Cランクダンジョン
「フクシア、次はどんな武器を使いたい?」
俺はフクシアと迷宮都市の武器屋にきていた。
カルマーニの街の武器屋と違って、しっかりと整理されている。
「……前の剣より重くて頑丈なやつ。」
となると、黒鉄の剣なんかもいいと思うんだけどフクシアもかなり強くなったし、もっといい武器でもいい気がする。
店主に聞いてみるか。
「すいません、黒鉄の剣よりいいい武器でなにかいいやつってありますか?」
「ならミスリル製の剣とかどうだ?
少し高いが切れ味はかなりいいぞ。
頑丈でドラゴンと戦っても簡単には折れないしな。」
ほう、それはいいな。
とりあえずフクシアにも聞いてみるか。
「フクシアどうだ、使いやすいか?」
軽くミスリルの剣を振るうフクシア。
「……なかなかいい……これならゴーレムを斬っても折れなさそう。」
「じゃあそれにするか?」
「……うん……これにする。」
「いくらですか?」
「金貨8枚だ。」
やっぱ高いな。
俺は店主に金を払いミスリルの剣を受け取った。
「じゃあ武器も買ったし、ダンジョンに行こうか。」
今日は昨日のEランクダンジョンではなく、Cランクダンジョン死者の魔窟に行こうと思う。
死者の魔窟は、アンデット系の魔物オンリーのダンジョンらしい。
ダンジョンにつくとやはり昨日のEランクダンジョンのように、多くの人で賑わっていた。
「マップ1枚金貨2枚だよー。」
おい、なんか高くなってないか?
そう疑問に思ったので聞いてみる。
「あの、なんでEランクダンジョンのマップより金貨1枚も高いんですか?」
「なんでって、そりゃCランクダンジョンはEランクのより層が多いからに決まってるだろ。
層が多くなりゃ必要な紙の量も増える。
当然、料金も増える。
あんたは買っていくのかい?」
なるほど、たしかにそりゃそうだな。
仕方ない、買うか。
「1枚ください。」
買ったマップを見てみると、Cランクダンジョン、死者の魔窟は全30層あるらしい。
なかなか深くまであるな。
今日中に最下層までいって帰ってこれるか心配だ。
ていうか、ダンジョンの中だと時間の感覚が狂うから日を跨いでも、気づかないかもしれない。
「じゃあ、行こうか。」
「……アンデット、楽しみ。」
「そうなのか?」
「……アンデットと戦うの初めてだから。」
フクシアが段々と戦闘狂になっていってる気がする。
だって最近、返り血を浴びたあとにニヤっと笑ったりするようになったんだぜ?
「確かにアンデット戦うのは初めてだな。
やっぱ、なかなか死ななかったりするのかな?」
「……ブラットも、戦ったことないの?」
「ないよ。
だから俺も、フクシアも初めてだな。」
「……以外。」
「なにが?」
「……ブラットは全ての魔物と、戦ったことがあると思ってた。」
フクシアは俺をなんだと思っているんだろう。
俺はそんなすごい人間じゃないぞっ!
「なんでそう思ったんだ?」
「……すごく強いし……ドラゴンにも無傷で勝ってたから。」
いや、あの時はかなりボコボコにされてたよ?
ブレスを吐かれたとき当りどころが悪くて、下半身全部消滅したりもしたしな。
腕とか足なんてしょっちゅう消滅してたぞ。
まぁ、一瞬で再生したけどさ。
確かに戦いが終わった後は無傷になっていたが、それまでに何度も部位欠損をした訳だから無傷とは言えないと思う。
今ならあんなにボコボコにされないと思うけどね。
ドラゴン倒した後、めっちゃレベル上がったし。
「じゃ、入ろっか。」
「……うん。」
こうして俺とフクシアは、初のアンデットとの戦闘をすることとなるCランクダンジョンへと足を踏み入れた。




