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加護





「フクシアは魔物と戦ったことはあるか?」


俺とフクシアは武器屋に向かっていた。

今日はフクシアの武器や、防具などの装備品を買おうと思っている。

だか、まずその前に確認しなければいけないことがあった。

それは、フクシアに戦闘の経験があるのかどうかだ。

 

「……ない。」


やはり思っていた通りの答えだ。

フクシアは見た感じ小柄な少女で筋肉もあまりついていない。

明らかに戦闘などしたことの無さそうな容姿だからな。 


そういや奴隷紋にすると、奴隷のステータスを閲覧できるってあの商人が言ってたな。

見てみるか。


「えっ……?!」


フクシアのステータスを見て、つい驚いて声が出てしまった。

フクシアが不思議そうにこっちを見ている。

なにかあったの?とでもいいたそうな顔だ。


「ちょっとフクシアのステータスを見ていたらね、見たことのない項目があったんだよ。」


そういうと、フクシアも自分のステータスを見た。

すると、フクシアも俺と同じように驚きの表情を浮かべた。


「……っ?!」



名前フクシア

レベル1

HP9

MP4

攻撃7

防御8

魔防6

魔攻4

スキル


固有スキル

【不老】

加護

【ブラットの加護】



少々前衛寄りのステータスではあるが、異常と言うほどではない。

問題はその下のスキルだ。

 


【不老】



なぜか俺と同じスキルを持っていたのだ。

俺が神から与えられたあのスキルを。

普通の人間が持っていることは、まずないだろうスキルを。


そしてもう1つ。

【ブラットの加護】だ。

加護なんて項目、俺にはなかった。

とりあえず説明を読んでみよう。



【ブラットの加護】……ブラットに絶対の忠誠を持つ者に与えられる加護。

【不老】のスキルを得る。

 


えっまじで?

加護の効果も驚きだが、もしこの説明文が本当ならフクシアは俺に対して絶対の忠誠があるってことにならないか?


「フクシア、もしかして俺に対して対して忠誠を誓ったりした?」


「……忠誠かどうかはわからない……でも、真剣に考えて私に名前つけてくれたあの時、とても嬉しかった……足を治してもらって本当に感謝してる……ブラットのことを大好きなのは確か。」


なるほど、スキル的にはそれが忠誠と判断されたわけか。

ってか、今フクシア俺のこと大好きって言ったよねっ!

嬉しくて泣きそう。


「……ブラットは加護を与えられるような存在……神なの?」


そんなことはないんだけどなぁ。

他者に加護を与えられるような存在になった覚えはない。


「いや、ただの人間だよ。」


だからホントに不思議でしかない。

なんでこんな加護がついたのだろう。

まぁ、これで俺だけ若いままフクシアだけが、老いていくってことはなくなったんだしいいけどね。


「この加護に関してはあまり深く考えないようにしよう。

どうせ考えても、なんでこんな加護がついたかなんてわからないしね。」


「……わかった……ちょっと得した、くらいに考えておく。」


フクシアもなかなか神経が太いようだ。

そろそろ武器屋が見えてくる。

中に入ると相変わらず前回来たときの雑多な感じの店内だった。


「フクシアはどんな武器を使いたい?」


フクシアは戦ったことが無いようだし、どんな武器が向いているのかわからない。

なのでまずは使いたい武器を買ってあげようと思う。

使いづらかったらまた違うのを買えばいいしね。

 

「……なんでもいいの?」


「好きなやつを選んでいいよ。

多分買えない金額のやつはそんなにないだろうしね。」


前回俺が武器と防具を買いに来たとき、かかった金額はおよそ金貨4枚。

そして、今の俺の所持金はおよそ金貨8枚と、それなりに余裕がある。


「……ブラットはどんな武器を使ってるの?」


「普段は剣を使ってるよ。

後、強敵と戦うときは大鎌を使ってるね。」


「……じゃあ私も剣にする。」


「そうか、なら今のステータス的に鉄製の剣とかが妥当かな。

鎧はどうする?」


「……ブラットと同じやつがいい。」


「じゃあ革鎧で決定だな。

盾はどんなやつがいい?」


「……ブラットと同じやつ。」


それも俺と同じやつときたか。

俺のこと好きすぎないか?

