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勇者到着





少し、肌寒い朝。

横では、フクシアが眠っている。


枕の横に目を向けると白銀の指輪があった。

寝る前はなかった物だ。

つまり、これがあの神の言っていた物だろう。


手に取り、右手の人差し指に嵌める。

特に何かが変わった気はしない。

ちゃんと効果がはっきされているか少し心配だ。


さて、あの神に頼まれたことだがどうすればいいんだろうか。

迷宮都市は広い。

王都に負けず劣らずの広大な都市だ。


そんな中で勇者を見つけられるだろうか。

いつくるかもわからないし、どこにくるかもわからない。

でも、物は貰っちゃったからなんとかしなければならない。


あぁ、めんどくさい。

はぁ、その勇者ってのがもの凄い目立つやつだといいなぁ。

そしたらすぐに見つけられるだろうし。


フクシアがもぞもぞと動く。

フクシアも起きたようだ。


「……おはよ。」


「おはよう。」


とりあえず、これからは街をぶらぶら歩いて勇者を探すしかないか。

それぐらいしか、思いつかない。

そう思うと自然とはぁ、とため息がでた。


「……どうしたの?」


不思議そうに聞いてくるフクシア。


「ちょっとね、面倒なことを頼まれて引き受けちゃったんだよ……。」


あの場にはフクシアはいなかったので知らない。


「……?」


「ある人がね、あることをしにとある場所に行こうとしてるんだ。

それは今は無理だからやめろってその人に伝えなくちゃいけないんだよ。

その人は迷宮都市に来るんだけど、いつくるかもわからないし、どこに現れるかもわからない。」


「……その人って誰?」


言ってもいいのかな。

まぁ、フクシアだしいっか。


「聞いて驚くなよ?」


「……もう、ブラットのことでいつも驚いてるから驚かない。」


そんなに驚かせるようなことしたっけな。

うん、したかもしれない。


「勇者、だよ。」


「……勇者?」


フクシアは余り驚いた様子はない。

さすがだな。


「そう、勇者。

勇者にまだ魔王のところに行くのは早いからやめろって伝えなくちゃいけないんだよ。」


フクシアは首を傾げる。


「……なんで?」


まぁ、そう思うよな。

勇者が魔王を倒しに行くなら、普通は止めるなんてしないだろう。

でも、今回の勇者は……。


「それはね、勇者がまだ雑魚だからなんだよ。まだ弱いくせに自分は強いと勘違いして、魔王のところに行こうとしてるらしい。」


「……どれくらい弱いの?」


どうやって、勇者のことについて知ったかはフクシアは聞いてこなかった。

少し、以外でもあるが納得もする。

今までフクシアの前は色々と普通ならできないことをしてきたからな。


「多分、今の勇者ならフクシアでも倒せるんじゃないかな。」


「……勇者弱すぎ。」


さらっと酷いことを言うフクシア。

まだ会ったこともないが少し、勇者が可哀想になる。


「まぁ、そんなわけでこれからしばらくは勇者を探すことになる。」


「……どうやって探す?」


「そりゃあ……面倒だけど迷宮都市を歩きまわるしかないだろうな。

勇者なんだし、それなりに目立つんじゃないかな?」


「……そうだね、なんかバカっぽいし。」


哀れ勇者。

神にも俺にもフクシアにもバカにされてる。

まぁ、ホントにやってることはバカなんだけどね。


「だからしばらくはダンジョンに行くのは中止だな。

ま、露天でも回りながらゆっくり探そう。」


「……わかった。」


朝食をとらず宿を出る。

露天を回ると決めたからな。


外に出るとなんだかいつもより騒がしい。

ん? 今、勇者って聞こえたような気がする。

少し、通行人に聞き耳をたててみる。



「なんか、勇者が来たらしいわよ。」

「迷宮都市にか!」

「これから魔王を倒しに行くんだって!」

「勇者?! ねぇねぇどこにいるの!」

「迷宮都市の西側で見たってきいたぜ。」

「勇者、見に行こうぜ!」



ほう、勇者は西側にいるのか。

てか、もう来てたのか。

勇者目立ちまくってるな。

ホントかどうかはわからないが行ってみるとしよう。


「フクシア、西側に行こう。」


「……ご飯、食べてから。」


あぁ、まだ朝食がまだだったな。


「そうだな、食べてから行こうか。」


よかった、思ったより早く勇者を見つけられそうだ。

しかし、どうやって説得しようかな。


まったく、あの神も面倒事を押し付けてくれたもんだ。


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