7/37
手遅れ7
ギルが着地の衝撃で折れた右手の氷柱をそのままに、左手の氷柱を突き刺す為に手を引いた時、グワッと、オオカーミが首をギルに向け、倒れたまま前肢でギルの腹を切り裂いた。
ギルが大量の血を流し頽れる腹から臓物がはみ出している叫びも呻きもしないギルが死ぬ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああいっ」
痛い、ギル、ギル、ギル、ギ……ル…………。「……ィ……レイ……レイ、レイ。良かった。レイ、もう大丈夫だよ。ジンさん達が助けてくれたよ」
「ギルッ」
生きてる、生きてる、良かった、本当に良かった、ギルが生きてる。
「ギル。ギル。良かった。ギルが生きていて嬉しいわ」
「僕もレイが生きていて嬉しいよ」