手遅れ11
「ジンが謝る事無いわよ。助けてくれて感謝しているんだから。次からはちゃんと出掛ける事を伝えてから行くわ。其に、オオカーミが出たからには、理術で索敵したり見廻りを強化しなきゃね」
「そう言って貰えると助かります」
ジンが頭を上げる、黒一色の服装だからかしら、色白の肌がやけに綺麗に見える、腰には何時もの刀を差していて、黒い瞳で私達を見ながら続ける。
「今後はレイが言う通りにして、二度とこんな事が起きない様にしましょう」
「そうですね」
ギルは笑顔で同意する、可愛いわ。
「では、後始末の続きをしましょうか。ギル達は消火して貰えますか、自分はオオカーミ達の始末をしますから」
ジンは周りを見回しながら言う。
「はい。じゃあ、僕は此方をするからレイは向こうをお願い」
ギルは笑顔の壗、私にお願いする、素直で可愛いギル、私は答える。
「うん、良いわよ。あっ、ジン」
「何でしょう」
「コヴァルに治して貰ったけど、未だ少し頭が重いの。治してくれる」
「良いですよ」
ジンが私の頭に手を置き治癒を始める、身体が温かくなって頭が軽くなる。
「治りましたよ」
ジンが手を離し微笑む。
「有難う。じゃ、後始末を始めましょ」
「待て、ジンはやるな。二人でやれ」
コヴァルが何か言っている。
「何故ですか、いや、コヴァルも手伝えば直ぐ終わりますから手伝って下さい」
ジンが私と同じ事を言う、そうよ、もっと言ってやって、確かに治癒ですっかり回復しているけど、もう一寸労ってくれても良いんじゃないかしら、壮絶な戦いだったのよ、私達二人死にかけたのよ、ギルとの抱擁を邪魔されたのよ、お前がやれコヴァル。
「理術の訓練だ」
無表情で告げるコヴァル。
「まあ、其れも良いかもしれません。では、二人で後始末をお願いします。自分は周囲の索敵でもしていますよ。疲れたらコヴァルに回復してもらって下さい。コヴァル、お願いします」
無表情で頷く、コヴァル。
「解った、二人だけでやるわ」
良いわよ、私は強くなるって決めたんだから、やるわ、ギルを守る為に修行に勤しむわよ。




