が脳裏に浮かんだ。


 大月は慌ててスマホのカメラを構えた。


 風が吹こうとなにがあろうと大月はチヨコレイト・ボーイとユメの戦いを動画にして撮った。。


 そして大月の隣を黒い誰かが通り抜けた。それはチヨコレイト・ガールだった。チヨコレイト・ガールはチヨコレイト・ボーイに武器を投げた。


 大月はチヨコレイト・ボーイとチヨコレイト・ガールを応援した。


 そして影絡拳によりアキヤラボパは倒された。


 そしてチヨコレイト・ボーイとチヨコレイト・ガールが消えた。


「これ、ネットに上げちゃまずいよね」と大月はつぶやいた。


「あっ、姫。ここで写真撮ってたの?」


 渡が大月に声をかけた。


「ああ、うん。すごかったのよチヨコレイト・ボーイとチヨコレイト・ガールとユメ?だったかな」


「進どこか知らない?」


「あっ…… 忘れてた」


「姫」


 渡は抗議の意を込めて大月にローキックした。


「っごめんって」大月はそう謝ると進の名前を大声で呼んで探した。


「呼んだ?」


 ひょっこりと進が出てきた。


「ねえ、池田、大丈夫かな?」


 進はふとそんなことを言った。


「たしかにどうなんだろうね?」


「電話は使えないぞ。怪物騒ぎで大変になってる」


 渡の言葉を聞いて大月は家族へ電話をかけようとするが伝わらない。


「とりあえず家に帰りましょう。私が送っていくから。細かいことは明日考えよ」


 大月はそう言って笑った。


 そして、一方チヨコレイト・ブラックに破れたユメは倒れていた。


 ユメは空に浮かぶ地球、霊泡界に瞬時に逃げたのだが全身限界だった。


「許さない。許さないぞ。チヨコレイト・ブラック。私からアイツを奪っておいて。次はアレか、ならチヨコレイト・ガールを倒す倒す倒す倒す」


 ユメは寝っ転がりながら手足をバタバタさせた。


「忘れるな団則3条 反省会動画は寝る前に作りきる」


 ユメはそう言ってなんとか立ち上がった。


 ここは霊泡界のなにもない部屋と呼ばれていた場所。かつてリモコの使徒と呼ばれる組織の本部にもなっていた。


 スマホをセットしてカメラを自分に向けて動画を撮り始めた。


「新しく反省会を始めます。第何回にすればいいのかな…… 


 そもそも言わせてもらうとかーなーり面倒くさいと思ってます。だってこれ私たちが詰まったとき迷ったときに見返すための記録でしょ!


 なのにアイツがいないし、とりあえず定例の感情爆発タイムとります。

 今、一番感じている気持ちは面倒くさい! これにつきます。私たちがチヨコレイトに負けてから、倒れている間にやつらが勝ってから、私が復活してから、長い! 次に思ってるのは単純にムカツクってことです。だって、あいつらの世界には悪夢が足りない。悲しみが絶望が別離が足りない。それをあたえてやならきゃ気が済まないんだよ。


 アイツはどう思うかな? この地球を見て。私を見て。止めるかな、手伝ってくれるかな。世界を敵に回しても私の隣にいてくれるかな? それとも世界に迎合しろと迫ってくるかな? それとも中立気取ってくるかな? 分からない。


 ひとりぼっちは嫌だな。この部屋はムフフするにはちょうど良い広さだけど、すっごいやりにくい。本当に最悪な置きみやげだな、ピンク仮面。あ、これもそれも全部誰が悪い? 私か? 私が悪いのか?


 ピンク仮面が悪いのか? いや、ピンク仮面じゃない。悪いのは全部全部、智だ。智を倒そう。そうすれば私の傷口に触れられる


 そして、この部屋が広い。二人だとあんなにちょうど良かったのに。五人だとあんなに狭かったのに。


 それもこれも全部智のせいだ。智に復讐しよう。この気持ちは全て智にぶつけよう。ぶつけなきゃいけない」


 ここで智は言葉を区切った。


「これから、事実の報告。とりあえず近い記憶から、リモコ様の一部に接触したことで私が復活」


 そう言って半透明の蝙蝠の死骸をカメラに写した。


「誰が接触したと言えばいいんだろ、私がユメBで彼女がユメAかな。ユメAがリモコの使徒に接触して私は復活。そのとき謙? がユメAにキスしていて気持ち悪くて突き飛ばした。で、まあどうなったか誰が勝ったか分かって悔しくて笑って笑って腹が痛くなって、とりあえずユメAの体から出た。ユメAがゲロ吐いて倒れてて、単純に不気味で踏みつけてみたら気持ちよくて靴が汚れた。


 ピンク仮面が邪魔してきたからピンク仮面が一番守りたいであろうユメAを狙って黒騎士の槍を投げて倒した。まあ、それで終わればいいんだけどそんなわけはない。だって智と謙がいるんだよ。


 智と謙はチヨコレイト・ブラックへ変身した。私はアキヤラボパを召還して戦ったけど、負けた。


 ぶっつけ本番は無理があった。


 あぁ、面倒くさい。これより前のは纏めなくて良い。次の計画を練る方が大事だ。


 次は、順番通りに行けばアイツか。智を倒すならこれ以上はないな」


 ユメは大笑いした。


 そして、ユメは隣の部屋へと移動して敷きっぱなしの布団に寝っ転がった。


 ラジカセにお気に入りのCDを入れて目を閉じた。



♪~お互い友だちでいようね なんて言って別れたから

♪~だから 連絡なんて取っちゃうんだよね?


♪~私は思い出に囲まれていないと 生きていけないんだ

♪~なんて思っていたけれど そうでもなかったみたいだ

♪~後片付けを手伝って なんでこんなに息ぴったりかな

♪~お互い知らないことがないから 迷うこともないよね


♪~なんて思い出を切り刻みながら 思った


♪~気を引きたくて いじわるなやり過ぎで傷つけたよね

♪~気付いて 気付いてって 私が気付かないままだったから

♪~触れる指先の迷いにさえ 気付けないバカだったんだ

♪~だからいつの間にか 掴めなくなっちゃったんだよね


♪~失敗を間違えないように 生きてきたから

♪~綺麗な終わらせ方を 知らなくて

♪~臆病な気持ちの裏返しの 八つ当たり

♪~「ごめんね。」先に言わせて ごめんなさい


♪~綺麗に忘れてくれませんか 私には難しいことだから

♪~だから 連絡なんて取っちゃうんだよね?


♪~終わったことをズルズルと 引きずってしまう悪い癖

♪~吹っ切れたなんて嘘ついて 友だち誘って泣きたいの

♪~起きたらひとり 狭い部屋の広いベッドに寝ころんで

♪~未練たらしい思い出話を 酔ったふりして吐き出すの

♪~いないのに 声をかけちゃうこの部屋で


♪~好きなんだ 本当に好きなんだって 迷惑でしょう?

♪~今さらしおらしく 帰ってきてよ なんて待っている

♪~来年行こうって決めた予定 どう片づけたら良いの?

♪~なのに冷蔵庫は簡単に 空っぽになっちゃうんだよね

♪~失敗を間違えないように 生きてきたから

♪~綺麗な終わらせ方を 知らなくて

♪~臆病な気持ちの裏返しの 八つ当たり

♪~「ごめんね。」先に言わせて ごめんなさい


♪~綺麗に忘れてくれませんか 私には難しいことだから

♪~だから 連絡なんて返さないでくれませんか

またも上り坂を使わせていただきました。

さてこの上り坂なにか違和感がありませんか?


それでは第一話 終

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