森へレッツゴー
木に光りを遮られた薄暗い森の中俺は魔物を探していた。
森に入ってからしばらく歩いていたのだが、なかなか魔物が見つからない。
探知系のスキルでもあれば便利なんだけどなぁ。
そう簡単に習得することもできなさそうだしな。
奴隷を買う時に探知系のスキルを持った人を探してみるか。
まぁ、奴隷を買うのは当分先になるだろうけどね。
お金貯まらないし。
そんなことを考えながら森の中を歩いているとふと後ろから気配がした。
ゆっくりと後ろを振り向くと豚の顔をした二メートルくらいの巨体がいた。
一見、脂肪だらけでのろそうに見えるがよくみると筋肉もしっかりとついている。
動けるデブって感じだ。
つまりオークだ。
普通の武器だと、あの分厚い脂肪のせいで浅いダメージしか与えられなさそうだな。
でも、俺には切れ味の半端ないこの大鎌があるし、なんとかなりそうだ。
そう思いゴブリンの首を切り落とした時のようにオークの首に切りかかる。
しかし、オークは俺が思っていたよりも素早かった。
大鎌をあっさりと避け、丸太のように太いその腕で殴りかかってきた。
軽い俺はその攻撃をもろに受け数メートル吹き飛ぶ。
「うっ……おぇぇ……。」
全身の骨が折れた感触がした。
朝食べたものが腹から出てきそうだ。
内臓へのダメージもヤバイ。
ゴブリンに囲まれてこん棒で殴られたときの比にならならい激痛が体に走る。
大丈夫、俺は死なない。
大丈夫、すぐに治る。
そう自分に言い聞かせ立ち上がる。
数秒で体の傷は完治したが手の震えが止まらない。
だが魔眼はまだ使わない。
オークの攻撃はとても素早いが見えない訳じゃない。
油断せず対応すれば避けることもできるはずだ。
オークがのろのろとこちらに向かってくる。
なんであいつ生きてるんだ?って顔をしている。
俺は再びオークに切りかかった。
そしてまた、オークに避けられる。
しかし、今度はそこで止まらずもう一歩鋭く踏み込む。
そのおかげかオークのカウンターをなんとか回避することに成功した。
俺に殴りかかろうとして空ぶったオークの首にもう一度大鎌を振りかぶる。
ポトッ。
相変わらず切れ味のぶっ飛んでる大鎌は、脂肪だらけのオークの首をあっさりと切り落とした。
ふぅ、なんとか倒せた。
兵士のおっさんが言ってた強くなってから森に入れってのは、こういうことだったんだな。
明らかに草原とは魔物の強さのレベルが違いすぎる。
もし、俺が不死身じゃなかったあっさりと死んでいただろう。
ステータスを確認すると格上過ぎるオークを倒したことによりレベルがかなり上がっていた。
名前ブラッド
レベル24
HP237
MP∞
攻撃124
防御131
魔防117
魔攻147
スキル
【格闘】レベル4
【回避】レベル1
【全属性魔法】レベル10
固有スキル
【不死】
【不老】
【死神の魔眼】
【再生】
呪い
【マネーロスト】
レベル上がり過ぎでしょ!
一気に10 以上レベルが上がっていた。
つまりそれだけオークが強かったってことだ。
ついにHP以外のステータスも三桁を越えていた。
格闘のレベルも上がり新たに回避のスキルを習得したみたいだ。
これでもっと戦闘が楽になるだろう。
次は致命傷をもらわずにオークを倒せそうだ。
いつものように、大鎌で胸を切り裂き魔石を取り出すとゴブリンの魔石より一回り大きな濃い赤の魔石が出てきた。
なかなか高額で売れそうだ。
そう思うと少しにやけてしまう。
ステータスを眺めていると神に魔法を使えるようになりたいっていったわりには、戦士よりのステータスになってきたことに気がついた。
思い返してみれば俺ってまだ空間魔法しか使ったことないじゃん。
次オークがきたら魔法で戦ってみよう。
とか考えているとまたオークが現れた。
しかも今度は二体だ。
まだこちらには気づいていないようなので、遠距離で使える魔法を使ってみようと思う。
まずは火魔法から使ってみるか。
もちろん詠唱なんて知らないからなんとなくでやるしかない。
大丈夫、【全属性魔法】レベル10なんて凄そうなスキルがあるんだからなんとかなるはず!
高温の火でできた矢をイメージし心の中で、ファイアーアローと叫んだ。
声に出したらオークに気づかれちゃうからね。
すると高温になりすぎたのか青くなった炎でできた矢が超高速でオークに飛んでいった。
矢が着弾した瞬間物凄い轟音をたててとなりにいたオークも巻き込み爆発した。
ちょっとMPこめすぎちゃったかな?
一体だけを狙ったつもりが二体とも倒せちゃったよ。
俺ってMPは無限にあるっぽいから調節が難しいのかもしれないな。
要練習だ。
流石にさっきのはオーバキル過ぎた。
もし俺がパーティーを組んでいたとしたら前衛の人はオークと一緒にあの世へGOしてたな。
仲間がいなくてよかった。
奴隷を買って一緒に戦うってのも、俺がちゃんと魔法の威力を調節できるまでは保留だな。
まぁそれはともかくオークを二体も倒したんだし、レベルもまた上がっているはずだ。
確認してみよう。
名前ブラッド
レベル38
HP367
MP∞
攻撃194
防御201
魔防189
魔攻218
スキル
【格闘】レベル4
【回避】レベル1
【無詠唱】レベル1
【全属性魔法】レベル10
固有スキル
【不死】
【不老】
【死神の魔眼】
【再生】
呪い
【マネーロスト】
また大幅にレベルが上がり今度は新たに無詠唱を習得していた。
多分魔法を使う際のイメージが楽になったりするのかな?
オークの魔石を回収しようと近寄ると、先程の爆発で消滅していた……。
もったいないことをしたな。
これだけレベル上がれば安全にオークを倒すこともできるだろうし、もう少し森の魔物を倒してから街に帰ろう。
もちろん魔石が消滅するような魔法はなしで。