久しぶりの休息
心地いい朝の日射しを浴びて俺は目覚めた。
安そうな固いベットから起き上がりいつものように所持金の確認をする。
この宿が安いからなのかそれともこの世界の宿はみんなそうなのかは知らないが、この宿には鍵がついていていない。
俺がいつも起きてから所持金を確認するのには二つの理由がある。
一つは金を盗られていないかの確認のため。
鍵がついてないってことはやろうと思えば誰でも侵入できるってことだからな。
そしてもう一つは呪いで失った金額の確認のためだ。
はぁ、また減ってる……。
昨日は金貨四枚以上はあったのに今では金貨二枚銀貨六枚銅貨七枚しかない。
頑張って稼いだ金が寝てる間に失われていくというのは、何度繰り返しても辛いな。
いつもであれば、起きたあとはギルドに行き依頼を受けに行くのだが今日は休むことにした。
最近ちょっと頑張り過ぎてる気がするしね。
思い返してみればこの数日間俺は死なないのをいいことに、随分と無理をしてきたと思う。
【不死】のスキルがなければ何十回死んでいたであろう無理を。
死なないというだけで痛みは当然感じる。
傷ができてもすぐに再生し完治するが殺されかけた時の恐怖が消えるというわけでもない。
肉体はスキルのお陰で常に健康を保っているが、精神は摩耗する。
このまま休まず毎日戦い続けていたらきっと精神は疲れきってしまうだろう。
だから今日は休むことにした。
金はあまりないが……。
さて、休むと決めたのはいいがなにをしようか。
街の露店や屋台をまわるのもいいかもしれないな。
宿をでて外に出るとまだ朝早いのにもかかわらず多くの露店や屋台が出ていた。
近くの屋台からは美味しそうな香りが漂ってきた。
見てみるとなんの肉かはわからないが旨そうな串焼きの肉が並べられていた。
「1本銅貨三枚だよー。1本どうだい?」
「じゃあ1本お願いします」
俺は屋台のおっちゃんに銅貨三枚を渡し、熱々の串焼きの肉を受け取った。
まだ湯気がでていてとても熱そうなので、口でフーフーしてから口のなかに入れる。
美味いっ!!
濃厚なタレとジューシーな肉の旨みが口のなかで広がり、感動して涙が出そうになった。
だってさ泊まってる宿で出てくる食事といえば、固いぱさぱさのパンと味の薄いスープだったんだだよ。
数日間そんな食事をしていた俺からするとこの串焼きの肉は感動の味だった。
あぁ、生きててよかった。
「これ後、10本下さいっ!」
俺はこの串焼きの肉をとても気に入ってしまい、追加で10本買った。
他の屋台の物も食べてみたいので3本はその場で食べ、残りはアイテムボックスにしまった。
アイテムボックスの中は時が止まっているから腐ることもないし熱々のまま保存できるので問題ない。
他の屋台もまわってみたがほとんどが肉料理の屋台だった。
露店の方も見てみるか。
近くの露店を覗いてみると様々な色の液体の入った瓶を売っていた。
薬でも売っているのかな?
「ここはなにを売っているんですか?」
「病気や怪我に効く薬とそれ以外の薬だね。
君もなにか買っていきな」
「それ以外の薬というのは?」
「人を眠らせる薬、媚薬、その日の記憶を消す薬、とかだね。
そっちの方の薬が欲しいのかい?」
怪しげな店だとは思っていたが本当にそういう商品も取り扱っていたとは。
媚薬か。
使いたい相手がいるわけではないがなんとなく欲しくなってくるな。
「ちなみに媚薬はいくらですか。」
「これは強力なやつだからね。
ちょっと高いよ。
金貨13枚だ。
買うかい?」
高っ!
媚薬高っ!
「いえ、遠慮しときます」
そう言って俺は露店から去った。
その後夜まで街をぶらぶらしてから俺は宿に帰った。
ちょっと金を使いすぎちゃったかもしれない。
屋台で買い食いをしまくった為、俺の所持金は残り銀貨五枚程になってしまっていた。
早く奴隷を買おうと思っているのになかなか金が貯まらないな。
明日からまた稼がなくては。
満腹で腹も心も満たされた俺はいつもより幸せそうな顔で眠りについた。
【マネーロスト】発動。
所持金、銀貨5枚銅貨3枚のうち四割の銀貨2枚銅貨1枚をロスト。




