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勇者達vs俺





踏み固められた地面。

周囲を囲む騒がしい観客達。


俺達と勇者達は冒険者ギルドの訓練場にきていた。

ランクアップの試験を受けたあの訓練場だ。


さすがに街中で戦う訳にはいかないからな。

ギルドは勇者が使うと言ったら、簡単に訓練場の使用を許可してくれた。


勇者が戦った訓練場のあるギルドと宣伝できると喜んでいたぐらいだ。

それだけ勇者というのは人気があるのだろう。

ホントにアイドルみたいだな。


勇者は四人。

全て若い男女だ。


しかも、男一人に女三人といういかにもなハーレムパーティ。

さらに、その女三人はみんなその男のことが好きみたいだ。

ギルドにつくまでの様子でわかった。


まったく、イチャイチャしやがって。

少し、前の俺なら嫉妬に狂っていたかもしれない。


でも、今の俺にはフクシアがいる。

なので俺もギルドにつくまでの道中、フクシアと思いっきりイチャイチャした。

それはもう、勇者達に負けないぐらいに。


街中だったのでフクシアはかなり恥ずかしそうにしていた。

だが、それがさらにそそるんだよね。


まぁ、それはおいといて今は勇者達との戦いだ。


「本当に一人でいいのか?」


またハーレム勇者君がそう訪ねてくる。

しかし、俺の考えは変わらない。


「一人で大丈夫だ。」


俺が一人で戦うというのはちゃんと理由がある。

俺一人で充分だというのも理由の一つだが、それだけではない。


相手は一応、勇者。

なにか、ヤバイ技をもっているかもしれない。


俺はなにがあっても死なないが、フクシアは違う。

フクシアは不老ではあるが不死ではない。


つまり、万が一勇者との戦いで致命傷となる攻撃を受けたら、取り返しのつかないことになる。

だから、今回フクシアには戦いには参加しないで貰うことにした。


ダンジョンの魔物を駆逐しまっくって、大幅にレベルアップもした。




名前ブラッド

レベル189

HP1823+546

MP∞

攻撃1678+329

防御1753+876

魔防1694

魔攻1962+588

スキル

【格闘】レベル7

【剣術】レベル8

【回避】レベル8

【攻撃強化】レベル4

【耐久強化】レベル10

【生命力強化】レベル6

【魔攻強化】レベル6

【無詠唱】レベル9

【全属性魔法】レベル10

【衝撃耐性】レベル5

【火耐性】レベル3

固有スキル

【不死】

【不老】

【死神の魔眼】

【再生】

呪い

【マネーロスト】




これで負けることはないだろう。


アイテムボックスから深紅の大鎌を出す。

これで俺は準備完了だ。


「そろそろ始めるとしようか。」


「後で泣かないで下さいね。」


ハーレム勇者君は自分達の勝利を確信しているようだ。


「では、双方準備はいいな?」


今回の審判であるライガーがそう言う。

ライガーはランクアップの試験官だけでなく、こういう仕事もするらしい。


「ええ、大丈夫です。」


勇者パーティを代表してハーレム勇者君が言う。


「俺も大丈夫だ。」


今回の戦いのルールはただ一つ。

相手を殺さないこと。

これが簡単そうで難しい。


今の俺には魔法の威力を下げてくれるらしい、白銀の指輪がある。

しかし、俺はその指輪をはずす。

さくっと終わらせたいからね。


「では、始め!」


俺と勇者達には十メートル程の距離がある。

ハーレム勇者君と剣士らしき少女が前衛。

魔法使いらしき少女と回復役らしき少女がその後ろにいる。


「どこからでもかかってきていいですよ。」


勇者君は余裕の表情だ。


「そうか、なら遠慮なく。

ファイアーアロー!」


とりあえず、青いほうのファイアーアローを放つ。

オークを爆散させるあのファイアーアローだ。

手加減?

そんなのしないさ。


まぁ、足下に放ったんだし、死にはしないだろう。

足は無くなるかもしれないけどね。


「まずいっ小雪、防げ!」


ほう、あれの威力に気づいたか。


「了解ぃー、聖盾!」


小雪と呼ばれた少女が淡く光る盾を出す。

その盾に触れた瞬間、ファイアーアローは轟音をたてて消滅した。

なかなかやるじゃないか。


聖盾という魔法はない。

つまり、あの勇者の固有スキルなのだろう。


「小雪の聖盾はね、絶対に壊すことはできないんですよ!

今なら降参してもいいですよ!」


へぇ、絶対に壊せない、ね。


「降参なんてしないさ。」


勇者君が絶対に壊せないと言った聖盾に、今度は連続でファイアーアローを放つ。

威力は倍で。


しかし、聖盾にはひびすら入らない。

連続で放ったファイアーアローは、次々と轟音と衝撃を巻き散らして消滅していく。


俺の攻撃は通っていないが、勇者達も聖盾から出られないでいる。

今出てきたら死ぬとわかっているのだろう。


「ふふ、あなたの攻撃は通りませんよ!

でもね、こちらからは通るんですよ! 

ライトボール!!」


光魔法か。

なんか勇者っぽいな。

威力も少し高めだ。


でも、そんなんじゃ俺には通用しないんだぜ?

俺にはあの小雪と呼ばれた少女のような防御方法はない。


なら、どうするか?

単純に避けるという選択もあるが、今回はそうしない。


「ライトボール!」


こうするんだよ。

俺もライトボールを発動。

そして、勇者君のライトボールと相殺。


それどころか、俺のライトボールはまったく威力は衰えず、勇者達に向かっていく。

しかし、また聖盾に防がれる。


「光魔法も使えたんですね。

でも、魔法ならこちらにも優秀な子がいるんですよ!

