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武器作りと初戦闘

これでもかというくらいキツくツタを縛り、屋根の修理が終わった。

 額のたんこぶをさすりながら柱を揺らしてみるがツタが解ける気配は無い。


「ふぅ、これで大丈夫だろ」


 全く……修理だけで昼になっちまった。

 今日は魔物を倒す予定だったのに……でもまぁ焦っても仕方がない、これを機にしっかりと準備してから望もう。


 そう思い資材置き場まで行く。予想通りというか何というか、大量の木材が余ってしまったので家の横にまとめて置いてある。


「さて、どうしようかな……」


 余った木で棍棒でも作るか? いや、どうせならしっかりした物を作りたい。

 いくらあのネズミが弱そうだったとしてもステータス的には俺の倍ぐらいはあるんだ。用心に越したことはないだろう。

 それに、結界内からブンブン木を振り回しても当たるイメージが浮かばない……


 リーチは長いほうがいいな……


 そう考え、出来るだけ真っ直ぐな細い木を引っ張り出すと先が二股になるように削りだした。

 持ちやすいように節なども落とし、最後に加工に使っていた石ナイフを先の二股にツタで固定していく。


「よし、出来た」


 ―――――――――――――――――――――――


 《歪な石槍》

 歪な木材に先の尖った石を括り付けただけの槍。

 耐久度は低く、数度使っただけで壊れる可能性がある。 攻撃力:9 質:劣


 ―――――――――――――――――――――――


 うーん……無いよりはマシぐらいのレベルか?


 もう少し頑張ってみるか……


 結局、手持ちの石ナイフを使い切り三本完成したが、全て歪な石槍だった。


「まぁ三本あれば足りるだろ……これ以上は使い切れる気がしないし……」



 次に30センチほどの木を束ね、ツタで固定していく。

 小さい筏のようになった。真ん中にツタで持ち手を作り簡単な盾を作ってみた。


 ―――――――――――――――――――――――


 《寄せ集めの簡易木盾》

 枝を束ねただけの簡易盾。耐久力に乏しく盾として使用するのは難しい。 防御力:3 質:劣


 ―――――――――――――――――――――――


 ですよねー……作ってる途中からダメそうな気はしてた。これなら持ち歩かない方がまだマシか……

 でも今出来るのはこれくらいだし……


「森になんか探しに行ってみるか」


 ついでに川に石を取りに行こう。そう思い森での採取をはじめた。


 そして川で石を集めていた時、結界外にあのネズミがいた。後ろを向き、木の実か何かを食べている。こちらに気づく気配はやはりない。


 !! どうする? いくか?

 幸い、槍は一本だけ背中に括り付け持ってきた。

 槍も届く範囲だ。

 ここで逃すにはあまりにも美味しいポジションだろう。



 種族 : ハイドラット


 生命力 : 220/220

 体力 : 360/360

 魔素量 : 250/250

 筋力 : 42

 技量 : 48

 知力 : 52

 魔力 : 55

 速度 : 65

 幸運 : 41



 スキル:『隠形』『脱兎』




 この間の奴とは別の個体だ。前の奴は『脱兎』なんてスキル持ってなかった。鼠なのに兎とはこれいかに……



 ……そんな事考えている場合じゃない! よく考えたら別個体で能力値が違うなんて当たり前だ。前よりは少し強いが誤差の範囲だ。よし! やろう!


 気づかれない筈だが、忍び足でネズミの首が狙える位置に移動する。


 チャンスは一回だろう……手傷を負わせても逃げられるかもしれない。相手の方が素早さは高いのだから……


 ゴクリと唾を飲みこみ槍を構える。


 そして、カリカリと木の実を頬張るネズミの首元に向かって力いっぱい槍を突き出した。


「っらぁっ!」


「!! ッギィ!」


 槍が結界内を出た瞬間、ネズミはいち早く感知し身を捻った。狙った首元からズレて脇腹辺りに深く槍が食い込む。


「どうだ!?」


 すぐさま槍を引き抜き次を構え、逃さないようにとどめを刺そうとするとネズミがこちらに視線を向け、けたたましく叫び声を上げる。


「ギギィィィィィ!」


 っ!! 見えてる……! こちらの存在は認知出来ない筈なのに攻撃をしたら驚いたようにこちらを見た。


 結界内からの無限攻撃という俺の最強理論が崩壊した瞬間だった。


 チクショウめ! やっぱりそんなうまい話はないか!


 次の槍を外してしまえば恐らく逃げられてしまうだろう。再び慎重に、かつ素早く狙いを定めると、なんと血走った目でネズミがこちらに突撃してきた。


「っな!」


 攻撃してくんのかよ! 名前とスキルから隠れるとか逃げるのだろうと高を括ってしまっていた。


 ネズミが牙を剥きながら俺の顔に向けて飛んできた。


「うぉっ!!」


「ギギィィッ!」


 万事休す! と思い、後ずさると、足を後ろに下げた瞬間、石に躓いて仰向けに倒れかける。


 すると石槍の穂先が丁度ネズミの首元に向けられていた。これ幸いと、最後の力を振り絞り右腕を精一杯伸ばす。


「ギギィッ!」


 見事ネズミの喉元に槍が食い込みその生命を奪っていく。咄嗟に『万物視』を発動し、ネズミの生命力が無くなるのを確認した。


 やった! 倒したぞ! ラッキーだった! 俺の幸運も捨てたもんじゃない!


 そのまま倒れこみ受け身を取ろうとしたが、大きめ岩に後頭部を打ち付けた。


「うがっ!」


 そして視界が真っ暗になった。


 血塗れで抱き合い、添い寝する男とネズミの姿がそこにはあった。



 ピンポーン


 《スキル『打撃耐性』を獲得しました》


 《魔物を倒したためブーストシークエンスに入ります。『槍術(小)』を獲得しました。『気配遮断(小)』を獲得しました》

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