第13話 吸血鬼
「不味い………」
グチャ!
吸血鬼は手に持っていた肉片を握り潰しそう言う。
それと同時に冒険者と生徒達がこちらを見ていることに気が付く。
「おやおや?どうも始めまして、………いや、さようならと言った方がよろしいかな?………この人達と違う事を願いますかね………さようなら」
吸血鬼は突如手を胸元から出したナイフで切り、手から血を流すと、流れている血が剣へと形を変えていき、やがて真っ赤な深紅の剣へと変わると同時に吸血鬼の手の傷が完全に塞ぐのであった。
冒険者達と生徒達は吸血鬼が放つ殺気により体が動かない者や恐怖でさっさと一思いに殺してくれと願う者や既に殺気に耐えきれず気絶する者がいた、生徒達は当然全員気絶していた。
このチームのリーダーであるCランクの冒険者は。
(くっそ!どうなってやがる!どう見たって上級以上の強さの吸血鬼じゃねーか!俺はCランクだ………どうあがいたって生き残れねぇ………仕方がねぇか………)
リーダーは唯一殺気に対して冷や汗を掻くだけのベテランであったため生徒達を逃がすことを考えて動く。
「ん?おやぁ?私の殺気で動けるとは………ま、その程度の事は雑魚でも出来る芸当ですから意味はありませんですけど」
冒険者は吸血鬼に向かって走りながら水晶の連絡魔道具を取りだし、使用して他のチームに緊急の連絡をとる。
「俺のチームは今、上級以上吸血鬼に出会った!誰か!応援を頼む!」
バキ!
冒険者は言った後に魔道具を地面に叩きつけて連絡を送る、それと同時に大剣を背中から手に取り、吸血鬼に、向かって振るう。
「おらあああぁぁぁぁ!」
「おやぁ?随分と遅い斬撃な事で、そんなものはこうです」
吸血鬼はひらりと避けて、深紅の剣を大剣に向けて振るい、すると大剣は粉々に砕け散った。
「な、なに!?俺の剣が!?」
「全く………面白くありませんのでこれにて………さようなら」
吸血鬼は高速に動き深紅の剣を冒険者の首に向かって振るう。
「させないよ!」
ガキン!
「おや?」
吸血鬼の斬撃は不可視の魔力の壁に阻まれる。
吸血鬼は声のした方向に目を向けると、そこには………。
格好よく駆け付けたが、ボロボロでなんとも頼りなさそうな青い制服を着たライハルがいた。
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追記
違う作品の名前に間違ってしていたので戻しました。