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第20話 苛つく野郎

「そんなに睨み付けないでくれよ~~怖いじゃないかー」

 

 元最上位神は胸に手を当て、茶髪の髪を揺らしながら体をくねくねさせ、そう言う。

 

 クラはチツの出現と共にゴブとシナナを他の世界に転移させた、叫んでいたが問答無用で。


「相変わらず苛つく野郎だなチツ、今すぐ今度こそ消し去ってやるよ」


 クラは掌をチツに向けると、数百に重ねられた魔方陣が掌の先端に現れる、


「消えろ」

「ちょちょちょ、待ってくれ!?」


 クラがそう言うと、チツの周りの空間がチツを押し潰すように収縮を始める。

 やがて、チツは体が空間と共に収縮していき、空間に飲み込まれていく。


「ぐ!………この怪我ではきついな………」






 酷いじゃないかー。




「!?」


 突如として辺り一面にチツの声が響き渡る。

 すると、空間がぐねぐねと渦巻きを作るように巻きはじめる、すると渦巻き状になった空間からひょいとチツが顔だけを外に出す。


「かくれんぼでもしたいのかな?それとも、君の教え子の人形遊びかなぁ?クラくぅん?」


 ボタッと空間からライハルが倒れる様に出てくる。


「ライハル!?貴様………」

「おいおいおい、そんなに怖い顔をしないでくれよ?元々戦うつもりなんだろ?俺がわざわざ送りに来てあげたんだから例くらい言えよ………お?目を覚ますか?」


 チツがそう言うと、ライハルうつ伏せの状態から、手をだらりと垂らしながら立ち上がり、チツの方を振り向くと、手をビシッと腰に当てる。


「チツ様、私はどうすればいいのですか?」

「な!?何を言ってるライハル!」

「?………貴方は………誰ですか?チツ様あいつ殺していいですか?」

「ははははは!最高だな!ふふふ!」


 チツはクラの反応を予想通りと言わんばかりに笑い始める。


「チツ………ライハルに何しやがった!?」

「うん?君と同じ記憶の改ざんをしただけだけど?君と違って彼には私の従者の記憶を植え付けてあ、げ、た、だけだよーーん!ひひゃひゃひゃひゃ!」


 クラはチツに激怒し、笑いながら地面を殴り付けて辺りに地震を起こしているチツの腹に蹴りを入れる。


「ぐへ!」


 チツは蹴りの衝撃であっという間に上空三千メートル以上飛ばされる。


「容赦ないね~」


 チツは吹き飛ばされながらも、蹴りなど効かないように、空中に寝転がりながらそう言う。kチッ」と、クラは舌打ちをしながら地上から、空中でごろごろしているチツに向かって半径一キロ以上の地面を埋め尽くす程の白い火の玉を生み出し「これでも食らって死にやがれ!」クラの叫びと共に白い火の玉は一斉にチツに向かって上空に向かって飛んでいく。

 

「おと、そら、ほらよ、へいへいへい!もうおわーりでーすーか?」


 チツは空中でまるで踊るように無数の白い火の玉を避けながらクラに向かって手をひょいひょい動かして煽り始める。


「くそが!」

「………」

「ライハルよせ!っぐ!」


 チツに苛ついているクラにライハルが接近して、クラはライハルに静止を促すが、それを無視してクラに身体強化魔法を体に纏いながら回し蹴りをクラの腹に食らわす。


「ぐ………どういう………ことだ………」


 クラは腹に怪我をしているが、いくら加護を与えた者でも、人間であるライハル回し蹴りを食らっても効かない筈なのに、自らにダメージが入ったことに困惑する。


「どうだい?ぼ、く、の!わ、た、し、の!お、れ、の!加護は?いくら君でも二種類の加護を持っている彼の攻撃は効くだろ?」

「二種類だと!?お前………ライハルに与えたな」

「正解正解!大正解!君の加護と私の加護があればいくら人間でも、我々最上位に対してダメージは入るようになる、君は前みたいに加護を取り消そうとしたけど………あの時と同様にじゃま!してあげるよー!面白いな~!あの時の君の激情した表情は最高だったよ!………と、言うことで………君は自らの教え子に殺されろ、最上位は調和の神であった私だけで十分だ、リバもすぐに君と同様に殺してやるよ、君は教え子に甘いことは前の事で十分分かったことだからな………やれ」

