第16話 それぞれの思い
「で?結局どういうことなんだ?ライハル?」
「えーと………」
ライハルは先に到着したクロメチとヤハサクに問い詰められていた。
二人が着くと同時に邪竜が「他の所に植えに行こう!」と言い、魔方陣を背中辺りに出現させて空を飛んで行った。
クロメチとヤハサクには師匠が凄く強いと前から言っていたので、「師匠が全てやった」と少し変えてライハルは起きた事を説明すると共に邪竜の事も話すのであった。
「これをお前の師匠が?………………聞く限りじゃあ信じられんけど………このありさまならな………」
「そうだよな………ここにいるだけで気分が悪くなってきたぜ………うぇ………」
クロメチとヤハサクは周りの状況を改めて見ると顔をしかめながらそう呟く。
「取り敢えず………邪竜の事は少しはぐらかして、この事を冒険者達に説明するしかないな………」
「そ、そうだよね………師匠の事は言えないし………」
「俺らは冒険者を抜いて来たからすぐに来るはず………お?着たみたいだぞ」
「お前ら!大丈夫か!?………って!?なんだこれは!?」
冒険者は血や肉片によって赤黒く染まった木々と地面を見て絶句する。
「な、何があったんだ!?説明しろ!」
「えーと……じ、「すみません………俺達が着いた時にはライハルが倒れていて………それで、今ライハルを起こしたところなんです」」
「本当か?ライハル?」
「ええ………俺が着いたら吸血鬼みたいなのが居て、こっちに気が付くと急に襲ってきて………その後は覚えていません………」
ライハルはクロメチに合わせながらうつ向きつつそう冒険者に話す。
「そうか………無事なら良かったが、普通なら死んでいたところだぞ!分かったな!?次そんな事をしようとしたなら問答無用で気絶してもらうからな」
「す、すみません………」
「お前ら二人もだぞ!勝手に突っ走るな!」
「「すみません………」」
「分かったなら良いが、こんなことがあったから他のチームと合流して起きた事を言いに行くぞ、吸血鬼が本当に居たのなら危険だからな、確実に倒せるようにするぞ!」
「「「はい!」」」
リーダーの冒険者はそう一喝すると連絡の水晶を使用して、合流するために連絡をとる。
惨劇があった場所は土魔法を使用して簡易の墓を作り、死んでいった仲間たちを弔い、遺品を回収して他のチームと合流するためにその場を後にする………。
ライハルは後にする時に「助けられなくてごめん」と呟くが、誰にもそれは聞こえなかった………。
〉〉〉
惨劇の場所から急いで逃げたクラはというと。
「よし!これぐらいなら誰にも分からんだろ」
クラはふぅ………と、ため息を吐きつつそう言う。
現在クラは惨劇の場所から森を抜けて、更に平原を走り、海が目の前に見える海岸まで来ていた(百キロ以上離れた所)、だが………そのとき。
『なにが、誰にも分からないって?』
(まさか!?リバか?)
リバがクラに念話で心の中に話し掛けてきた。
『そのまさか!?だよクラ。流石に今回はやりすぎだよ、この世界に干渉しすぎている、少しこの世界にクラの力が影響して歪みが起きている、このままでは他の世界に影響して危うい。転生者のさらに邪竜である男の性格そのものをいじくるなんて………性格の改変はその者の力の数倍以上は使用しないと出来ないのに、その世界の最強の一角の転生邪竜の改変なんてしたらクラの力によって歪みが出現することなんて分かってたでしょ?』
(すまん………邪竜ごときが生意気に俺の機嫌を損ねてきたからな、歪みが出るとしても無理だ)
『じゃあ、やるの?』
(ん?)
『決まってるじゃないか………………』
───この世界を消滅させるんでしょ?
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