手遅れ27
「いただきます」
皆各々にいただきますを言い、食べ始める、マツターケ料理は好評で、皆美味しいと言って食べてくれる、コヴァルを除いて、楽しく会話をしながら食べ終わり、食器を片して、食後に皆でお茶を飲む、オキ爺はニポーン酒を飲み続けていて、クロは定位置であるジンの膝上で丸まっている。
「ねぇ皆。理術に名前を付けたほうが良いと思うんだけど、どうかな」
ギルが皆に話し掛ける。
「どういう事、名前を付けてどうするの」
チズがギルの意図が解らない様で聞き返す、私も解らない。
「今日オオカーミと戦いになったのは知ってるよね」
シンジとチズが頷く、ジンはクロを撫でながら話を聞いている、オキ爺はニポーン酒を飲み続けていて、顔が赤くなっている、そろそろ止めようかしら、コヴァルは寝ているのか聞いているか、目を閉じて動かない、ま、ほっときましょ。
「その時思ったんだけどね。理術を使う時に、その名前を言って、周りの仲間に知らせたらどうかなと思ったんだ」
「なるほど。声に出してどんな理術を使うか知らせ、連携を良くしたり、理術に巻き込む様な事故を防ぐと言う事ですか、それは良いですね、今は皆、無言で理術を使う事が多いと思いますが、声に出して知らせる事を習慣付けましょう、これから戦闘が増える事になるかも知れませんし」
巻き込む様な事故と聞いて、ギルが咎める様な目で私を見たような気がしたけど、気の所為よね。
「じゃあ、理術に名前を付けるのね、どんな風に付けるの」
チズが聞く、そうねぇ、索敵様や転移様はどんな名前が良いかしら、なんかこう、神って感じが良いわよね、天目見見大御神様とか、地転取取大明神様とかどうかしら、うーん、一寸神々しさが足りないかしら、そうねぇ、天真聖目照尊……。
「レイ。聞いてる」
「えっ、何」
索敵様方の御名前を考えるのに、集中し過ぎたみたいね。
「僕とシンジで考えたいんだけど」
大丈夫かしら、男の子は、こういうの決めるの好きそうだけど、ジンに決めてもらった方が良いような気がするわ。
「大丈夫なの」
チズも心配している様ね。
「そうね、ジンに決めてもらったら」
索敵様方が変な名前になったら大変だわ。
「大丈夫だよっ、僕達で格好良い名前考えるからさっ」
シンジ、格好良いとか言ってる時点で不安だから、大丈夫そうじゃないから。
「まあ、シンジ達に任せて見ましょう。問題がある様なら自分が考えます」
ま、最終的にジンがチェックするなら良いかしら、皆納得した所で解散する、ほらほらオキ爺さん、ちゃんと部屋で寝ましょうね、私はオキ爺を起こして部屋に連れて行く、洗い物はチズに頼んだ、さて、ギルを付けますか。




