手遅れ33
私は覚醒する、覚醒して覚醒した事を思い出す、今日から本当の愛を、ギルと育む決意を改めて意識する、真実の愛を得るには真実の私を知ってもらい、真実のギルを知る必要がある、そしてギルが私の理想とかけ離れて終わない様に、誘導し、私も努力する、問題無い、さ、起きましょう、身支度を整えて部屋を出る、階段を下りて居間に入るとオキ爺がお茶を啜っていた。
「おはようオキ爺」
「おはよう」
「今日も早いわね、直ぐ朝御飯作るから」
「うむ」
私は台所に入り、ご飯を炊く、朝食の献立は魚の干物、卵焼き、ダイコーンと豆腐の味噌汁、キュウリーの糠漬けで良いわね、手早く人数分の朝食を作り、食堂に運んで行く、皆が揃ったので朝食を食べ始める。
「ジン、今日の予定はどんな感じなの」
私は卵焼きを飲み込みジンに聞く。
「そうですね。午前中は理術の訓練、午後は皆で、近くの森を開発しに行きましょう」
「開発、どう開発するんですか」
ギルが言う。
「新しく村を造ります」
「村っ、と言う事はっ、愈ジンさんの計画を進めるんですねっ」
シンジが興奮した様子でジンに聞く。
「はい、もう少し皆の成長を待った方が確実で良いのですが、同時進行でも大丈夫でしょう、色々経験出来て後々役に立つと思います、村の開発や人を集めるのも皆にやってもらいますよ、勿論自分も手助けはしますが、非常時や、どう仕様も無い時だけだと思って下さい 」
「私頑張りますっ」 チズが箸と共に、両拳を握り、ムフーと鼻息を荒くしている、ふーん、村ね、良いじゃないのっ、ギルとの愛の住処を造るわよっ、二人だけの愛の空間っ、寝室とお風呂っ、後は私の愛の隠し味の入ったご飯を作る為に台所も必須でしょうっ、愛を語らう広々とした居間も欲しいわっ、愛の結晶達の部屋も造っておかないと駄目ねっ、成長して自分の部屋を欲しがる迄は、何人かで仲良く部屋で過ごしてもらって、社交性を身に付けさせましょう、人付き合いで要らぬ苦労をして欲しくないわっ。
「良いわねっ、村造りっ、良いわねっ」
「……レイ。あの、分かってますよね、自分の計画忘れて無いですよね」
「分かっているわよっ、あれでしょっ、あれっ」
いや、私はギルと一緒に居られれば良いのよね、でも、ギルとの生活を守るには、社会の安定が無きゃ駄目よね、極論、私達の家庭以外、皆犯罪者だけだったら、私達の生活は殺伐としたものになるわ、理術で守れるとしても常に緊張して居ないといけないなんて馬鹿げてる、だから社会の安定は必須、私達と同じ様に夫や妻、親兄弟、爺さん婆さん、子供や友人を大切に思う人達が居て、安全に生活出来る社会を造る必要がある、本当に愛のある家庭を、本当に愛し合ってできた子供を愛さない親なんていない、世間体が悪いからとか、金銭目的、大して好きでも無い男に股を開いて子供産む替わりに、安定した生活を得ようする精神的売春婦の様な馬鹿女とか、無料で家事をやってくれて、性交の相手にもなる、そんな風に妻の人格を無視して結婚する馬鹿男、こんな、結婚相手に好意や敬意の無い家庭ならつくらない方が良いと思う、子供が不幸になるわ、ま、子供を虐待して殺す様な親に比べれば増しだけども、子供を虐待する親はサルー以下よねっ、畜生だって子供を独り立ちする迄は面倒見るのに、本当に屑よっ、どうせ馬鹿だから考えも無しに、気持ち良いからピュピュッとやっちゃって、貧乏だから堕胎する金も無く仕方なく産んでよ、大して好きでも無い相手と快楽目的で性交に耽ってできた子供に愛情なんて湧かないわよね、だから虐待する、手間と金が掛かる子供を育てるには、明確な意志が無きゃ駄目よっ、愛する人との愛の結晶に自分達と同じ様に幸せに為って欲しいと思えないなら、愛情が根本に無いなら、産むべきじゃ無いわっ、だって子供を虐待して殺す親は、愛情の無い結婚で出来た子供だろうから、子供や結婚相手を愛していないから、関係が希薄で、利己的な行動をする、浮気や賭け事に走る、躾や教育をしない、自分が経験して得た、人生に役立つ知識や知恵を教えない、家族の会話が無いと言うのはもう、不利な条件で人生を初めている、友人や教育者が善人ばかりかしら、同僚や上司が公平無私な人だけかしら、そうじゃない、残念な事に悪人も居る、だからこそ、愛する人を見つけ愛し合い、子を為せた事の経験、子供を養う事が出来る程の仕事を得る事の手段、処世術を伝えてあげないと、甘やかすのとは違う、自立する為の援助を惜しまずする、そうじゃないと子供がまともに育つ訳がない、歪んで犯罪者に為ったりするのが落ちよ、要はギルと家庭を持つ、守る、私達と同じ愛のある家庭を増やす、結果ジンの手伝いにもなるって事ね、多分。
「……不安ですが、まぁ、良いでしょう、何も今日明日で村を造って、村人を集めろとは言いませんし、堅実に行きましょう」
ギル達は、村をどう開発するか話し合っていたけど、私は愛の住処をどう造るかを、一人で考えていた、寝室の壁は厚くして、喘ぎ声が漏れない様にしよう、お風呂は当然、二人で入れる広さにするとか考えていたら朝食を食べ終わる、皆も食べ終わり、食器を洗って理術の訓練に向かう、そうだった、私が神賢者に為れる事をジンに話して、ジンの知識を全て本にしてもらうんだった、私はより神に近い神賢者に為るっ、真・神賢者レイちゃんが降臨するっ、さ、訓練所に移動しましょう。




