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最近の異世界小説の傾向について。

作者: 異世界願望

【異世界】


この言葉は、2000年代初めくらいには、全く馴染みのない言葉だったろう。だが、ネットの発展に伴い、誰もが簡単に小説を書きそれをネット上に投稿して感想を貰う。今までは、プロの作家になって書籍を出すことにより、その本を買ってもらって感想を貰う。それまでは一部の選ばれた者しか得ることのできない「創作の喜び」という物が、ネットを通して身近になった。誰もが、興味半分で小説を書ける時代になってしばらくして、この【異世界】という言葉が生まれた。それまでは大きく分類して現実世界とファンタジーという言葉で大きく分類されていた小説が、この言葉が認知されていくにつれて現実世界と異世界という大きな分類に変わっていったのだ。


考えれば【異世界】とは便利な言葉である。今まではファンタジーという分類であったために、その分野で小説を書こうとすれば、かなりの想像力(創造力)が必要とされてきた。我々の住むこの地球と似た星で、どのような点で現実世界と違うのか。そういう緻密な世界観を考えて、初めて物語が動き出す。現実世界の我々の知っている時代で、変更点などほとんどない現実世界を舞台とした小説を書いたほうが一概には言えないがまだ楽だったろう。それが、【異世界】と言う言葉が出てきたことにより一気にそのハードルが低くなる。



例えば我々の住む世界とは違い魔法という法則が存在する世界。ありふれた設定ではあるが、そのほとんどに共通する設定は、我々の現実世界より技術が遅れているという点だ。何故ほとんどの作品に共通するかというと、我々の住む世界の知識をそのまま流用できるからだ。


だいたいが現実でいう中世ヨーロッパのような世界を想像するだろう。何故中世ヨーロッパかというと、我々現代人にとって想像が容易いからだ。我々と違う世界で文明の発展具合は同じ世界を想像した時に、我々人類が今まで積み重ねてきた現代社会という舞台はあまりにも全容が知れないほどに巨大すぎるのだ。この設定で書き進めていくと段々と作品に粗が出てくるのが書き手自身に身近だからこそ想像できるのだろう。その粗を作り出さないのが書き手の腕の見せ所ではあるのだが、早々にこの設定では書くのを諦め、便利な【異世界】という設定に飛びつくのだ。中世ヨーロッパの設定なんて石造りの街で王様が治めている程度のことが分かっていればそこに【異世界】と言う要素を付け加えることで容易になる。もちろん中世ヨーロッパの世界というのはその程度では書き表せないほどに巨大なのだが、現代社会と比べると小さなものである。中世ヨーロッパの世界観で書き進めていった時に、当然だが粗が発生するが【異世界】と言う言葉でその粗を潰すことができるのだ。人間の排泄物を中世では窓から捨てていたりしたが、そのような問題など異世界で魔法があるので問題がなかったことに出来たりする。現代人が100人集まっても浄水施設を作り上げるのは不可能だろうが、我々の知らない専門分野のことに関しては全てこのように簡単に解決してしまうのだ。そうして汚いものを排除した結果残るのは、ヨーロッパの綺麗な街並み。我々はこういった作業を無意識の内に行うので、自然と中世ヨーロッパの街並みを舞台とした小説が作り上げられていくのだ。このように【異世界】と言う言葉は世界観を作り上げる上で、万能な言葉になっているということだ。



異世界物というものは、そのほとんどが主人公側が相手側に対して優位に立つ話である。 大雑把に言いすぎたのでどのような小説が書かれるようになっていったかいくつか説明していこう。


異世界転生または異世界転移。

この2つは異世界を語る上で欠かせないものだろう。この設定の物語を作る時に絶対条件が、主人公は筆者の知識(現代知識)をそのまま持っているということだ。しかし、現代社会において平凡な主人公をそのまま現代社会へと持って行ったらそれは異世界転生/転移した意味がない。主人公の持ってる知識というアドバンテージを最大に生かすためにはどうすればいいか。その答えは、舞台のレベルを下げることだ。50メートル8秒で走る高校生を活躍させるには、50メートル10秒で走る小学生逹に混ぜればいい。これと同じことを大げさにしてやっているのだ。我々が当たり前のように知っている知識は、人類の数千年の積み重ねである。その人類の叡智の結晶を自分が一から開発したわけでもないのにあたかも自分の実績であるかのようにその知識を披露するのだ。無意識のうちにやっている行動ではあるのだが、やっていることはただ他人の功績を自分の物にするという最低な行為だ。我々には当たり前すぎて気付かないだけなのである。何かの点において、他人の優位に立つということは、総じて気分の良いことであり、他人の功績で人の上に立つのは悪くはないが最高というわけではないだろう。やはり自分の功績で他人の上に立つのが一番気持ちいいものである。この異世界転生/転移というものは、簡単に他人の功績を自覚のないままに自分の功績として他者の優位に立つ展開を容易くしてしまうのだ。主人公が当たり前のことをやって痛快に突き進んでいく様を見るのは楽しいだろう。そういった要因から異世界転生/転移というジャンルが流行っていったのである。





チートもの。

これは主人公が何らかの要因で他者とは隔絶した力を手に入れて、その力を使って突き進んでいくタイプの物語のことを指す。これについては先ほど挙げた例を用いれば、50メートル10秒の小学生の中にいる50メートル8秒の高校生はすごいが、50メートル10秒の小学生の中にウサイン・ボルトがいるようなものだ。確かに結果だけ見れば凄いが、意図的に用意された下げられた舞台での話なので、もう飽きている人も多いだろう。



悪役令嬢、寝取られ、おっさん主人公

これらは、分類としては復讐劇とでも言えるだろう。みんなから嫌われていた悪役令嬢が社会的地位を手に入れ嫌っていた人物を見返したり、婚約者を寝取られた主人公が間男を見返したり、みんなからおっさんと見下されていた主人公が強くなって周りを見返す。結局のところは、全て同じことをやっているだけに過ぎないのだ。




このように、簡単に分類するだけで、読者がどのような小説を読みたいのかがだいたいわかってくる。それは、何らかの形であれ主人公が他者から尊敬され崇められるような展開だ。ギルドで絡まれそれを撃退したり、何か功績を残して王族に感謝されたり、日本食を作ってみんなから感動されたりなど、似たような展開を皆様は目撃したことがあるだろう。人気上位小説のほとんどが似たような展開があるだろう。今までにあげた展開のいくつかを選んで小説を書いていけば、誰もが簡単に面白い展開を書けるようになるだろう。これは、筆者の意見ではなく統計が示している事実である。



まだまだ小説のことについては言い尽くせないことがたくさんあるのだが、私は分析は出来ても文を書くことは苦手なようだ。これ以上長く書けそうにない。この駄文を読んでくれた人には、これなら俺にもかけるんじゃないかという思いつきでいいから小説を書いて欲しい。きっとそこから後世に名を残す作品が生まれるかもしれないのだ。みんなも小説家になろう。







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