表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/23

聖獣の力とリベンジ

ホシコと暮らし始めて2週間が経った。


「ホシコ、今日は狩りに行くぞ!」

「アンアンッ」


 暮らし始めは他の存在がいる事に慣れなかったが、ここ最近ではもう何年も前から一緒にいるような気分になっていた。


 はじめのうちはホシコを狩りへは連れて行かなかった。だってこの可愛さだ、もし万が一があって傷つきでもしたら、俺はもうどうなってしまうかわからない。それぐらい溺愛している。


 しかし先日、俺が火魔法を練習している時、ホシコのスキル『聖域』が気になり、調べてみたらとんでもない事実が判明した。


 ―――――――――――――――――――――――


『聖域』

 使用者、又は使用者が許可するもの以外の侵入を阻む聖なる領域を生み出す。


―――――――――――――――――――――――


 説明が大雑把で神域結界との違いは何だろうと思い、ホシコに実演してもらったのだ。


 ホシコが額の星柄に魔素を集めると体を覆うようにドーム型の領域が生まれる。そしてホシコに断り石を投げてみると、見事に弾かれた。


 もう一度、次は習得したての『火魔法』を放つ。魔素を手に集めて火花をイメージし、擦り合わす。火花が魔素に引火し、拳大の火の玉が出来た。それを結界に向かって投げると……弾かれた……


「すごいぞホシコ!」

「アンッ!」


なんてことだ……クソみたいな神の結界より何倍も使い勝手がいいじゃないか! あの結界はもしかして手抜きなんじゃなかろうか……?


 得意げな態度で尻尾を振りながらこっちに走ってくる。するとなんと、聖域まで一緒についてくるではないか。恐らく自分の周囲が聖域になる様に指定しているんだろう。

  

移動できるのだったらまた話は変わってくる。これで魔物からいくら攻撃されても大丈夫なんじゃないか? もちろんホシコの魔素量が、続く限りだが――



 そんな訳で、俺達は草原に向かう。そう、あの豚へのリベンジだ! 


 ドリラーピッグのステータスは他の魔物に比べ、そこまで高くはなかった。問題なのはあの速度だ。そこで『隠形』を使い、気づかれずに近くまで行って足に渾身の一撃を叩き込んでやる。後はその場の状況次第だが、動けない豚をタコ殴りにしてやるつもりだ。


 そう意気込んで、俺は手元にあるものを見た。


 ―――――――――――――――――――――――


 《マルナの大石槌》

 大きなマルナ石を使い作られた大槌。重量があるため扱いにくい。攻撃力:102 質:並


―――――――――――――――――――――――


 今日のために作り上げた特製のハンマーだ。今、俺の筋力は200を超えている。そのお陰でなんとか扱える武器だ。これなら奴の太い前足も砕けるだろう……


 触れてさえいればホシコにも「隠形」の効果がある事は把握済みだ。ホシコを頭の上に乗せると気配を消しながら草原に足を踏み入れた。


 しばらく進むと、大きな穴ボコがチラホラ見え出した。恐らく豚の巣穴だろう……出てくるまで待つか――



 干し肉を齧りながら待つこと数十分、ついに豚が顔を出した。腹が減っているのであろうか、辺りを見回し地面に鼻を付けながら進んでいく。


 俺は、ギュッと柄を握りしめながら慎重に豚の後ろをついて行った。


 森付近まで進んだ豚は、フゴフゴと地面を掘り返して芋を食べ始める。


 チャンスだ……


 こちらに気づかない豚は美味そうに芋を食べ続けている。


 ゆっくりと豚の横まで近づき、ハンマーを振り上げる。そして憎たらしいその足めがけ、力の限り振り下ろした。


「おらぁっ!」


「ブギィィィィィ!」


 不意を突かれた豚の悲鳴がこだました。右足が折れ、前方へ倒れる。そしてギロリとこちらを見ると叫び声を上げた。


「ブギィィィィィイイイイイ!!」


 俺は急いで距離を取り次の一撃の準備をする。ハンマーを掲げ額に攻撃しようとした時、豚は無事な左足を器用に地面に打ちつけた。


「やばっ!」


 地面が爆ぜて、石が勢いよくこちらに向かってくる。顔面直撃コースだ。今の俺じゃ防ぐ術がない!


「ヴゥゥアンッ!」


 あわや石が顔にぶつかりかけた時、ホシコが聖域を発動し、間一髪弾く。


「た、たすかった!」


 ここぞとばかりにハンマーを額に振り下ろし、頭蓋を割る。如何ともしがたい感触が手に伝わってきた。


「プギィ!」


 ドシンッと巨体が崩れ落ち、豚は動かなくなった。すかさず『万物視』で見てみるが、まだ死んでない……気絶しているみたいだ。


 俺は腰に括り付けてある石ナイフを取り出し、手で拝んでから首に突き刺す。そして流れてくる血と減っていく生命力を見ながらそっと息を吐いた。


「はぁ~……勝った……」

「ゥアン!」


 これ以上ないくらいの完全勝利だろう…あまりに上手く行き過ぎたのでまだ現実味がないが……

 ホシコが俺の周りを嬉しそうにグルグルと回っている。


「よし! 今日は焼肉パーティだ!」

「アンッアンッ!」



 ピンポーン


 《ブーストシークエンスを開始致します。スキル『槌術(小)』を獲得しました。スキル『筋力上昇(小)』を獲得しました。スキル『急所攻撃』を獲得しました。》



「おっ? おお! 今回は大盤振る舞いだな」


 それだけ強かったということか……まぁ確認は後にして、急いで解体して帰ろう。この巨体だ、解体するのに時間がかかるだろう。


 俺はホシコを頭に乗せて、豚を担ぎ上げてから再び「隠形」を発動する。


「よし! 帰るぞ!」

「アン!」


 ブレーメンの音楽隊よろしく川へと向かい、解体が終わってから家に戻ると、もう辺りは真っ暗だ。



 たくさん動いて疲れ果てていたが、この夜にホシコとバカ騒ぎをしながら食べた豚肉の味は、この世界に来て食べたどんなものよりも美味かった。



―――――――――――――――――――――――

 名前:西村 京

 年齢:27


 生命力 : ∞

 体力 :314/720

 魔素量:431/440

 筋力 : 361

 技量 : 282

 知力 : 189

 魔力 : 210

 速度 : 247

 幸運 : 141


《魔法》

『土魔法』『火魔法』


《スキル》

【生活スキル】

『採取』『伐採』『隠形』『砥工』『木工』『建築』『洗濯』『解体』『園芸』


【戦闘スキル】

『槍術(大)』『斧術(小)』『自己回復』『魔素操作』『逃げ足』『槌術(小)』『筋力上昇(小)』『急所攻撃』


【耐性スキル】

『精神耐性(大)』『毒耐性(小)』『打撃耐性(中)』


【特殊スキル】

『テイム』


《ゴットスキル》

『全適性』『万物視』『不老不死』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