「はい」


 ライハルは即座に動き加速し、クラに接近すると炎の剣を魔法で作り出し、それをクラに横から凪ぎ払うように振るう。


「仕方ないな………【眠れ】」

「あーー………………」


 ライハルはその場に倒れる様に眠りに………。


 ッザ


 ライハルは倒れる前に右足を前に出して、倒れるのを防ぐ。


「な!?これが効かない!?………てめぇ………他にも何かしやがったな?」

「なんのことかなーー?ぼくちんわかんなーい」

「ふざけやがっ「ッガキ!」っち!」


 クラはチツに攻撃しようとするが、その前にライハルが炎の剣をクラに向かって振り、クラの邪魔をする。


「そろそろ、死んでね?クラ?」


 チツはクラに向かって、突如チツの手に光と共に現れた金色の槍をクラに高速で投げる。


 「くそったれ!」


 金色の槍はクラと戦っているライハルもろとも貫こうと、飛んでくる。

 

 が、急にクラの目の前に身の覚えがある少年が表れる。

 少年は高速で接近している槍を素手で掴みとる。


「大丈夫かい?クラ?」


 槍を掴みとったのは、同じもう一人の最上位のリバだった。


「リバか………すまん、助かった」

「おおお!これはこれは!リバじゃないかー!おひさー………ってか、邪魔すんなよぉぉぉぉ!折角の、ドキッ☆クラの出血大サービス!!が起きないじゃないかー………」

「君も相変わらずの変だね、付いていけないよ………、まぁそれはそうと、てい」


 リバがクラに向かって指を振るうと、クラは光に包まれて、やがて、所々あった傷と腹に空いた穴が塞がったクラが光の消滅の共に居た。


「あー!折角付けた傷がー!のぉぉぉ!」


 チツは頭を抱えて、体をくの字に曲げながら、悔しがる。


 

「サンキュー、リバ、………さてと………」


 ヒュン


「あ゛………」


 クラは転移を行い、瞬時に目の前にいるクラに斬りかかっくる、ライハルの後ろに回り込み、手刀をライハルの首に食らわし、ライハルの意識を奪い取る。

 クラはその場にライハルが倒れる前に手で受け止める。


「リバ頼む」

「いいよ、やってくるんでしょ?」

「ああ、ちょっとボコってくる」


 クラはリバに気絶しているライハルをリバに預けると「彼を治しておくから」と、リバは言いながらその場を離れる。


「さて………よくもやってくれたな?」


 クラは手をゴキゴキと鳴らしながら、笑顔でチツに言う。


「な、な、な、な、何言ってるんだい?ただのじょ、冗談じゃないかー」


 チツは目を逸らしながら、汗をダラダラと欠く。

 次第にクラが近くまで歩いてくると。


「それじゃ!私はこれで!」


 チツはクラに顔を向けて手を上げてると、チツの目の前の空間が渦巻き状に歪んでいく。


「させるかよ!」


 ヒュン


 クラはチツの目の前現れて、腹に拳をぶちこむ。


「グハ!」


 チツにダメージが入ると同時に空間の歪みは元に戻り、チツは前方の遥か彼方に吹っ飛んでいく。


「いたたた………クラも容赦ないね………」


 チツは吹っ飛びながら、手で腹を押さえて、そう言うと………。


 ヒュン


 クラが吹っ飛んでいるチツの前方に現れると。


「逃げれるわけないだろ?」


 クラはそのままチツが此方に飛んでくると同時に元いた方向に向かって蹴りを食らわす。


「っぐ!」


 チツは元いた方向にまた吹っ飛んでいく、 そのまま元いた所まで吹っ飛んでいくと………。


 ヒュン


「よう」


 クラは再び蹴りを飛んできたチツに食らわし、今度は上に向けて飛ばす。


「が!」


 チツは吹っ飛び、またクラが転移して下に飛ばし、また転移をして上に飛ばすをクラは繰り返す。


「ちょ「おら」やめ「そら」やめてー!「まだまだ」止めろって言ってんだろ!」


 チツは途中で周りの空間を歪ませると、クラの蹴りや拳が届いている筈なのに、空間の歪みによって届かなくなる。


「全く………痛め付けるのがそんなに好きか!」

「お前が言うな!」


 チツはどうにか地面に着地して、ふらふらしながらそう言うと。


「それじゃあ………この世界と共に滅べ、クラ、リバ………【滅びる運命の世界エンド・ワールド】」


 チツを中心として空間がどんどん侵食されるように歪んでいく。


「それじゃあ!仲良く死んでくれ!」


 チツは敬礼のポーズをしながら、体が黒い靄に包まれていくと………、やがて靄が消え去り、チツも一緒に何処かに消え去ってしまう。


「あの野郎!逃げやがったな!………くっそ、どうするか………」



 クラは広がっていく空間の歪みに目を向けて頭を欠きながら悩む。


 






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