第3話 ギルド
(そろそろかな?………お?見えてきたぞ)
クラが森を飛んで抜けてから暫く飛んでいると、視線の先に王都と思わしき城壁に囲まれた大きな町があり、町の真ん中には大きな城があった。
(そろそろ降りないと、門番に見られて面倒な事になるな………、降りるか)
シュタ!
クラは王都の一キロ程の場所で、空中から地面に着地して王都を目指す。
〉〉〉
「おい!そこのお前!止まれ!」
クラは門の近くに歩いて行くと、門番にそう言われ足を止められる。
(やっぱりこうなるな………さてと、どうするか)
「お前!この辺りでは見ない格好だな………身分証は持っているか!」
「すみません………なにぶん田舎から来たもので………その様な物は所持していないのです………【同情】………」
クラは渋々喋るが、最後に小さく呟く。すると、門番の態度が一変した。
「そ、そうか………それは大変だったな、所持している金は大丈夫なのか?門は通るのに銀貨2枚が必要だぞ」
(さすがに通行料金が取られるか、仕方ないな、やるか)
「【洗脳】………何を言ってるのですか?先程渡した筈じゃないですか?」
クラは今度は最初に小さく呟き、あたかも渡したような態度で言った。
「え………あ!そ、そうだったな!すまなかった………それならば通っていいぞ!所持金に困ったらギルドでも行き、稼ぐんだな!それじゃな!」
「それでは………お仕事お疲れ様です」
クラはそう言い門を抜ける。
(やっぱり、洗脳はあまりしたくないな、罪悪感が沸いてきていい気分じゃなくなるな…………、取り敢えずギルドを目指して、金でも稼ぐか)
クラはそう思い、ギルドを目指す。
〉〉〉
(着いたな)
門から数十分程歩くと、クラの目の前には剣と杖の看板が付いた、木造の建物が建っていた。すると、クラは中には入っていく。
(やっぱりどこの世界でもギルドは騒がしいな、昼間から酒を飲んでいる奴がそこら辺にいるな………絡まれたら面倒だ)
クラはそう思い四つあるカウンターの内、一番左の端しっこにあるカウンターに行く。
「すみません、ギルド登録したいのですがー」
「はい、では必要事項に記入して下さい」
受付嬢はクラに記入する紙を渡す。
「全部書かないといけないですか?」
「いえ、得意武器と名前を記入をして頂ければ、他は出来るところだけ記入して頂けたら良いです」
(そうか、なら………得意は剣と………魔法、名前はクラ・ソウル………と、これで良いか)
「これでよろしいでしょうか?」
「はい、クラ・ソウル様ですね、説明は必要ですか?」
「お願いします」
「では、説明しますね、本ギルドはギルド登録をした冒険者に指名依頼、常時依頼、選択依頼の3つを提供し、それに対して手続き等を行う所であります。冒険者にはランクがあり、Fランクから、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランクが存在します、更に上にはZランクがあり、これは特別な力を所持している物に与えられるランクであります、基本的に冒険者はFランクから始まります、けれど中には強者が混じっている可能性があるので、受付をしてもらえば試験を受ける事ができ、それにより適正のランクにランクアップする事が出来ます、依頼のランクについては自身のランクより上の場合でも受ける事が出来ます、けれどもそれにより危険な事になる場合があるので余りオススメはしていません、依頼が達成失敗になった場合は特別な事がない限り、罰金が発生します、依頼の中には特例で緊急依頼があり、その時ギルド内に居た冒険者は強制参加になります、参加しなかった場合はランクダウンかギルドにこれ以降は依頼を受けられなくなり、冒険者じゃあなくなってしまいますのでお気よつけ下さい、ギルドは冒険者のケガ、死亡に関しては一切責任を取りませんのであしからず。以上が説明になります」
「わざわざありがとうございます」
(どこの世界に行っても、大体の説明は同じだな)
クラはそう思い試験の受付をする事にする。
「すみませんが試験を受けたいのですが………いいでしょうか?」
「試験ですか?わかりました、今は丁度試験官になる人がいますので今から受けれますが、受けますか?」
(タイミングいいな、まぁ………適度にランクを上げるか)
「お願いします、それと、試験官はランクはどれぐらいになるのですか?」
「試験官のランクは最低Bランクで今はAランクの方がいますので、勝てばランクはAになります、勝てなければ試験官の判断でランクが決まります」
「わかりましたありがとうございます」
「では、あちらが会場になっております」
受付嬢はそう会場の入り口がある方向にに手を向ける。
(あそこか、取り敢えずBランク位にはなっておくか)
まぁ………簡単に終わるだろと、考えながら会場に歩いていく。
〉〉〉
「よう!お前が新人で試験を受けたいって言った奴か!余り凄そうじゃないな!ガハハハハ!」
いかつい顔面の大剣を背中に背よったおっさんが豪快に笑いながら、腕を組んで佇んでいた。
「クラ・ソウルです、今日はよろしいお願いします」
「ほぅ………珍しく丁寧な奴が入ったな!だが手加減して無駄にランクを上げて死なれたら困るから本気で行くぞ、準備は良いか?」
(気配的にそれなりの強さだな、流石Aランクだな、一般人だったら気迫で腰を抜かす事が出来そうな位の気迫だな………まぁ俺には関係ないが、じゃあ行くか)
「我が名の元に現れよ、(ただの剣で良いか………)【ただの剣】!」
本当にただの鉄の剣がクラの手にシュン!と、現れた。
「剣を召喚だと?魔法使いか?」
「俺はどちらも使うから魔法剣士だ、それと準備はこれで終わりだ」
「そうか、急に生意気になったがまぁいい、それが素なんだろ?じゃあ行くぞ!」
おっさんが見た目に似合わずく、素早く動き大剣をかたてで取り、振り下ろす瞬間に両手に持ち変えて、途中に加速させながら、クラに振る。
(ふむ、この程度か、予測通りの早さだな、少し残念だな)
クラはそう思い指先でこちらに振るっている大剣に触れ、軌道をずらし避ける。
「な!?」
大剣の軌道はずれた後、何もない空間を切る、そして、クラはおっさんの横をすれ違い様に攻撃する。
「じゃあな」
クラは剣の柄でおっさんの頭にぶつけておっさんの意識を刈るのだった………。
(これじゃあただの棒きれで良かったな、まぁいいか、消えろ!)
クラの剣が手から外すと、剣が瞬く間に消滅する。
(さて、おっさんが起きるまで待つとするか)
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