手遅れ３１
私は行灯を使わずに、理術の光源を部屋の天井に作って照らし、椅子に座る、机の上で『チキュウーの案内書』を開き読み始める、先ずニポーンから詳しく調べましょう、セッキー、ジョウモーン、ヤヨイー時代、他にも色々な時代を経て、今は、エドー幕府がニポーンを纏めているから、現代は、エドー時代と呼ばれるのかしら、私達が住んでるチーバは、細長い棒が半分に折れた様な形の島国、ニポーンの折れた先にあって、海に突き出る様な形をしている、そう言えば、一度も海に行った事が無いわね、場所に因っては泳ぐ事が出来るらしい、ふむ、これは是非っ、おおっぴらにギルの身体を見る為に海へ泳ぎに行きましょうっ、でも、今はもう寒いかしら、来年の夏には必ず海に行くっ、海でイチャイチャするのよっ、ま、近くの川でも泳げるけど、色々な所に行って、沢山思い出をつくるのっ、ギルと愛の思い出をっ、さておき、読書を続けましょう、一寸待ってよ、ひょっとして、索敵様で本を認識したら一瞬で読み終わるのではっ、索敵様っ、お願いしますっ、こっ、これはっ、矢張り神っ、索敵様は神理術っ、細部迄認識する事で本の内容が一瞬で解るっ、全ページ、全文字を認識し続けられるっ、一瞬で知識が増えたわっ、更に範囲を拡げる、図書室を索敵様の範囲に入れ、全ての本を認識する、……賢者、レイちゃん賢者になっちゃった、大賢者っ、いやっ、神賢者ねっ、神理術を使い、神に等しい知識を得たっ、神賢者レイちゃん爆誕っ、ふふっ、ふふふっ、何、何なのこの全能感っ、どうしましょう、どうしてやりましょうかっ、あらゆる学問の知識を得てっ、その知識を哲学、心理学、あらゆる思想を理解した知恵で自在に使いこなせるっ、最早ニポーンを、いえっ、世界征服さえ些事っ、世界よっ、私にひれ伏しっ、崇めっ、奉りなさいっ、ハァーハッハッハッ、ハァーハッハッハッハッ、ま、冗談は止めましょう、でも凄いっ、これはジンにお願いしてもっと本を創造してもらえば、本当に神賢者に為れるっ、明日お願いしなきゃっ、索敵様にお帰りいただいても神賢者の儘かしら、私は索敵様にお帰りいただく、あっ、駄目だ、索敵様無しじゃ駄目っ、私もう索敵様無しじゃ生きていけないっ、索敵様と繋がってないと満足出来ない女に為ってしまったわっ、索敵様がいないと普通の女、まぁ、図書室を索敵様の範囲に入れれば、何時でも神賢者レイちゃんに為れるから良いか、これからは地道に読書するよりも、索敵様の範囲を拡げる訓練をして、何処からでも図書室を範囲に入れられる様に、訓練した方が良さそうね、となると、名前ねっ、やっぱり索敵様のお名前をギル達に考えさせるのは駄目よっ、私が索敵様に相応しいお名前を考えなければっ、私は部屋を出てギルの部屋に向かう。
