百年後
龍神との戦い。
あれから、およそ百年の時がたった。
あの後、龍神が俺と戦いそして、敗北したことを公表したことにより、俺は世界序列一位となった。
しかし、この百年間龍神との戦い以外には特に対したことはしなかったので、順位が落ちていき今では世界序列四位だ。
まぁ、あれ以降も色々あったんだけど、その度に当事者の記憶から俺の記憶を消したからね。
闇魔法でちゃちゃっとね。
そういや、剣聖と戦ったりもしたな。
メチャクチャ苦戦したけども、最終的に俺が勝ったけどね。
剣聖と戦うことになったときの条件がホント鬼畜だった。
魔法なしで戦えとか俺にはキツすぎるよホント。
ま、最終的に俺が勝ったんだからオールオッケー。
くそ、痛かったけどね。
全身を輪切りにされるとか人生初の体験だったよ。
それはそうとして。
今の世界序列はこんな感じ。
序列一位 龍神
序列二位 剣聖
序列三位 魔王
序列四位 死神
序列五位 精霊王
勇者君達はというと、あの後魔王討伐に行くことはなかった。
よっぽど、俺の脅しが効いたのだろう。
あれから百年たった今でも、まだ魔王は攻めてきていない。
結局、魔王が攻めてくるよりも勇者君達の寿命が先にきてしまい、勇者君達は一度も魔王と会わずに死んでいった。
つまり、俺と神とのあの約束もまだ果たせていないので、まだマネーロストの呪いは解除されていない。
まぁ、勇者君達もだらだら生きていたわけではなく、魔王討伐以外で結構頑張っていたらしい。
あ、そうそう。
勇者君といえばあいつを思い出す。
五味 駄素途。
五人目の勇者。
いや、勇者ではないな。
本人も違うと言っていたし。
百年前、王国で行われた勇者召喚。
それによって召喚されたものは四人だと思われていた。
誰もがそう信じ疑わなかった。
だが、召喚されたものはそれだけではなかった。
巻き込まれて召喚されたものがいたのだ。
そう、五人目がいた。
と、本人が言っていた。
五味君とは迷宮都市で出会った。
俺とフクシアがいつものように露店を回っていると、俺をを凝視してる人物がいたんだ。
で、俺が近づくと腰を抜かして泣き出した。
殺さないでください、許してくださいって何度も何度も言ってきたんだ。
とりあえず、落ち着かせてから事情を聞いて見ると、【鑑定】というスキルで俺のステータスを見てしまったらしい。
【死神の魔眼】や【不老】や【不死】をみてしまったらしく、それで怯えていたらしい。
まぁ、わからなくもない。
そんな五味君は今も生きている。
百年という、時がたった今も生きている。
五味君も【喰らう者】というかなりヤバイ固有スキル持っていて、それでガンガンレベルを上げまくった結果、【不老】スキルを得たらしい。
確か、四桁までいったときに手にはいったって言ってたな。
五味君は世界序列に入ってもおかしくないくらい強い。
多分、魔王と戦っても勝てるんじゃないかなってくらい強い。
でも、本人によると魔王討伐をしようという意思はないらしい。
魔王討伐なんて、他のやつに任せるよと言っていた。
自分はタップリ稼いだ金で遊んで暮らす、とも。
そんな五味君だが、昔はかなり荒れていた。
誰、というのは教えて貰えなかったが、ある人物を恨んでいたらしい。
その人物を殺すため、無茶なレベリングを繰り返し、レベル四桁越え、SSSランク冒険者という強さを手に入れたそうだ。
あぁ、SSSランク冒険者というのはこの百年で新しくできたランクだ。
Sランクのさらに上のSSランク、その上のSSSランクだ。
それはそうとして、圧倒的な強さを得た五味君。
さぁ恨みを晴らそうと、殺したかった人物に会いにいったらしい。
しかし、実際会ってみるとそこにいた人物を見てもあまり殺意がわかなかったそうだ。
自分が殺す程の価値のある人物じゃなかったと言っていた。
ひどく落胆した、ともいっていた。