華鈴、やってしまえ!」


「わかりました。

実力の差という物を見せてあげましょう。

たかが二つの属性の魔法を使えるだけで、いい気になっている一般人に。

聞いて驚かないで下さいね、私は五つの属性の魔法が使えるんですよ!

ウォーターキャノン!!」


俺は何を驚けばいいんだろうか?

だってさ、俺って五つどころか全て魔法使えるんだけど?


確かに威力はそこそこではあるが、まだまだ勇者にしては弱い。


「それがどうした?

俺が使える魔法は二属性だけじゃないぞ?

ウォーターキャノン!!」


華鈴と呼ばれた少女の魔法より数倍威力をこめて、俺も同じ魔法を発動。

凶悪な破壊力をもつ水の凶器が放たれる。

たやすく、相殺には成功するがまた聖盾に阻まれる。


あの盾どうなってんだ?

強度がヤバすぎるな。


「くっ、一般人にしてはなかなかやりますね。

まさか、Sランク冒険者ですか?」


「いや、Cランク冒険者だか?

勇者ってのは随分と弱いんだな。

四人がかりで、たかがCランク冒険者に勝てないでいるんだから。」


俺の挑発に勇者達は表情を歪ませる。

まぁ、俺の強さは普通のCランクとは桁が違うけどね。


「たかがCランクが舐めたこといってんじゃねえ!」


「おい美咲! 戻ってこい!!」


美咲と呼ばれた少女が聖盾の範囲をこえ、こちらに走ってくる。

勇者君は必死に叫ぶが美咲に止まる様子はない。

さっきの挑発で完全にぷっつんしてるようだ。


美咲と呼ばれた少女は見た感じでは、剣士。

剣をもって走ってきているからな。

俺と美咲との距離はおよそ七メートル。


走る美咲のスピードはそれなりのものだ。

だが、それなりでしかない。

俺にその剣が届くことはなかった。


「ウィンドインパクト!

ファイアーアロー!」


美咲が近づく前に魔法を発動。

邪魔されないように勇者達の方にも同時のタイミングで、ファイアーアローを放つ。


ウィンドインパクトは強い衝撃波を放つ魔法だ。

それを通常の数倍の威力で放った。


高速で放たれる不可視の衝撃波を美咲は避けることができず、直撃を受けて観客達の方に凄い勢いでふっ飛ぶ。


「かふっ……。」


「美咲っ!!」


今ので意識を失わないとはな。

少し、以外だ。

とりあえず、意識を失うまで追撃をいれとくか。


「ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!」


念には念をいれて五発、手加減なしで打っておいた。

一発ごとに、美咲の体が大きくはねる。


三発目で意識を失ったようだが、すでに放たれた魔法は止まらない。

意識を失った美咲は残る二発をさらに受ける。


地面に何度も打ち付けられた美咲の装備は壊れ、中の服もほぼ全て破れ、隠すべき場所に布は残っていなかった。

結果、訓練場に集まった大勢の観客達に美咲は半裸をさらすことになる。

小ぶりな双丘を。


観客の男達は喜んでいいのか悲しんでいいのかわからないようで、なんとも言えない表情だ。




「くそっ、よくも美咲を!

しかも、あんな姿に!」


別に狙ってやったわけじゃないけどね。

てか、そう言う勇者君は美咲をめっちゃ見てる。

いいのかい? 少し、スティックが大きくなってるよ勇者君?


「華鈴、回復魔法を美咲にかけてくれ!」


「いいのおぉー? 

聖盾が出せなくなっちゃうよぉー?」


「くそっ、そうだったな。」


へぇ、いいことを聞いた。

あの聖盾は他の魔法と同時には使えないらしい。


「今なら降参してもいいんだぜ? 勇者君?」


そろそろ降参してくれると楽なんだけどなぁ。


「降参なんてしませんよ!

絶対に美咲の仇をうって見せます!」


ごめん、それ無理だと思うよ。


「くっ、うっ……。」


ん? なんか美咲が動いてるな。

もしかして意識を取り戻したか?

なかなかしぶといな。


でも、今の美咲は聖盾の範囲外。

たとえ半裸だとしても、完全に胸が完全に露出している十六才くらいの少女だとしても、容赦はしない。

また、意識を失うように魔法を放つ。


「ウィンドインパクト!

ファイアーアロー!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ファイアーアロー!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!

ウィンドインパクト!」


先程、五連で放って意識を取り戻したので今度は十連だ。

途中で邪魔されないよう、勇者達にファイアーアローを放つのも忘れない。

もちろん手加減はしない。


避ける余力なんてない美咲は直撃を受ける。

地面に打ち付けられあまりに大きな衝撃で一メートル程はねる。

そして、さらにまた地面に打ち付けられる。


すでに弱っていた美咲は一発目で意識を失い、四発目の衝撃で意識を取り戻し五発目でまた意識を失った。

そして、十発目を受ける頃にはピクリとも動かなくなった。


もうその体には布と呼べる物は残っていない。

あるのは粉々になった装備だったものと、ところどころにアザのできた裸体のみだ。


これでもう、意識を取り戻しても美咲は立つことすらできないだろう。

ま、後で回復魔法で元通りになるんだから問題ない。

観客達の記憶は消えないが。


俺もやりたくてやってるんじゃない。

完全なる勝利のためだ。


「なんてことを!!

俺はあなたのことを許しません!

絶対に勝って後悔させてあげます!」


勇者君は悲痛の叫びをあげる。

でも、そのビックにしちゃってるスティックのせいで台無しだ。


「さて、これでやっと一人脱落だな。

後、三人か。」


もう勇者達に余裕の表情はない。

俺はというと、余裕すぎて笑みすら浮かんできている。


「さぁ、続きをしようか。」


再び、俺と勇者の戦いが始まる。



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