しかし困ったな、俺は盾使わないからなぁ。

だってなにがあっても死なないし。


「俺は盾は使ってないんだよね。

だから盾は自分で選んでくれ。」


「……じゃあブラットが選んで。」


フクシアよ、そんなに人任せでいいのかい?

でもまぁ、頼まれてしまったんだし選んでやろう。

フクシアの命を守る大切な防具だからな、真剣に選らばなくては。


まず目に入ってきたのは木製の盾。

重量は軽く、扱い易そうだか軽い分脆そうだ。

オークに殴られたら、一発で壊れるだろう。

却下。


次に俺が手に取ったのは鉄製のスモールシールド。

小柄なフクシアならこの盾でも充分身を守れるだろう。

腕に装着できるタイプのようなので両手が自由になるし、これがいいかもしれない。 

オークに殴られても、少しへこむくらいで壊れなさそうだしね。


「このスモールシールドでいいか?」


「……それにする。」


よし、これでフクシアの装備がとりあえずのところ決まった。

追加で解体用のナイフも2本買っておいた。

1つはフクシア用1つは予備だ。

店主にお金を渡し、武器達を受け取る。

その武器をフクシアに渡し、予備のナイフはアイテムボックスにしまい武器屋を後にする。


「……さっきナイフを入れてたのってアイテムポーチ?」


アイテムポーチ?


「いや、違うよ。

さっき使ったのは、空間魔法で作った空間だよ。

俺はアイテムボックスって呼ぶことにしてる。」


「……ブラットは空間魔法も使えるの?」


どうやら俺が空間魔法を使えることに驚いているらしい。


「もしかして、空間魔法ってあんまり使える人がいなかったりする?」


「……王国でも一人しか使える人はいなかったはず。」


割りと凄い魔法だったのか。

それもそうかアイテムボックスはともかく、転移とかできる人がたくさんいたら、王城とかにと忍びこみ放題だもんな。

つまり俺はそれができるってことだし、もし空間魔法のことが他の人にバレたら危険人物として認定されてしまうかもしれない。

あまり人前では使わないようにしよう。


「そのアイテムポーチってのは?」


「……本来の容量よりも多くの物を入れられるバック……容量が大きくなるほどその価値は高まる。」


まじか。


アイテムボックスは、MP消費でいくらでも拡張できる。

このアイテムボックス俺のMPが無限だから、実質容量は限界がないってことになる。

つまりそれだけ価値も上がるってことか。


これはますますバレたらまずいな。

もしバレたら四六時中、色んな輩から狙われる生活を送ることになるかもしれない。

バレそうになったらその時はアイテムポーチと言い張ることにしよう。


「フクシア、俺が空間魔法を使えることは絶対に誰にも言っちゃだめだぞ。」


フクシアが誰かにこのことを漏らすことはないとは思うが、一応念のため言っておく。


「……絶対に言わない……ブラットは他にはどんなことができるの?」


「とりあえずこの世界の魔法は全て使える。」


「……本当?」


フクシアは少し疑っているようだ。

まぁ、それも無理ないか。

全ての魔法が使える、なんて言われてもすぐに信じることなんてできないもんな。


「俺は嘘はつかない、とは言わないがこの事に関しては真実だよ。」


「……わかった……信じる。」


フクシアは本当にいい子だな。

普通だったら、絶対に信じないようなことをあっさりと信じてくれた。


「さて、武器も買ったことだし、次は冒険者ギルドに行ってフクシアの登録をしに行こうか。」


そう言って俺達はギルドへと向かった。

フクシアもこれで冒険者の仲間入りだ。

フクシアは俺からすると少し懐かしい茶色のギルドカードを受け取り、登録が完了した。


そして俺がランクアップしたあの時、もうお別れできると思っていたゴブリンの討伐依頼を二人で受け、草原へと向かう。

フクシアがランクアップするまで、またしばらくゴブリンを倒し続けなければいけないのか。


ゴブリン討伐依頼よ、君とお別れできるのはまた当分先になりそうだ……。


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