その人物は想像以上に弱く、あんなに頑張って強くなった自分がバカみたいだと言っていた。
結局、五味君はその人物を殺すのを止め、迷宮都市に戻ってきた。
今ではデッカイ屋敷で奴隷達のハーレムを作り、楽しく暮らしているらしい。
勇者君達も寿命で死んじゃったし、あの頃の知り合いで生きているのは、【不老】スキルを持つフクシアと後、龍神と剣聖、そして五味君くらいだな。
フクシアは俺の魔法で奴隷紋を解除し、今では正式な俺の妻となっている。
もちろん、結婚式も挙げた。
結婚式には龍神や剣聖、マルコさんや五味君等も呼んで盛大に行った。
オーダーメイドで作らせた純白のウェディングドレスがとても似合っていた。
この世界にカメラが無いことを恨んだくらいだ。
百年たった今でもその可愛さは衰えず、夜の運動の方も毎晩欠かせない。
俺もフクシアも体はまったく百年間成長していないが、夜の行為の方の技術は百年前とは比べ物にならない。
今では、どちらが先にへばるか競っているほどだ。
最近は、フクシアがかなり上手くなってきて俺が先に力尽きることが多い。
この百年間色々頑張ったので俺もフクシアも四桁を軽く越えるレベルを持っている。
そのせいで、俺が本気で動くとベッドが壊れるんだよ。
もちろんフクシアは俺と同じく四桁越えのレベルを持っているので、俺が本気で動いても全然平気だ。
本気で動くとベッドが壊れる、なので最近は野外でヤることも多い。
自然の中、生まれたままの姿を晒し、行為をするというのはなかなかに気持ちいい。
フクシアはかなり恥ずかしがっているが。
でも、それがいい。
むしろ、その顔を見るために外でヤっているといっても過言ではないくらいだ。
そして、今夜も外でヤろうと思っている。
「……ねぇ、今日も外でするの?」
俺の服の袖を掴みながら上目使いでそう、聞いてくるフクシア。
「もちろんだとも。」
満面の笑みで答える俺。
いかんいかん、少し悪い顔になってるかもしれん。
「……もう、ブラッドのえっち。」
ぷくっと少し怒ったように頬を膨らませるフクシア。
可愛い。
可愛すぎる。
「さぁ、行こうか!」
そう言って、俺はフクシアをお姫様抱っこする。
「……見られてるよぉ。」
確かに周囲の人々は足を止めこちらを見ている。
「見せてるんだよ。」
少し意地悪な笑みを浮かべる。
「捕まってろよ!」
そう言って、俺は上空に転移。
落ちる前にさらに転移。
転移を繰り返しながら上空を進んでいく。
まぁ、一発で外まで転移できるんだけどね。
でも、景色を楽しみたいので少しずつ転移する。
下を見渡せばたくさんの灯りが煌めく、迷宮都市が見える。
「……綺麗。」
「そうだな、でもフクシアの方が綺麗だよ。」
少しカッコつけて言ってみる。
しかし、この程度フクシアはもう慣れてしまっている。
この百年間色々あったからね。
「……綺麗なだけ?」
ほらね。
「フクシアは綺麗なだけじゃなく可愛いもあるから最強だな。
俺の中ではいつもフクシアが一番だよ!
愛してるフクシア!!」
だから、フクシアを照れさせようとするならば、これくらいはしないといけない。
ま、百年間たってもフクシアへの愛は変わっていないのでこれ程度余裕だ。
少し、俺の顔も赤くなっているかもしれないが。
「……愛してる、ブラッド。」
俺の耳元でそう囁くフクシア。
あぁ、幸せだ。
きっと、俺の愛は、俺とフクシアの愛は永遠に朽ちることはないだろう。
今夜も俺とフクシアは夜の闇を消えていく。
そして、愛を囁きあい、お互いを求めあう。
「……今日は優しく、してね?」
「あぁ。」
今日はそういうプレイをご所望らしい。
俺は激しくするのが好きだが、まぁ仕方ない今日は激しくしないようにしよう。
この可愛い可愛いフクシアさんの言葉は絶対だからな。
元世界序列一位の死神、ブラット。
そんな死神も、嫁には勝てないらしい。




