勇者召喚
ブラットがこの世界に呼ばれる一ヶ月程前。
フラストル王国。
数千年前に、勇者を召喚し魔王軍からの脅威から人族を救い、大きく繁栄した国だ。
その国の王城の地下で、大規模な儀式が行われていた。
勇者召喚の儀式だ。
数千年前に討伐された魔王は数百年前に復活していて、再び人族の領土を侵略しようといるらしい。
一年前までは世界序列4位だった死神が人族に味方していたため、魔王は人族の領土を侵略しようとすることはなかった。
しかし死神が死んでしまった今、人族には魔王に対抗できる戦力がなくなってしまっていた。
そこでフラストル王国は人族の国を代表して勇者を再び召喚することにしたのだ。
巨大な魔方陣を黒いローブを羽織った魔術師たちが取り囲み膨大な魔力を流し込んでいく。
ぶつぶつと呪文を詠唱する声だけが響くなか、魔方陣が唐突に大きく発光した。
光が収まりそちらにに目を向けると、四人の人物がたっていた。
「成功だ!」
「成功したぞ!しかも、今回は四人だとっ?!」
「まさか四人も召喚出来るとは!
奇跡だ!」
魔術師達の歓喜の声で地下室は満たされた。
「ここは、どこだ?」
俺は困惑していた。
俺は俺達は先程まで高校の教室で小雪達としゃべっていた。
そしたら突然床が光り出して、一瞬意識が途切れたと思ったら見慣れない場所に立っていた。
小雪達も訳がわからないといった様子だ。
「隼人、私達さっきまでいたよね?」
「隼っちー、美咲怖いよぉー。」
「ねえねえ隼人!なんか面白いことになりそうだね!」
美咲は俺に抱きついて不安そうにしているが、人の目があるので少し恥ずかしい。
華鈴はなぜか楽しそうにしている。
「あのここはどこですか?」
目の前の黒いローブを着ている人達に聞いてみた。
「ここはフラストル王国の王城です。
あなた達は、勇者として召喚されました。」
フラストル王国?
勇者?
「勇者というのは?」
「この世界には魔王という存在がいて、私達人族を滅ぼそうとしています。
今の人族には魔王に対抗できる戦力おらず、そのため貴方方を勇者として召喚させて頂きました。
どうか、私達をお救いください。
せめて話だけでも聞いてくれませんか?」
ローブをきた男が真剣な表情でそう言った。
「隼人、この人達困ってるぽいし助けてあげようよ!」
華鈴がそういうので話しを聞いてあげることにした。
「じゃあ、話だけなら。」
「では、謁見の間にご案内致しますね。」
ローブの男についていき城を上へ上へと昇っていく。
そして豪華な扉の前でローブの男は止まった。
「この扉の奥が謁見の間になります。
国王様がいらっしゃいますので、決して無礼のないようにお願いいたします。」
この中に王様がいるのか。
なんだか緊張するな。
「では開けますね。」
中に入ると、とても豪華な装飾品で飾られた空間がそこにあった。
中央には、これまた高そうな椅子に座った壮年の男がいる。多分あれが国王だろう。
そして、横には無駄に高級そうな服をきたでっぷりと太ったおっさんたちが立っている。
「勇者よ、よく来てくれた。
そちらの男からステータスについて、説明はされたか?」
ステータス?
そんなゲームみたいなものがあるのか。
「いえ、まだです。」
「では、ワシが説明するとしよう。
この世界にはステータスというものがある。
魔物などを倒しレベルをあげることにより、ステータスの値が増えていく。
そして訓練や修行によりスキルを習得する。
スキルには通常のスキルと、固有スキルというものがあるのだが、固有スキルを持つものは世界でも数人しかいない。
しかし、異世界から召喚された勇者は固有スキル得て召喚されるらしい。
その力で私達人族を救って欲しい。
やってくれるか?」
つまり俺達には、特別な力があるってことか。
その力で救って欲しいと。
「俺はやろうと思う。
小雪はどうしたい?」
「隼人がやるというなら仕方ないですね。
私もついていきます。」
「美咲もやるよぉー。」
「私もやるやる!」
皆やる気のようだ。
こうして俺達は、勇者として活動する事が決定した。
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とある森のなか、勇者たちとは別に一人の男が召喚されていた。
その男は隼人と呼ばれていた人間と同じ服を着ていた。
「どこだ……?。確か床が光って……。」
僕は理解した。
ここは異世界なのだと。
そして思いだす。
あの時光っていたのは、僕の足元だけではないということを。
確かあの憎い、隼人の足元も光っていたということを。
隼人もこの世界に召喚されたのではないだろうか。
この世界がもし魔法とかが使えるような世界なら、きっとステータスなども存在するはず。
そう思いステータスと念じる。
僕の期待どうり、ステータスが出てきた。
名前五味 駄素途
レベル1
HP6
MP5
攻撃7
防御6
魔防6
魔攻7
スキル
固有スキル
【喰らう者】
【鑑定】
称号
召喚に巻き込まれた者。
召喚に巻き込まれた者、という称号みて隼人がこの世界に召喚されたことを確信する。
そして鑑定と喰らう者の効果を見る。
【鑑定】……全ての物体、生物の詳細を知ることができる。
生物のステータスを閲覧することができる。
【喰らう者】……死んだ生物を喰らうことにより、その生物のスキルを得ることができる。
喰った生物がそれなりの強さだった場合全ステータス微上昇。
僕はニヤリと醜く笑った。
「これで隼人に復讐ができる。」
王国の魔術師達は召喚された人間は四人だけだと思いこんでいる。
この5人目の存在に気づく者は誰一人として居なかった……。




