手遅れ21
「……転移はどうしましょう。覚えてもらった方が良いのに教えたくないです」
教えなさいよ、索敵様と転移でギルを完全な管理下におけるんだから。
「ジン。今日の事を思い出しなさい。索敵様と転移が使えれば何の危険も無かったのよ。何故教える事を躊躇うの」
「……いや、レイが躊躇わす原因ですよね。覚えたての索敵を使って鼻血を出す女の子に教えるのは躊躇しますよ、転移で何を仕出かすのか、心配しか無いです。後何で索敵に様付けなんですか」
「索敵様は索敵様でしょ、ジンも様を付けなさい。転移を悪用なんてしないわよ、移動以外に使い道なんてあるかしら、余り思い付かないわね、遠出の買い物とかに便利そうね。そもそも使える様になるかも解らないのに躊躇う事無いわ、教えなさいよ」
悪用なんてしないのに何を心配しているのかしら、ギルを索敵様で見守り、転移で思いのままに寄り添いに行く、何も問題が無いわよね。
「ギルから後で責められる事にならなければ良いのですが……。良いでしょう、では、転移の理術を教えますね、実は、索敵を使えるなら簡単に使えます、試しに、そうですね、これ」
ジンの、前に出された掌の上に石ころが二つ現れる。
「これを一つずつ持って下さい」
私とコヴァルは一つずつ取る。
「索敵でその石ころと転移先の空間を認識します、認識したその空間を入れ替える想像をして下さい、じゃあ、足元、掌から地面に転移させて下さい、索敵で空間認識は完全です、後は入れ替えるを想像するだけ、簡単です」
ふむ、索敵様のお力を基に転移させるのね、石ころを認識して足元の地面を認識して入れ替える、うーん、入れ替えると言うことは、引き寄せる事も可能って事かしら、ふむ、試してみる価値ありね、私は其を細部迄完全に認識し掌の上に置く想像をする、其はフワリと掌に現れる、おパンツ様の降臨である、ギルの脱ぎたてホヤホヤのおパンツ様の降臨である、なんて事っ、まさかの神理術お二人目っ、転移様でしたかっ、今まで何で私は呼び捨てにしていたのっ、神っ、転移様も神であられたっ、私の不明の致す所っ今までの不遜な言動誠に申し訳ありません。
「おい。レイ。何だ其、自分言ったよな、石ころを足元に転移させろって、何だ其、掌の上にあるのは何なんだよ」
激オコッ、ジンさん激オコだわっ、口調が変わるくらい激オコだわっ、初めて見るわっ、どうしましょうっ、どうしたらいいのっ、そうだわっ、私はおパンツ様を胸元に保護して、掌の石ころを足元に転移させる。
「ジンッ、出来たっ、私転移様使えたわ」
「おいっ、何すっとぼけて」
「私って凄いわっ、今日だけで索敵様と転移様を使える様になるなんて私天才っ、自画自賛が許されるくらい天才っ」
「おい」
「皆っ、一寸聞いてっ、私転移様も使える様になっちゃったっわ」
「えっ、凄いよレイッ」
「凄いわレイちゃんっ」
「凄いっ、レイちゃんは天才だよっ」
「そうでしょう、そうでしょうっ、私は凄いのよっ」
「レイ」
「そうだわっ、さっきオキ爺に農作業手伝えて言われてたんだったっ、そうだったそうだった、うん、行かないと、今すぐ行かないとっ、皆は訓練頑張ってねー」
私は身体強化を使い最速で離脱する、やったわっ、必勝っ、無かった事にしてバックレるが成功したわっ、このままオキ爺を手伝ってほとぼりが冷めるのを待てば完璧っ、私はまた一つ危機を乗り越え成長したのだった。




