デュラハン
デュラハン。
Cランクダンジョンの20階層のフロアボス。
その鎧の体はとても硬く、並の武器では傷ひとつつけることもできないと言われている。
ーーー
デュラハンは俺が距離を詰めると同時に、凄まじい速度で巨大な両手剣を降り下ろしてきた。
俺はそれを大鎌の柄で防いだ。
衝撃が体の芯まで伝わってくる。
黒鉄の剣だったら今ので折れてたな。
こいつ、めちゃくちゃな力をもってやがる。
あんな攻撃何度も受けたら腕が痺れそうだ。
ちらりと後ろを見るとフクシアは余裕の表情で、スケルトンナイト3体と戦っている。
あっちは大丈夫そうだ。
とりあえず腕を斬り落とすとするか。
鋭く踏み込み再びデュラハンに斬りかかるが、両手剣で防がれる。
しかし、今回は大鎌の刃が両手剣に触れていたため、両手剣を斬り落とすことができた。
レッドドラゴンの時も思ったがこの大鎌切れ味がパナイな。
まさか、金属も豆腐のように斬れるとは。
これならあの頑丈そうな鎧の体も斬れそうだ。
デュラハンは俺に斬り落とされ半分になってしまった剣を投げ捨て、殴りかってくる。
相変わらず凄まじい速度だが、あの時戦ったレッドドラゴンと比べれば遅い。
剣を失ったデュラハンはもはや俺の相手ではない。
まず大鎌で右腕を斬り落とし、次に左腕を斬り落としていく。
両腕を斬り落とされてもデュラハンは抵抗を止めず、残った足で蹴りつけてくる。
俺はそれを軽々と回避し、残った両足を斬り落とす。
しかし、まだデュラハンはカタカタと動いている。
えっ、まだ死なないの?
これだけ壊してもまだ動くってどうすればいいの?
少し迷ったすえに俺は、横から真っ二つにすることにした。
すると、デュラハンはやっと活動を停止した。
やっと倒れてくれたみたいだ。
随分としぶといやつだったな。
流石、最初から首がないだけのことはある。
俺が戦ってきた魔物の中では、ドラゴンの次ぐらいには強かった。
後方を確認してみると、スケルトンナイトはすでに2体倒されていた。
この短期間でもう2体も倒したのか。
後、1体残っているがすぐに決着がつきそうだ。
俺の援護は必要なさそうだな。
少しすると最後のスケルトンナイトが倒れ、これで全てのフロアボスを倒し終えることができた。
スケルトンナイト3体と戦っていたフクシアは、傷ひとつついていない。
「……早く次の層にいこ。」
「そうだな。
こんな層さっさと出よう。」
俺もこんなゾンビどもの腐臭の充満している層は早く出たい。
スケルトンナイト達の魔石を素早く回収し、俺達は足早に次の層へと向かった。
21層につくともう20層までのあの酷い腐臭はなかった。
やっとあの腐臭から解放された。
「……快適。」
「もう、あの層には行きたくないな。」
「……でも、帰りにはまた通ることになる……。」
「大丈夫、あの層はもう通らない。
帰りはあの層は通らずに帰ろう。」
「……どうやって?」
「それは、30層のフロアボスを倒してからのお楽しみだ。」
そう、俺にはあの層を通らず帰る手段がある。
Eランクダンジョンの時は使わなかった手段が。
今回も使う気はなかったが、あの層はもう通りたくないのでその手段を使おうと思う。
まだ、フクシアには内緒だ。
理由は特にない。
強いていうなら、その手段を使った後にフクシアを驚かしたいといったところだ。
さて、このダンジョンも最下層まで後、10層。
少し疲れてきたが頑張ろう。




