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フクシア





商人に金貨20枚を支払い、ついに俺は奴隷を手に入れることができた。

肩にかかるくらいの長さの赤色の髪に、綺麗な小顔。

身長は150センチくらいと、少し小さい。


この子と今日から一緒に生活していくと思うと思わずにやけてしまう。

ここまでの道のりは本当に長かった。

ゴブリンに囲まれボコられ、オークに殴られ全身骨折したりと、苦痛を乗り越えやっと奴隷購入にたどり着くことができた。


「奴隷紋と首輪のどちらに致しますか?」


金貨を渡したあと商人がそう聞いてきた。

ん?まだ何かあるのか?


「まだなにか手続きがあるのですか?」


「はい。

今つけている首輪は命令権がこの奴隷商館に設定されていますので、回収させて頂きます。

ですのでお客さまに新しく主人を設定しなおす必要があります。」


あーなるほど。

そういうシステムがあるのか。


「奴隷紋と首輪の違いはなんですか?」


「首輪でしたら無料で手続きを致します。

しかし、首輪ですとあまり強力な命令をすることはできません。

例えば夜のご奉仕なども首輪ですと本人の了解がなければさせることができません。

奴隷に逃げられる可能性もありますし、奴隷紋の方がおすすめですね。

奴隷紋の方は手続きに金貨1枚頂きます。

奴隷紋にすれば奴隷は主人から一定の距離から離れられず、逃亡の防止ができます。

強力な命令もすることが可能になり、死ねなどの奴隷自身の命に関わる命令以外は全て可能になります。

それと、奴隷のステータスの閲覧もすることができるようになります。

どちらに致しますか。」


ステータスの閲覧ができるようになるのか。

それは便利だな。

俺は迷わず奴隷紋の方を選択した。

べ、別に夜の相手をさせるためとかじゃないからね!


「では専門の術士を呼んでまいりますのでお待ち下さい。」


お茶を飲みながら待っていると、先程購入した少女に声をかけられた。


「……よろしく……御主人様。」


小さな呟くような声だった。


「よろしくな。

俺はブラッドだ。

名前はなんて言うんだ?」


「……名前はない……名前をつけられる前に捨てられたから。」


暗い表情で少女はそう言った。

名前がないのか。

それだと今後呼びづらいな。


「名前がないと今後不便だし、俺が名前をつけてもいいか?」


少女は無言で頷いた。

さて、名前か。

何にしよう。


綺麗な赤い髪を見ていると、

ふといい名前が思いついた。


「じゃあ、フクシアなんてのはどうだ?

俺の故郷に咲いていた綺麗な赤い花の名前だ。」


俺がそう言うと少女が始めて笑った。


「……うん……それがいい……

私は今日からフクシア。」


フクシアの名前が決まったタイミングで商人が一人の男を連れて戻ってきた。

あれがさっき言ってた専門の術士ってひとかな。


「お待たせいたしました。

では、奴隷紋をつけさせて頂きますね。

手を前に出して下さい」


そう言われフクシアが男の前に手を出す。

商人が連れてきた男がなにやら呪文らしきものを呟き始める。

徐々にフクシアの手の甲に紋が浮かび出してくる。


男の呪文が終わったところで商人に血を1滴、フクシアの手に垂らすよう求められた。

俺は腰からナイフを取り出し指先から1滴フクシアの手に血を垂らした。


すると、一瞬フクシアの手が強く発光した。

どうやらこれで終わりのようだ。


「これで奴隷紋の術式は終了です。

またのご来店お待ちしております。」


商人に見送られ、俺とフクシアは奴隷商館を後にした。


そう言えばフクシアは足に問題を抱えていると言っていたな。

隣を歩くフクシアを見ると確かに歩きずらそうにしている。


「フクシア、歩くの辛いか?」


「……少し。」


俺はそれを聞いた後フクシアを持ち上げた。

つまり、お姫さま抱っこだ。

小柄な体格のフクシアはとても軽かった。


「……えっ……。」


フクシアは驚いた顔をしているが、俺はそれを軽くスルーして歩き続ける。


「このまま宿まで運んでやるから。」


フクシアは街なかでお姫さま抱っこをされるのが恥ずかしいようで、少し顔を赤らめている。

めっちゃ可愛い。


ゆっくりと歩いてこの表情を少しでも長く見ていたい衝動にかられるが、それは流石に可哀想なので俺は歩く速度を早めた。

というか抱っこしている俺も恥ずかしくなってきた。

そのせいで俺の歩調はどんどん早くなっていき、それに気づいた頃には宿に到着していた。


泊まる人数が増えたから料金も増えるのかな?

宿の人に聞いてみると泊まる人数が増えても同じ部屋に泊まるなら、追加料金は発生しないらしい。

ベッドを追加したいなら銀貨1枚で部屋まで運んで貰えるそうだ。


フクシアは小柄だから俺と一緒にベッドで寝てもスペース的には問題ない。

問題は、フクシアが俺と一緒のベッドで寝るのを嫌がらないか、ということだ。

もし、フクシアが嫌がるようだったらベッドを追加しようと思う。


「フクシア、ベッドは俺と一緒で大丈夫か?

嫌だったらベッド増やすけどどうする?」


「……御主人様と一緒のでいい。」


嬉しいことを言ってくれるじゃないか。


「そうか、それはよかった。

俺はあまりお金持ちじゃないからな。」


そこそこの収入はあるつもりだが、呪いのせいでなかなかお金が貯まらない。

そんな俺にとっては少しでも抑えられる出費は削りたかった。

後、フクシアと一緒に寝れるというのもかなり嬉しい。


体を拭き綺麗にしてからフクシアと一緒にベッドに入る。

ちなみに服の上から見てわかっていたが、フクシアはまな板だった。

まぁそんなの気にしないけどね俺は。


同じベッドに入ることでフクシアの顔が俺の視界にアップで写る。

やはり何度見ても可愛いな。


「……なんで私を買ってくれたの?」


俺はその問いにすぐに答えることができなかった。

安かったから、なんていったらフクシアを傷つけてしまうだろう。


「俺ならフクシアの足を治せるからさ。」


「……本当?……みんな私の足を治すには膨大な費用がかかるって言ってた。」


「俺が治すんだから無料さ。

だから金の心配をする必要はない。」


俺には【全属性魔法】というスキルがある。

全ての魔法が使えるというかなりチートなスキルだ。

それがカンストしているのだから、もちろん最高難易度の回復魔法だって使える。


「……治すには高位の治癒士が必要って聞いた……御主人様は治癒士なの?」


少し不安そうな表情でフクシアは聞いてきた。


「違うよ。

俺は冒険者だよ。

でも絶対にフクシアの足を治してあげるから。」


フクシアは無言で頷き、しばらくすると眠ってしまった。

その天使のような寝顔を見て俺は絶対にフクシアの足を治そうと心に誓った。


【マネーロスト】発動。

所持金、金貨14枚銀貨7枚銅貨3枚のうち4割の金貨5枚銀貨8枚銅貨9枚をロスト。



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