手遅れ30
私とチズは服着て脱衣場から出る、今日着ていた服は後で纏めて洗濯ね、理術で綺麗に出来るけど、お日様で乾かした方が何だか良い匂いがする気がするわ、お布団なんか干して、ポカポカふわふわに為った上に寝転ぶと、暖かくってお日様の匂いがして、そのままお昼寝したく為っちゃうもの。
「レイちゃんは、今日も読書して寝るの」
チズが理術で乾かした髪を、ちゃんと乾いているか、確かめる様に手櫛で梳きながら聞いてくる。
「そうね。図書室で何か面白そうな本が無いか、探してみるわ」
「そっか。じゃあ、私は部屋に戻るね」
「ええ。また一緒にお風呂、入りましょうね」
私は、ゆったりした寝間着の下からも、己の存在を強烈に主張しているチズの巨乳を見ながら言う。
「えっ、……う、うん、そうだね、私寝るねっ、おやすみっ」
「おやすみなさい」
チズは何故だか足早に階段を上って行く、私は足を上げる度に浮き出る尻の輪郭を愛でる、さて、私は地下ね、地下に続く階段を下りる、勉強部屋の扉を通り過ぎ、図書室の扉を開く、今日はどんな本を読もうかしら、ジンが次々と本を創造して行くから、読むのが追い付かないわ、もとから有った本の何倍に為ってるのかしら、ま、多いに越したことはないわ、どれにしましょう、サドーに、マゾッホー、ナボコフーこんな変態小説もあるのは謎だけど、ジンの趣味かしら、まさかオキ爺、まぁ、良いわ、これなんてどうかしら、風土記、チキュウーの地誌みたいね、転移様のお力で今後、色々な国に行くかも知れないし、これにしましょう、私は、『チキュウーの案内書』と言う題名の本を持って、階段を上がる。
「あれ、レイ。今日も読書かい」
ギルが脱衣場から出て来て言う。
ギルが少し上気した様な、艶のある白い肌が僅かに紅く染まっていて、色っぽい、とても色っぽいっ、その紅く染まった頬をっ、顔をベロベロ舐め回してっ、チュパチュパ吸い付いてっ、私の唾液でベチョベチョにしてやりたいわっ、嫌がり顔を顰めるギルッ、これも愛なのよっ、愛の一つっ、苦痛っ、不快な行為を受け入れるっ、受け入れてもらう事で愛を感じるのよっ、こんな不快な行為を受け入れてもらえるくらい愛されていると思うのっ、こんな不快な行為を受け入れるくらい愛していると思うのよっ、色々な愛を見つけっ、試しっ、育んでイクのよっ。
「どうしたの。顔に何か付いてるかい」
ギルが自分の顔を撫でる。
「何でもないわ、そうよ、今日はこれを読むの」
ギルに本を見せる。
「『チキュウーの案内書』か、面白そうだね」
「ええ。これから色々な国に行くかも知れないから、予習ね」
私達は階段を上りながら話を続ける。
「僕はシンジと、理術の名前を少し考えてみるかな」
私は部屋の扉を開けて言う。
「変な名前は止してね、おやすみなさい」
ギルは微笑み答える。
「大丈夫だよ、格好良い、名前を考えるから、おやすみ」
私は矢張り不安になる、本当に変な名前は止めてよね、部屋に入り扉を閉める、さ、読書しましょう。




